カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

冬のカタバミ〜帰国日記3

2024年02月09日 08時00分00秒 | カタバミ科
2024.01.05撮影(ハナカタバミ

帰国すると、実家の庭にあまりにも季節外れのものが咲いている。咲き続けているのか、早く咲いているのか。そういうことを、前回、書きました。


でも、それ、実家の庭だけじゃないなあ、ご近所の庭でも、また、道端でも、また、ブログ記事を書かれている他の方々の近辺でも(11月にアサガオ、というのも読ませていただきました)、あまりにも季節外れのものが咲いている。

そんな季節外れの花のうち、特にあきれかえるのが、カタバミ。あっちこっちに、咲きまくっているじゃないですか? あれ、どうなっているんですか? 四季咲き、というか、常時咲き? 通年咲き? なんですか。

と、ここまで毒づいておいて、はた、と気がつきました。ひょっとして、冬に咲くカタバミオキザリス)の種(しゅ)が存在するのでは?

それで、まず、今回の帰国・帰省中(12月〜1月)に花が咲いているのを見たオキザリス各種をリストにしてみました。

ハナカタバミ(Oxalis bowiei
フヨウカタバミ(Oxalis purpurea
・オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae
・カタバミ(Oxalis corniculata


2024.01.05撮影(ハナカタバミ

 
2023.12.29撮影(フヨウカタバミ)      2024.01.05撮影(フヨウカタバミ

 
2023.03.27撮影(オオキバナカタバミ    2024.01.04撮影(カタバミ

以上のカタバミ属(Oxalis)の花をひとつずつ見ていきたいと思います。


ハナカタバミ(Oxalis bowiei
これは、以前に、和名はないのではないか、と申しました・・・


・・・が、今回調べていて、Oxalis bowiei は、ハナカタバミ、と呼ばれているのが分かりました。花がやや大きめの、きれいなピンク色のカタバミです。「花が美しいカタバミ」ということで「花カタバミ」というのでしょう。

原産は、南半球にある南アフリカです。よく知られたサイトでは、花期はどうである、と書かれているでしょうか。

>> produced continuously for a considerable length of time during summer
(夏の間中、かなりな長い期間にわたり、続けて休みなく咲く)

>> 花期は7~10月

上記ふたつとも、花期は夏である、と述べています。

それに比べ、以下では、10月~翌5月となっています。このサイトは、わたしは、今まで、他の記事を見てかなり信用のできる内容を発信している、と思っていたのですが、これは、情報的に間違いではないでしょうか。

>> 開花期:10月~翌5月

原産地が南半球であることを勘定に入れずに、原産地の夏である「10月~翌5月」を、何らかの英語の文献からそのまま訳したものと思われます。「10月~翌5月」は、南半球では春から秋にかけて(つまり、夏)ですが、日本などの北半球では、そのように呼ばれる月は、秋から春にかけて(つまり、冬)、です。

以上から、ハナカタバミの花期は夏である、としていいと思います。じゃあ、なぜ今咲いているのよお〜〜


フヨウカタバミ(Oxalis purpurea
先に、フヨウカタバミの画像をふたつあげました。左側が白花、右側が赤花(ピンクの花で、赤い葉)です。見かけはずいぶん異なりますが、同一種だと思います。他に、この中間の、白い花で赤い軸のもあります。

>> 花期は4~7月だが、暖地においては冬季の11~3月に花を咲かせる場合もある

あ、ついに出てきた!! フヨウカタバミなら冬場にも咲くのか!

結局、フヨウカタバミと同じ現象がハナカタバミにも起こっているのか? でも、その現象が最近のことで、最近のことだから、文献に挙がっていないのか? と、想像だけ、というか、夢想だけしておきます。(あはは〜〜、科学的物証のないことを、ここまでよく言うよ!)


オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae
上に、黄色い花のカタバミの写真が2枚ありますが、そのうちの左側のが、「大きい、黄色い花の、カタバミ」であるオオキバナカタバミです。葉の形が独特です。次の画像をご覧ください。


2023.01.17撮影(オオキバナカタバミの葉

オオキバナカタバミの画像については、お詫びすることがあります。実際に咲いていたのですが(つまり、咲いていた、というのはウソではないのですが)、風が強く、まともな写真が撮れなかったのです。それで、ここでは、花も葉も、去年の画像で代用しました。

>> 花期は3~5月頃(『日本の帰化植物』126頁)

この、花期が春であるとされるオオキバナカタバミも、確かに咲いていました。でも、ハナカタバミやフヨウカタバミほど咲いているわけではありませんでした。ということは、オオキバナカタバミが冬に咲くのは、そう一般的ではない、ということでしょうか。そして、冬に咲いている場合には、「早く」咲いた、ということでしょうか。


カタバミ(Oxalis corniculata
上の画像5枚のうち、最後の小さい黄色い花のが、普通に言うカタバミです。これも属名と種名が同じで、混乱を引き起こします。このカタバミには、変種や品種がいくつかあるようですが、画像のものが、どれかは分かりません。

>> 4~10月

>> 花期は5〜9月

やはり、夏に開花するのですね。でも・・・この小さい黄色いカタバミは、わたしの子どもの時の印象では、いつでも咲いていたような・・・単に子どもがそう思っただけで、勘違いなのかもしれません。もし、わたしの印象が正しければ、カタバミは以前から「いつでも」咲く、ということになります。


2023.12.22撮影(ハナカタバミ)

今回は、季節外れに咲いている(とわたしが思った)植物のうち、カタバミ属にしぼって花期を調べてみました。ここにリンクしてあるサイト以外もかなり見たのですが、決定的には何も分からずじまいでした。

フヨウカタバミが暖地では冬場にも咲くことがある、というのは、分かりましたが、ハナカタバミは? 他のカタバミは?

それでは、歌をひとつ。

道行かば、行けども行けども カタバミの花
帰国のたびに また草抜きか

うん、いい歌である。特に、「か行」の繰り返しが苦しみを表していて、よろしい。

次に帰国・帰省するのは数ヶ月先。その時も、確実に、実家の庭はカタバミ属だらけよね、咲いているか咲いていないかに関わりなく。また、ほりほり、ほりほりほりほりするのか〜〜うう〜〜〜

帰国日記、つづく。

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カタバミ〜帰国日記10

2023年07月04日 08時00分00秒 | カタバミ科

2023.05.26撮影

何度も帰国・帰省して、実家に滞在し、両親と過ごす日々がわたしの人生の40%くらいになってきたからでしょうか、子ども時代のことがよく思い出されます。両親の持ち物を整理しているので、古いものが出てくるのも、その理由か、と思われます。

庭の管理もしています。今の庭は、両親が家を建て替えてからの庭なので、わたしの子ども時代の庭とは異なるのですが、それでも似たようなものが植えてあるので、やはり、わたしには懐かしい風景です。

わたしが子どものころは、5月ごろには、冒頭の画像でお見せしているカタバミが、塀沿いや垣根沿いにイヤというほど生えていました。植えたわけじゃない。「ムラサキ」カタバミ、とはいいますが、実質、ピンクです。

学名 Oxalis debilis
和名 ムラサキカタバミ(紫片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは、Wikipediaの記述によると、
・南アメリカ原産である
・江戸時代末期に観賞用として導入された
・以降、日本に広く帰化している
・現在、環境省により要注意外来生物に指定されている
ということです。

ですから、「観賞用」だったんですよね。それが、思ったよりはびこってしまった、それは、けしからん、ということです。


2023.05.26撮影

花は、実際、きれいですよ〜。ピンクの色合いが優しいし、白っぽい「喉元」に向かって、濃いめのピンクの線が集まっていくのもきれいです。おまけに、白さの向こうに、黄緑色が浮かび上がります。次々と大量に咲いてくれるのもうれしい。

