カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

必殺、コバエ(+テントウムシ)

2023年10月13日 08時00分00秒 | 昆虫、その他

2023.07.10撮影
ディル(Anethum graveolens)の葉の軸にとまるテントウムシ

今日はコバエについて書くんですが、コバエの写真など、ピンボケを数枚しか持っていないので、代わりに、もっと目に優しいテントウムシ(Coccinellidae)の画像を掲載したいと思います。

同定は、間違っている可能性はありますが、今日の画像のテントウムシは、北米に生息するジュウサンホシテントウ(Hippodamia tredecimpunctata)の1亜種だと思います。オレンジ色〜赤の鞘翅(しょうし、さやばね)をしています。名前の通り、13個の星がついていて、体形がやや長めです。



2023.05.14撮影
サナギからかえってほどない(?)テントウムシ
ハイキンポウゲ(Ranunculus repens)の葉の上にとまる

この夏は、バンクーバーでは気温が低かったからでしょう、わたしのうちではコバエが発生することはありませんでした。生ゴミもちゃんと外へ出すようにしていたのも良かったと思います。たとえ生ゴミが2日、3日、家の中に残っていても、とにかく気温・室温が低い、まずは腐りません。

コバエというのは、特定の種(しゅ)を指しているのではなく、小さいハエをまとめて呼ぶ語だそうです。

「湧いてくる」という表現を使いますが、無から出てくるわけではなく、やはり、元をただせば、どこかから入ってくるそうです。あとは、適切な温度(20℃〜30℃)さえあれば、大量に発生してくれます。


2023.04.21撮影
カタクリの一種「フォーンリリー」(Erythronium tuolumnense)の葉の縁にとまる
テントウムシ

恥ずかしながら、わたしは、わたしのブログで、何度も、何度も、切々と、足を怪我して大変だった、と訴えてきましたが、コバエのこともそうなんですよ。わたしが自由に動けないのをいいことに、こやつめら(失礼な言い方ですね、ごめんなさい)が集まってきたんです、外に出すのが滞っていた生ゴミに。

最初は、コンピュータのモニタの前とかを飛んでいた(わたしがそこにいたから見た)んですが、わたしは、この程度なら、まあいいか、なんて呑気に構えていました。ところが、これは予想しておくべきだったんですが、あっという間に、コーヒーの殻に群がり始めました。

こりゃ、いかん、と思っても、家の中でさえまともに歩けないのに、生ゴミを持ち出しに、さらなる怪我の可能性を高めてまで、外へ行くはずがない。つれあいには頼んだが、こういうことって、男性一般が無頓着なのか、うちのが特別無頓着なのか・・・


2023.04.21撮影
カタクリの一種「フォーンリリー」(Erythronium tuolumnense)の葉の縁にとまる
テントウムシ、「甲羅」の下縁が、ややそりかえっているのが見える

1年ほど前の記事で、コバエについて書きました。退治の仕方は、掃除機で、止まっているところをやや上から吸い込む、というのが効果的である、と分かったのですが、その時に、コバエに学習能力があるかどうか、も考えてみました。なぜなら、何度掃除機という捕獲機をかけても、生き残っていくやつらがいるので。



2012.06.18撮影
セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)の花や葉の軸にとまるテントウムシ

ところが、このところ家の中をうろついているコバエさんたちは、なんとも飛ぶのがひょろひょろ、ふらふら、としている。手でたたけるんですよ。あの、敏捷なコバエさんが。

外の気温も低いが、現在は、室温を、暖かくはないが寒くない、という程度の20℃程度に設定してあるので、コバエさんたちは元気が湧かないのだと思います。

それで、両手を近くに構えてから(「近くに構える」というのが、成功の秘訣)パチンとやると、80%くらいの確率で、わたしは殺生をすることになる。構えずに離れたところからパチンとやると、空気が動くのを察知するためでしょう、ぐいっと逃げられます。


2012.06.18撮影
セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)の花の下にとまるテントウムシ
フラッシュを使っての撮影(直前の画像とお比べください)

それと、偶然、見つけたことが。電気をつけると、お手洗いの鏡の表面にいっぱい並んでいる。去年のわたしの「研究」では、コバエさんたちは、キャビネットなどの角に止まるのが好きだったはず。

なんで、表面に? それも、鏡に? と考えたのですが、そこから先に空間がないことが理解できていないみたいなんです。鏡まで飛んでいって、鏡にぶち当たって、そのままそこに止まることになる、みたい・・・

それで、このコバエさんたちを、掃除機で吸い取るわけです。鏡からわずかに離して、コバエさんのやや上にかざして、飛び立ったところを吸い込む。鏡のおまけ効果もあるみたい。コバエさんたちには、鏡が像を反射するために、何かがどこから近づいてくるか、が分かりにくいようです。

でも、ああ、す〜〜っとしたわ、、、とならないところが、コバエさんたちの、吸っても吸っても帰ってくる、というど根性でありまして、この戦いはいつまで続くのでしょうか。気温が下がるまでであります。

別に殺生はしたくないんですけどね、不衛生だと思うから、仕方ないっか。確かに「駆除」して、喜びは感じません。

それに比して、植物につくアブラムシ(Aphidoidea)を食べてくれるテントウムシ(Coccinellidae)なら、益虫というわけ(害虫に分類されるテントウムシもいるが)。それに、テントウムシはかっわいいのであ〜る。

コバエとはすごい差別ですね。

1年以上前の記事に、テントウムシの幼虫の画像を載せました。焦点の合っていない写真ですが、かわいい写真なので、よろしければご覧ください。


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オオスカシバ〜帰国日記9

2023年07月03日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Zinnia elegans(ヒャクニチソウ)
撮影者:Arthur Murray Harmsworth
撮影日:2016
オリジナルからの改変、なし

ある日、また、実家の庭で庭仕事をしていました。すると、「ぶ〜〜ん」と、かなり大きな羽音が聞こえてきました。

ちょっと興奮して立ち上がり、音の出所を、ざざざざっと見てみると、あ、いた、あそこ、チェリーセージ(Salvia microphylla)の茂み、こんな近くに!

