カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

ウクライナの花、その5

2023年02月28日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:V.Kotyak
撮影日:2012.03.31
オリジナルからの改変、なし

今日は、「ウクライナの花、その5」、ウクライナが原産地の一部である花については、一応、今日で置きます。

最後にご紹介するのは、スノードロップのうちでも Galanthus plicatus という種です。冒頭の画像をご覧ください。

学名 Galanthus plicatus「ひだ折りされたスノードロップ」
英名 Pleated snowdrop「ひだ折りされたスノードロップ」
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus


え? 単にスノードロップでしょ?


いえ、違うんです。次の、普通に庭植えされるスノードロップ Galanthus nivalis と比較なさってください。


学名 Galanthus nivalis「雪におおわれたスノードロップ」
英名 Snowdrop
和名 マツユキソウ(待雪草)
別名 スノードロップ
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus

2022.03.04撮影

最初の画像(Galanthus plicatus)と2番目の画像(Galanthus nivalis)では、開花の程度が異なりますけど、そこではなく、葉を見てください。plicatus の方は、葉が幅広で、かつ、葉に縦ひだがプリーツのように入っています。plicatus というのは、「プリーツを入れられた、プリーツが入った」という意味です。

では、次に花を比べてみます。

次の画像からクロップ(トリミング)したもの

2番目の画像(Galanthus nivalis)と3番目の画像(Galanthus plicatus)とでは、plicatus の緑の模様が「逆さV字型」にはっきりと出ています。この両者の異なりは、種の特徴の違いなのか、わたしの持つ画像でのたまたまの違いなのかは、わかりません。

次の画像は、ウクライナで、野生の plicatus が群生しているところです。上の画像は、この画像から切り取りました。

Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:Сергій Криниця (Haidamac)
撮影日:2012.03.31
オリジナルからの改変、なし

Galanthus plicatus「葉がプリーツ状のスノードロップ」の原産地は、ルーマニア、ウクライナ、コーカサス、トルコ。分布は、以下のキュー王立植物園のサイトで確かめることができます。緑色で塗られたところが原産地です。


このキュー植物園の画像は、子房部分(花の付け根)が黄色いですけど、これが Galanthus plicatus の標準的な形態ではないと思うんですが・・・

ただし、Galanthus plicatus からは、子房部分と花につく印が黄色の ‘Wendy’s Gold’「ウェンディの金色」という園芸種が作り出されています。わたしが、20年以上追い求めて、いまだに手に入れることができていない園芸種です。

Galanthus plicatus 'Wendy's Gold'
撮影者:Peter coxhead
撮影日:2021.03.02
オリジナルからの改変、なし

では、もう一度、「葉がプリーツ状のスノードロップ」がウクライナの野で自然に咲き乱れるのをご覧ください。

そして、この地が血に染まることのないことを祈りながら、「ウクライナの花」のシリーズを終わりにします。

Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:Maxim Gavrilyuk
撮影日:2008.03.16
オリジナルからの改変、なし

・・・・・・・

【お知らせ】

3月終わりまで、日本に帰国いたします。帰省中は、ブログを書くのをお休みします。ブログ再開(早ければ、4月1日)の折には、またご訪問くださいませ。

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ウクライナの花、その4

2023年02月27日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Alcea rugosa
撮影者:Agnieszka Kwiecień, Nova
撮影日:2019.07.18
オリジナルからの改変、なし

「ウクライナの花、その4」では、2種の花をお届けします。アオイ科の花と、バラ科の花と。

まず、アオイ科(Malvaceae)の、冒頭のレモンイエローの花から。

アオイ科(Malvaceae)アルケア属(Alcea
学名 Alcea rugosa

Alcea rugosa(英文+画像)

属名の Alcea というのは、日本語に定訳がないようなので、ラテン語に従い「アルケア」としておきましたが、イメージとしては、「タチアオイ」でいいように思います。次の記事によると、アオイ科の属名は、和名のないのがほとんどのようです。

アオイ科

種小名が rugosa「シワシワの」なので、この植物の何かが「シワシワの」ものであることが予想できます。アオイ科の花の花びらは一般に細かくシワのよったものであるので、この種だけを取り上げて花が rugosa だと言うのは変なので、rugosa なのは葉であろう、と想像できます。次が、葉の画像です・・・「葉がシワシワ、デコボコ」・・・

Alcea rugosa
撮影者:Agnieszka Kwiecień, Nova
撮影日:2019.07.18
オリジナルからの改変、なし

原産は、ウクライナ、クリミア(ロシアが2014年から占領中のウクライナ領)、南部ヨーロッパロシア(ロシアのヨーロッパ部分)、コーカサス(カフカス:黒海とカスピ海にはさまれた地域)。

分布は、以下のキュー王立植物園のサイトで見ることができます。原産地が緑、移入され自然に繁殖している地が紫、に塗られています。

Alcea rugosa(英文+画像+地図)

Rosa rugosa(ハマナス)神代植物公園
撮影者:Qwert1234
撮影日:2010.06.13
オリジナルからの改変、なし

この画像のバラは、実は、ご紹介したいバラ(Rosa donetzica)「ドネツクのバラ」ではなく、日本でも見られるハマナス(Rosa rugosa)です。

Rosa rugosa (ハマナス)の rugosa は、直前にご紹介した Alcea rugosarugosa と同じです。ハマナスの葉には、葉脈に沿ったシワシワ、デコボコがあります。やはり、Alcea rugosa は「葉にシワシワ、デコボコのあるタチアオイ」でいいと思います。

