はなうたまじりにひとりごと

私視線で、観て聴いて♪素直に気ままに我儘に。主に宝塚の舞台のこと、その他諸々?についてお喋りを。

モン☆クリスト……

2013-05-12 23:54:04 | Weblog
何が、原作と違っているのか?
細かい事柄を、一つ一つ挙げることには、
あんまり意味がないと思うし、
私の記憶力なんか、たいして信頼出来ないから、
書こうとすると、行き詰まるに違いないから、やめておきます。

観ながら、とにかく、
「おい、こら!」
「何だとぅ?」
と、ツッコミ入れること、5分に一回…の気分。

何と申しますか、
3悪人と呼ばれる皆さんの、人間味溢れる部分が、割愛され、
されてもいいんだけど、
違う展開に書き換えられすぎていて、
原作を読み込んでも、それを演技に落とし込むことは出来なかったろう…
と思うと、不敏でなりません。

それを、繰り返した結果、
まぁ氏フェル氏のラストには、思わず涙が出そうになりました。

ああ……
私、原作フェル氏のラストの哀しさ、
…好きだと言ったら、残酷だけれども、
でも、好きなんですよ。

ご紹介すれば、
アルベールに、自分の過去を知られ、
妻も子も、家を出ていこうとする、
その馬車の窓から見えるタイミングで、
フェル氏が、拳銃自殺する、その硝煙が、家の窓から上がるのですよ。

原作のフェル氏は、間違いなく、メルセデスを愛している人物だし、
ただ、美徳は、ひょっとするとそこしかないかもしれない、
確かに卑小な人物。

だからこそ、ダンテスを陥れるんだし、
だからこそ、エデ一家を裏切り、
巨額の富を得るのです。
そして、だからこそ、自害する。

原作では、
3人のうちでは、最初に復讐を果たされるフェル氏。
この時点では、復讐は上手く行っていた…という段階なのですね。

そう。
亡くなり方だけではなく、
その順番も、違っているのですよ。

何故、主たる復讐相手が3人なのか、
原作では、そこに、意味がある。

1人目のフェル氏には、概ね上手く行く。
2人目のヴィル氏には、ダンテスが思わぬ方向にまで、派生してしまい、
そこで、ダンテスは、激しく自分を責めるのです。

原作では、ヴィル氏の後妻との間には、息子がいますが、
後妻は、息子に財産が欲しい、その一心で、
ダンテスから教え受けた、毒薬の処方箋で、殺人(未遂を含む)を繰り返すのですが、
最後には、ヴィル氏に気付かれ、
息子と無理心中を果たすのであります。

せーこ嬢は、あまりにも悪女に描かれてますが(苦笑)、
原作では、ダンテスの毒薬伝授が無ければ、、、という人物。

ヴィル氏の幼い息子を死に追いやってしまったこと、
それにより、ダンテスが目を覚ますのであり、
ヴィル氏自身は、自分と妻の何が違うのか、
妻に死ねと言い残したことを撤回しようと帰宅したところにある、二人の遺体があり…
息子だけでも助けようと手を尽くすダンテスの力が及ばないと判ったその時に、
ヴィル氏は、気が狂ってしまう……

ヴィル氏の、まだ幼い息子を死に追いやってしまったのは、
神の領域を踏みにじってしまったのではないかと苦しむダンテスを、
救うのが、エデの純粋な愛情であり、
最後のダングラ氏は、
それにより、殺さずに、懲らしめる形で、解放する……
(方法は、同じですが、解放されたダングラ氏は、
苦しみのあまりに、頭髪が真っ白になってしまいます)

この三段階を描くために、
悪人は3人必要だったのですね。
そして。
……ああ、宙版は、エデが可愛そうだなぁ。