カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

ウクライナの花、その5

2023年02月28日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:V.Kotyak
撮影日:2012.03.31
オリジナルからの改変、なし

今日は、「ウクライナの花、その5」、ウクライナが原産地の一部である花については、一応、今日で置きます。

最後にご紹介するのは、スノードロップのうちでも Galanthus plicatus という種です。冒頭の画像をご覧ください。

学名 Galanthus plicatus「ひだ折りされたスノードロップ」
英名 Pleated snowdrop「ひだ折りされたスノードロップ」
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus


え? 単にスノードロップでしょ?


いえ、違うんです。次の、普通に庭植えされるスノードロップ Galanthus nivalis と比較なさってください。


学名 Galanthus nivalis「雪におおわれたスノードロップ」
英名 Snowdrop
和名 マツユキソウ(待雪草)
別名 スノードロップ
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)マツユキソウ属(Galanthus

2022.03.04撮影

最初の画像(Galanthus plicatus)と2番目の画像(Galanthus nivalis)では、開花の程度が異なりますけど、そこではなく、葉を見てください。plicatus の方は、葉が幅広で、かつ、葉に縦ひだがプリーツのように入っています。plicatus というのは、「プリーツを入れられた、プリーツが入った」という意味です。

では、次に花を比べてみます。

次の画像からクロップ(トリミング)したもの

2番目の画像(Galanthus nivalis)と3番目の画像(Galanthus plicatus)とでは、plicatus の緑の模様が「逆さV字型」にはっきりと出ています。この両者の異なりは、種の特徴の違いなのか、わたしの持つ画像でのたまたまの違いなのかは、わかりません。

次の画像は、ウクライナで、野生の plicatus が群生しているところです。上の画像は、この画像から切り取りました。

Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:Сергій Криниця (Haidamac)
撮影日:2012.03.31
オリジナルからの改変、なし

Galanthus plicatus「葉がプリーツ状のスノードロップ」の原産地は、ルーマニア、ウクライナ、コーカサス、トルコ。分布は、以下のキュー王立植物園のサイトで確かめることができます。緑色で塗られたところが原産地です。


このキュー植物園の画像は、子房部分(花の付け根)が黄色いですけど、これが Galanthus plicatus の標準的な形態ではないと思うんですが・・・

ただし、Galanthus plicatus からは、子房部分と花につく印が黄色の ‘Wendy’s Gold’「ウェンディの金色」という園芸種が作り出されています。わたしが、20年以上追い求めて、いまだに手に入れることができていない園芸種です。

Galanthus plicatus 'Wendy's Gold'
撮影者:Peter coxhead
撮影日:2021.03.02
オリジナルからの改変、なし

では、もう一度、「葉がプリーツ状のスノードロップ」がウクライナの野で自然に咲き乱れるのをご覧ください。

そして、この地が血に染まることのないことを祈りながら、「ウクライナの花」のシリーズを終わりにします。

Galanthus plicatus(ウクライナ)
撮影者:Maxim Gavrilyuk
撮影日:2008.03.16
オリジナルからの改変、なし

・・・・・・・

【お知らせ】

3月終わりまで、日本に帰国いたします。帰省中は、ブログを書くのをお休みします。ブログ再開(早ければ、4月1日)の折には、またご訪問くださいませ。

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ウクライナの花、その4

2023年02月27日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Alcea rugosa
撮影者:Agnieszka Kwiecień, Nova
撮影日:2019.07.18
オリジナルからの改変、なし

「ウクライナの花、その4」では、2種の花をお届けします。アオイ科の花と、バラ科の花と。

まず、アオイ科(Malvaceae)の、冒頭のレモンイエローの花から。

アオイ科(Malvaceae)アルケア属(Alcea
学名 Alcea rugosa

Alcea rugosa(英文+画像)