和名 ハマナス
バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa
学名 Rosa rugosa

Rosa donetzica「ドネツクのバラ」は、著作権を侵害せずに借りてこられる画像が見つからなかったので、似ているハマナスで、雰囲気を味わっていただきたく、ここでは代わりにハマナスの画像を掲載しました。本物の画像を後でリンクします。

バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa
学名 Rosa donetzica「ドネツクのバラ」

ここで言う「ドネツク」というのは、ウクライナの最東部でロシアに隣接する地域です。現在、ロシアが「独立」を一方的に宣言している「共和国」のひとつ。以下の地図で、茶色っぽい斜線の入った地域です。ピンクの斜線の地域がクリミア。

ウクライナ地図
作成者:Lencer
掲載日:2022.03.06
オリジナルからの改変、なし

「ドネツクのバラ」の分布は、一般には、ウクライナとヨーロッパロシア南部、のように書かれていますが、それは、境界線で区切って言っているからです。実際には、ウクライナ東部(ドネツク)とそれに隣接のロシア領に限られるようです。

Wikipedia英語版の情報があまりにも少ないので、Wikipediaウクライナ語版まで行って、自身の言語の一般知識と翻訳機に頼りつつ、情報を集めてみました。

Rosa donetzica

それによると、分布は、ウクライナのドネツク地方、ロシアのアストラハン地域北部、および、村の名前ふたつ、農場の名前ふたつ、が挙がっていました。

生育環境は、岩場の斜面、砂岩や花崗岩の露頭、ステップ(草原)の石の多い地域。家畜の放牧、果物採集、岩石掘削、などの影響で、個体数が減少しているそうです。

「ドネツクのバラ」の本物の画像は、次の Status Quo(ラテン語で「現状」)という名前のウクライナのニュースサイトで見られます。ハマナスにたいへん良く似ているように見えます。一番上の写真につけられているキャプションは、「ドネツク地方で見られる珍しい花(写真)」。

Status Quo

もうひとつ見つけた画像は、Ukrainian Botanical Journal「ウクライナの植物ジャーナル」2017年版の表紙です。表紙の植物の説明には「Rosa donetzica ウクライナのレッド・データ・ブックに記載の種」と書かれています。この表紙の画像では、花びらが、ハマナスより厚いようです。

以下は、リンクとして読み込めませんでした。「ドネツクのバラ」の美しい写真をご覧になりたい方は、アドレスをコピー&ペーストして、ご自分のブラウザ上でご訪問ください。

Ukrainian Botanical Journal「ウクライナの植物ジャーナル」2017年版
https://ukrbotj.co.ua/pdf/74/3/ukrbotj-2017-74-3.pdf

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ウクライナの花、その3

2023年02月26日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Linum ucranicum
撮影者:Annukar1
撮影日:2011.06.03
https://en.wikipedia.org/wiki/Linum_ucranicum#/media/File:Linum_ucranicum.jpg
オリジナルからの改変、なし

ウクライナの花、3日目、今日は、3種類を合わせてご紹介したいと思います。今日の花は、3種とも、ウクライナあたり以外では見ることのできない花です。

まず、この鮮やかな黄色の花をご覧ください。これは、アマ(亜麻)の1種です。

Linum ucranicum

学名 Linum ucranicum「ウクライナのアマ」
和名(ないもよう)
アマ科(Linaceae)アマ属(Linum)
原産 ウクライナ、東部ロシア

科名の Linaceae(アマ科)、属名の Linum(アマ属)は、亜麻布(あまぬの)のリネンです。種小名の ucranicum は、ズバリ、「ウクライナの」。

「ウクライナのアマ」は、石灰岩の露頭(ろとう)にしか育たないそうです。「露頭」というのは、木などの生えていないむき出しの岩石や断層です。

露頭

分布は、以下のキュー王立植物園のサイトでどうぞ。

Linum ucranicum(英文+画像+地図)

Viola jooi
撮影者:Salicyna
撮影日:2017.04.30
オリジナルからの改変、なし

2番目の花は、スミレ属(Viola)の花で、Viola jooi という名称のものです。先の「ウクライナのアマ」と同様、石灰質の岩や断層の現れた露頭に生育します。写真から見るだけでは、日本で馴染みのあるスミレより「骨太」に見えます。

Viola jooi

学名 Viola jooi
英名 Carpathian violet「カルパティア・スミレ」
別名 Transylvanian violet「トランシルヴァニア・スミレ」
和名(ないもよう)
スミレ科(Violaceae)スミレ属(Viola
原産 ルーマニア、ウクライナ

学名の Viola jooi の種小名 jooi は、ちょっとどういう意味かわかりません。カタカナにすると「ヨオイ」(ラテン語の「j」は「ヤ行」の音)。なんだろう、これ。

英語の名称 Carpathian violet、Transylvanian violet、は、「カルパティア」「トランシルヴァニア」と、土地の名前を冠していて、わかりやすいです。

原産地は、国境で言うと、ルーマニアとウクライナです。

以下のキュー王立植物園のサイトでご覧ください。

ただ、国別でまとめると、分布していない地域まで色塗られることになります。できたら、点での表示にしてもらいたい(と、イギリス王室の研究機関に向かって、文句をたらたら)。

Viola jooi(英文+画像+地図)

