2022.03.29撮影
バンクーバーでは、春先に、ツルボ属(Scilla)の花が各家庭のお庭でたくさん咲きます(ツルボ属には、秋咲きの花もあります)。
Scilla というのは学名ですが、これは、ラテン語に近く読んだら「スキルラ」「スキッラ」「スキラ」、このラテン語を英語読みして、それをさらにカタカナにすれば、「シラー」となります。日本語でも、ツルボ属のことを「シラー属」「スキラ属」と呼ぶこともあります。
今日から4日間(アライグマさんたちの緊急報告で、予定が1日遅れたんですが)、春咲きのシラー属の花を4つご紹介したいと思います。
2022.03.29撮影
今日の花は、名称がたくさんあるのでどう呼ぶか困るんですが、わたしの見かける球根のパッケージには、Puschkinia と書かれていることが多いので、それをカタカナにして、「プシュキニア」と呼ぶことにします。正確な呼び方ではないのですが・・・
プシュキニアは、植物学上の分類が何度も変わったらしく、そのため、シノニム(同じものを指す別の学名)がたくさんあります。ここでは、学名は、そのうちで最も新しいと思われる Scilla mischtschenkoana を採用しておきます。
学名 Scilla mischtschenkoana「ミシュチェンコ・シラー」
和名 プシュキニア(古い学名から)
別名 スキラ・ミシュチェンコアナ(学名から)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ属(Scilla)
この種小名 mischtschenkoana は、外国語の固有名詞から来ています(ラテン語の語には「k」は使いませんから)。最後の ana は、その外国語の名詞をラテン語の形容詞に変える働きのものです。残りの mischtschenko はスラブ系の言語で、「ミシュチェンコ」と読むはずです。
misch「ミシュ」(「ミス」ではなく)
tschen「チェン」
ko「コ」
2006.03.27撮影
プシュキニアの花は、白地に青い線が入っていて、たいへん印象的です。
ツボミは、上の画像のように、一度に固まって出てきます。この段階で、すでに、白地に青い線が入っています。
英語では、この「線が入っている」というのを「ストライプ」を使って表現し、プシュキニアを Striped squill「ストライプの入ったスクウィル」 といいます。英語の squill は、学名の Scilla に当たります。
他の言い方には、White squill「白いスクウィル」というのもあります。これは、他の「スクウィル」が大体は青紫であることによります。この青紫の「スクウィル」は明日からご紹介します。
2021.02.26撮影
春咲きのシラー属(Scilla)の花では、プシュキニアがだいたい一番に咲きます。
スノードロップ(Galanthus nivalis)、スノークロッカス(Crocus chrysanthus)、そして、プシュキニア(Scilla mischtschenkoana)、という順番になります。
2021.03.03撮影
「みんなの趣味の園芸」には、プシュキニアについて以下のように書かれています。
> この類を長く育てるのは難しく、球根は年々小さくなり、いつの間にか消えてしまいます。写真は購入した大きな球根に咲いた花で、長年咲かせられるよう、少し工夫をしようと思います。
うちの場合は、消えてしまうことは今までなかったのですが、確かに、時々球根を足してはきました。きれいな花なので、なくさないようにしたいです。わたしは肥料は全く施しませんが、上の画像のように、冬場は落ち葉を敷き詰めているので、腐葉土になり肥料の役割を果たしてくれていると思います。
2022.02.26撮影
この画像では、太陽光線の角度のためでしょうか、やや赤紫がかって見えます。オシベは、まだ若く、花粉のついた葯(ヤク)が黄色く見えます。
2022.02.27撮影
上の画像では、ちょっと、花の各部分を識別しにくいのですが、この段階では、メシベが受粉していて膨らみかけています。
2021.03.20撮影
こちらの画像では、メシベがふくらんでいるのがはっきり見えます。花の中心にある黄緑色のものです。オシベからはもう葯(ヤク)が落ちてしまって、花糸(カシ)と呼ばれるオシベの「軸」だけが残り、それらが白っぽく見えます。
2022.04.06撮影
わたしの大好きな花ですが、わたしの庭では、今年はまだ咲いていません。