属名の Alcea というのは、日本語に定訳がないようなので、ラテン語に従い「アルケア」としておきましたが、イメージとしては、「タチアオイ」でいいように思います。次の記事によると、アオイ科の属名は、和名のないのがほとんどのようです。

アオイ科

種小名が rugosa「シワシワの」なので、この植物の何かが「シワシワの」ものであることが予想できます。アオイ科の花の花びらは一般に細かくシワのよったものであるので、この種だけを取り上げて花が rugosa だと言うのは変なので、rugosa なのは葉であろう、と想像できます。次が、葉の画像です・・・「葉がシワシワ、デコボコ」・・・

Alcea rugosa
撮影者:Agnieszka Kwiecień, Nova
撮影日:2019.07.18
オリジナルからの改変、なし

原産は、ウクライナ、クリミア(ロシアが2014年から占領中のウクライナ領)、南部ヨーロッパロシア(ロシアのヨーロッパ部分)、コーカサス(カフカス:黒海とカスピ海にはさまれた地域)。

分布は、以下のキュー王立植物園のサイトで見ることができます。原産地が緑、移入され自然に繁殖している地が紫、に塗られています。

Alcea rugosa(英文+画像+地図)

Rosa rugosa(ハマナス)神代植物公園
撮影者:Qwert1234
撮影日:2010.06.13
オリジナルからの改変、なし

この画像のバラは、実は、ご紹介したいバラ(Rosa donetzica)「ドネツクのバラ」ではなく、日本でも見られるハマナス(Rosa rugosa)です。

Rosa rugosa (ハマナス)の rugosa は、直前にご紹介した Alcea rugosarugosa と同じです。ハマナスの葉には、葉脈に沿ったシワシワ、デコボコがあります。やはり、Alcea rugosa は「葉にシワシワ、デコボコのあるタチアオイ」でいいと思います。

和名 ハマナス
バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa
学名 Rosa rugosa

Rosa donetzica「ドネツクのバラ」は、著作権を侵害せずに借りてこられる画像が見つからなかったので、似ているハマナスで、雰囲気を味わっていただきたく、ここでは代わりにハマナスの画像を掲載しました。本物の画像を後でリンクします。

バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa
学名 Rosa donetzica「ドネツクのバラ」

ここで言う「ドネツク」というのは、ウクライナの最東部でロシアに隣接する地域です。現在、ロシアが「独立」を一方的に宣言している「共和国」のひとつ。以下の地図で、茶色っぽい斜線の入った地域です。ピンクの斜線の地域がクリミア。

ウクライナ地図
作成者:Lencer
掲載日:2022.03.06
オリジナルからの改変、なし

「ドネツクのバラ」の分布は、一般には、ウクライナとヨーロッパロシア南部、のように書かれていますが、それは、境界線で区切って言っているからです。実際には、ウクライナ東部(ドネツク)とそれに隣接のロシア領に限られるようです。

Wikipedia英語版の情報があまりにも少ないので、Wikipediaウクライナ語版まで行って、自身の言語の一般知識と翻訳機に頼りつつ、情報を集めてみました。

Rosa donetzica

それによると、分布は、ウクライナのドネツク地方、ロシアのアストラハン地域北部、および、村の名前ふたつ、農場の名前ふたつ、が挙がっていました。

生育環境は、岩場の斜面、砂岩や花崗岩の露頭、ステップ(草原)の石の多い地域。家畜の放牧、果物採集、岩石掘削、などの影響で、個体数が減少しているそうです。

「ドネツクのバラ」の本物の画像は、次の Status Quo(ラテン語で「現状」)という名前のウクライナのニュースサイトで見られます。ハマナスにたいへん良く似ているように見えます。一番上の写真につけられているキャプションは、「ドネツク地方で見られる珍しい花(写真)」。