このスミレは、以前は、異なる環境の地域にももっと広く生息していたらしいのですが、現在では、限られた地域にしか見られないそうです。「遺存種」「残留種」(英語で、a relict species)、つまり、「生き残り種」「生きている化石」です。

それなら、特に大事にしてあげないと。

遺存種

2022.04.11撮影

上の画像は、うちの庭のワスレナグサ(Myosotis)です。次にご紹介する白い花の、親戚です。

ワスレナグサの典型的な花の色は、青ですが、ここでは、次の花との比較のために、白が主に写っている画像を選びました。左後ろにピンクのも、少し、写っています。後ろに見える青い花は、アネモネ・ブランダ(Anemone blanda)です。

和名 ワスレナグサ
ムラサキ科(Boraginaceae)ワスレナグサ属(Myosotis

ワスレナグサ

Buglossoides czernjaevii
撮影者:Denis Kotenko
撮影日:2021.04.29
オリジナルからの改変、なし

この上の画像の植物が、ご紹介したい植物です。ワスレナグサ同様、ムラサキ科(Boraginaceae)です。葉の厚みなどが異なりますが、基本的な姿も花も、両者が親戚関係にある、と見えると思います。

学名 Buglossoides czernjaevii
和名(ないもよう)
ムラサキ科(Boraginaceae)イヌムラサキ属(Buglossoides
原産 モルドバ、ウクライナ

属名 Buglossoides には和名がないようなので、中国語名「拟紫草属」を借りて「訳す」ことにしました。学名に -oides がついていると、それは「似ている」という意味です。悪く言えば、「擬似」です。中国語名の「拟(=似)」を「ニセ」とするか「イヌ」とするか、でしょうが、ここでは、「イヌ」としておきました。

拟紫草属(中国語+画像)

種小名の、czernjajevii は、多分、語末の -ii から見て、Czernjajev という人に献名されたということで、「ツェルニャイェフ」であろうか、と思われます。

Buglossoides czernjajevii は、モルドバ、ウクライナが原産、固有種で、自生しているのが確認されているのは10箇所だけだそうです。そういう局所的な分布のためか、キュー王立植物館のサイトでは、分布図を見つけることができませんでした。あのね、だから、点で表示してよね、国単位ではなく。

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ウクライナの花、その2

2023年02月25日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Crocus banaticus
撮影者:Philippe.pechoux
撮影日:2008.11.10
オリジナルからの改変、なし

これがクロッカス? まあ、きれい!

わたしは、分厚い植物図鑑を何冊も持っていて、そういうのをしょっちゅうめくって眺めているのですが、このクロッカスには、初めて出会いました。「花びら」もオシベも独特!

学名 Crocus banaticus
別名 Crocus iridiflorus「アイリス咲きクロッカス」
別名 Crocus byzantinus
英名 Byzantine crocus *
和名(ないもよう)
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus
原産 スロバキア、ハンガリー、セルビア、ルーマニア、ウクライナ

今日のブログ記事で、この花をどう呼ぼうか考えたんですが、確立した和名は多分ないので、自由裁量で、学名の別名 Crocus iridiflorus に基づき、日本語として通りの良い「アイリス咲きのクロッカス」と呼ぶことにします。「アイリスの花のようなクロッカス」という意味です。

*をつけた名称は、後で説明します。

Crocus banaticus
撮影者:Cristian Bortes
撮影日:2010.09.11
オリジナルからの改変、なし

インターネットで情報を集めてみると、この「アイリス咲きのクロッカス」の花の色は、「バイオレット」と「白」と書かれています。

冒頭の画像と直前の画像をご覧ください。かなり異なる色ですよね。冒頭の方は、わたしのイメージの「すみれ色」に近いですけど、上は「ふじ色」?

この2つの写真の場合は、撮影条件が異なるのははっきりわかります。では、光線の違いで片づけられるのか、というと、わたし自身が、実際にこの花に接したことがあって目視で確かめたのわけではないので、なんともご報告できません。

ただ、英語の violet「バイオレット(すみれ)」という語は、花の色を表すときに、かなりの色の幅に渡っている、ということを、つけ加えておきます。次のWikipediaのページに、 violet「すみれ色」で形容できる花の例が画像で挙がっています。ページの中ほどです。カラフルできれいなページですので、ぜひ、お出かけくださいませ。

Violet (color)(英文+多数の画像)

Crocus banaticus
撮影者:Nataliia Madzhara
撮影日:2018.09.21
オリジナルからの改変、なし

「アイリス咲きのクロッカス」は、秋に花を咲かせます。上の画像のように、葉を出さず、花茎だけをスッと伸ばして、その先に花をつけます。

次の「iNaturalist」というサイトの記事によると、花期は9月、10月がピークのようです。グラフ以外に、きれいなすみれ色の写真が挙がっていますので、どうかご覧ください。

Byzantine crocus(英文+画像+グラフ)

この「iNaturalist」には、上記ページに続き、次の写真のページがあります。これほど紫色各様の写真が存在する、ということは、現実にもそうなのかもしれません。

Photos of Byzantine Crocus (Crocus banaticus)(写真ギャラリー)

Crocus banaticus
撮影者:Cristian Bortes
撮影日:2010.09.11
オリジナルからの改変、なし

花は、、、「花びら(ガク)」と書くのに疲れたので、ちゃんと書くことにします。「花びら」がみんな「ガク」の場合にはそれで、まあ、いいですが、「花びら」が「ガク」ばかりとは限らない場合もあるし。