ホバリングしている飛行生物が、ミツを採食中。

その飛行生物の姿は、一見、ハチドリ(蜂鳥:Trochilidae)。

ハチドリなら、例えば、ノドアカハチドリ(Archilochus colubris)は、全長7〜8㎝で、翼の差し渡しは8〜11㎝、体重2〜6g(と、英語版Wikipediaに書いてある)。

Ruby-throated hummingbird (Archilochus colubris)(英文+画像+分布図+音声)

学名 Archilochus colubris
英名 Ruby-throated hummingbird
和名 ノドアカハチドリ(喉赤蜂鳥)
ハチドリ科(Trochilidae)ノドアカハチドリ属(Archilochus

以下が、ホバリングしながら採食しているノドアカハチドリです。これは、メスなので、「喉赤」という名称でも、喉が赤くありません。

Archilochus colubris(ノドアカハチドリ♀)
Monarda didyma(タイマツバナ)
撮影者:Joe Schneid
撮影日:2006.06.30
オリジナルからの改変、なし

けど、ハチドリは日本にはいない(わ〜〜い、わ〜〜い、わたしのバンクーバーの庭には出没するもん! 今日も来ていたもん、フサフジウツギに)から、あのホバリングしているのはハチドリであるわけはない。

ハチドリ、フサフジウツギで休憩中

それなら、これは、例の大型のガ、スズメガ(Sphingidae)ということになる。

さて、チェリーセージでお食事中のスズメガを見ながら、あんなに空中の1点に浮かんでいられるんだ、すいごいね、それに、ガと言っても、大きいなあ、羽が開いた状態で、7センチはあるよね、と思っていたところ、

そのスズメガが、ホバリングしているまま、角度を変えたんです。

それで見えたのが、透けた羽(翅)。これ、オオスカシバ(Cephonodes hylas)なのか!!! 初めて見る! とさらに興奮しました。

こんなに透けた羽だから、ハチ(蜂)だと思われたりするのよね。

学名 Cephonodes hylas
英名 Coffee bee hawkmoth
和名 オオスカシバ(大透翅)
スズメガ科(Sphingidae)オオスカシバ属(Cephonodes

Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Physostegia virginiana(ハナトラノオ)
撮影者:Rodrigo.Argenton
撮影日:2017.09.09
オリジナルからの改変、なし

で、その透けた羽を見て、いたく感動したのですが、その後、調べれば調べるほど、初めて見た、とは思えないんですね。

なぜなら、わたしが子どものとき、実家にはクチナシ(Gardenia jasminoides)の木があったからです。今は、両親が家を建て替えたので、その木自体はありませんが。

そのクチナシは八重咲きのクチナシで、門を入ったところに植えてあり、季節には毎年いい匂いがただよいました。子ども心に、クチナシの花が咲くのを心待ちにしたものです。

2023.05.26撮影

小学校低学年のわたしは、ある夏、そのクチナシの周りを、胴体の太い大きなガが飛び交うのを見たのです。ひょっとしたら、小学校入学前かも。

そんな大きなガを見たことがなかったのでびっくりして、母親に報告したのを覚えています。

それから、わたしは、そんなガがやってくるのを毎日楽しみにしていました。

しばらくして、細めの(アゲハの青虫みたいにコロコロしていない)イモムシが何匹も出現した。と同時に、葉っぱの量が減ってきた。

それも母親に報告すると・・・おかあさん、イモムシを「処分」しちゃったんです。やめてくれるよう懇願したのに。

それで、わたしは、それ以降、報告するのをやめたんですが、いやあ、もう、ガの幼虫が発生している、というのが、知れちゃいましたからね。幼虫が出てくるかどうか見張られているわけですよ。

クチナシの葉をエサにするのは、オオスカシバの幼虫ですから、やってきている成虫のガは、オオスカシバであったはずなんです。ということは、わたしは、子どものときに、羽の透けたスズメガを見たことがあるはずなんです、何度も、何匹も。

ところが、その見たと思っていたガは、わたしの記憶では、薄茶色の鱗粉で覆われていた。羽は全然透けていなかった。

ですから、今回初めて見た、というのは、記憶違い。

どゆこと?

なぜそんな記憶違いが??? トラウマだったのかも・・・

2022.10.28撮影

実家の庭でオオスカシバがチェリーセージのミツを吸っているところは、カメラが手元になかったので、写真に撮れていません。でも、それに似た画像を見つけましたので、ご覧ください。

オオスカシバ

ところで、先のクチナシの画像ですが、それは、わたしが今回の帰省のごく初期に、懐かしい思いで買い求めて、実家の庭に植えたものです。花をどんどん植えているのは、母が少しでも外へ出るように、と願ってなのですが、実際には母が庭に出ることはもう滅多にありません。ですから、もしオオスカシバがやってきても、また悲劇が起こるとは思いません。とは言え、複雑な気持ちです。


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ツマグロの幼虫〜帰国日記8

2023年07月02日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.03.09撮影

今日は、昨日前触れしました通り、ツマグロヒョウモンの幼虫について書きます。次の画像からは、幼虫が画像の真ん中に現れますから、読み進まれる方は、そのつもりでお願いいたします。

名称を確かめておきますと、

学名 Argynnis hyperbius
英名 Indian fritillary「インドの格子模様のチョウ」
和名 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)

冒頭の画像の右上にちょこっとトリミングでお見せしているのが、3月に帰省したときに見つけた幼虫です。

この切り取り画像にいっしょに写っている植物は、真ん中になるのがフヨウカタバミ(Oxalis purpurea)、左に見えるのがヴィオラ(Viola)です。ツマグロヒョウモンの幼虫は、スミレ類(スミレ、ヴィオラ、パンジーなど)を食べて大きくなります。

ヴィオラはわたしが大量に買って植えたんですが、フヨウカタバミは、なぜ庭に生えているのかも分からない。オカトラノオ(Lysimachia clethroides)、サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)、同様、庭を埋め尽くし、それらを「駆除」するのが、前回3月の帰省に続き、今回5〜6月の帰省のわたしの大きな課題のひとつでした。

この幼虫は、左手のヴィオラにいたところを、わたしが触ろうとして、地面に落として(落ちて)しまい、体を丸めているところです。有毒かどうかわからなかったのでオドオドと手を出したのが良くなかった。

後で調べてみると、この、オレンジ色と黒の2色で塗り分けた幼虫は、毒はないそうです。「毒々しい」色のムシは、実際に有毒である場合と、自己防衛のためにそんな有毒なムシを「真似」しているだけのムシがあるので、素人には判断しにくいです。

このツマグロヒョウモンの幼虫は、難が去るまで待とう、でしょう、次の姿勢でしばらく動きませんでした。

2023.03.09撮影(手前左が頭)

体表をご覧ください。これらの突起は、何と形容したらいいんでしょう。「つのつの」「つんつん」「とげとげ」「はりはり」???