Status Quo

もうひとつ見つけた画像は、Ukrainian Botanical Journal「ウクライナの植物ジャーナル」2017年版の表紙です。表紙の植物の説明には「Rosa donetzica ウクライナのレッド・データ・ブックに記載の種」と書かれています。この表紙の画像では、花びらが、ハマナスより厚いようです。

以下は、リンクとして読み込めませんでした。「ドネツクのバラ」の美しい写真をご覧になりたい方は、アドレスをコピー&ペーストして、ご自分のブラウザ上でご訪問ください。

Ukrainian Botanical Journal「ウクライナの植物ジャーナル」2017年版
https://ukrbotj.co.ua/pdf/74/3/ukrbotj-2017-74-3.pdf

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ウクライナの花、その3

2023年02月26日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Linum ucranicum
撮影者:Annukar1
撮影日:2011.06.03
https://en.wikipedia.org/wiki/Linum_ucranicum#/media/File:Linum_ucranicum.jpg
オリジナルからの改変、なし

ウクライナの花、3日目、今日は、3種類を合わせてご紹介したいと思います。今日の花は、3種とも、ウクライナあたり以外では見ることのできない花です。

まず、この鮮やかな黄色の花をご覧ください。これは、アマ(亜麻)の1種です。

Linum ucranicum

学名 Linum ucranicum「ウクライナのアマ」
和名(ないもよう)
アマ科(Linaceae)アマ属(Linum)
原産 ウクライナ、東部ロシア

科名の Linaceae(アマ科)、属名の Linum(アマ属)は、亜麻布(あまぬの)のリネンです。種小名の ucranicum は、ズバリ、「ウクライナの」。

「ウクライナのアマ」は、石灰岩の露頭(ろとう)にしか育たないそうです。「露頭」というのは、木などの生えていないむき出しの岩石や断層です。

露頭

分布は、以下のキュー王立植物園のサイトでどうぞ。

Linum ucranicum(英文+画像+地図)

Viola jooi
撮影者:Salicyna
撮影日:2017.04.30
オリジナルからの改変、なし

2番目の花は、スミレ属(Viola)の花で、Viola jooi という名称のものです。先の「ウクライナのアマ」と同様、石灰質の岩や断層の現れた露頭に生育します。写真から見るだけでは、日本で馴染みのあるスミレより「骨太」に見えます。

Viola jooi

学名 Viola jooi
英名 Carpathian violet「カルパティア・スミレ」
別名 Transylvanian violet「トランシルヴァニア・スミレ」
和名(ないもよう)
スミレ科(Violaceae)スミレ属(Viola
原産 ルーマニア、ウクライナ

学名の Viola jooi の種小名 jooi は、ちょっとどういう意味かわかりません。カタカナにすると「ヨオイ」(ラテン語の「j」は「ヤ行」の音)。なんだろう、これ。

英語の名称 Carpathian violet、Transylvanian violet、は、「カルパティア」「トランシルヴァニア」と、土地の名前を冠していて、わかりやすいです。

原産地は、国境で言うと、ルーマニアとウクライナです。

以下のキュー王立植物園のサイトでご覧ください。

ただ、国別でまとめると、分布していない地域まで色塗られることになります。できたら、点での表示にしてもらいたい(と、イギリス王室の研究機関に向かって、文句をたらたら)。

Viola jooi(英文+画像+地図)

このスミレは、以前は、異なる環境の地域にももっと広く生息していたらしいのですが、現在では、限られた地域にしか見られないそうです。「遺存種」「残留種」(英語で、a relict species)、つまり、「生き残り種」「生きている化石」です。

それなら、特に大事にしてあげないと。

遺存種

2022.04.11撮影

上の画像は、うちの庭のワスレナグサ(Myosotis)です。次にご紹介する白い花の、親戚です。

ワスレナグサの典型的な花の色は、青ですが、ここでは、次の花との比較のために、白が主に写っている画像を選びました。左後ろにピンクのも、少し、写っています。後ろに見える青い花は、アネモネ・ブランダ(Anemone blanda)です。