クロッカスの花は、花被片(かひへん)6枚からなります。外花被(がいかひ)(=ガク)3枚と、内花被(ないかひ)(=花弁)3枚です。一般のクロッカスは、この外花被3枚と内花被3枚が、ほぼ同じ大きさです。

花被片

> 花被片(かひへん、Tepal)は、植物の花被を構成する要素の一つ。外花被(萼)と内花被(花弁)を含む。通常、花弁と萼が形態的に類似する、あるいはほとんど区別できない場合に、それらをまとめて花被片という。

「アイリス咲きのクロッカス」は、外花被3枚が内花被3枚よりずっと大きいです。と言うか、内花被3枚が外花被3枚よりずっと小さいです。これが、「アイリス咲きのクロッカス」が他のクロッカスとは異なり、また、iridiflorus(アイリス咲き)と呼ばれる所以です。

もうひとつ「アイリス咲きのクロッカス」の風貌を特徴づけるのは、メシベの形状。長いだけでなく、パラボラアンテナのようにピラピラとなっています。長いだけなら、同じく秋ざきのサフラン(Crorus sativus)がありますが、そのメシベは先が分かれていません。

葉っぱは、花が咲いた後、やっと出てきます。クロッカスの葉っぱは、細長い葉の真ん中に縦の白い線が入っているものですが、「アイリス咲きのクロッカス」にはそれがありません。

Crocus banaticus(英文+画像)

Crocus banaticus
撮影者:Nicu Farcaș
撮影日:2012.09.03
オリジナルからの改変、なし

改めて、「アイリス咲きのクロッカス」の名称について見てみます。

学名の Crocus banaticus の種小名 banaticus は、Banat「バナト」と呼ばれる地域のことです。その地域は、ハンガリー、ルーマニア、そして、セルビアの、各国それぞれ一部に広がる肥沃な低地を指します。

バナト

「アイリス咲きのクロッカス」の原産地は、スロバキア、ハンガリー、セルビア、ルーマニア、ウクライナ、ですから、この Banat と呼ばれる地域が、原産地に含まれるのでしょう。

「アイリス咲きのクロッカス」の原産地は、以下の、キュー王立植物園の分布地図で見ることができます。

Crocus banatics(英文+画像+地図)

学名の別名 Crocus byzantinusbyzantinus、英名の Byzantine crocus の Byzantine は、日本語で言うところの「ビザンティン」です。「ビザンティン帝国」の「ビザンティン」。

「アイリス咲きのクロッカス」がこの帝国の領土内にあったのか、と思い、ビザンティン帝国の領土が歴史的にどのように発展、衰退したか、見てみました。でも、上のキュー王立植物園の地図と、一部しか被らない、むしろあまり被らない、んです。

それで、Byzantine という言葉の意味を調べてみました。すると、「(システムや状況が)過度に複雑である、そして、典型的に、運営の仕方が大きく関わってくる」、と出てきました。語源的には、「ビザンティン帝国が中期〜末期には国の運営が複雑になっていた」ということかもしれません。ということは、Crocus byzantinus は、「構造が複雑怪奇なクロッカス」ということなのでしょうか。

Byzantine

Crocus banaticus
撮影者:Conrad Altmann
撮影日:2017.10.27
オリジナルからの改変、なし

次の「Pacific Bulb Society(太平洋岸地方球根協会)」の「秋咲きクロッカス」のページに、「アイリス咲きのクロッカス」も出ています。上から2番目の Crocus banaticus です。よろしければ、これで、花の色(白を含む)と形状をお確かめください。

Fall Blooming Crocus(英文+画像)

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ウクライナの花、その1

2023年02月24日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Narcissus poeticus
撮影者:Martinas Angel
撮影日:2011.04.26
オリジナルからの改変、なし

今日は、2月24日、ロシアがウクライナの領土を侵略し始めて1年です(実際には、前から)。この21世紀に、武力行使という蛮行を始めたロシアに、抗議します。

今日から5日間、ウクライナ支持を表明するために、ウクライナの花についての記事をお届けします。

そのような政治的なこと(実は、人道的なことなんですが)をブログに持ち込むのはお嫌いだ、と思われる方は、どうか読まないでください。


ウクライナの花を紹介するにあたり、文化、原産、絶滅危惧、などに焦点が当てることができますが、今回は、ウクライナが原産地の一部である植物を取り上げます。

わたしがまったく知らなかった種もあります(これ、当たり前)けど、大体は類縁種についての知識がありますので、その知識と、調べたことから記事を書いていきます。

ウクライナが原産地の一部である植物は、以下のリストから拾い上げました。


オットー・ヴィルヘルム・トメー(Otto Wilhelm Thomé)画
植物画集「ドイツ、オーストリア、スイスの花
(Flora von Deutschland, Österreich und der Schweiz)」(1885) より
パブリックドメイン

「ウクライナの花、その1」は、スイセンの1種です。冒頭の画像(写真)、および、すぐ上の画像(イラスト)をご覧ください。

真ん中のカップ状の縁が、口紅をつけたように赤いです。よって、クチベニスイセンと呼ばれることがあります。わたしもこの愛らしいスイセンを育てたことがあります。でも、(例によって樹木の陰になり、)なくしました。

このスイセンは、大変いい匂いがします。ぜひ庭に再導入したい花です。

学名 Narcissus poeticus「詩人のスイセン」
英名 Poet’s daffodil「詩人のラッパスイセン」
和名 クチベニスイセン(口紅水仙)
別名 ポエティクススイセン(ポエティクス水仙)(学名から)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
原産 南欧、中欧、からウクライナにかけて

