カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

カナダガン

2024年05月24日 08時00分00秒 | 
2020.09.30撮影

久しぶりに、植物ではないことを書いてみます。鳥についても書かないと、わたしのブログタイトル「カラスといちごとクロッカスと」を返上しなくてはならなくなります。

さて、コロナがまだ吹き荒れていたころ、いつものカフェでブランチをテイクアウトして、冒頭画像の公園へやってきました。

人間は、他の人間に近寄らないようにしているのに、この、大型の鳥、カナダガン(Branta canadensis)たちは、二密(少なくとも密閉空間ではないので、三密ではなく二密)などお構いなく、密集、密接で、池の端で休憩していました。


画像に1羽しか写っていないのは、離れている1羽を選び出して写したからです。集団も撮影しておいた方が良かった、今から考えると。

学名 Branta canadensis
英名 Canada goose
和名 カナダガン(加奈陀雁)
カモ科(Anatidae)コクガン属(Branta
原産 北米大陸(中米を除く)

冒頭の画像は、次の画像から切り取りました。

2020.09.30撮影

カナダガンは、2〜7亜種に分けられます。画像のカナダガンが、どの亜種であるかは、わかりません、候補は7亜種に分けた場合の2亜種ほど挙げられますが。

カナダガンの大きさは、亜種によってずいぶん異なります。羽の色は、それほど変わらず、やや異なるだけ。でも、カナダガンの亜種すべてに紛れもなく共通していることがあります。それは、白い「アゴひも」。そして、この白い「アゴひも」が、カナダガンを、他のカモ類(ガン類)から際立たせる特徴となります。

この「アゴひも」は、人間の顔で言えば、こめかみから、ほお、あご、あごの下、にかけてアゴをつったように出ています。上掲画像でお確かめください。わたしは、個人的に、「アゴひも」ではなく「アゴおび」と言った方がいいと思いますけど・・・

カナダガンの他の一般的な特徴は、
・白い「アゴひも」
・「アゴひも」の部分以外の首と頭は、
・くちばしも、黒
・体の上側が、薄茶色〜茶色で、鱗のように見える
・体の下側が、白
・脚は、水かきも含め、黒(真っ黒ではなく、煤けた色)

2020.09.30撮影

バンクーバーには、公園がたくさんあります。小さいのは住宅地の中にある1軒用の敷地ほどのから、大きいのはダウンタウンに隣接する400ヘクタール以上のスタンレー公園(Stanley Park)まで、全部で250ほど。そんな公園の、中規模以上の公園には、池がつきものです。そして、池には、各種の水鳥たちが集まります。

わたしがバンクーバーに移住して初めて行った公園は、スタンレー公園です。わたしは、そこで、カナダガンなるものを初めて見ました。半端ない数のカナダガンが、車が大量に走る6車線(?)から歩道をはさんだだけの芝生の上で、悠々と構えているんです。あれには、え? 町の中にこんなにたくさん大型の鳥がいるの? そんなこと、あり得るの? と思いました。

実際、現在、多くの北米の都市で、カナダガンが増えすぎて困っているんですよね。草を食べるんですが、公園のことですから、芝生を食べるんです。そして、多数のカナダガンがいるので、芝生は、とことん食われて傷んでしまう。また、フン害にも憤慨する人がいます(げ、言ってしまった)。

カナダガンは、集団で移動するときには、「V字型」になって飛行します。これは、自転車のロードレースでエースをアシストする人々がトレインを作る理屈と同じだろう、と思っていたのですが、基本は同じでも、全く同じであるというわけではないみたい。ツバサと自転車では空気の流れ方が違うので。

わたしの説明ではなく、次をご覧ください。
先頭を飛んでいる鳥は、風を一身に切り、力を尽くして、グループを引っぱって飛んでいるのですが、いっしょに飛んでいる鳥たちの長なのではありません。

先頭の個体は先頭でしばらく飛ぶと後ろへ退き、2番手で飛んでいた鳥の1羽が次に先頭を飛びます。このようにして、鳥たちは、力分けして民主的に飛んでいるわけであります。弱い個体は多分早めに後ろへ退き、強い個体は多分長めに働くのだと思います。