よく見てみると、この突起のそれぞれに毛が生えています。触らなかったので、この突起と毛がどのくらい硬いか、あるいは、柔らかいか、は分かりません。

この幼虫は、イモムシと呼ぶべきなのか、ケムシと呼ぶべきなのか・・・

それに、色分けは、
・胴体は黒と濃いオレンジ色の2色ですが、
・突起の頭に近い方は黒1色、
・他の部分の突起は2色塗り分けで、
・上半分が黒、下半分が濃いバラ色(胴体の色のオレンジ色ではなく
です。

この幼虫さんは、しばらくして、体を巻いていたのをゆるめ、次のような姿勢になりました。花の色がほぼ黒いヴィオラが写っています。わたしはカタバミの草抜き(と言うか、「草掘り」)をしていたので、あまり遊んでいるわけにいかず、幼虫さんがそこから先どうしたかは知りません。まあ、どうせ、ヴィオラのどっかにいるだろう、とたかをくくっていたし

2023.03.09撮影(頭はカタバミの葉に隠れている)

次は、10日後の写真。

この幼虫さんは、ヴィオラ間を移動している最中です。古い住処と新居希望先が接触していなかったら、一旦、地面に降りるしかありませんよね。見ていたら、いや〜〜、本当に速いんですよ〜〜、移動するの。

(えへん! 下の画像、幼虫さんの辺り、ほとんど草がなくなっているでしょ? わたしが掘り返して、カタバミを抜いたんです。ここまで仕事が進んだ。)

でも、こうやって移動するたびにヴィオラを食いまくってくれているんだ。まあ、ヴィオラ自身が枯れる前に、幼虫さんが引っ越しをしているようなので、ヴィオラは回復できているようです。

2023.03.19撮影(頭は上)

次の画像は、直前の画像の幼虫さんが、次のヴィオラに行き着いたところです。途中の薄紫色のヴィオラをなぜパスしたかは、不明。生まれて初めて食べた種類のと同じ、あるいは、なるべく近い種類のに移動するのかしら。ヴィオラと言っても、各種植えてあるし。

2023.03.19撮影(頭は左側)

次は、5月に見た幼虫さん。これもせっせとお引っ越しの最中でした。画像中に見えている緑のものは、わたしの必殺草抜きを免れたカタバミ。カタバミ根絶(選んで残したところ以外)を夢見る方が間違いですが。

ところで、この5月に見た幼虫の方が、3月に見た幼虫より小さいんです。もちろん、たまたま成長度合いの異なる幼虫を見たわけですが、これは、年に複数回孵化している、という傍証になります。

次の画像中の幼虫さん、元気一杯で、躍動感に満ちていませんか。

2023.05.27撮影(頭は右側)

昨日ご紹介した、アメリカのスミソニアン博物館(Smithsonian Institution)のひとつである国立自然史博物館(National Museum of Natural History)のサイトですが、そのツマグロヒョウモンの分布を表す地図の下に、おもしろい情報があります。もう一度ご覧ください。

Argyreus hyperbius Linnaeus 1763(英文+画像+地図)

地図の下にツマグロヒョウモンの写真が丸囲いであり、そこから線が出ています。下の方に薄い黄色の丸があります。それは、ツマグロヒョウモンの食べるものです。

それを見ると、スミレ類の他に、snapdragon(Antirrhinum:キンギョソウ)が挙がっています。スミレ類とキンギョソウと言えば、かなり上の分類まで行かないと共通点はないんですけどね・・・まさか、スミソニアン博物館が間違いを書くわけはないので、新しい知識として取り入れたいと思います。

ツマグロヒョウモンの幼虫の食草
・主に、スミレ属(Viola)のスミレ、ヴィオラ、パンジー、など
・キンギョソウ(Antirrhinum)も

食草


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ツマグロヒョウモン〜帰国日記7

2023年07月01日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♀)
撮影者:Peelden
撮影日:2014.07.12
オリジナルからの改変、なし

つづけて、今日も、実家の庭で見たチョウをお送りします。

このチョウは、訪問もそう頻繁ではないし、近づこうとするとすぐに逃げるし、あまりにもひらひらと飛ぶので、撮影は1枚で、投げ出してしまいました。

離れた位置からズームをかけると、背景の色に溶け込んで、どこをねらえばいいのかさえ分からなくなりました。それで、ズームをかけるのをやめて、「普通」のセッティングで、「チョウ」を撮影する、というより、チョウのいる「場所」を撮影しました。

そのようにして撮った画像をトリミングしたのが、以下の画像です。

2023.05.31撮影

このチョウが「立って」いるのは、ヴィオラ(Viola)の真横です。

・ヴィオラの近くにいる
・この数日前にわたしは幼虫を見ている
・羽の模様
から、このチョウは、ツマグロヒョウモン(Argynnis hyperbius)のメスであろう、と考えました。

冒頭の借り物の画像中のチョウと、同一種に見えませんか?

学名 Argynnis hyperbius
英名 Indian fritillary「インドの格子模様のチョウ」
和名 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)
タテハチョウ科(Nymphalidae)ヒョウモンチョウ族(Argynnini)
ツマグロヒョウモン属(Argynnis

動植物の分類の典型は、
科>属>種
ですが、

ツマグロヒョウモン属の場合には、属と科の間に、族(ぞく)が設けられています。
科>族>属>種

漢字が異なるとは言え、「属」と「族」なんて、何も同じ発音の接尾辞をわざわざ選ぶことはないんじゃない? ぶつぶつ

ツマグロヒョウモン属に属する種は、しかしながら、ツマグロヒョウモンだけです。いわゆる、「1属1種」。

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♂)
撮影者:Phonon.b
撮影日:2019.10.22
オリジナルからの改変、なし

冒頭の画像のツマグロヒョウモンはメス(♀)ですが、直前の画像のはオス(♂)です。

「ツマグロヒョウモン」の「ツマグロ(褄黒)」というのは、メスの表の羽の端(つま)が黒いことによります(あるいは、メス、オス、両者の、羽の外縁全体が黒いため、と説明してあるのもあります)。「ヒョウモン」というのは、ネコ科のヒョウ(豹)の体に入る斑点(=紋)から来ています。

メスとオスの羽の裏の違いは、以下でお比べください。赤い模様の出ているのがメス、オレンジ色の模様の出ているのがオスです。(どちらがきれい?)