スイセン ポエティクス

Daffodil (Narcissus poeticus) in the Daffodil Meadow, Romania
撮影者:Daniel Pandelea
撮影日:2010.05.09
オリジナルからの改変、なし

原産地は、南欧、中欧、からウクライナにかけて、です。以下の地図で確かめることができます。イギリスのキュー王立植物園のサイトからです。緑に塗られた部分が原産地、紫色っぽく塗られた部分が帰化して自然繁殖している地域です。

ウクライナの地図上での見つけ方
アフリカ(白)の「右肩」にアラビア半島(白)があります。アラビア半島のすぐ「上」にトルコ(紫色)があります。その「真上」に黒海(水色)があります。その黒海に突き出してぽちっと白い部分がありますが、それがクリミアです。そして、クリミアの「真上」がウクライナ(紫色)です。

Narcissus poeticus(英文+画像+地図)

Valley of Narcissi (Ukraine)
撮影者:Denyss
撮影日:2007.05.
オリジナルからの改変、なし

上の画像は、ウクライナで野性のポエティクスが咲き敷き詰めているところです。現在はここはどうなっているのでしょうか。

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ビフォリア、2枚葉の

2023年02月23日 08時00分00秒 | キジカクシ科
2014.03.24撮影

今日は、キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla)の4日目、最終日です。

今日ご紹介したい Scilla bifolia をどう呼ぼうか、と迷って、種小名の bifolia から「ビフォリア」を検索してみました。すると、薬用育毛剤が出てきたんです。考えましたが、まあ、いいか、と思い、他にいい考えが出てこないので、暫定的な名前ですが、ビフォリアと呼ぶことにします。

学名 Scilla bifolia「2枚葉のツルボ」
英名 Alpine squill「高山スクウィル」
英名 Two-leaf squill「2枚葉のスクウィル」
和名 ビフォリア(種小名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla

英名の Alpine squill というのは、「アルプスのスクウィル」という意味ではなく、「高山スクウィル」という意味です。英語の Alpine は、一般に「高山の」という意味です。このツルボ属の花は、原産地ではやや標高のあるところで育ちます。

2014.03.24撮影

bifolia「ビオフォリア」というのは、bi-「2つの」、folia「葉の」という意味です。そして、解説などを読んでみると、2枚の葉が出る、3枚出るのは珍しい、と書いてあります。

そうか、と思って観察してみると、上の画像では、大体2枚のようですけど、次の画像ではどうでしょうか、、、複数の球根がかぶさり合って植わっているかもしれないので、庭では早急な結論は出ないかな、と思いました。

他のツルボ属の花も、2枚葉があるのに、なぜこの種を特に取り上げて「2枚葉」と呼ぶのだろう、、、

2021.03.07撮影

この上の画像では、ツボミの形をご覧ください。ブドウひっくり返り型です。青紫の色に赤みがかかっています。

この赤みがどこから来るか、というと、もう一度冒頭の画像をご覧ください。「花びら(ガク)」(「ガク」とつけ加える、とお思いになったでしょ?)の1枚、1枚、に、赤っぽい縦線が入っています。この線のために、ツボミの印象が赤いのです。

2021.03.09撮影

花の咲いたのをご覧ください。

昨日のシベリカに比べると、決定的な違いがあります。それは、上を向いて咲いていること。それと、メシベの子房の色が異なります。ビフォリアの子房は、花に合わせた、紫色です(最初の画像もご参照ください)。また、花茎が赤っぽいです(これは、次の画像でも見ることができます)。

2021.03.20撮影

これ見てくださいよ〜〜。これ、お隣の芝生に引っ越して行った、うちのビフォリア。これは、2年前の画像です。

4、5年前、あれ? あれは何? お隣の芝生に花が。お隣が芝生に何か植え込むわけないのになあ、と思って目を凝らすと、、、

おや、うちの子じゃない、こらこら、勝手に出て行っちゃいけませんよ、お隣は、あんたたちのこと嫌いなんだからね。と言いきかせようと思っても、全く聞いてくれず、その後も、どんどん家出して行きました。

最初のうちは連れ戻していたんですが(お隣の地所へは、うちから伸びたものを切りに行ったり、落ちて行ったものを拾いに行っていいことになっている)、それでは芝生がボコボコになりすぎるので、すぐにあきらめました。

すると、わたしの寛容さをいいことに、あちらでは大繁殖。今のところ、お隣から文句は出ていないので、そのままにしています。多分、花が咲いているのさえ知らないんだと思います。

2022.03.24撮影

見てくださ〜〜い、花を拡大しました。

「花びら」の、目がぱっちりと開いたような咲き方、きれいな色の宝石みたいな子房(メシベのタネのなるところ)、それを取り囲むオシベの先の、色のコーデ抜群のヤクの色。

2022.03.24撮影

これは、ビフォリアを真上から撮影したものです。画像の向きで上の方の花、特に、右上の方の花は、オシベの先のヤクを落としているので、開いて日数の経った花です。まもなく、子房が果実になります。

この画像で左手に見える葉っぱは、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)です。細い茎は、ハゴロモジャスミン(Jasminum polyanthum)。他に、少なくとも、2種のグランドカバー、ヒメツルニチニチソウ(Vinca minor)とクルマバソウ(Galium odoratum)の葉っぱが見えています。