子どものとき、草抜きのお手伝いのひとつとして、このムラサキカタバミを抜くのがあり、しぶしぶ行ったものです。と言うか、だいぶんサボりました。花を摘んだだけ。

こんなきれいな花を、なんで取り除かなくてはならないか、と母に聞いたんですが、あまりにも増えるから、ということでした。

うん、今環境省が言っていることと同じだ。大人は論理的なのであ〜る。

子どものときによく見たカタバミ、と言えば、もうひとつあります。もっと小さい黄色い花のカタバミ。以下の画像をご覧ください(画像中大きく写っている単子葉の葉は、このカタバミのものではありません)。


2023.03.18撮影

学名 Oxalis corniculate
和名 カタバミ(片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

生物学でカタバミ科(Oxalidaceae)の上の分類は、カタバミ目(Oxalidates)といいます。ですから、この植物は、
・日本語で、カタバミ目カタバミ科カタバミ属カタバミ
・学名で、Oxalidates Oxalidaceae Oxalis corniculate
ということになります。

このカタバミには、変種が結構あるようです。

以下の画像すべてが、
・このカタバミの変種なのか、
あるいは、
・近縁の別種なのか
は、わかりません。

こういう黄色くて小さい花のカタバミが、他所へ行かなくても一家の庭でこれだけ見つかった、ということでご紹介しておきます。すべて、実家の庭からです。特徴も付け加えておきましたが、それは飛ばして、画像だけでもご覧ください。

 
2023.05.26撮影               2023.03.15撮影
・花茎が立ち上がっている          ・花茎が立ち上がっている
・葉は優しい緑色              ・葉は赤茶色、背景がわずかに緑

2023.05.27撮影
・花茎がやや立ち上がっている?
・葉は、やや濃いめの緑で、縁が赤い

 
2023.05.27撮影               2023.05.26撮影(+ハンゲショウの葉と)
・葉は、やや濃いめの緑で、縁が赤い     ・葉は、やや赤みがかったで、縁が赤い
・花が山吹色、花の根元が濃い色       ・花が山吹色、花の根元が濃い色

2023.03.18撮影(+ニワゼキショウの葉と)
・葉は赤みがかり、葉の中央部分は緑がかる

 
2023.03.23撮影               2023.03.24撮影
・左右とも、葉に毛がある
・左右とも、葉は赤茶色〜赤紫がかり、背景の色がまだらに出る
・左の葉の背景は薄緑〜薄ピンク、右の葉の背景は濃い緑〜赤っぽいピンク
・直近に出ている葉でも、バリエーションがある(左の画像では緑の葉もある)

2023.03.24撮影
・葉に毛がある
・葉は、薔薇色のような薄いピンクであり、ほとんど緑は見られない
・葉は、やや肉厚

あくまで、わたしにとって、ですが、カタバミ(属)と言えば、次の2種だったんです。
・ムラサキカタバミ
・カタバミ(種)

それが、コロナによる入国制限のきつい間は帰国せず、規制が緩和された、去年(2022年)の10月に、3年ぶり以上で帰国してみると、道端の草の景色が変わっていた。実家の庭も変わっていた。カタバミが、ド派手な花になり変わっていた。

わたしの子ども時代の心象風景を壊さないでくれ〜〜〜

以下の3枚の画像は、すべて、フヨウカタバミ(Oxalis purpurea)なのか(一応、フヨウカタバミとしておきます)。変異性が高いだけなのか?

