カラスといちごとクロッカスと

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個人の目をとおしてお届けします。

キレンゲショウマ、期待したようには

2023年10月04日 08時00分00秒 | アジサイ科

2020.08.27撮影

ああ、キレンゲショウマ(Kirengeshoma)。「1属1種」と言う触れ込みですが、それはウソで、本当は「1属2種」です。

学名 Kirengeshoma palmata あるいは Kirengeshoma koreana
和名 キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)
英名 Yellow waxbell「黄色の蝋の鐘」
アジサイ科(Hydrangeaceae)キレンゲショウマ属(Kirengeshoma


10年以上も前に手に入れ、最初はなかなか株が大きくならず、花もよくつかなかったのですが、2020年(上の画像)、2021年、に、株がしっかりとしてきて、花もよく咲いてくれました。うれしかったわ〜

それで、翌年の2022年(=去年)には、もっと期待していた。そうしたら、2本だけひょろっと出て、花はひとつしか咲かなくて・・・


今年2023年は、植わっているところを、恐る恐る、ず〜〜っと眺めていましたよ。レンゲショウマの芽が出てくるのは季節がかなり遅いのはわかっていたのですが、それでも、待ちわびながら、ダメか、ダメか、と。

すると、なんとか出てきた。

でも、、、1本だけ。その1本が30cmくらいまでしか伸びず、そのまんま・・・

9月には、ツボミがつくか、咲くか、と待っていましたが、わたしが8月に庭仕事中に脚立から落っこちて足の裏を強打し、、、


痛くて歩けず、救急病院にまで行き、


、、、「門外不出」となって久しく、怪我して大方4週間後にやっとなんとか歩けるようになって、庭に出て見てみると、、、

哀れな姿に。こりゃ、もう今年は咲かんよ。咲かないどころか、来年まで生きていてくれるのか。去年の期待も大きかっただけに、今、気分が落っこちていますわ〜〜

どうすればいいんだ。

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アナベルって、あたしのこと?

2023年07月12日 08時00分21秒 | アジサイ科
京都府立植物園のアメリカノリノキ「アナベル」
撮影者:Fritsmann2002
撮影日:2023.06.18
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」って、日本で人気があるような・・・

わたしは日本に住んでいないので、日本の情報はインターネットを使って得ているんですけど、ネット上でよく「アナベル」について書かれているのを見ます。

学名 Hydrangea arborescens ‘Annabelle’
英名 Hydrangea Annabelle
和名 アナベル(園芸種名から)
アジサイ科(Hydrabgeaceae)アジサイ属(Hydrangea

そして、このアジサイ属の植物は、日本では、園芸種名「アナベル」だけで呼ばれるんですね。わたしの見聞きしている範囲での英語圏では、この植物は、アジサイ「アナベル」、あるいは、アナベル・アジサイ、のような言い方で呼ばれます。

「アナベル」は、種的には、アメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)です。

アメリカノリノキは、アメリカ合衆国の東部から中部にかけて自生する、アメリカ合衆国の固有種。

「アメリカノリノキ」という和名は、中国南部、中国東部、朝鮮半島、日本、樺太に産するノリウツギ(Hydrangea paniculata)、別名、ノリノキ、に、原産地名の「アメリカ」をつけたものです。


アメリカ、バージニア州で野生で生えている、地元産のアメリカノリノキ
撮影者:Fritzflohrreynolds
撮影日:2012.05.24
オリジナルからの改変、なし

ノリウツギ、別名、ノリノキ
撮影者:Qwert1234
撮影日:2008.07.16
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」の出自を、いくつもの日本のサイトで調べたんですが、それらをつぎはぎにして短く記すと、次のようになります。

アナベル ‘Annabelle’ は、アメリカ合衆国固有種のアメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)の野生の変種(Hydrangea arborescens f. grandiflora)を品種化したもの。

アメリカノリノキ「アナベル」
冒頭画像の切り取り

もっと詳しい説明はないか、と調べつづけているうちに、挙句は、イリノイ大学(州立大学)のサイトまで行ってしまいました。見つけた記事は、大学の出している教育的内容の記事なので、出典さえ書けば、訳してもいけなくない、と思います。つまり、著作権侵害にはならないと思います。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
(The University of Illinois at Urbana–Champaign)
農業、消費、環境科学部
(The College of Agriculture, Consumer, and Environmental Sciences)