こんなところを棲家とさせられていては、やっぱり新天地へ子どもたちを送り出したくもなりますよね。

画像中、向こう側で白っぽく見えるところが、お隣の光の当たる芝地です。

隣の芝生は、うん、明るい。

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シベリカ、青い傘

2023年02月22日 08時00分00秒 | キジカクシ科
2006.03.27撮影

2日前から、春咲きのツルボ属(Scilla)の花をご紹介しています。今日の花は、名前を短くすると、シベリカです。

学名 Scilla siberica「シベリアのツルボ」
英名 Siberian squill「シベリアのスクウィル」
和名 シベリカ(学名の種小名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla

原産地は、種小名 siberica から分かるとおり、シベリアです、と言いたいのですが、南西ロシアからトルコにかけてです。

「花びら(ガク)」には、プシュキニア(Scilla mischtschenkoana)と同じく、青い縦線が入ります。でも、特徴は、独特の青さに加え、傘がさされたような形でうつむいて咲くこと。ほんとうに愛らしいです。

プシュキニアとチオノドクサのオシベは黄色いですが、シベリカのオシベは青いです。上の画像の真ん中にある花で、その青さを見ることができます。

2022.03.29撮影

シベリカは、ツボミも、プシュキニアとチオノドクサと異なります。プシュキニアとチオノドクサのツボミは、花茎に連なって固まって出てきます。ブドウの粒が、軸に逆さまにブラさがっているみたいな感じ・・・無粋な言い方で申し訳ございません。

でも、シベリカのツボミは、1つが、たまに2つ、多くても3つ、がポツンと、ぷくんと、出てきます。上の画像をご覧ください。これもかわゆいです。そして、かなり色が濃いですね。

2014.03.24撮影

また、シベリカの葉っぱは、2〜4枚です。それもこの画像でうかがえます。2枚、とはっきり見えるのは、2番目の画像です。

この上の画像でシベリカの足元に出ている葉っぱは、Papaver cambricum というケシの花の一種。この花についても、いずれの日にか。

2022.04.06撮影

上の写真は、シベリカを上から写したものです。以下の2つの点についてご観察ください。

まず、花茎です。土から出たところは緑色で、花に近づくにつれて紫色っぽくなっています。その紫色の部分が花につながる手前でクキッと「折れて」います。これが、花が下向きにつくメカニズムだったんですね。

それと、花の色が「花びら」の位置によって微妙に変わっています。これが、シベリカ独特のなんとも言えぬ花色の雰囲気を演出しているのだと思います。

2022.04.06撮影

花は、古くなってくると、やや横向きにはなってきますが、それでも、まだうつむいています。上の画像では、花が横向きなので、メシベの子房(花の中央の膨らんだところ)まで見えます。

この子房が成熟すると、次のような果実になります。この中に小さな種子が入っています。

Siberian squill (Scilla siberica) pods in a Minneapolis yard
撮影者: Erutuon
撮影日:2010.04.27
オリジナルからの改変、なし

ところで、うちの庭では、チオノドクサはどんどん増えるんです。でも、シベリカはどんどん減っていく。「育て方」の指南書には、増やすの簡単、と書いてあるけれど。そして、アメリカなどでは、侵入植物として嫌われているところもあるけれど。

以下の記事は、アメリカ、ミネソタ州の「環境・自然資源基金」みたいなところが出しているサイトの記事です。そこには、シベリカについて、「根絶せよ」と大文字で、かつ、感嘆符付きで表示されています。そして、「庭づくりをするみなさん、どうか、どうか、お願いですから、この植物を植えるのをやめてください。」とも書いてある。

ただし、研究者が書いたであろうと推測される記事に対して失礼になるかも、だがなあ、なんで「悪者植物」なのか、どこにも説明がない。

Scilla siberica (Siberian Squil)(英文+画像+地図)

幸い、バンクーバー辺りではそういうふれ込みは聞かないので、わたしは、シベリカを増やすことにしましょう。

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チオノドクサ、雪の輝き

2023年02月21日 08時00分00秒 | キジカクシ科
2006.03.27撮影

今日も昨日に引き続き、ツルボ属(Scilla)の花をご紹介します。

昨日の花は、白地に青の線が縦に入ったプシュキニア(Puschkinia:学名 Scilla mischtschenkoana)でしたが、今日の花は、青紫地でその真ん中が白く抜かれた花、チオノドクサ(Chionodoxa:学名 Scilla forbesii)です。こちらも、たいへん印象的な花です。そして、それだけでなく、プシュキニア同様、分類の移動により名称も入り組んでいます。

学名 Scilla forbesii「フォーブズのツルボ」
英名 Glory-of-the-snow「雪の輝き、雪の誉」
和名 チオノドクサ(古い学名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla


2006.03.27撮影

学名の種小名は、人の名前から来ていることがあります。-ii がついていたら、まず人名に間違いありません。ですから、Scilla forbesiiforbesii は Forbes から来ていることになります。Forbes「フォーブズ」というのは、英語の名字です。

で、その Forbes さんがどんな人か、と思ったら、困った。植物関係の Forbes さんは、英語版のWikipediaに挙がっているだけでも、6人はいる。Scilla forbesii の Forbes はどの人よ、と思いましがた、追求するのはやめました。なぜなら、Wiktionary(Wikipediaに付随する辞書)にさえ、「何人かいるうちのだれでも」みたいな書き方だったので。