 
2023.01.19撮影Oxalis purpurea      2023.03.23撮影Oxalis purpurea
・白い花                  ・濃いピンク、やや赤紫、の花
・緑の葉                  ・紫がかった赤茶色の葉
・赤い軸                  ・赤い軸

2022.10.28撮影Oxalis purpurea
・白い花
・やや青っぽい緑の葉
・白っぽい軸

次のは、初め、わたしはフヨウカタバミだと取り違えたんですけど、フヨウカタバミでないことに気づきました。フヨウカタバミの花は、花軸が枝分かれせずに、軸の先にひとつずつ咲きますが、このカタバミは、花軸から花茎がさらに出て、複数の花をつけます。

正確かどうかはわかりませんが、このカタバミは、Oxalis bowiei(和名はないもよう)ではないか。(前にカタバミ属について書いたときの記事の中での間違いは、すでに訂正しておきました。)

2022.10.30撮影(Oxalis bowiei

次のは、また別のカタバミです。葉っぱが大変変わっています。

2023.03.15撮影(Oxalis pes-caprae
・葉に黒点がある
・葉がハート型に切れ込む

次のは、しばらく前から実家にあったようなんですが、いつからか記憶も記録もありません。不思議なカタバミだなあ、と見ていたということだけ覚えています。後で気づいたのは、このカタバミは4枚葉なんですね。カタバミは、一般に、3枚葉です。見ている時には、ちっとも気づかなかった。なんか、違う、と思っただけ。
  
2023.05.26撮影(Oxalis tetraphylla
・4枚葉
・葉の中心が赤っぽい

とにかく、今浦島の海外在住組は、帰国するたびに、ショックを受けることが多々ある。実は、ここ8ヶ月間で4回往復した中で、他にもびっくりしたことがあるのですが、それは別の記事で。


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カタバミ(オキザリス)、その2

2022年12月08日 06時20分12秒 | カタバミ科
2022.10.30撮影

【2023.7.01付で、一部ですが、訂正を書き加えておきます。
カタバミについて勉強していて気づいたことに基づいています。
誤った情報を流して、申し訳ございませんでした。】

数日して、食材などの買い物に出かけました。自転車で最寄りの大きいスーパーまで。秋晴れの気持ちのいい日でした。(秋に帰国したのは初めてだったので、特に印象に残った。)

途中、どんな花が咲いているかな、と、道の周りを見ながら行ったのですが(わたしは、大体、いつも植物を見ているんです)、びっくりしたのは、この赤紫色のフヨウカタバミ(Oxalis purpurea)、が至る所に咲いていたことです。【冒頭の画像のカタバミは、フヨウカタバミではなく、和名のない Oxalis bowiei のようです。でも、咲いていたのは、実際に、フヨウカタバミであったかもしれません。】

その咲き方を形容するのに「大量に」としか言いようがない。行けども、行けども、この華やかな花が咲いている。これも地球温暖化? と思いました。

すると、さらに、白い方のフヨウカタバミも見えてきました。これもいっぱい咲いている。

2022.11.15撮影

買い物を終えて実家まで帰ってきて、もう一度庭を見渡しました。それで気づいたのは、前にたくさんあった、葉っぱに特徴のある、朱色に近い花のカタバミ、モンカタバミ、が咲いていなかったことです。

このカタバミについては、次の記事でご紹介しました。

オレゴンのカタバミ:グランドカバー ⑶ その2

学名 Oxalis tetraphylla
英名 Four-leaf sorrel「四つ葉のカタバミ」
和名 モンカタバミ(紋片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

撮影日、不明

上記の画像から、撮影日不明の当時、そのモンカタバミ(Oxalis tetraphylla)が庭のどこに植わっていたか割り出し、そこ(スイレンの鉢の近く)を観察してみると、以下のようになっていました。

葉がほんのちょっぴり残っているだけ。夏から秋にかけて花が咲くはずなのに、花が全然ない。フヨウカタバミに圧倒されてしまっている。

実家の庭のモンカタバミは、このまま、消えてしまうのでしょうか。

2022.11.15撮影

帰省中、買い物は何度かしたのですが、その道すがら、もう1種類、カタバミを見ました。花茎が上にスッと伸びて、大きめの黄色い花が咲いているカタバミです。

普通に見る「雑草」のカタバミ(Oxalis corniculata)に比べ、あまりにも大きいので、びっくりしました。

以下の画像は、この、オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae)のものです。上方から撮影した画像なので、花茎が長いのが、分かりにくいかもしれませんが、放射状に伸びたものを見てくだされば、わかると思います。

