カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

「モモノハ」? 「モモバ」?

2024年07月24日 08時00分00秒 | キキョウ科

2021.06.21撮影

しばらく、キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanulaの花について、わたしの庭からお送りしました。前回でそのシリーズは終わりのはずだったんですが、いろいろホタルブクロ属(Campanula)の植物について調べていて、都合の悪いものに出会ってしまったので、もう1回、延長します。

2022.07.05撮影

その都合の悪いものとは、、、Campanula persicifolia(冒頭画像)のこと。わたしは、以前、この植物の和名が見つけられなかったので、学名と他のホタルブクロ属の和名とを参照して、「モモバギキョウ」という仮称をつけました。

そして、しばらく前、Wikipediaのホタルブクロ属の項を読んでいて、「モモノハギキョウ Campanula persicifolia」というのに、図らずも、出会ってしまったのです。

それで、次の記事で、C. persicifolia の本名は、「モモノハギキョウ」であ〜る! と高らかに歌い上げました。

2023.06.13撮影

そう歌った後も、さらにホタルブクロ属の勉強を続けていたんですが、C. persicifolia の和名が検索で、「モモノハギキョウ」と「モモバギキョウ」の両方出てくるのに気づいたんです。ああ、なんと不都合な。

どちらの名称で検索しても、両方の名称の記事が出てきます。ということは、両方の名前が民間で使われているとともに、正式の和名かどうかに関しては、なんとも言い切れない。

0。正式の和名はない
1。正式の和名は「モモノハギキョウ」である
2。正式の和名は「モモバギキョウ」である
3。どちらも正式の和名ではない
という可能性があります。

4。両方正式の和名である
というのは、多分、定義上ないのだと思います。

2021.06.03撮影

検証も十分にせずに、うれしそうに、「モモバギキョウ」の本名がわかった、などと口走ったことは、これは、明らかに、わたしの落ち度であります。これだ! とひとつの情報に飛びついたのは、わたしの責任。ここに平に謝罪いたします。

学名 Campanula persicifolia
英名 Peach-leaved bellflower「桃の葉の形の葉をした鐘型の花」
和名 モモノハギキョウ、あるいは、モモバギキョウ
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula

モモノハギキョウ/モモバギキョウには、白花もあります。

2013.06.12撮影

少しずつ異なる、あるいは、撮影条件で異なって見える、色の花を、どうぞ。

 
2021.07.10撮影↑               2021.07.28撮影
 
2021.09.06撮影               2021.07.18撮影
 
2024.07.13撮影               2024.06.09撮影
 
2024.06.07撮影               2024.07.23撮影


コメント

オトメギキョウはまだ葉っぱだけ

2024年07月22日 08時00分00秒 | キキョウ科
2023.06.13撮影

今日も、愛らしいホタルブクロ属(Campanula)の花です。今日のは、オトメギキョウ(Campanula portenschlagiana)。ん・・・「乙女」か。

前回のホシキキョウ(Campanula poscharskyana)は、花弁が深く切り込み、ほぼ平たく、星形に開きます。

今回のオトメギキョウも、花弁が切り込むのですが、ホシキキョウほどは深く切り込みません。釣鐘状の筒の部分があって、その筒の先の部分が切れ込んでいる、という形です。次の画像で、その様子をご覧ください。柱頭が3裂しているのも、はっきり見えます。

2023.06.27撮影

学名 Campanula portenschlagiana 
英名 Dalmatian bellflower「ダルマチアの釣鐘草」
別名 Campanula muralis(旧学名から)
和名 オトメギキョウ
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula)
原産 クロアチア内にあるダルマチア山脈


英名に現れるダルマチアと言えば、白地に黒のぶちぶち模様のイヌ、ダルメシアンを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうか。ディスニーのアニメーションのクラシック「101匹わんちゃん」に出てきた、あの犬種です。

2022.06.12撮影

オトメギキョウは、旧学名が Campanula muralis といいます。種小名の muralis の意味は、「壁(や、塀)を這う」。でも、これは、実態とは程遠いです。上の画像をご覧ください。オトメギキョウは、このように、こんもりと咲きます。(この画像中では、葉が赤っぽいのですが、なぜかわかりません。水の加減?)