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♀)の翅裏(羽の裏)
撮影者:ja:user:sphl
撮影日:2005.09.23
オリジナルからの改変、なし

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♂)の翅裏(羽の裏)
撮影者:Laitche
撮影日:2007.09.08
パブリックドメイン

それでは、ツマグロヒョウモンがどこに分布するか、以下の地図でご覧ください。

これは、アメリカのスミソニアン博物館(Smithsonian Institution)のひとつである国立自然史博物館(National Museum of Natural History)のサイトからです。種名 Argyreus hyperbius の後につづく Linnaeus 1763 というのは、「リンネが1763年に命名を公表した」という意味です。

Argyreus hyperbius Linnaeus 1763(英文+画像+地図)

この地図によると、ツマグロヒョウモンは圧倒的に西日本(と朝鮮半島南端?)で多く産するのですが、ツマグロヒョウモンの英語の名前には、その事実が反映されていません。1763年、と言えば、日本は鎖国中でしたからね。

英名の Indian fritillary の Indian「インドの」が、当時、このチョウが「発見」された場所を示すのかもしれません。

Indian fritillary の fritillary は、「サイコロを入れておく箱」あるいは「格子模様の、チェッカーの」という意味です。この同じ語(同語源の語)が、植物のバイモ属(Fritillaria)の名称となっています。

次の花は、そのバイモ属の模式種(基本種)であるフリチラリア・メレアグリス(Fritillaria meleagris)です。確かに、格子模様ですね? でも、バイモ属の花全部が格子模様であるわけではありません。

2021.04.17撮影

学名 Fritillaria meleagris
英名 Snake’s head「蛇の頭」
別名 Chess flower「チェス(の盤のような模様)の花」
和名 フリチラリア・メレアグリス(学名から)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria

バイモにも〜〜

明日は、ツマグロヒョウモンの幼虫をお見せします。幼虫もかわいい、と思ってくだされば、幸いです。


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シジミチョウ〜帰国日記6

2023年06月30日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.06.10撮影

2日続けてナミアゲハ(Papilio xuthus)について書きましたが、実は、ナミアゲハよりも、このシジミチョウ科(Lycaenidae)のチョウの方をよく見たんです。

そして、6月9日にナミアゲハを撮影するのに挑戦した挙句、チョウを撮影するおもしろみに味をしめ、翌10日に、その飛翔パターンから、シジミチョウを撮る方が簡単なことに気づき、シジミチョウの方がちっちゃいのですが、積極的に撮ってみることにしました。

いずれにしてもズームを使っているので、画面はそうすっきりはしません。

さて、このシジミチョウを同定するのですが、次の図鑑を参照しました。

昆虫エクスプローラ
「シジミチョウ図鑑(42種類)」

そして、わたしの写真記録には異なる4個体がある(いる?)ので、そのすべてを拡大して、見比べてみることにしました。

個体Aと個体Bは今回この6月に、個体Cと個体Dは去年の11月(ワクチン証明だけで隔離が不要になって初めての帰国のとき)に撮影したものです。

個体A(+オカトラノオ)
2023.06.10撮影(冒頭の画像の切り取り)

個体B(+ポーチュラカ)
2023.06.10撮影(この記事の最後の画像の切り取り)

個体C(+イヌマキ)
2022.11.15撮影

個体D(+チェリーセージ)
2022.11. 02撮影

この4個体のうち、個体Aが、個体B、C、Dと異なって見えます。個体Aは、前羽を後ろ羽にあまり畳みこんでいません。一方、個体B、C、Dは、前羽を後ろ羽の内側にほぼ畳んでしまった形になっています。

でも、この、羽の畳み方の違いを除くと、4個体とも、見かけはみんなよく似ていますよねえ。

地域的に合わないもの、季節的に合わない(だろうと思われる)もの、また、あまり見かけられないものを除いて、次の2種を候補に絞りました。

・ルリシジミ
・ヤマトシジミ

ルリシジミ

ヤマトシジミ

このうち、白っぽいことが特徴のルリシジミが、実家の庭に訪れているシジミチョウではないか、と思われます。または、やや黒っぽい個体Aだけは、ヤマトシジミなのかもしれません。羽の畳み方の違いも何か意味があるのでしょうか。

2023.06.10撮影(個体A)

学名 Celastrina argiolus
英名 Holy blue
和名 ルリシジミ(瑠璃小灰蝶)
シジミチョウ科(Lycaenidae)ヒメシジミ亜科(Polyommatinae)
ルリシジミ属(Celastrina

学名 Zizeeria maha
英名 Pale grass blue
和名 ヤマトシジミ(大和小灰蝶)
シジミチョウ科(Lycaenidae)ヒメシジミ亜科(Polyommatinae)
ハマヤマトシジミ属(Zizeeria

羽の表が見えていれば、もう少し同定が正確になると思うんですけど〜〜見えなかったんですよ〜〜

お願い:
もし、同定に誤りがありますれば、指摘し、教えてくだされば、幸いです。

2023.06.10撮影(個体A)

わたしは、子どものとき、図鑑を買って与えられていました。植物の図鑑、昆虫の図鑑、鳥の図鑑、魚の図鑑、鉱物の図鑑、、、というように。それぞれの図鑑はそう大きくなくて、子どもにも扱いやすい仕様でした。

最初のページから最後のページまで、何度もくって、何度も見て、よく植物や昆虫の特徴と名称を覚えていたものです。そして、実際に野原などで見て(そうです、まだ野原が存在した時代です)、同定できた(「同定」なんて言葉は、そのころは知らなかったが)。でも、もう名称は忘れていますね、植物以外は。

去年の10月から帰省をくり返し続けているのですが、両親にこの頻度で会っていると、子どものときに帰ったようで、そのころのことがいろいろ思い出されます。

ずっと片付け物を手伝っているけれど(と言うか、わたしが、両親の補助ではなく、両親の代わりに、しているのだけど)、あの図鑑はどこに行ったのかなあ。とんでもなく古いものが出てくる(例えば、わたしが幼稚園へかぶって行っていたベレー帽)ので、あの図鑑だって出てきてもいいようなものだが、、、

2023.06.10撮影(個体B)

明日も、チョウの話題が続きます。


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アゲハの卵と幼虫〜帰国日記5

2023年06月29日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
Papilio xuthus(ナミアゲハ)
撮影者:Laitche
撮影日:2008.08.13
パブリックドメイン

今日は、昨日からのつづきで、ナミアゲハです。成虫だけでなく、卵と幼虫についても。

ただ、成虫の方は、わたしの「ナミ」以下の画像をこれ以上お見せするわけにはいかないので、今日は、Wikipediaの美しい画像(そのうち2枚はパブリックドメイン!)を借りてきました。