学名 Oxalis pes-caprae
英名 Buttercup oxalis「キンポウゲカタバミ」
和名 オオキバナカタバミ(大黄花片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

オオキバナカタバミ
撮影者:Zachi Evenor
撮影日:2013.02.12
オリジナルからの改変、なし

実家の庭には、オオキバナカタバミはないなあ、と思ったのですが、花の咲いていない葉だけのカタバミが、この花の葉であることが判明しました。その画像をご覧ください。葉は、以下のように、すごく特徴的です。

オオキバナカタバミの葉の特徴
・三出複葉の小葉が大きく切れ込んだハート型
・葉が薄め
・茶紫色の点々がついている

この茶紫色の点々の正体について調べてみたのですが、分からずじまいでした。

2022.10.28撮影

買い物の行き帰り、白や赤紫のフヨウカタバミはたくさん見たんですが、オオキバナカタバミは数量的にはほんの少ししか咲いていませんでした。そして、わたしの4週間の滞在中、初期には見られましたが、後期にはもう見られませんでした。両親のうちの庭でも、オオキバナカタバミは葉だけでした。

時期的に、オオキバナカタバミの花は、秋には普通咲かないようです。

庭のカタバミについて、両親に聞いたんです、
・フヨウカタバミ(白いのと赤紫のと)が大量にあるが、植えたのか
・オオキバナカタバミも植えたのか
・モンカタバミが消えかけているけど、どうしたのか
と。

彼らによると、知らない、いつの間にか、そうなっていた。フヨウカタバミがはびこりすぎている、と。

それで、わたしは、フヨウカタバミのかなりを掘り上げ、一度植えると絶対に庭からなくならないオカトラノオ(Lysimachia clethroides)も引き抜き、引き抜けないのは掘りおこし、また、サルビア類の株の数もかなり減らし、庭を片付けました。(オカトラノオの根と、サルビア類の根とが、からみあっていたんですよお、泣)

そして、パンジー、ビオラ、シクラメン、プリムラ・ポリアンサ、などを植えて、カナダに帰ってきました。これらの花が、冬を通して咲いて、両親の庭を彩ってくれるといいな、と思います。


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カタバミ(オキザリス)、その1

2022年12月07日 08時21分37秒 | カタバミ科
2022.10.28撮影

【2023.7.01付で、一部ですが、訂正を書き加えておきます。
カタバミについて勉強していて気づいたことに基づいています。
誤った情報を流して、申し訳ございませんでした。】

わたしは、コロナ以来3年ぶりに、カナダから日本へ帰国しました。10月末から4週間ほど帰省。両親の家にたどり着いたのは、夜の8時半ごろだったか・・・

門を入ると、庭一面に白っぽいツンツンと飛び出しているものが・・・何??? あんな植物、この庭に前あったか? 

と思いましたが、とにかく、両親に会って顔を見せてあいさつして、荷物を下ろして、お風呂に入って、と心が急いだので、その白いツンツンが何かは確かめることなく、玄関に入りました。

翌日、ゆっくり目に起きて、久しぶりに和風の朝ごはんを食べて(父が用意してくれました)、両親と談笑してから、じゃ、庭でも見てくるか、と庭に出たのですが、そこで見たのは、上の画像のような植物。

これが昨晩見えた、白いツンツンか。それにしても、庭中、あちこちに。と言うか、あちらにも、こちらにも。敷き詰められたようになっているところも。

この時点で、え? 何? 朝顔の一種? と、花びらがロート状でないのを見過ごして、反応してしまいました。そして、葉っぱを見て、さらに混乱。これ、何?