そして、カナダガンたちは、鳴きながら飛ぶことが多いですが、あれは、先頭を飛ぶ個体に向かって、やれ〜〜、がんばれ〜〜、と言っているのだそうですよ。

ところで、カナダガンは集団で飛ぶので、飛んでいる飛行機と衝突することがあります。そして、衝突しただけでもお気の毒な鳥がエンジンに吸い込まれると、飛行機が事故を起こすことになります。そのうちの有名な例が、アメリカの旅客機の、ハドソン川上への水上不時着です。

あれをわたしは車のラジオのニュースで聞いたんですね。ハドソン川に不時着ってことはないだろ、ニューヨーク市のマンハッタン区だよ。まさか、と、はなから信じませんでした。後で、テレビで映像を見て、びっくり。


2020.09.30撮影

この画像に出ているカナダガンの姿勢は、体の脂を羽に塗っているんだと思うんですが、よくわかりません。

眠るときには、
・天敵の少ない水上で(安全な場合は、地上でも)
・水に浮かんで(地上では、普通、座り込んで)
・首を背中の方へ曲げて
・普通は、クチバシを羽の中に突っこんで
・普通は、集団で
寝ます。

カナダガンは、また、眠るとき、脳の半分だけが眠り、後の半分は覚醒しています。これを、半球睡眠といいます。そして、目は、片一方は閉じ、もう片一方はやや開けて眠ります。脳全体が眠っているわけではないので、物音や気配を感じたら、すぐに起きてしまいます。よって、あんなにたくさんいるのに、アップの写真を撮ろうとしても、近づけない。

長距離を飛ぶ場合は、この調子で、眠りながら飛びます。バンクーバーにいるカナダガンは、季節の渡りをしません。1年中ここに住んでいます。ですから、飛びながら眠る必要もありません。まあ、ゆっくり池でくつろいでください。


わたしも半球睡眠したい。それでどれだけしたいことができるようになるだろう。


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ツバメ〜帰国日記1

2023年06月25日 08時00分00秒 | 
2023.06.06撮影

帰国・帰省して、そして、バンクーバーに帰宅してから、ちょっと日にちが経ったのですが、帰国中の写真から、何種類か画像をご紹介したいと思います。

実家の庭にもっと花を植えようと思って、ある日、植物を買いに出かけたんです、自転車に乗って(わたしは、実家のある町では車を運転したことがありません)。交差点のところで自転車を降りて、ふと、道端の家の軒を見ると、ツバメの子どもたちのいる巣がありました。

ああ、ツバメなんか見るのは何年ぶりだ、6月に帰国することは滅多にないからなあ、と思ったんです。

わたしが子どものころは、ツバメの季節にはツバメなんかどこにでもいて、人家や商家の軒先に飛び込んだり、そこから飛び出たり、していたものですが、今回の帰国では、この画像のツバメの子どもたちが、ツバメを見るのでは初めてでした。

でも、この時は、植物をたくさん買った場合を想定して、少しでも身軽でいようとカメラを持たずに出かけていたので、ツバメの子どもたちの写真は撮れませんでした。

それから数日後、まだ天気がもっていたので、それならもう一度植物を買いに行こう、と思い、今度はカメラを持って出かけました。まさかもう巣立ちしている? と思いながら。

例の交差点のところで自転車を降り、その人家の側まで近づくと、いました!

自転車を歩道の脇に寄せて止め(道ゆく人に不審者に思われるかな、とちらと心配しながら)、カメラを引っ張り出し、撮れるようにセッティングをし、画像の割り振りを決め、さて、シャッターを押そう、と思ったら、

そこにちょうど親鳥の1羽が帰ってきて、子どもたちが一斉に口を開けた

というが、この冒頭の画像です。

親鳥は写りこんでいませんが、画像の左手、空中で、巣に向かって「ブレーキ」をかけつつあるところです。子どもたちは、親の飛んでくるのを察して、すでに口を開けています。

2023.06.06撮影

親鳥が巣にたどり着いたところも撮影したかったのですが、ズームを使って撮影中で、もう一度続けてシャッターが切れるまでカメラが「回復」していず、それはかなわず。

結局、わたしの視点からでは、親鳥が羽を広げて巣をおおいかくすようになったので、どの子どもがどの程度食べられたのかは分かりませんでした。

シャッターが切れるようになってから撮った最初の画像が、直前の画像です。つまり、これは、ごはんを運んできた親鳥が巣を去った少し後です。

なんかね、向かって右側の子が、押しつけられてかわいそうな気がする。一番左の子が、一番スペースを陣取っているみたい。他の3羽より、毛並みではなく、羽並みが、やや、いいかな?