ということは、他の壁を這うホタルブクロ属の植物と混同されていた可能性があります。ホタルブクロ属(Campanula)は、世界で500種以上あるとされ、お互い花がよく似ているので、分類が混乱するのかもしれません。

2022.06.24撮影

そして(以下、慣例に従い、属名を略します、この場合は、CampanulaC. に)、
・ホシキキョウ(C. poscharskyana)「ポシャルスキアナ」
・オトメギキョウ(C. portenschlagiana)「ポルテンシュラキアナ」
は、学名の種小名が似たような音ですよね。

いろいろ検索してみると、このふたつを混同しているサイトがあります。オトメギキョウの種小名 portenschlagiana「ポルテンシュラアナ」は、ホシキキョウの種小名 poscharskyana「ポシャルスキアナ」から「作られた」とまで言っているの(敢えて、リンクしません)があり、驚きとしか言えないのですが、、、だって、少し調べればわかることですから。

オトメギキョウの種小名 portenschlagiana は、オーストリアの自然科学者フランツ・フォン・ポルテンシュラク=レイダマイヤ(Franz von Portenschlag-Leydermayer)への献呈です。Portenschlag の語末の「g」は /k/ の音で読みます、ドイツ語なので。

上の画像をご覧ください。開きかけのツボミふたつがこちら向きに見えます。これ、ぐるっと蛇腹みたいになって、かわいい形だ、と思って、この画像を選びました。

2021.09.10撮影

古い写真を見てみると、6〜9月までこの花は咲いているようです。でも、今年は、もう7月を半ばも過ぎたのに、まだツボミもついていません。毎年、毎年、植物の状況が変わり、これは、気候変動? わたしの世話の仕方? 植物の寿命?


次は、メシベの柱頭がまだ3裂する前の花です。

2022.08.21撮影


コメント (2)

ホシキキョウが咲き続けている

2024年07月17日 08時00分00秒 | キキョウ科

2023.06.13撮影

今回も、ホタルブクロ属(Campanula)の花です。花弁の切り込みが深く、花が星形に開きます。和名は、その花の形にちなみ、ホシキキョウ(あるいは、ホシギキョウ)。

ホシキキョウについては、専門家の書いた記事が見つからなかったので、「みんなの趣味の園芸」なら信用できるかな、と思い、次の記事をリンクします。

学名 Campanula poscharskyana 
英名 Serbian bellflower「セルビアの釣鐘草」
別名 Trailing bellflower「枝垂れ釣鐘草」
和名 ホシキキョウ(あるいは、ホシギキョウ)
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula)
原産 北バルカン半島のディナル・アルプス山脈(セルビアを含む)


英名 Serbian bellflower「セルビアの釣鐘草」は、原産地のひとつを示しています。英語の別名は Trailing bellflower「枝垂れ釣鐘草」で、これは、細い茎が伸びて、花がそこから花軸を出し、枝垂れたように咲くことを形容したものです。でも、正確には、茎が伸びて、茎の先の方は、立ち上がります。それでも、垂れてきますけど。

学名の種小名 poscharskyana は、ドイツの植物学者 Gustav Adolf Poscharsky(グスタフ・アドルフ・ポシャルスキ)に献呈されたものです。Poscharsky という名字はスラブ系のようですが、ドイツ人なので、ドイツ語読みをして「ポシャルスキ」となります。

2023.06.13撮影

上の画像左手に見える(冒頭画像では画面全体に見える)黒いものは、錬鉄製のイスです。冬は冷た過ぎて座れませんが、夏はひんやりしていい気持ちです。座るには、ホシキキョウが垂れかかっているを、ちょっとどけてからです。

画像にいっしょに写っているのは、カラミンサの1種(Clinopodium grandiflorum)。カラミンサとしては、大きな花を咲かせます。きれいなピンク色です。

このイスのあるところは、家の北側で、陽のあまり当たらないところなんですが、このホシキキョウもカラミンサも、何年も、何年も、何年も、ここで生きています。そして、生きているだけでなく、子孫をその辺に増やしています。どのようにタネが運ばれているのでしょうか。

とは言え、やはり北側ですので、勢いはありません。ちゃんときれいには咲くんです、このホシキキョウ。でも、花数が少なめで、何よりも、花の色が薄い。それとも、この今の花の色は、この園芸種のもともとの色か? 控えがないのでわかりません。

次の画像は、今年求めた株です。色が濃いめです。


2024.06.30撮影

ホシキキョウは、陽当たりの程度を選びません。日向でも日陰でも育ちます。それで、ホタルブクロ属の花は好きなので、ホシキキョウを南側にも導入してもいいか、と新しい株を買ってきました(上の画像)。