いっしょに写っている花は、ランタナです。ランタナ(Lantana camara)は、国際自然保護連合の定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」のひとつだそうです。

世界の侵略的外来種ワースト100

学名 Lantana camara
和名 シチヘンゲ(七変化)
別名 ランタナ(学名の属名から)
クマツヅラ科(Verbenaceae)シチヘンゲ属(Lantana

Papilio xuthus(ナミアゲハ)
撮影者:Laitche
撮影日:2008.08.13
パブリックドメイン

ナミアゲハの名称をもう一度確認しておきます。原産地をつけ加えます。

学名 Papilio xuthus
英名 Asian swallowtail「アジアのアゲハチョウ」
和名 ナミアゲハ(並揚羽)
別名 アゲハチョウ(並揚羽蝶)
別名 アゲハ(揚羽)
アゲハチョウ科(Papilionidae)アゲハチョウ属(Papilio
原産 日本全国、台湾、中国、朝鮮半島、等

和名の「アゲハ」というのがどういう語源かしかとは分かりませんが、「ナミ」は「普通の」という意味の「並」と取っていいですよね。ナミアゲハは、アゲハチョウの代表のように感じられませんか?

実際、「アゲハチョウ」と言えば、ナミアゲハのことを指したりします。小・中学校の理科では、ナミアゲハを単に「アゲハ」と呼ぶそうです。(そう言えば、そうだったか? と昔日のことを思い出してみる・・・)

ナミアゲハ

Papilio xuthus(ナミアゲハ)
撮影者:Daiju Azuma
撮影日:2007.04.22
オリジナルからの改変、なし

英語の名前も見てみると、Asian swallowtail「アジアのアゲハチョウ」と、原産地を示す「アジアの」というのがついています。Swallowtail というのは、「ツバメのしっぽ」で、アゲハチョウ類の後ろ羽につく突起に注目した命名です。でも、すべての「アゲハチョウ」にこの「しっぽ」があるわけではありません。

Papilio xuthus(英文+画像)

Swallowtail butterfly(英文+画像)

帰省中、実家の庭には、ナミアゲハがたくさんやってきました。主にはオカトラノオのミツを吸っているようでしたが、あるとき、1頭が、サンショウの周りを飛び回り、腹部の先(つまり、お尻)を近づけて、何やらしているもよう。これは産卵に違いないと思いました。

それで、そのサンショウを検分。それが、次の画像です。雨が降った後に撮影したので、葉っぱがてかてかしていますが、ご容赦を。

2023.06.04撮影

この真珠のちっちゃいみたいなの、卵じゃない?

画像中では、右に出た複葉(ふくよう)の下から3番目の小葉(しょうよう)に4粒、その下の小葉に1粒。さらに、上に出た複葉の、上から数枚目の小葉の葉軸(ようじく)寄りに1粒。(複葉、小葉、葉軸、については、以下の記事などをどうぞ。)

複葉

以下に卵(と思われるもの)を拡大してみました。

2023.06.04撮影

このサンショウの木の、他の部分も見てみました。すると、卵がもう1粒上の方に、そして、葉っぱの虫に食われたようなあとがあちこちに。ということは、幼虫が住んでいるのか? あるいは、いたのか?

でも、幼虫やサナギを見つけることはできませんでした。

と、思ったんですが、

画像を見て初めて気づいたことがあります。肉眼で見たときには、なんかくっついている、程度でやり過ごしていたのですが、写真で見てみると、どう見ても、幼虫であるようにしか見えない。

先の画像をもう一度ご覧ください。

卵の複数ついた複葉の手前側の一番下の小葉に、鳥のフンみたいなものがありますね? これ、
・形(一方がやや太い)
・色(黒っぽい)
・模様(体の途中が白っぽい)
から、何齢かはわかりませんが、若齢幼虫だと思います。終齢幼虫なら、黄緑です。

以下に拡大してみます。つの、つの、っとしているのも身体中に見えます。

2023.06.04撮影

アゲハと言えば、わたしには、小学校のときの思い出があります。3年生か4年生のときのことで、先生に、校庭のどこそこにミカンの木がある、そこへ行って、おもしろいものが見つかるから、見てきなさい、と言われたんです、見つけてのお楽しみ、みたいな感じで。

それで、数人で昼休みに校庭の植え込みまで歩いて行きました。

行ってみると、緑のでっかい青虫がいる!!! みんな女の子たち(いまさらですが、「自己紹介」しますと、わたしは女性です)でしたが、大喜び。女の子はおしなべて虫嫌い、ってわけじゃないのよ。それから毎日観察に出かけました。

そのうち緑の青虫は行方不明になり(サナギになったんでしょう)、代わりに、ミカンの木に、鳥のフンみたいな、芋虫か、毛虫か、訳のわからないものがくっついていて、女の子たちは失望したものです。

先生が、幼虫は変化していく、これは新しく生まれた幼虫、卵は見つからなかったかな? と教えてくださったのですが、わたしたちは、緑のコロコロしたのを喜んで見ていたので、黒いのに白のバンドのついたのは、受け入れ難かったんです。

ただ、ナミアゲハの卵がミカンの木の葉に産みつけられ、幼虫はミカンの木の葉を食べて成長する、ということは、しっかり学習しました。

ということは、これらの卵(らしきもの)がナミアゲハの卵なら、サンショウの木は、ミカン科であることになります。そして、サンショウの木は、実際、ミカン科です。

学名 Zanthoxylum piperitum
和名 サンショウ(山椒)
別名 ハジカミ
ミカン科(Rutaceae)サンショウ属(Zanthoxylum

それで、これら、ナミアゲハの卵(と思われるもの)は、どうなったか? ナミアゲハの卵は5日〜1週間ほどで孵化するそうなんですが、何も起こりませんでした。

ただ、4粒並んでいたのが、3粒に減っていました。何らかの理由で落ちたか、あるいは、孵化して、幼虫が自分の卵の殻を食べたか、でしょうか。


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アゲハチョウ〜帰国日記4

2023年06月28日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.06.09撮影

実家の庭で庭仕事をしていると、チョウがけっこう訪れるんです。1頭のときもあるし、複数頭のときもある。

最初は、この、チョウのいる時間と空間を楽しもう、と、植物を扱う手を休めてじっとして眺めていただけだったんです。

でも、何度もやってくるので、ひょっとしたら写真に撮れる、と思って、写し始めました。

わたしが今使っているカメラは、コンパクトデジタルカメラ「ごとき」であります。レンズを取っ替えながら重みのある一眼レフを使うのが面倒くさくなって、こういう簡便なものを持ち運ぶようになりました。花の記録程度にはいいけれど、動くものはダメよ。