そこに書かれている「アナベル」の出生物語は、以下のとおり。

1.イリノイ州南部のアナという町で、ハリエット・カークパトリックという女性が、1910年に、土地の普通のものより格別大きい花房のアジサイ属の植物を見つけた。きれいなので掘り上げてうちに持ち帰って庭に植えた。そして、隣近所の人に挿し木を分け与えた。もらった人も他の人に分けて行ったので、この野生の植物は、イリノイ州の他の町にも広がって行った。

2.人々に人気があるので、カークパトリック夫人は、種苗屋に連絡し、商業化したらどうか、と提案した。が、そのときには、すでに、ヒル(名字)という人が、オハイオ州のイエロー・スプリングズで同様の野生種を見つけ、それを「スノーヒル」と名づけ(大規模ではないが)販売していた。

3.そのようにして、このカークパトリック夫人の発見したアジサイは、次の50年ほど(多くの人が知るような名前に)命名されることもなく、でも、地元では、口コミで、イリノイ州南部一帯に広がっていった。1935年には、(この記事のサイトを経営している)イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のあるアーバナにすでに至っている。

4.1960年代になり、イリノイ大学の教授で、有名な植物学者、ジョーゼフ・マクダニエル博士が、カークパトリック夫人の発見したアジサイがアーバナで栽培されていることに気づいた。彼は、そのアジサイがどこからきたか、アナの町までたどり、苗木を集め、栽培して増やし、その品種を「アナの町のべっぴんさん」という意味の「アナベル」と名づけ、1962年に商業生産に持ちこんだ。

そして、現在に至るわけです。

「アナベル」は、白が普通ですが、下の画像のように、ピンクの園芸種も存在します。

アメリカノリノキ「アナベル」と「ピンクアナベル」
撮影者:Praskacjohannes
撮影日:2015.06.30
オリジナルからの改変、なし

「アナベル」(Hydrangea arborescens ‘Annabelle’)の特徴をホンアジサイ(Hydrangea macrophylla)と比べてみると、「アナベル」は、
・装飾花が小さい
・花が装飾花の下に隠れるようにある
・葉の縁のギザギザがそれほど切れ込まない
・茎や枝の表皮が何層にもはがれる
など。

葉については、画像がはっきりしませんが、以下の2枚をお比べください。

 
2022.10.01撮影(ホンアジサイの葉)     アメリカノリノキ「アナベル」の葉
                       冒頭画像の切り取り


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マダムもアジサイ

2023年07月11日 08時00分00秒 | アジサイ科
2023.07.09撮影

うちには、アジサイが何本かありますが、昨日ご紹介した青いアジサイの横には、白いアジサイが植えてあります。上の画像をご覧ください。

昨日のアジサイも今日のアジサイも、「大きい葉の」「装飾花が半球状に咲く」アジサイです。でも、同じ園芸種の色違いではなく、異なる園芸種です。

昨日の青いのは、’Nikko Blue’「日光ブルー」、今日の白いのは、‘Madame Emile Mouillere'「マダム・エミール・ムリエール」。園芸種「マダム・エミール・ムリエール」は、100年前にフランスで作出されたそうです。どうりで、園芸名は、フランス語による命名です。

「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花(ガク)は白いですが、次の画像に見られるとおり、ガクの中央にある本当の花の花びらは水色です。オシベは、花糸(オシベの長く伸びた部分)が、花びらと同色の水色です。オシベの先の葯(やく)は、薄いクリーム色。

白い装飾花の上にちょこんと咲く水色の花は、かわいいです。

2021.07.02撮影

日本語で「アジサイ」と言うと、わたしが最初に思い描くのは、花が半円球状に固まって咲くホンアジサイです。

でも、実は、ホンアジサイは、日本原産のガクアジサイから、江戸時代までに、変化した、あるいは、作り出されたものです。つまり、ホンアジサイからガクアジサイが作られたのではなく、ガクアジサイの方が「原種」なわけです。学名をお確かめください。(なら、ホンアジサイを「本」アジサイなんて呼ばないでよね。)

ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis
ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla

ガクアジサイもホンアジサイも、属名と種小名 Hydrangea macrophylla は同じです。そして、その後に、品種を示す f. が続いて品種名が書かれます。この f. は、forma(英語の form)の略です。