わたしは、今まで、Scilla forbesii を「スキッラ・フォルベスィイ」と読んでいましたが、forbesii が英語の Forbes「フォーブズ」から来た、とわかった今、そう読むわけには行かなくなった、汗。英語の発音に従って読まねばならぬ。「スキッラ・フォーブズィイ」。ううむ、今さら言いにくい。でも、この花が「フォーブズ」さんに献名されている以上、それは尊重したい。

昨日、Scilla mischtschenkoana のことを、便宜上、古い学名から取ってプシュキニア(Puschkinia)と呼びました。今日は、同じく、便宜上、Scilla forbesii のことを、チオノドクサ(Chionodoxa)と呼びます。英語圏での通称と考えてくださってもいいです。

2022.03.23撮影

上の画像は、チオノドクサのツボミです。先がとんがってきます。「花びら(実は、ガク)」の根元に近い方には、白いパッチが現れています。

「花びら」、実は、ガク、という植物、多いですね・・・

次の画像では、ツボミと花の、異なる段階の様子をご覧になってください。とんがる前のツボミは、画像のちょうど真ん中あたりに見えます。

画像中、赤い実は、ヒメコウジ(Gaultheria procumbens)の実です。左上方に少し見える赤っぽい花は、ヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)のすでに開いたものです。

2021.03.31撮影

上の画像の位置に、わたしは、チオノドクサを植えたのではないのです。それなのに、咲いている。チオノドクサは、ここだけでなく庭中のどこにでも出てきてくれる。つまり、勝手に増えてくれる。ありがたいことです。

でも、あまりにもどこにでも出てくると、春先に落ち葉を移動させる時とか、夏場にキンポウゲを掘り出したりする時に、つい、乱暴な扱いになってしまいます。ごめんちゃい。

果実は、花茎に並んでつくのですが、その重みで茎が倒れます・・・あいにく、手持ちの写真がありません。

2022.03.24撮影

この上の画像では、「花びら(ガク)」(この但し書きを書くの、もう飽きた)の形状を観察なさってください。先の方の両脇が独特な形にそりかえっていますね?

チオノドクサは、青紫地に、真ん中に白の目抜きの模様がついています。でも、よく見てみると、チオノドクサも、プシュキニアのように、「花びら」の真ん中に縦に青い線が入っています。これは、「花びら」の裏側からも観察できます。次の画像でお確かめください。

2006.03.27撮影

以下も、わたしの植えていないところで花盛りの青春を謳歌しているチオノドクサさんたち。この花がみんなまた果実になって、種を拡散してくれるのよね。実は、何が拡散を媒介しているのか、わたしにはわかりません。鳥? アリ? 風(ってことはないと思う)。

2022.04.06撮影

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プシュキニア、白地に青い線

2023年02月20日 08時00分00秒 | キジカクシ科
2022.03.29撮影

バンクーバーでは、春先に、ツルボ属(Scilla)の花が各家庭のお庭でたくさん咲きます(ツルボ属には、秋咲きの花もあります)。

Scilla というのは学名ですが、これは、ラテン語に近く読んだら「スキルラ」「スキッラ」「スキラ」、このラテン語を英語読みして、それをさらにカタカナにすれば、「シラー」となります。日本語でも、ツルボ属のことを「シラー属」「スキラ属」と呼ぶこともあります。

今日から4日間(アライグマさんたちの緊急報告で、予定が1日遅れたんですが)、春咲きのシラー属の花を4つご紹介したいと思います。


2022.03.29撮影

今日の花は、名称がたくさんあるのでどう呼ぶか困るんですが、わたしの見かける球根のパッケージには、Puschkinia と書かれていることが多いので、それをカタカナにして、「プシュキニア」と呼ぶことにします。正確な呼び方ではないのですが・・・


プシュキニアは、植物学上の分類が何度も変わったらしく、そのため、シノニム(同じものを指す別の学名)がたくさんあります。ここでは、学名は、そのうちで最も新しいと思われる Scilla mischtschenkoana を採用しておきます。

学名 Scilla mischtschenkoana「ミシュチェンコ・シラー」
和名 プシュキニア(古い学名から)
別名 スキラ・ミシュチェンコアナ(学名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla

この種小名 mischtschenkoana は、外国語の固有名詞から来ています(ラテン語の語には「k」は使いませんから)。最後の ana は、その外国語の名詞をラテン語の形容詞に変える働きのものです。残りの mischtschenko はスラブ系の言語で、「ミシュチェンコ」と読むはずです。

misch「ミシュ」(「ミス」ではなく)
tschen「チェン」
ko「コ」

2006.03.27撮影

プシュキニアの花は、白地に青い線が入っていて、たいへん印象的です。

ツボミは、上の画像のように、一度に固まって出てきます。この段階で、すでに、白地に青い線が入っています。

英語では、この「線が入っている」というのを「ストライプ」を使って表現し、プシュキニアを Striped squill「ストライプの入ったスクウィル」 といいます。英語の squill は、学名の Scilla に当たります。

他の言い方には、White squill「白いスクウィル」というのもあります。これは、他の「スクウィル」が大体は青紫であることによります。この青紫の「スクウィル」は明日からご紹介します。

2021.02.26撮影

春咲きのシラー属(Scilla)の花では、プシュキニアがだいたい一番に咲きます。

スノードロップ(Galanthus nivalis)、スノークロッカス(Crocus chrysanthus)、そして、プシュキニア(Scilla mischtschenkoana)、という順番になります。


