はなうたまじりにひとりごと

私視線で、観て聴いて♪素直に気ままに我儘に。主に宝塚の舞台のこと、その他諸々?についてお喋りを。

続◆青と赤

2010-09-24 23:53:01 | Weblog
ずっと戦争が続いている。
まりこさんは、反戦の活動家で、
さえちゃんとその恋人を拾い、役者に育て上げ、映画を撮る。

最後(になっちゃった)の映画が上映される映画祭の日、
恋人は大量の血痕を残し…失踪する。

物語は、その5年後のこと。

半分ミステリーです。
そして…どこかにシャングリラな雰囲気が漂う…
(と、私は感じた)

シャングリラも、ツッコミどころはある作品でしたが、
こちらは、更にツッコミまくりたい作品でした。
見かけは、こちらの方がおさまってるかもしれないけど、
何だろうなぁ…どこか、女々しい?

オギタさんの、謎掛けみたいな言葉が、漂う。
でも、今回は、「みたいな」だけなんじゃないかしら。
言葉遣い師にはなってない。

兵隊であることから、抜け出したい男たち。
それぞれのやり方で抜け出る男たち。
欲望、夢…。

そのアクションで、
心を傷つけられる男、
身体とプライドを傷つけられる男、
自分を捨てて、生き直すことを決める男…
友情を喪う男…たち

そこに、反戦が絡んでくるんだけども、
反戦をミステリーと恋物語というオブラートにくるもうとしたのか、
反戦は、かざしてみせた、正義感の旗であるだけなのか、
私には、よくわかりませんでした。

それは、どちらでも、
或いは、どうでも、いいのかもしれないけど、
さえちゃんの役の終盤の在り方を観ていると、
どうにも、私の頭が横に傾いてゆくのであります。

恋人がいなくなったことに、一枚かんでいるであろうと、
5年間、心のどこかで、疑い続けた、「恋人の友人」のもとに、
乗り込んでいく、さえちゃん。

今になって、そうせざるを得なくなった理由について、
そこまでは、納得。

しかし、そこから…
話を聴いて、ズタズタになった彼女が、ナイフを持ち出し、
結果、死にたかった男の自害を扶ける…

彼は、彼女の手に握られたナイフを、自分に突き刺す。
さて、そしたら、彼女はどうする?
あなたなら、どう描きますか?

オギタさんは、こうでした。
彼女は、そのまま、ナイフを握ったまま。
彼は、もう一度、彼女の腕を掴んで、自らに突き立てる。
彼女は、自分の手についた血を、血にまみれた手を見て、震えながらも、
もう一度、今度は自分で、彼を刺し殺すのです。

ここが、まず、よくわからない。
自分一人では、結局刺せたかどうか?
と思うのですが、
一度ならず、二度も刺さざるを得なかったことで、
そうなったのか?

或いは、半分我に却って、
彼の苦しみを終わらせてやるに至ったのか。

観ていて、どう考えていいのか…
さえちゃんのお芝居は、私にヒントをくれませんでした。

ですが、ここまでは、
よかったのです。


実は、生きていた、恋人。
それを知っていたまりこさん。
まりこさんサイドには、黙っていた方がよいだろうという理由もあるのですが、
とは言え、さえちゃんと、恋人の弟くんは、
謂わば、5年間苦しみ抜き、5年間、欺かれ続けたのであります。

特にさえちゃんは、
その結果、ついに殺人を犯してしまうまで、苦しんだ。
…のでありますよ?

私には、帰ってきた恋人が放つ言葉の方が、胡散臭く感じられた。
物凄くきれい事を言ってるように聞こえるんだけども。
結局、この世界で起きてる戦争が何なのか、
はっきりとはさせていないので、
私には、何が正しいのかわからなくなってきたのだ。

恋人の言葉には、
さえちゃんを思いやり、求める言葉が出てこない。
私は、てっきり、彼女を置いて、
「安全なところ」へ逃げ戻るのかと思った。

ところが…
ラストは、もっと唖然とさせられた。
彼は、どうやら牢から救い出したらしいさえちゃんを、抱き締めるのです。
彼に気付いたさえちゃんは、従順に、抱かれ…

えええええぇーえ!
彼女が、気がおかしくなっていて、
だから、何もわからずに、そういう行動なんだというならば、
納得もしましょう。

ただ、生きててよかった、じゃ、済まされまい?
いきなり、そんな現実を受け入れられますか?

ぽかーんとしたまま、
幕が下りてく感覚。

大変に、男の理想を詰め込んだヒロイン?
先生の夢のかたまりなんじゃないかしら?
先生は、さえちゃんに、一体何を見てるんだろう…

確かに、さえちゃんは、
不思議なものを醸し出せる人です。
先生にとって、
さえちゃんだから、成立するものっていうのを、
表現してくれてきた役者さんなのかも…

今回も、
こういう役を、何の嫌みもなく、ひたすら無心に、
しかし、かなり突き抜けて演じてるのは、
さえちゃんならでは、だと思う。

だけどさ。
やっぱり、何かが不自然ではないかと…
私は、そういう後味を抱かずにはおられなかったのです。

それが、オギタわーるどで、
だから、オギタわーるどなんだ、
そこが、素敵なんだ!
と言われるならば、私は、やはり、合わない人なんでしょう。


カーテンコール。
さえちゃんは、役がまとってるものをしっかりとまとったまま、登場。
そこに、素の部分が見えないかと言えば、
ゼロではないのですが、まとってるものの分厚さに、うひゃあとなった。

男役時代に、
男役のまま、カーテンコールのご挨拶をしていた、
その癖なのかな?
と思うくらいで…

それが、違和感のピークの原因です。
もっと、素を解き放った感じの笑顔を見たかったなぁ。
…私の、カーテンコールの好み、だけども。



もう一度、観てみたら、多分違うものが見えるんじゃないかしら。
ミステリー入ってる作品だから。
…とは、思います。
私は、それをできませんけど…。

以上、
ちょいと時間がかかってしまいましたが(苦笑)、
かなり率直な感想でした。
…率直すぎてるかも??

そして、あくまでも、私個人の感想なので、
あしからず…。
(そりゃ、いつも、なんですが…)