和名 ワスレナグサ
ムラサキ科(Boraginaceae)ワスレナグサ属(Myosotis

ワスレナグサ

Buglossoides czernjaevii
撮影者:Denis Kotenko
撮影日:2021.04.29
オリジナルからの改変、なし

この上の画像の植物が、ご紹介したい植物です。ワスレナグサ同様、ムラサキ科(Boraginaceae)です。葉の厚みなどが異なりますが、基本的な姿も花も、両者が親戚関係にある、と見えると思います。

学名 Buglossoides czernjaevii
和名(ないもよう)
ムラサキ科(Boraginaceae)イヌムラサキ属(Buglossoides
原産 モルドバ、ウクライナ

属名 Buglossoides には和名がないようなので、中国語名「拟紫草属」を借りて「訳す」ことにしました。学名に -oides がついていると、それは「似ている」という意味です。悪く言えば、「擬似」です。中国語名の「拟(=似)」を「ニセ」とするか「イヌ」とするか、でしょうが、ここでは、「イヌ」としておきました。

拟紫草属(中国語+画像)

種小名の、czernjajevii は、多分、語末の -ii から見て、Czernjajev という人に献名されたということで、「ツェルニャイェフ」であろうか、と思われます。

Buglossoides czernjajevii は、モルドバ、ウクライナが原産、固有種で、自生しているのが確認されているのは10箇所だけだそうです。そういう局所的な分布のためか、キュー王立植物館のサイトでは、分布図を見つけることができませんでした。あのね、だから、点で表示してよね、国単位ではなく。

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ウクライナの花、その2

2023年02月25日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Crocus banaticus
撮影者:Philippe.pechoux
撮影日:2008.11.10
オリジナルからの改変、なし

これがクロッカス? まあ、きれい!

わたしは、分厚い植物図鑑を何冊も持っていて、そういうのをしょっちゅうめくって眺めているのですが、このクロッカスには、初めて出会いました。「花びら」もオシベも独特!

学名 Crocus banaticus
別名 Crocus iridiflorus「アイリス咲きクロッカス」
別名 Crocus byzantinus
英名 Byzantine crocus *
和名(ないもよう)
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus
原産 スロバキア、ハンガリー、セルビア、ルーマニア、ウクライナ

今日のブログ記事で、この花をどう呼ぼうか考えたんですが、確立した和名は多分ないので、自由裁量で、学名の別名 Crocus iridiflorus に基づき、日本語として通りの良い「アイリス咲きのクロッカス」と呼ぶことにします。「アイリスの花のようなクロッカス」という意味です。

*をつけた名称は、後で説明します。

Crocus banaticus
撮影者:Cristian Bortes
撮影日:2010.09.11
オリジナルからの改変、なし

インターネットで情報を集めてみると、この「アイリス咲きのクロッカス」の花の色は、「バイオレット」と「白」と書かれています。

冒頭の画像と直前の画像をご覧ください。かなり異なる色ですよね。冒頭の方は、わたしのイメージの「すみれ色」に近いですけど、上は「ふじ色」?

この2つの写真の場合は、撮影条件が異なるのははっきりわかります。では、光線の違いで片づけられるのか、というと、わたし自身が、実際にこの花に接したことがあって目視で確かめたのわけではないので、なんともご報告できません。

ただ、英語の violet「バイオレット(すみれ)」という語は、花の色を表すときに、かなりの色の幅に渡っている、ということを、つけ加えておきます。次のWikipediaのページに、 violet「すみれ色」で形容できる花の例が画像で挙がっています。ページの中ほどです。カラフルできれいなページですので、ぜひ、お出かけくださいませ。

Violet (color)(英文+多数の画像)