庭にあるはずのない植物が、わたしの知らない間に蔓延していたので、植物の特徴を普通に足していけばわかるはずのことが、わからなかったのです。

でも、花のつぼんでいたのが開いてきて、こんがらがっていたわたしも、わかってきました。カタバミか〜〜 

でも、なんでカタバミがこんなところに大量に??? だれかが植えたの? 庭を作っている母が足を骨折して長らく療養したので、新たに植物を植えるはずがないが・・・

2022.10.30撮影

では、このカタバミはなんでしょう、と調べてみると、フヨウカタバミでした。

学名 Oxalis purpurea
英名 Purple woodsorel
和名 フヨウカタバミ(芙蓉片喰)
別名 アオイカタバミ(葵片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

フヨウカタバミ

学名で purpurea というのは、「紫の」という意味。ちょっと待って、白い花で「紫の」ってことはないだろ、と思っていると、ありました、ありました、同じく庭に、「赤紫っぽい」のも。これまた、白いのと同様、あちらにも、こちらにも。群生、群生、また、群生。

上のWikipediaの記事によると、
> 花や葉には変異性が大きい
> 紫紅色、ピンク、白、藤色、紫色、黄色など多彩な花の色がある
> 葉は通常緑色だが、これも灰色がかった色や紫色などの変異がある
ということです。

この情報がなかったら、わたしは、白いのと赤紫のとは、別の種だと思ったことでしょう。花の色だけでなく、葉っぱの色も違うし、全体の姿も同じようには見えないし。【訂正:以下の画像のカタバミは、フヨウカタバミの赤花ではなく、Oxalis bowiei と呼ばれるカタバミのようです。Oxalis bowiei には、和名はないもよう。】

2022.10.30撮影

上の画像の花色は、英語では purple と形容できます。英語の purple は日本語には普通「紫」と訳されますが、実際は、「赤紫」のことです。ラテン語である学名の purpurea の「紫」が、「青寄り」なのか「赤寄り」なのか、は、わたしは知りません。

フヨウカタバミが purpurea を学名としているのは、赤紫の花色をこの種の基本色と見なしているのでしょうか。【訂正:上の画像のカタバミは、フヨウカタバミの赤花ではないが、フヨウカタバミには、実際に赤花があるので、この議論はまだ成り立つ、と言えます。】

わたしは、子どもの時、ムラサキカタバミ(Oxalis debilis subsp. corymbosa)に親しんで大きくなりました。子ども時代の記憶の情景に現れるぐらいです。(こちらが、和名では「紫」カタバミ、と呼ばれるんですね。)

ムラサキカタバミ
撮影者:Σ64
撮影日:2006.07.08

ムラサキカタバミならやや小型なので雑草で、フヨウカタバミなら大型で鑑賞価値に耐えられる、ということでしょうか。それとも、フヨウカタバミも雑草なんですか。わたしは日本に住んでいないので知らない。

わたしは、フヨウカタバミが見慣れないからか、珍しくて、きれいだと思いましたが、母は、あり過ぎてうんざりしているようでした。実は、わたしも、フヨウカタバミの庭を覆う量には、圧倒されましたが。

わたしは普段かなりの枚数の花の写真を撮るのですが、この帰省中、あまりそういう時間がありませんでした。それで、お見せするのにいい写真があまりないのです。

その代わり、と言ってはなんですが、フヨウカタバミのきれいな画像が、「ひげ爺さん」の記事で見ることができますので、よろしければ訪問なさってください。リンクの許可は取ってあります。

「フヨウカタバミ(芙蓉片喰)」 カタバミ科


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オレゴンのカタバミ(グランドカバー)2

2022年10月26日 04時41分05秒 | カタバミ科
撮影日、不明

日陰を好む「オレゴンのカタバミ」Oxalis oregana は、直射日光が当たると、小葉を下に向けてたたみます。

冒頭のカタバミは、モンカタバミ(紋片喰 Oxalis tetraphylla)です。このカタバミも、「オレゴンのカタバミ」同様、直射日光下では、小葉をたたむようです。ただ、モンカタバミは元々日向を好むようで、そのため、葉のたたまれかたがこの程度なのかもしれません。