2023.06.06撮影

早く買い物を済ませて早くうちへ帰りたかったので、ツバメ観察は早々に切り上げて、植物屋さんへと向かいました。なぜ早くうちに帰りたかったかって? 見たい時代劇があったからですよ〜〜日本にいるときにしか見られないから〜〜

学名 Hirundo rustica
英名 Barn swallow「納屋のツバメ」
和名 ツバメ
ツバメ科(Hirundinidae)ツバメ属(Hirundo

ところで、バンクーバーで普通に見かけるツバメと、日本に来るツバメが同じ種だ、ということを、学名を調べて初めて知りました。へ〜〜。別種だと決めてかかっていたことについて、反省。ただし、種の下の分類である亜種のレベルで異なる可能性があります。

今ごろは、あのツバメの子どもたちは、巣立ったことでしょうねえ。

それにしても、巣は、親鳥たちが唾液で泥を固めて、ひとつずつ積み上げていったのよね。草を使って補強してある(できあがった巣では、ワラのように見える)。

よかったね、泥を使って巣を作っておいて。そうでないと、人間の食用にかっぱらわれたりするのよ。

つばめの巣


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ハチドリ、フサフジウツギで休憩中

2022年08月03日 07時29分46秒 | 
2021.08.18撮影

画像の真ん中にちょこっととまっている鳥は、ハチドリ(科名 Trochilidae)です。ハチのような羽音を立てる鳥? ハチのようにミツを吸う鳥? 魅力的な鳥なんですが、日本には生息しません。

英名は Hummingbird で、「hum する=ブンブン、ウンウン音を立てる、鳥」という意味です。この humming というのは、歌う時の「ハミング」と同じです。


この鳥は、どの種も、小さくて、せわしなく飛び回るので、画像にとらえるのは、そう簡単ではありません。それで、とまっているところをねらうのですが、長くとまっていることはなく、あっという間に飛び去ってしまいます。

それで、鳥がミツに近いが隠れながらとまれる場所のある木、例えば、画像に出ているような木、の根本で、気温が下がってきて鳥の活動速度の落ちる夕方に、こちらも隠れて待ち伏せをしておいて、撮影します。

写っているのは、Anna's hummingbird(Calypte anna)のメスだと思われます(オスは、首元が赤い)が、確証はありません。


画像のハチドリがとまっている植物は、フサフジウツギ(房藤空木 Buddleja davidii)で、うちにあるこの木は、3メートルもある「大木」です。花は枝の伸びた先に咲くので画像には写っていません。

英名は、Butterfly bush「チョウチョウの茂み」という意味で、実際、チョウチョウが群がり、ミツを吸います。日本では、学名 Buddleja davidii から来た「ブッドレア」が流通名となっています。

ハチドリは代謝が激しく、常にエネルギー補給をしています。長いクチバシを花の中に差しこみ、ミツを吸います。

フサフジウツギのように花が近接して咲いている花(次の画像)は、お食事どころとして最適なんでしょう。それに、隠れて休憩できる葉と枝(冒頭の画像)があります。(なお、上の画像の個体と下の画像の個体は、異なる個体です。)

2021.07.10撮影

ハチドリは、ミツを吸った花は覚えている、というカナダのレスブリッジ大学やイギリスのセント・アンドリューズ大学の研究があります。ミツの入っていないお花にクチバシを突っ込みたくありませんよね、それだけでお腹が減ってきます。

英文ですが、よろしければ、どうぞ。



ハチドリはナワバリ意識が強く、他のハチドリが領「空」侵入すると、うるさいぐらいの大げんかをして追い出します。花の数、ミツの量、が死活問題ですから、当然でしょう。わたしの庭には、たいてい花が咲いているので、このハチドリが住処の一部にしてくれているようです。

明日は、再び、フサフジウツギについて。


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