その名(園芸種名)も、'Blue Waterfall'「青い滝」、これは言い得て妙。大きな滝が盛り上がるようになってから落ち出して、そのまま勢いよく降っていく、という感じ。次の画像でその感じが表されているかどうか・・・


2024.07.01撮影

ホシキキョウCampanula poscharskyana)の基本の花の作りは、前回の記事のモモノハギキョウ(Campanula persicifolia)の花の作りと同じです。

・5裂した花弁(切れ込みの深さに違いがある)
・5本のオシベ(色に違いがある?)
3裂するメシベの柱頭(柱頭と花柱の割合に違いがある)

2024.07.04撮影


コメント (2)

ニワギキョウが咲いた

2024年07月12日 11時56分13秒 | キキョウ科
2024.06.30撮影

わたしの庭には、キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula)の植物が何種類かあり、それらが今きれいに咲きそろっています。

そのうちの1種、モモノハギキョウ(Campanula persicifolia)については、前回の記事に書きました。


モモノハギキョウの特徴のひとつは、地上から茎が縦に伸び、その茎から花軸が出、その花軸から花が咲くことです。

今日のホタルブクロ属の植物は、地上から立つのではなく、地上近くでこんもりと咲きます。

2024.06.30撮影

和名も見つけたんですよ〜〜。ニワギキョウです。

学名 Campanula carpatica 'Pearl Deep Blue'
英名 Carpathian harebell「カルパティア山脈の釣鐘草」
和名 ニワギキョウ(庭桔梗)
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula)
原産 チェコ、ルーマニア、スロバキア、ウクライナ、西部ロシア、カルパティア山脈


種小名の carpatica は、原産地の一部、カルパティア山脈、から来ています。「カルパティア」そのものの語源については、よくわかっていないそうです。

2024.07.01撮影

この花は、今年の春、庭に来てもらいました。ラベルを見て、うわあ、かわいいわあ、と思い、連れ帰りました。前々から、ホタルブクロ属の花の種類を増やしたいと思い、何か気に入ったものはないか、と探していたんです。

この花が特にかわいい、と思った理由は、ホタルブクロ属の花に特徴的な釣鐘型、あるいは、深鉢型、ではなく、浅めの鉢〜深めの皿の形で、かつ、花びらがややそり返り、そのために、花びらの周縁部分が、ぷくっとしていることです。

色はもちろん、わたし好み! わたしの庭は、わたしの好みだけで押してしまうと、白〜紫〜青、ばかりになるので、意図的に他の色の花も導入するようにはしています・・・


2024.07.01撮影

ニワギキョウ花は、他のホタルブクロ属の花と同じように、
・花びら5裂
・オシベ5本
・メシベの柱頭3裂

ニワギキョウのツボミの形は、モモノハギキョウのツボミと同様の形です。以下は、夕陽を浴びる、うちのニワギキョウの最初にふくらんだツボミです。

2024.06.24撮影


コメント (2)

「モモバギキョウ」の本名がわかった

2024年07月10日 10時40分00秒 | キキョウ科
2024.06.16撮影(雨後に撮影)

このキキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanulaの植物は、わたしが、次の記事(2022.10.17付)で「モモバギキョウ」と呼んだものです。和名が見つからなかったために、学名(Campanula persicifolia)と、他のホタルブクロ属の種の和名を参考にし、そのように呼びました。その経緯、および、他の情報については、以下の記事をご覧ください。
それがですね・・・本名がわかったんです!!

いつものように、わたしは植物の勉強をしていました。ホタルブクロ属についていろいろ読んでいると、Wikipediaのホタルブクロ属の種のリストに、Campanula persicifolia が挙がっているのに気がついたのです。


このホタルブクロ属の種のリストのうち、「栽培種」のところに、
>> モモノハギキョウ Campanula persicifolia 
ってのがあったんですよ〜〜

きゃ〜〜、これ、わたしの「モモバギキョウ」じゃないですか! 「モモノハギキョウ」ですって! 「モモバ」じゃなかったけど、かなり近い!