学名 Oxalis tetraphylla
和名 モンカタバミ(紋片喰)
英名 Four-leaf sorrel「四つ葉のカタバミ」
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis)

モンカタバミは変わったカタバミで、普通、カタバミは小葉が3枚あるのに対し、これは、4枚あります。Oxalis tetraphylla の種小名 tetraphylla は、tetra「4」+ phylla「葉」です。以下の拡大画像でお確かめください。

撮影日、不明

カタバミは、どの種もいいグランドカバーになりますが、踏みつけて歩くところではなく、花壇の端の方とか植え付けの下とかが適しています。

また、モンカタバミのように派手な花の場合は、花壇の一品として優先されることもあるでしょう。

「オレゴンのカタバミ」に戻りますと、これも花がたいへんかわいらしいのですが、見過ごされがちで、葉の方が珍重されます。でも、花をもう一度ご覧ください。

2021.04.29撮影

花の径は2センチほど。花びら、5枚。花弁の先がややいびつなところが、かえって可憐です。赤紫の筋もきれい。花びらの根本にある黄色い印も、微笑ましい。中央から10本外に向かって飛び出ているものは、オシベ。風車(かざぐるま)みたいで、かわゆいわあ。

次の画像では、「オレゴンのカタバミ」が植え込みの一部として使われているのをご覧ください。画像奥に見える葉は、ブリティッシュ・コロンビア州ではどこででも見られるシャクナゲ(石楠花 Rhododendron)。花の咲いているのは、ヤブイチゲ(Anemone nemorosa)の園芸種「ロビンソニアーナ」Anemone nemorosa ‘Robinsoniana’ 。画像の真ん中に、「オレゴンのカタバミ」が見えます。このようにびっしりと土地を覆ってしまいます。

Anemone nemorosa ‘Robinsoniana’ (Wood Anemone)(英文+画像)

2013.05.07撮影

上の画像と下の画像は、ブリティッシュ・コロンビア大学の付属植物園で撮影しました。

母がひとりで、父は日本でお留守番で、こちらへ遊びに来てくれて、このいい天気の日に、半日植物園で遊んできました。

次の画像でも、左奥にシャクナゲが見えます。ピンクの花も見えます。

「オレゴンのカタバミ」に混じって咲くのは、(白くても「ブルー」と呼ばれる)ブルーベル(Hyacinthoides)なんですが、これは、イングリッシュ(non-scripta)か、スパニッシュ(hispanica)か、、、見かけから、多分、両者の交雑種だと思います。イングリッシュは普通濃い青紫で、花軸がもっと垂れている。こいつら、自由恋愛するんですよ、スパニッシュの方がドミナントで。それで、イギリスでは、イングリッシュの純粋種がどんどんなくなりつつあります。

2013.05.07撮影

うちの「オレゴンのカタバミ」は、へへへ、お隣からやってきました。お隣のおばさんがくれたんでも、わたしが取ったんでもありませんよ。やってくればいいのになあ、と思っていたら、こちらに侵入してくれました。ありがとう〜〜

それ以来、移植して、増やしています。ほんとに丈夫な植物です。にま、にま。

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オレゴンのカタバミ(グランドカバー)1

2022年10月25日 06時30分39秒 | カタバミ科
2021.04.29撮影

グランドカバーになる植物の紹介を続けています。すでに、セイヨウジュウニヒトエ(Ranunculus repens)とクルマバソウ(Galium odoratum)をご紹介しました。

今日は、カタバミ属の植物のうち、ブリティッシュ・コロンビア州で普通に見られる種「オレゴンのカタバミ」(Oxalis oregana)を。

その前に、冒頭の画像には少なくとも5種類の植物の葉が写っていますので、そこを整理しておきます。

・ギザギザ・トゲトゲの葉:「オレゴンのヒイラギナンテン」Mahonia aquifolium
・3枚小葉の葉(+花):「オレゴンのカタバミ」Oxalis oregana
・細くてピンとしている葉:ヒメツルニチニチソウ Vinca minor
・白色の斑点入りの葉:ヒメムラサキの1種 Pulmonaria longifolia
・切れ込みのある葉:ハイキンポウゲ Ranunculus repens

