下村湖人ゆかりの史跡が全焼とのニュースがあった。
幸いけが人などは出なかったということだった。
しかし、なんとなく悲しい。
小学生の頃、母が一冊のハードカバーの本をくれた。
タイトルは『次郎物語』
夢中で読んだ。
何十回となく読んだ覚えがある。
学校の図書館に文庫本があるのを、知り、そちらも、何度となく読み返した。
バイトを始めた頃は、文庫本で全巻を購入した。
なんでこんなに、この本に気持ちがいってしまうのか、学校の先生に聞いたことがある。
「自分に重ねるからでは?」とのこと。
母親は、幼いころに実母を亡くしたそうな。
継母に育てられたのかは、聞けなかったが、継母に対しては、悪い印象に固執していた。
『やさしい、実子とも差別しない継母なんていない』という自論を持っていた。
そこまで言い切る、根拠を結局聞くことはできなかったが、次郎の半生に、少しあてはまるかのように
重ねていたのは、実母の体験を感じていたからだろうか。
よくわからないのだが、自分の半生に「なんとなく」重ね合わせていたのかもしれない。