学名 Campanula persicifolia
英名 Peach-leaved bellflower「桃の葉の形の葉をした鐘型の花」
和名 モモノハギキョウ(仮称「モモバギキョウ」改め)
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula
分布 アルプス山脈、および、他のヨーロッパの山脈

分布は、以下の記事(英文)から。

日本語のWikipediaの「ホタルブクロ属」の記事で「栽培種」とされるのは、日本に自生していない、ということを言ったのだと思います。「栽培用の園芸種」という意味ではなく。

では、色の異なるモモノハギキョウの花をご覧ください。色は、株によっても異なりますが、花の開花してからの日数、また、撮影条件にもよります。

2024.06.12撮影

2024.06.09撮影

2024.06.07撮影

2024.07.02撮影

「モモノハ(persicifolia)」と呼ばれるのは、葉がモモの葉の形をしているからです。

 
2024.07.08撮影               モモ - Wikipedia

次は、生き延びたフサフジウツギ(Buddleja davidii)の前で咲くモモノハギキョウ。(他のフサフジウツギは、みんな枯れちゃったんです。)

2024.06.12撮影

次は、花の大写しです。この花は、咲いてすぐの花ではありません。

メシベ
・白っぽい
・柱頭が3裂し、開く(オシベが縮んだ段階では)
オシベ
・ピンクがかった薄茶色
・縮んでいる(メシベの柱頭が3裂し、開いた段階では)
・5本(画像からはちょっとわかりにくい)

2024.06.10撮影

虫をどうぞ。何か知らない。

2024.06.10撮影

ツボミ! 「モモノハギキョウ」と言えど、キキョウのような形のツボミではありません。

 
2024.06.09撮影(モモノハギキョウ)     2023.07.29撮影(キキョウ)

花の深さもいろいろ。

 
2024.06.08撮影               2024.06.19撮影


コメント

ブルースター・クリーパー(グランドカバー)

2022年10月30日 08時58分30秒 | キキョウ科
2022.06.12撮影

今日も、もう一度、あまり広くは知られていないか、と思われる植物をご紹介します。

表題に「ブルースター・クリーパー」という名前を使っておきましたが、これは、英名がいくつかあるうちのひとつをカタカナにしたものです。

学名 Lobelia pedunculata
別学名 Pratia pedunculata
和名 学名をカタカナにしたものしかないもよう「ロベリア・ペドゥンクラータ」
英名 Blue star creeper
キキョウ科(Campanulaceae)ミゾカクシ属(Lobelia

以下にも、和名は載っていず、「ロベリア・ペドゥンクラータ」とされています。

ミゾカクシ属

2022.06.24撮影

ロベリアというと、下の3弁が大きく、上の2弁は小さい、よく夏に育てる草丈の低い花を思い出すかもしれません。その夏の花壇や鉢を彩るロベリアは、和名がルリミゾカクシ、学名が Lobelia erinus。園芸的には1年草と扱うことが多いですが、原産地の亜熱帯では多年草。

ルリミゾカクシ

ルリミゾカクシと「ロベリア・ペドゥンクラータ」の花を間近に見て比べてみましょう。

次の画像をぜひご覧ください。ルリミゾカクシの大写し画像です。

L. erinus の瑠璃色のもの

このルリミゾカクシの画像を、次の「ロベリア・ペドゥンクラータ」の拡大画像とお比べになってみてください。

こういうふうに比べてみると、両者はかなり似ていますね。特に、花の中央の感じと、ツボミの出方。

2022.06.12撮影

うちにある「ロベリア・ペドゥンクラータ」が、原種(Lobelia pedunculata)か、ひとつあるとされる変種(Lobelia pedunculata var. Almanda Blue)か、あるいは、園芸種(Lobelia pedunculata ‘County Park’)か、はわかりません。うちのは、このように、先は尖っていても、丸みを帯びた花びらで、筋は、スミレ色。

ここまでの画像は、みんな、今年購入した新しい株で、南向きの庭に植えてあります。夏のうちは、こんもりと成長しました。花の終わった後は、ぐんと広がりました。

北側の庭には、前から別の株があります。南側の株のようにこんもりとは茂りませんが、元気です。ちゃんと花は咲いてくれます。そして、花が終わってからの方が、茎がよく成長して、葉が多くなります。この上を歩いても、平気。2枚続けて、花の時期のと花が終わってからのを、どうぞ。

2021.06.30撮影

2022.09.10撮影

南側のは、通り道にしているところまではみ出してきて、仕方ないので、その上を普通に歩きますが、それでも、次の画像程度にしか傷んでいません。確かに踏まれたというのはわかりますけど。

2022.10.19撮影

ところで、「ロベリア・ペドゥンクラータ」は、オーストラリアが原産です。それなのに、中国語の名前は、「新西兰半边莲」(簡体文字)、「新西蘭半邊蓮」(繁体文字)。意味は、「ニュージーランドのロベリア」。これ、いくらなんでも、オーストラリアに失礼じゃ?