Crocus banaticus
撮影者:Nataliia Madzhara
撮影日:2018.09.21
オリジナルからの改変、なし

「アイリス咲きのクロッカス」は、秋に花を咲かせます。上の画像のように、葉を出さず、花茎だけをスッと伸ばして、その先に花をつけます。

次の「iNaturalist」というサイトの記事によると、花期は9月、10月がピークのようです。グラフ以外に、きれいなすみれ色の写真が挙がっていますので、どうかご覧ください。

Byzantine crocus(英文+画像+グラフ)

この「iNaturalist」には、上記ページに続き、次の写真のページがあります。これほど紫色各様の写真が存在する、ということは、現実にもそうなのかもしれません。

Photos of Byzantine Crocus (Crocus banaticus)(写真ギャラリー)

Crocus banaticus
撮影者:Cristian Bortes
撮影日:2010.09.11
オリジナルからの改変、なし

花は、、、「花びら(ガク)」と書くのに疲れたので、ちゃんと書くことにします。「花びら」がみんな「ガク」の場合にはそれで、まあ、いいですが、「花びら」が「ガク」ばかりとは限らない場合もあるし。

クロッカスの花は、花被片(かひへん)6枚からなります。外花被(がいかひ)(=ガク)3枚と、内花被(ないかひ)(=花弁)3枚です。一般のクロッカスは、この外花被3枚と内花被3枚が、ほぼ同じ大きさです。

花被片

> 花被片(かひへん、Tepal)は、植物の花被を構成する要素の一つ。外花被(萼)と内花被(花弁)を含む。通常、花弁と萼が形態的に類似する、あるいはほとんど区別できない場合に、それらをまとめて花被片という。

「アイリス咲きのクロッカス」は、外花被3枚が内花被3枚よりずっと大きいです。と言うか、内花被3枚が外花被3枚よりずっと小さいです。これが、「アイリス咲きのクロッカス」が他のクロッカスとは異なり、また、iridiflorus(アイリス咲き)と呼ばれる所以です。

もうひとつ「アイリス咲きのクロッカス」の風貌を特徴づけるのは、メシベの形状。長いだけでなく、パラボラアンテナのようにピラピラとなっています。長いだけなら、同じく秋ざきのサフラン(Crorus sativus)がありますが、そのメシベは先が分かれていません。

葉っぱは、花が咲いた後、やっと出てきます。クロッカスの葉っぱは、細長い葉の真ん中に縦の白い線が入っているものですが、「アイリス咲きのクロッカス」にはそれがありません。

Crocus banaticus(英文+画像)

Crocus banaticus
撮影者:Nicu Farcaș
撮影日:2012.09.03
オリジナルからの改変、なし

改めて、「アイリス咲きのクロッカス」の名称について見てみます。

学名の Crocus banaticus の種小名 banaticus は、Banat「バナト」と呼ばれる地域のことです。その地域は、ハンガリー、ルーマニア、そして、セルビアの、各国それぞれ一部に広がる肥沃な低地を指します。

バナト

「アイリス咲きのクロッカス」の原産地は、スロバキア、ハンガリー、セルビア、ルーマニア、ウクライナ、ですから、この Banat と呼ばれる地域が、原産地に含まれるのでしょう。

「アイリス咲きのクロッカス」の原産地は、以下の、キュー王立植物園の分布地図で見ることができます。

Crocus banatics(英文+画像+地図)

学名の別名 Crocus byzantinusbyzantinus、英名の Byzantine crocus の Byzantine は、日本語で言うところの「ビザンティン」です。「ビザンティン帝国」の「ビザンティン」。

「アイリス咲きのクロッカス」がこの帝国の領土内にあったのか、と思い、ビザンティン帝国の領土が歴史的にどのように発展、衰退したか、見てみました。でも、上のキュー王立植物園の地図と、一部しか被らない、むしろあまり被らない、んです。