2021.03.03撮影

「みんなの趣味の園芸」には、プシュキニアについて以下のように書かれています。

> この類を長く育てるのは難しく、球根は年々小さくなり、いつの間にか消えてしまいます。写真は購入した大きな球根に咲いた花で、長年咲かせられるよう、少し工夫をしようと思います。

うちの場合は、消えてしまうことは今までなかったのですが、確かに、時々球根を足してはきました。きれいな花なので、なくさないようにしたいです。わたしは肥料は全く施しませんが、上の画像のように、冬場は落ち葉を敷き詰めているので、腐葉土になり肥料の役割を果たしてくれていると思います。

2022.02.26撮影

この画像では、太陽光線の角度のためでしょうか、やや赤紫がかって見えます。オシベは、まだ若く、花粉のついた葯(ヤク)が黄色く見えます。

2022.02.27撮影

上の画像では、ちょっと、花の各部分を識別しにくいのですが、この段階では、メシベが受粉していて膨らみかけています。

2021.03.20撮影

こちらの画像では、メシベがふくらんでいるのがはっきり見えます。花の中心にある黄緑色のものです。オシベからはもう葯(ヤク)が落ちてしまって、花糸(カシ)と呼ばれるオシベの「軸」だけが残り、それらが白っぽく見えます。

2022.04.06撮影

わたしの大好きな花ですが、わたしの庭では、今年はまだ咲いていません。

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緊急報告! アライグマさんたち

2023年02月19日 08時00分00秒 | アライグマ
2023.02.17撮影(20時18分51秒)

【カナダ、バンクーバー発】
バンクーバー現地時間の17日、20時18分ころ、xxxx 〇〇通りのflowerconnectionさん宅、裏口で、ドアをひっかくような音がし、flowerconnectionさんが裏口の外の灯りをつけたところ、「太いおしっぽとずっしりしたおしりが見えた」と、flowerconnectionさんから当局に連絡がありました。灯りをつけても、この動物は全く動じなかったそうです。

係官がお話を伺ったところ、flowerconnectionさんは、以下のようにおっしゃいました。証拠写真は、flowerconnectionさんご自身が写されたものです。フラッシュなし、とのことです。

flowerconnectionさん談:
すぐにアライグマだとわかったんです。夏に、おかあちゃんと子アライグマ5〜6匹が、何度もこの裏口に遊びに来ていたので。それに、この、ネコのしっぽより太いシマシマしっぽ、アライグマのでしかない、と思いましたね。最初は、あれ? 1匹しかいないの? 子どもたち、もう独立して離れ離れになったのかしら、と思ったんです。でも、おしりの辺りの重なり具合から見て、2匹いるのかな? と思いました。でも、成長したからでしょう、イタズラ盛りの子どもの時のように、ドアにど〜〜〜んとぶつかりながらの取っ組み合いはしませんでした。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
やっぱり2匹いて、そのうちの1匹がリサイクルの容器の方へ行くのが見えたので、そちらの窓へ急行。昨日買ってきてそのまま置いてあったヘレボルスと矮性アイリスにちょっかいを出されるんじゃないか、とヒヤヒヤでしたよ。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
こちらの存在を認識してくれたのは、前と同様、うれしかったですね。2匹ともこちらを向いたんです。ただ、アライグマさんたちは、視力が良くないので、どこまでわたしを人間の形として捉えているか。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
窓の方へ寄っていた子が、すぐに本格的に覗き込んできたんですよ。もうちょっと後ろに寄ってくれれば、網戸のないガラス戸だけのところから撮影できるのに、お願い、もうちょっと後ろに寄って、と目で合図を送ってみたのですが・・・

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
後ろではなく、反対に前に寄ってきたので、わたし、あわてました。なぜなら、ここのガラス戸部分は5センチ強開いているのを思い出したからです。アライグマさんの鋭い爪がどの程度まで網戸を破れるのか知りませんが、網戸を破って、そのガラス戸の開いている部分に手を突っ込まれては大変、と片手で写真を撮りながら、心臓パクパクで、もう一方の手でガラス戸をピシャリと閉めました。そんなことをしても、アライグマさんは逃げるわけでもない。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
閉められて、ほっとした。間にパネルが入っているのと同じことなので、こちらから安心して観察できました。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
右側にいた子は先に階段を降りていって、接近していた子がずっと後ろに寄ってくれたので、網戸のないところから撮影できました。やっぱりこれは成長しきった大人じゃないと思う。

2023.02.17撮影

flowerconnectionさん談(つづき):
階段に向かった時、おしりがよく見えたんですけど、子どもの時に比べて、ずっしりしてきていました。これは成長を表していると思いました。それとも、これは冬衣装かな、とも思いました。

2023.02.17撮影(20時21分28秒)

flowerconnectionさん談(つづき):
もう一度振り向いて、さようなら、してくれたんです。また遊びに来てね、とつぶやきました。5〜6匹のうちの少なくとも2匹が生き延びているのがわかり、うれしかったです。

* 最初の画像から最後の画像まで、約2分半のできごと。

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ここの緊急報告は、以下の話の続きです。
よろしければ、覗いてみてください。

【第1話】それはこのようにして始まった(1の1〜1の5)
【第2話】それから、半月ほどして(2の1〜2の21)
【後記】アライグマさん一家の訪問、後記

和名 アライグマ(洗熊)
アライグマ科(Procyonidae)アライグマ属(Procyon)
学名 Procyon lotor

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