新西兰半边莲

グランドカバーに使える植物について、1週間以上、6種について書いてきました。さらにグランドカバーについてはまたの機会に、ということにいたします。


コメント

モモバギキョウ、と呼んでいい?

2022年10月17日 08時15分00秒 | キキョウ科
2022.07.17撮影

学名 Campanula persicifolia
英名 Peach-leaved bellflower「桃の葉の形の葉をした鐘型の花」
和名 ないもよう
キキョウ科(Campanulaceae)ホタルブクロ属(Campanula

キキョウ(桔梗)科のうちでもホタルブクロ(蛍袋)属の種の和名を見てみると、
・〜ホタルブクロ
・〜ギキョウ
というのが、多いです。ですから、和名のないホタルブクロ属の種は、「ホタルブクロ」「ギキョウ」のどちらにしてもいいのだと思います。

属名からすれば、「〜ホタルブクロ」の方がいいのでしょう。でも、科学的な学名が決まる前に、ホタルブクロ属の各種は、民間で「〜ギキョウ」と呼ばれていたのですから、「〜ギキョウ」が間違い、という言われはどこにもありません。

どちらで呼ばれるかは、花の形に関係あるか、「〜ホタルブクロ」と呼ばれる方が細めのラッパ状で、「〜ギキョウ」の方がキキョウの形に近いのか、とも思ったのですが、そうでもないようです。


2021.06.21撮影

今日ご紹介の植物は、学名(Campanula persicifolia)にも、英名(Peach-leaved bellflower)にも、「桃の葉の形の葉をした」という形容が入っています。これをつづめて「モモバ(桃葉)」というのはいかがでしょうか。

そして、「〜ホタルブクロ」とするか「〜ギキョウ」とするかは、わたし個人で考えでは、この「モモバ」は、「ギキョウ」がいいと思います。「モモバギキョウ」。うん、れっきとした和名に聞こえます。

2021.06.03撮影

モモバギキョウ(仮名)(Campanula persicifolia)とキキョウ(Platycodon grandifloras)は、分布がはっきりと分かれています。モモバギキョウはヨーロッパが原産地、キキョウはヨーロッパから遠く離れた東アジアが原産地です。

以下の、イギリスの「王室植物園キュー」作成の、原産地の分布図をご覧ください。緑に塗られたところが原産地で、赤紫のところは導入から野生化に至った地域です。

(上のキキョウの分布図を見てみれば、東アジア原産のキキョウがヨーロッパのオーストリアだけでポツンと野生化しています。なんで??? キキョウを恋焦がれたオーストリア在住の日本人が、種子の密輸をして、野原にばらまいたんでしょうか。)

このように、この2種は分布がはっきりと分かれているので、Campanula persicifolia西洋のキキョウであると捉え、「モモバホタルブクロ」ではなく「モモバギキョウ」と呼んでいいと思うのであります。

2021.07.25撮影

上の画像は、軸が倒れているけれども、元気に咲いている個体です。「モモバギキョウ」は、なぜか、根が上へ、上へ、と上がっていく習性があり、そのために、根の部分がむき出しになって、そこから倒れてしまうのです。おまけに、花が多く咲くと、上の方が重くなって、倒れる原因にもなります。

上の画像に見える葉の形を、次のリンク先のモモの葉とお比べください。


次に、やや色調の異なる花をふたつ続けてどうぞ。メシベは、キキョウが5裂するのとは異なり、3裂します。

2022.08.14撮影

2021.07.28撮影

次は、マルハナバチ(Bombus)が潜り込んだところです。花粉がいっぱい花びらに落ちています。

2022.08.14撮影

白花のもどうぞ(下の画像)。

画像中の赤紫の小さい花の集まりは、キンギョソウ(金魚草 Antirrhinum majus)の親戚、リナリア・プルプレアLinaria purpurea)です。

2013.06.12撮影

上の画像の上半分には、白花のツボミがふたつ見えます。紫の花のツボミは、冒頭の画像の右下部分に見られます。3番目の画像に出ているツボミを、下に拡大してみます。


2021.06.03撮影

ツボミの形が、ホタルブクロ(蛍袋 Campanula punctata)のツボミのように「つぼんで」いますね。あ、しまった、それなら、「モモバギキョウ」ではなく、「モモバホタルブクロ」と命名するべきであったか。でも、開いた花の形はキキョウにそっくり。花の形をとるか、ツボミの形をとるか、、、


コメント

キキョウは、秋の花か?