でも、撮影の工夫をしながら撮ってみると、同定するのに十分な画像にまで撮ることができました。それが冒頭の画像です。

このままでも同定に使えますが、念のために拡大してみます。画像が粗くなりますが、ご容赦を。

2023.06.09撮影

まず、拡大しなくても、アゲハチョウ(Papilio)というのは、わかります。そして、色調から、ナミアゲハ(Papilio xuthus)であると、絞れます。

また、拡大写真で確認してみると、羽(翅)の胸からすぐ上の部分に縦の筋が入っているので、ナミアゲハと同定していいことになります。羽を立てた状態で見えているのが、羽の裏です。

学名 Papilio xuthus
英名 Asian swallowtail「アジアのアゲハチョウ」
和名 ナミアゲハ(並揚羽)
別名 アゲハチョウ(並揚羽蝶)
別名 アゲハ(揚羽)
アゲハチョウ科(Papilionidae)アゲハチョウ属(Papilio

2023.06.09撮影

冒頭のような画像が撮れるまでに、上のような写真をいっぱい撮ったんです。これよりももっと羽が動いているのも。でも、工夫する過程で、いろいろ学習しました。学習するのは楽しいですねえ。

これで一挙に一眼レフへの回帰に弾みがついたかも・・・あくまで、かも、ですけど。(あんなものを持って国際線に乗りたくない。)

今日の記事のチョウの写真は、みんなズームを使って撮影されています。ですから、もとより、画像自体はそれほど鮮明ではないんです。花もしっかりとは写っていない。

それで、もう少しチョウの話しを進める前に、このナミアゲハがミツを吸っている植物を改めてご紹介します。オカトラノオ(Lysimachia clethroides)です。

学名 Lysimachia clethroides
英名 Gooseneck loosestrife「ガチョウの首のミソハギ」
和名 オカトラノオ(丘虎の尾)
サクラソウ科(Primulaceae)オカトラノオ属(Lysimachia


2023.06.10撮影

上のオカトラノオの画像は、花の房を真上から下を向いて撮影したものです。一番新しい花のオシベが他のと異なりますね。開いたばかりの花なんでしょう。

この個体(根がつながっているので、どこからどこまでが「個体」よ?)は、陽の当たりすぎるところに植わっている(と言うか、勝手に出っ張ってきた)ので、葉がやや黄変し、葉の縁が茶色くなっています。オカトラノオは、やや日陰の方がきれいです。

実家の庭には、このオカトラノオがたくさんあります。次のサルビア・ガラニチカもたくさんあります。別に、たくさん植えたわけではないけど。帰省するたびに増えているんですよ。

両者ともはびこってくれて、この両者の根同士がからみ合い、放っておけば、庭中この2種(とカタバミ)のお花畑になるので、「駆除」するしかなく、その「駆除」にどえらい労力と時間がかかります。

老齢の両親がそんな「駆除」作業をするわけもなく、わたしがこの前3月に帰省したときには、そういうことをしていました。指が痛くなった。根をほぐす作業をしたので。(コロナの前、2019年に帰っていたときも、同じことをしたなあ・・・)

でも、両者ともきれいな花です。サルビア・ガラニチカは色が特にきれいだし、そばを通ってちょっと着ているものが触るだけで、いい匂いが立ち込めます。

学名 Salvia guaranitica
英名 Anise-scented sage「アニスの香りのセージ」
和名 サルビア・ガラニチカ(グアラニティカ)(学名から)
和名 メドーセージ
シソ科(Lamiaceae)アキギリ属(Salvia

2023.05.26撮影

次の画像で、ナミアゲハの羽の表(羽を開いた形のときに見える側)をご覧ください。チョウの左側の羽の表が見えます。この画像では、後ろ羽のオレンジ色と青の「彩色」の部分は、はっきりと写っていません。

2023.06.09撮影

次の画像(この画像は、拡大、切り取りなので、さらに画質が下がっている)では、ナミアゲハさんのお顔もどうぞ見てあげてください。オカトラノオの房のひとつが、ちょうど頭の上に飛び出て写っているので、わかりにくい画像ですが、眼と触覚の対が見えます。口吻(こうふん)は、これかなあ、という程度までしか、この画像では判別できません。

2023.06.09撮影

明日につづきます。

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キボシカミキリ〜帰国日記3

2023年06月27日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.05.26撮影

ムシがお好きでない方が抱くかもしれないお気持ちを尊重して、冒頭の画像には、インパクトが低めかな、と思われるものを選んでみましたが、それでも強烈すぎたでしょうか。

昨日のクロウリハムシ(Aulacophora nigripennis)は、どちらかと言えば、かわいく感じてくれるかも、と思って、最初から全姿を載せましたけど、、、

冒頭の画像は、ムシが、縦向きの枝に頭を上にしてとまっているのを、上から撮影したものです。それで、枝に逆さにとまっているように見えます。

このムシは、キボシカミキリ(のはず)です。

学名 Psacothea hilaris
英名 Yellow spotted longicorn beetle(黄斑カミキリムシ)
別名 Yellow spotted longhorn beetle(黄斑カミキリムシ)
和名 キボシカミキリ
カミキリムシ科(Cerambycidae)キボシカミキリ属(Psacothea

次の画像は、同じ位置にとまっているキボシカミキリを、横から撮ったもの。身体中に黄斑が出ているのがわかります。

2023.05.26撮影

キボシカミキリは、英語版Wikipediaによると、原産は、
北朝鮮、中国、日本、
だそうです。朝鮮半島では、北朝鮮だけ? 朝鮮半島の南にはいない??? 

そして、イタリアに導入されているそうです、、、へ?