それで、Byzantine という言葉の意味を調べてみました。すると、「(システムや状況が)過度に複雑である、そして、典型的に、運営の仕方が大きく関わってくる」、と出てきました。語源的には、「ビザンティン帝国が中期〜末期には国の運営が複雑になっていた」ということかもしれません。ということは、Crocus byzantinus は、「構造が複雑怪奇なクロッカス」ということなのでしょうか。

Byzantine

Crocus banaticus
撮影者:Conrad Altmann
撮影日:2017.10.27
オリジナルからの改変、なし

次の「Pacific Bulb Society(太平洋岸地方球根協会)」の「秋咲きクロッカス」のページに、「アイリス咲きのクロッカス」も出ています。上から2番目の Crocus banaticus です。よろしければ、これで、花の色(白を含む)と形状をお確かめください。

Fall Blooming Crocus(英文+画像)

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ウクライナの花、その1

2023年02月24日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Narcissus poeticus
撮影者:Martinas Angel
撮影日:2011.04.26
オリジナルからの改変、なし

今日は、2月24日、ロシアがウクライナの領土を侵略し始めて1年です(実際には、前から)。この21世紀に、武力行使という蛮行を始めたロシアに、抗議します。

今日から5日間、ウクライナ支持を表明するために、ウクライナの花についての記事をお届けします。

そのような政治的なこと(実は、人道的なことなんですが)をブログに持ち込むのはお嫌いだ、と思われる方は、どうか読まないでください。


ウクライナの花を紹介するにあたり、文化、原産、絶滅危惧、などに焦点が当てることができますが、今回は、ウクライナが原産地の一部である植物を取り上げます。

わたしがまったく知らなかった種もあります(これ、当たり前)けど、大体は類縁種についての知識がありますので、その知識と、調べたことから記事を書いていきます。

ウクライナが原産地の一部である植物は、以下のリストから拾い上げました。


オットー・ヴィルヘルム・トメー(Otto Wilhelm Thomé)画
植物画集「ドイツ、オーストリア、スイスの花
(Flora von Deutschland, Österreich und der Schweiz)」(1885) より
パブリックドメイン

「ウクライナの花、その1」は、スイセンの1種です。冒頭の画像(写真)、および、すぐ上の画像(イラスト)をご覧ください。

真ん中のカップ状の縁が、口紅をつけたように赤いです。よって、クチベニスイセンと呼ばれることがあります。わたしもこの愛らしいスイセンを育てたことがあります。でも、(例によって樹木の陰になり、)なくしました。

このスイセンは、大変いい匂いがします。ぜひ庭に再導入したい花です。

学名 Narcissus poeticus「詩人のスイセン」
英名 Poet’s daffodil「詩人のラッパスイセン」
和名 クチベニスイセン(口紅水仙)
別名 ポエティクススイセン(ポエティクス水仙)(学名から)
ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)スイセン属(Narcissus
原産 南欧、中欧、からウクライナにかけて

スイセン ポエティクス

Daffodil (Narcissus poeticus) in the Daffodil Meadow, Romania
撮影者:Daniel Pandelea
撮影日:2010.05.09
オリジナルからの改変、なし

原産地は、南欧、中欧、からウクライナにかけて、です。以下の地図で確かめることができます。イギリスのキュー王立植物園のサイトからです。緑に塗られた部分が原産地、紫色っぽく塗られた部分が帰化して自然繁殖している地域です。

ウクライナの地図上での見つけ方
アフリカ(白)の「右肩」にアラビア半島(白)があります。アラビア半島のすぐ「上」にトルコ(紫色)があります。その「真上」に黒海(水色)があります。その黒海に突き出してぽちっと白い部分がありますが、それがクリミアです。そして、クリミアの「真上」がウクライナ(紫色)です。

Narcissus poeticus(英文+画像+地図)

Valley of Narcissi (Ukraine)
撮影者:Denyss
撮影日:2007.05.
オリジナルからの改変、なし

上の画像は、ウクライナで野性のポエティクスが咲き敷き詰めているところです。現在はここはどうなっているのでしょうか。

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