ガクアジサイの品種名は normalis(英語の normal)「普通の、本来の」。ガクアジサイの方が「原種」であることを名前に反映した、と考えていいでしょう。

ホンアジサイの品種名は、種小名と同じ macrophylla「大きい葉の」。ホンアジサイは、ガクアジサイとは花の形状が異なるのが特徴であるのに、花については何も言及されていないのが、不思議なところです。

以下の画像は、ガクアジサイの例です。小さい本物の花が真ん中にほぼ平たく集まり、その周りを「額縁(がくぶち)」のように装飾花が取り囲みます。ガクアジサイは、額アジサイであって、萼アジサイではありません。

Hydrangea macrophylla f. normalis(ガクアジサイ)
撮影者:KENPEI
撮影日:2007.06.17
オリジナルからの改変、なし

なお、西洋アジサイは、日本のホンアジサイが江戸末期にヨーロッパに移入され、そこで品種改良されたものです。現代では、西洋アジサイが日本に逆輸入され、さらに品種改良が進んでいます。

以前は、西洋アジサイは、色だけで(例えば、赤)「西洋アジサイだろう」ぐらいまでは区別がついたものですが、最近では、何を区別の基準にしたらいいのでしょう。区別できない、というか、区別する理由も見つからないぐらい、交雑しているのだと思います。

昨日ご紹介した「日光ブルー」は、調べた限りでは、ホンアジサイのようです。でも、今日の「マダム・エミール・ムリエール」は、フランスで作り出された、という出自から、西洋アジサイに分類となるはずです。

以下、「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花と装飾花の中央につく花の変遷を辿ってみたいと思います。

 
2021.05.28撮影               2021.05.28撮影

左の画像は、「マダム・エミール・ムリエール」の若いツボミです。固く閉じたツボミが平たく固まっています。装飾花は発達を始めたばかりで、ツボミの塊の外縁にツンツンと出ています。この段階では、ガクアジサイのツボミと見かけは変わりません。

右の画像では、装飾花がさらに発達してきました。色は、濃いめの黄緑色です。

 
2021.06.03撮影               2021.06.15撮影

装飾花が、薄黄緑色の色を残したまま、白っぽくなってきました。装飾花は、まだ平たくは開いていません。でも、1枚1枚の縁がギザギザになってきました。中央の花のツボミは、まだ薄黄緑色です。

 
2022.07.06撮影               2021.06.25撮影

装飾花が、縁にギザギザを持ったまま、もっと白くなってきました。そして、開き方がより平らになってきます。花のツボミが、薄黄緑色(左の画像)からほぼ白(右の画像)になります。

昨日の「日光ブルー」の装飾花には、ギザギザがありません。以下とお比べください。

 
2021.06.25撮影               2022.08.04撮影

左の方が若い装飾花で先がやや尖っています。右の方が日数の経ったもので、装飾花の縁はほぼ滑らかです。いずれにして、ギザギザはありません。

「マダム」にもどります。


2022.08.04撮影

マダム・エミール・ムリエール」の装飾花は、上の画像のように青みを帯びることがあります。でも、装飾花の周りのギザギザの存在により、「日光ブルー」でないことがはっきりとわかります。

 
2022.07.17撮影               2022.07.17撮影

「マダム」は、装飾花が白くなると、次に、中央の花のツボミが青くなってきます。そして、装飾花のツボミの根本に当たるところが、ややピンクっぽい紫色になることがあります。

ここまで来ると、あとは、花が咲くのを待つのみです(今日の記事の上から2番目の画像に、花が咲いているのが写っています)。

花が終わると、花の部分のみが枯れ、次のようになります。その後、装飾花は「咲いた」ままで、バンクーバーの場合だと、秋遅くまで枯れないでついたままとなります。そのことについては、また、秋に。


2021.07.25撮影
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アジサイの花がやっと咲いた

2023年07月10日 08時00分00秒 | アジサイ科
2023.07.07撮影

アジサイの花がやっと咲きました。固くツボミを閉したままだったのですが、やっと開きました。わたしは、このアジサイの花が咲くのが楽しみなんです。

冒頭の画像では、真ん中にとらえられているのがほぼ開いたツボミ、その上や右に見えるボタン状のものがまだ閉じているツボミ。

そうです。アジサイの花の「花びら」に見えるものは、実は、花弁ではなく、ガクです。そして、その中央にあるのが花。この花がなんとも愛嬌がある。画像中では、カップ状に小さく見えるものが花弁、薄黄色く見えるものは、オシベの先についている葯(やく)です。