なお、日本語版Wikipediaには、キボシカミキリの記事は、今日現在では存在しません。片手落ちですね、日本に産するのに。

Psacothea hilaris(英文+画像)

キボシカミキリの黄斑(黄星「キボシ」)の出方は、地域により異なり、それ(とその他の特徴も?)が亜種としての分類につながっているもようです。(ギャハ、「もよう」なんて、ダジャレのつもりでも、ないのよ。)

上にリンクした英語版Wikipediaに挙がっている亜種の学名を見てみると、命名者が日本人であったり、また、日本の地名(宮古島、宮古、石垣島、与那国、西表)が亜種の名前としてつけられています。

お断り事項:
学名では、正式には、種名や亜種名の後に命名者の名前(姓)と命名の公表の年をつづけますが、わたしは、ゆるい、ブログ用の表記として、普段は、属名と種小名だけで済ませています。煩雑を避けるためですので、ご理解をお願いいたします。

日本「本土」では、南北(=東西)で、黄斑が違うそうな。そして、その間の地域に中間の模様を持つものがいるそうな。それなら、英語版Wikipediaに挙げられている Psacothea hilaris intermedia がその中間亜種??? intermedia というのは、「中間」という意味です。

2023.05.26撮影

あんまり撮影を続けていたら、このキボシカミキリさんに、嫌われちゃったみたい。とまっていたイチジク(Ficus)の枝から出てきました。いや〜〜、逃げないで〜〜。

このイチジクは、一度切り倒した古株から芽吹いてきたものなんです、それで丈が低いんです。前は、大人の手のひらよりも大きい実を実らせていたんです(ウソだと思われるかもしれませんが、ホントウです)。来年には実がなるかしら。

さて、このキボシカミキリさんは、イチジクから出て、そのほぼ真上に張り出してきているカキノキ(Diospyros kaki)の葉にとび移りました。これが、「飛び」だったか「跳び」だったか、しっかりとは観察できませんでした。

2023.05.26撮影

キボシカミキリの学名(Psacothea hilaris)にもどりますと、属名 Psacothea は、命名者のイギリス人昆虫学者であった Pascoe からきています。なんで Pas… が Psa… になったのか知りませんけど。

種小名の hilaris は、ギリシャ語からラテン語にとり入れられたもので、「陽気な、快活な、楽しい」という意味です。アメリカの前国務長官、前大統領候補(民主党)の「ヒラリー・クリントン」の「ヒラリー」です。

hilaris

イチジクからカキノキに移動したキボシカミキリさん、羽を使って飛び立った(のを、わたしはしっかりと見た)ので、このままどこかへ逃げてしまうのか、とガックリしていたら、わたしの後ろ側にあったブロック塀に「逃避行」しました。

慌てて振り返って撮影したら、触覚が画像に入っていなかった。

2023.05.26撮影

ついでに英名も見てみます。

yellow spotted というのは「黄斑の」→「黄星の」ということで、日本語の命名方法と同じです。yellow spotted につづく longicorn は、英語の新しい言い方では longhorn で、「長い角の、長い触覚の」。beetle は「甲虫」。longicorn/longhorn beetle とつづけて「長い触覚の甲虫」から、「カミキリムシ」。

わたしが近寄ってカメラのシャッターを切り続けるのに嫌気がさしたか、あるいは、恐れをなしたか、キボシカミキリさん、塀の上に飛び乗りました! すくっと立っています。仁王立ちじゃあ。次の画像をご覧ください。

2023.05.26撮影

そして、塀の向こう側にかけられている看板(市がこのあたりの地図を設置した)の裏にへばりつきました(次の画像)。ツルツルでないとは言えほぼ垂直の平面に静止していられるなんて、足の裏がすごいんでしょうね。頭の上の真ん中に黄色の縦線が入っているのが見えます。

触覚の節と節の間が白いです。それと、触覚、長いですね。男性だということかしら。あれ? ちょっと待って、お尻の先が左右に出っ張っていますねえ・・・ということは、性別は?

2023.05.26撮影

結局、キボシカミキリさんは、看板の裏に取りつけられている枠の下(画像内では一番上)に潜り込んで、姿を大体のところで隠してしまいました。

それで、わたしは反省しました。嫌がっている、そして、怖がっているかもしれないムシを後追いして接近しすぎたのではないか? と。あるいは、そういう解釈は、人間の感情を動物に当てはめる感傷でしかない? でも、逃げたことは事実である。

でも、そもそもキボシカミキリさんはなぜイチジクの木にいたのか。調べてみると、幼虫が、クワ、イチジク、ミカンなどの生木を食べるそうな。そして、成虫も、これらの木で、その葉を食べるそうな。ただ、それでイチジク等が枯れるわけではないので、キボシカミキリを害虫扱いするのは間違いであるそうであ〜る。

この、今日、有無を言わさず写真のモデルにならされたキボシカミキリさんは、ひょっとしたら、成虫になったばかりだったのかもしれません。そうなると、ご休憩していた、ということで、わたしは、ますます反省します。夕方に見にいくと、看板の裏からはいなくなっていました。

今日の記事のキボシカミキリについての情報は、以下の検索ページから出てくるものも利用しました。



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クロウリハムシ〜帰国日記2

2023年06月26日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.06.10撮影

これは、キキョウ(Platycodon grandiflorus)の花の下半分です。

前回3月に帰国・帰省しているときに、実家の庭にこの根を植えつけました。もちろん、両親が楽しめるように、です。母が家から出たがらないので、なるべく庭に引き出す努力の一環でもあります。

今回5月に帰省するとツボミがたくさんついていて、滞在中に咲いてくれるといいなあ、と思っていたら、6月には咲き、うれしかったです。

でも、すぐに花びらがかじられてしまいました。きっと、この2色色分けのハムシさんの仕業でしょう。現行犯までいきませんでしたが、とまっている場所が怪しすぎる。

この独特な色づかいから見て、このハムシは、次のハムシだと同定しました。

学名 Aulacophora nigripennis
英名 Pumpkin beetle「カボチャ虫」(ウリハムシ属の英名)
和名 クロウリハムシ(黒瓜葉虫)
ハムシ科(Chrysomelidae)ウリハムシ属(Aulacophora

でも、ウリハムシ属はウリ(キュウリ、カボチャ、など)類の花を食べるって・・・それが、なぜ、キキョウにへばりついている?