2022年10月16日 03時47分25秒 | キキョウ科
2022.08.11撮影

今日の植物は、秋の七草のひとつ、キキョウです。

学名 Platycodon grandiflorum
和名 キキョウ(桔梗)
英名 Balloon flower「風船花」(ツボミの形状から)
キキョウ科(Campanulaceae)キキョウ属(Platycodon

キキョウ属を指す Platycodon という名称は、
・ギリシャ語から取り入れた新ラテン語 platy-(広がる>幅広の>平坦な)
・ギリシャ語のkōdōn(空洞>鐘)
のふたつの部分からなります。

「平坦な鐘」ってことはないだろう、と思うけど。ですから、ここでは、口の大きく開いた「幅広の鐘」という意味でしょう。花が開ききると、平たい、あ、なるほど、「平たい鐘」ですね、確かに。

Platycodon(英英辞典)

ところで、この platy- ですが、カモノハシ(鴨嘴 Ornithorhynchus anatinus)が英語で platypus と呼ばれます。
platy- が「平べったく幅広の」
pus が foot「足」
です。足とクチバシが平べったい動物(哺乳類)です。

platypus(英語語源辞典)

カモノハシの形状、等、については、以下の画像付きのナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)日本語版でお確かめください。英文を単に訳しただけのようで、ぎこちない和文ですが。

動物大図鑑 カモノハシ

2021.08.07撮影(1回目)

キキョウは「3回咲く」んですって。わけわからん!

終わった花を、切って取りのぞき続けていたら、1年に3回咲くのか? と思っていましたら、上の画像のように、まず、花びらが開くことを、1回目、と呼ぶそうです。この時、オシベとメシベはくっついたままです。

次に、オシベ5本がメシベから離れて、開きます(次の画像)。これが2回目の「咲く」だそうです。(画像は、同じ花ではないので、撮影の日付は前後します。)

2021.08.03撮影(2回目)

3回目は何か、と言うと、次の画像のように、メシベの頭柱が5裂します。これなら、オシベの「咲く」と違って、「咲く」と見えるよね。

メシベが「咲く」ころには、オシベは花粉を出し切って、枯れた状態です。これによって、自家受粉を避けます。いかんのよ、近親では。

新しく「咲いた」メシベはかわいく開いていますが、花びらは疲れてきていますね。色はきれいなままですが。

2022.08.14撮影(3回目)

わたしがよく参照するサイトのひとつに、「松江の花図鑑」というサイトがあります。ここでご紹介しても迷惑ではないと思いますので、ホームページを貼っておきます。

「松江の花図鑑」

管理人さんは、ご自分を「素人」だとおっしゃっていますが、ここまで研究なさっているのは、学者ではないかもしれないが、「玄人並み」だと思います。

このサイトについて

さて、その「松江の花図鑑」から、キキョウのページをどうぞ。

キキョウ(桔梗)

2018.07.18撮影

キキョウは、青紫のが一般的だと思いますが、白もあります。白のが野生種なのか園芸種なのかは、わたしは知りません。ピンクもありますが、それは園芸種??

草丈は、50〜80センチ前後ですよね? でも、園芸種には、矮小を通り越した極矮小としか言えないような20センチくらいのまであります。やはり、キキョウのスッと立ち上がった草の姿に慣れている目には、地上をはっているようなキキョウは異様に見えます。

上の画像は、わたしのつれあいがスマホでかんかん照りの真っ昼間に撮影したものです。あのなあ、自分の影が写ってまっせ。

2021.08.03撮影

で、キキョウは、秋の花? いや、夏でしょう。

上の8月最初の画像には、まだ黄緑の小さなツボミも写っていますが、これが咲いても9月にはならない。背景に写っている白い花は、花期の長いオカトラノオ(Lysimachia clethroides)。

オカトラノオと、トラノオ一族たち


コメント (2)