このうち、3メートルにもなる「オレゴンのヒイラギナンテン」をのぞき、すべてグランドカバーになります。ヒメツルニチニチソウについては、「オレゴンのカタバミ」の記事に続いて書きます。ヒメムラサキについては、いつか書きますが、ハイキンポウゲについては、すでに書きました。

ハイキンポウゲは、優秀なグランドカバーなんですが、西洋社会では嫌われ者で、芝生に出てくると、仇のようにほじくり返されるか、除草剤をぶっかけられます。

ハイキンポウゲ、ハイ?

2022.08.20撮影(「オレゴンのヒイラギナンテン」)

2022.09.10撮影(ヒメツルニチニチソウ)

2021.03.20撮影(ヒメムラサキの1種)

2021.06.21撮影(ハイキンポウゲ)

グランドカバー(土覆い)は、用途により、大体、次のように種類分けができます。

A 草丈が低いか、低く刈れ、かつ、上を歩いてもほとんど傷まない
・・・人間が活動するところに用いる(典型的には、芝生)

B 草丈が低いが、歩くとやや傷む
・・・比較的歩かないところに用いる

C 草丈が低いか、ある程度あり、歩くとかなり傷む
・・・歩かないところに用いる

D 草丈がその上を歩ける高さではない
・・・植え込みや花壇の一部とする

今日ご紹介のカタバミ属の植物は、Cになります。この種(Oxalis oregana)に限らず、カタバミ属の植物(Oxalis)はみんなグランドカバーになります。

学名 Oxalis oregana
和名 ないもよう
英名 Oregon oxalis「オレゴンのカタバミ」
別英名 Redwood sorrel「赤い木の酸い葉(スイバ)」
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis)

次のWikipediaの日本語版の「カタバミ属」についての記事には、この種が挙がっていないので、和名がない可能性が高いと思います。

カタバミ属

それでは、以下の画像で、三出複葉(さんしゅつふくよう)の3枚の小葉(しょうよう)の形と、そのそれぞれの小葉の真ん中に白っぽい模様が入るのを、再確認ください。

三出複葉

2022.06.24撮影

学名の Oxalis oregana の oregana は香草のオレガノ(oregano)には関係なくて、これは、アメリカのオレゴン州の Oregon から来ています。カナダのブリティッシュ・コロンビア州南部から、国境を北に越えて、アメリカのワシントン州、さらに南へ、オレゴン州、カリフォルニア州、にこのカタバミは分布します。英名の Oregon oxalis は学名の英語版です。と言うか、英語の名称が学名になったのでしょう。

別英名の Redwood sorrel の sorrel はスイバ(酸い葉 Rumex acetosa)のことです。 葉っぱを食べるとスイバのように酸っぱい、ということです。sorrel(スイバ)とは呼ばれても、sorrel(スイバ)ではありません。

スイバ

Redwood sorrel の redwoodは、直訳は「赤い木」ですが、それは、セコイア(Sequoia sempervirens)のことです。セコイアは、木肌が赤いので、「赤い木」と呼ばれます。オレゴン州を含む、アメリカ西海岸に自生します。大木に成長し、カリフォルニア州のレッドウッド国立公園の「名物」です。

セコイア

2022.06.24撮影

「オレゴンのカタバミ」の葉は、自然光量が低くても光合成を行います。よって、大木の下、日陰の庭、に最適。直射日光がなんらかの理由で当たると、葉は、下に傘をたたみ込んだようになります。陰ると、葉は再び開きます。目で観察することができるそうです。

Oxalis oregana(英文+画像、ただし、葉のたたまれたところの画像はなし)

上記の英語版Wikipediaには、ピンクっぽい花の画像しか出ていませんが、実際は、白っぽい花もたくさんあります。

明日に続きます。

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