2023.05.25撮影

実は、最初にこのムシを見たのは、キキョウの花の上ではなく、ナデシコ属(Dianthus)の花の上なんです。このナデシコ属の花も3月に植えたもの。

このムシさんは、わたしが、カメラを取りに家に入っている間もそこにいるままだし、何度も接写しているのに、ぜんぜん逃げない。このムシは、よっぽどこの花が好きなんだな、と思いました。

と言うか、甲虫って、あんまり逃げないよね。

2023.06.09撮影

ああ、やっている、やっている。カーネーション(Dianthus caryophyllus)の花びらが4分の1なくなっている、ミニ・カーネーションですけど(これも3月に植えた)。泣、泣、、、これは、現行犯よね。

ムシを嫌う人がかなりいらっしゃるのは知っていますが、わたしは、ムシって、好きですよ〜。できるだけ、ムシとも共存していきたいです。

2023.05.26撮影

これは、先のナデシコ属の花ですが、右側の花びら(の少なくとも)1枚に穴が空いています。ムシさんは、左のツボミにとまって、おくつろぎのようです。

目が、真っ黒で、丸くて、体の大きさの割には大きめで、かわいいですね〜〜。オレンジ色がかった黄色の頭部は3段になっています。お腹も頭部とコーディネート。

ひょうきんな見かけの虫で、どちらかと言うと触りたかったのですが、この時点で、有毒かどうか知らなかったので、触るのを控えました。あとで調べたところによると、無害なようです、農作物を食う、と言うことで害虫とされますが。

さらに調べると、

ウリハムシ属は一般にウリ類の花を食べるが、

クロウリハムシは、
>> カーネーション、キキョウ、フジ、ナデシコ等
を食べるそうです。

殺虫剤のアース製薬のサイトに出ていました。

実家の庭で、キキョウ、ナデシコ、カーネーション、でダイニングされていたのは、そういうことでしたか。

わたしの接写には気を止めていないようでしたが、わたしがやりすぎたか、ついにカーネーションから飛び立ってしまいました。と言っても1メートルも飛ばないで、側のマキ(イヌマキ:Podocarpus macrophyllus)の植え込みに飛びついただけですが。そして、その後、すぐにカーネーションに帰ってきました。

2023.05.26撮影

わたしはムシと「遊んで」楽しかった〜。ムシから見たら、「もてあそばれた」になるのかもしれない。それなら、ごめんね、ハラスメントだもんね。

なお、画像中のクロウリハムシさんたちが同じ個体かどうか、はわかりません。


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コバエには、学習能力があるか

2022年09月29日 06時11分06秒 | 昆虫、その他
2021.09.19撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

コバエはどこからともなくわいてくる、、、

のではなく、人間が窓や扉を開けた時に屋内に入ってくるわけですが、それにしても、気温が上がると突如として無からわいてくるように感じます。それも、大量に。そして、一旦入ってきたコバエは子孫を残し続ける、、、

でも、「コバエ」という種があるわけではなく、「小さいハエ」をわたしたちは「コバエ」と呼んでいるだけ、、、

9月に入って、(コスモスも咲き、)コバエの数は減ったと思いますが、いかがでしょう、みなさんは、コバエと上手くお付き合いをしていますか。

2021.09.19撮影(冒頭の画像の拡大)

わたしのうちでは、草抜きした草や、剪定した木々の枝、落ち葉、などとともに、生ゴミをコンポストにしています。生ゴミが出るたびに、その生ゴミを外へ持ち出せばいいわけですが、やはり、ナマケモノのわたしはそんなことはしないわけです。

家の中に生ゴミが1ヶ所にまとめられているんですが、コバエさんたち、それを見つけて、楽しそうですよ。バナナの皮なんかがあると、もう、パーティー並みです。

そんなのではナマケモノも困るので、

ちょっと、待って、なぜ困る? コバエは実際に人間に被害を与えるのか?

コバエもハエなので、ハエで調べてみると、害虫でもあり益虫でもあるそうです。が、多くの場合、害虫。不快、汚い、バイキンだらけ。

2021.08.25撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

うちにやってくるコバエさんたちを見ていると、食べ物、生ゴミだけでなく、人間の口が当たっていたカップの縁にもとまっています。う、洗お!

そして、わたしは発見したのであります。コバエさんたちは、なぜか、休憩中には、カップ類の縁も含め、ものの角(かど)に止まっているんです。

記事の最後に載せます画像をご覧ください。ムシがお嫌いな方は、見ないでください(ここでは、代わりにコスモスを見て、記事の最後の画像は見ないでください)。

2021.08.25撮影(前の白いコスモスの画像の拡大)

ちっちゃな点は、コバエさんですよ。コバエさんが、窓枠の出っぱったところにとまっているところ。羽と脚が見えますでしょうか。はっきり写っていませんけど。

冷蔵庫の角、電子レンジの角、食器棚の角、換気扇の角、どこでも角にとまっています。なんでだ〜〜〜! 足の起き具合が楽なのかしら。そして、危機回避のために素早く飛び立つには、そのような体勢がいいのか?

でも、ものの角に止まっている、ということがわかってからは、こちらには、ある考えが、、、ハエをパッチンこしようなどと考えるのは、労力のムダ。わたしが引っ張り出したのは、掃除機。

掃除機の横広の吸い込み口を、コバエさんたちのとまっている斜め上から近づけます。わたしも、試行錯誤した後に、そこまで学習したわけですよ。

さっと動かすと空気圧の違いを感じるのでしょう、逃げるので、ゆっくり目に近づけます。一定以上近づけると、視界にものが入ってくるのでしょう、コバエさんが飛び立ちます。飛び立ったが最後、すぐそばにかざされている掃除機の気流に吸い込まれます。

中には、脚が丈夫なのか、あるいは、ここで飛び立つと最後、とわかっている賢いコバエさんなのか、なかなか飛び立たないコバエさんがいて、その場合は、ちょっと掃除機の吸い込み口を動かして「威嚇」します。すると飛び立ってくれるので、これまた、気流の彼方へ。

最後の画像では、コバエさんは横向きに止まっていますが、大方のコバエさんたちは縦向きに、頭を上にして止まります。ですから、斜め上から掃除機を近づけるのがいいのです。まさか、後ろ向きには飛び立てまい?

ただ、飛び立った後うまく逃げるのがいて、そいつら(失礼、コバエさんたち)は、掃除機を動かして後追いしても、空気の流れがなんらかの形で拮抗するのか、全く吸い込めません。

2021.09.19撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

コバエさんの多い時期には、このような掃除機大作戦を、コバエさんたちが活動を鎮める夜に数回行います。すると、、、

最後の最後まで残っているコバエさんたちが、逃げ切るんですよ。掃除機が近づくと、さっとあらぬ方へ飛んでいってしまう。何回格闘しても、どこ?? と見えなくなる。

一体、この、かわし身のうまいコバエさんたちは、なぜそんなことができるのでしょうか。無数の仲間たちが無言で吸い込まれていったのに。

このコバエさんたちには、学習能力があるんでしょうか。学習能力があるために、掃除機を回避する技能を身につけたのでしょうか。

心なしか、飛び去り方に迷いがなく、元気です。それか、単に体力的に勝るだけ?


2022.08.24撮影

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