花のように見えて花でないものを、「装飾花」といいます。

次の画像には、上の画像のよりもう少し開いた花が、ひとつですが、見えます。画像中の他の花は、まだツボミです。

2022.10.01撮影

学名 Hydrangea macrophylla f. macrophylla ‘Nikko Blue’
英名 Bigleaf hydrangea「大きい葉のアジサイ」
別名 Hydrangea
和名 アジサイ(紫陽花)
別名 ホンアジサイ(本紫陽花)
アジサイ科(Hydrabgeaceae)アジサイ属(Hydrangea

このアジサイは、ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla)の園芸種で、その園芸種名を「日光ブルー」といいます。この「日光」は、太陽の光のことなのか、地名から来ているのか、わかりません。

「日光」と言えば、日本では、アジサイは日当たりのいいところで育てる、とされますが、カナダでは、アジサイは、午前中に陽が当たり、あとは、半日陰、あるいは、日陰がよろしい、とされます。

なんでこんなに食い違う? 日本の方が一般的には暑いから、太陽で過熱になってはいけないはずではないのか、というとんでもなく非科学的な考えが浮かぶのだが・・・


2023.07.03撮影

上の画像では、ほぼ真ん中やや左に、咲いている花があります。オシベだけしか見えませんが。ガクである装飾花の真ん中にある「ボタン」は、みんなツボミです。そのツボミが花弁で、この園芸種では、花弁もガクも、同じきれいな青色です。

でも、最初からこんな色なのではありません。色の変化をたどってみます。同じ「個体」の変化を記録したのではないので、撮影日の新旧は花の新しさに関係ありません。

なお、次の画像のいくつかは10月に撮影されたものですが、それは、この個体が、秋までも次々と新しい花をつけるからです。

2022.10.01撮影

上の画像の段階の装飾花は、まだあまり開いていません。装飾花(ガク)も、まだ小ぶりです。この緑のガクが、薄黄色に変化し、それから、その先が水色になってきます。以下の画像です。

2023.06.13撮影

そして、次には、きれいな水色が発色してきています(次の画像)。水色でない部分は、まだまだ、春キャベツのような色です。

2022.08.30撮影

その後(下の画像)、水色の割合が増え始めます。薄黄色さ、薄緑さ、が和らぎ、白っぽくなってきます。

2022.10.19撮影

装飾花がもっと成長してくると(次の画像)、色はほぼ水色になり、装飾花の中心部に白を残すのみとなります。文字通り、目が覚めるようですね。

2021.06.25撮影

ガクでできあがった装飾花の中央にある本物の花が咲き始めるころには、全体が、冒頭の画像に見られるようなきれいな青色となります。

そして、本物の花が咲いている時には、ガクが青さを増し、さらに、花が終わるころには、ガクはやや紫みを帯びてきます。次の画像中、茶色っぽくポツポツと見えるものは、終わろうとしている花です。

2022.10.01撮影

アジサイは、植えられている土壌が酸性かアルカリ性かにより、花の色が変わります。酸性度に傾くと色は青く、アルカリ度に傾くと赤くなります。

バンクーバーは、一帯、酸性土です。そして、そこに生きている植物は、その土壌に対応したものです。言うまでもありませんが。

わたしの庭の土も酸性です。引っ越してきたときに適切な植物を導入しようと、pHを調べました。それからコンポストや腐葉土を入れていますから、pHの度数は変わってきているとは思いますが、バンクーバーの野山に産する植物がよく茂っていますから、酸性であることには違いないんでしょう。

そして、この「日光ブルー」ですが、ある年、赤くなってきたことがあります。(上の画像中の赤っぽいアジサイは、この問題に関係ありません。この件については、またいつか。)

そんなことになるわけはない、何かしたか? と自問したのですが、すぐに原因がわかりました、推測ですけど。お隣の人が、芝生に石灰をまいたのであろう。迷惑な話である。と言っても、あちらはうちに大木がありすぎて迷惑だ、と思っているわけです。

上の画像のアジサイの右手後ろに見えている白い柵の向こう側ですよ、その芝生というのが。そのとき、石灰まいた? とやんわりと聞いて、アジサイが赤くなっちゃった、と言うと、それから石灰をまかれることはありませんでした。

お隣は、そのうち芝生の手入れをするのがイヤになって、芝生に薬剤をまくということを止めたので、こちらには好都合でした。こちらからお花が引っ越しして行っても何も言いません。以下の記事に、そのお隣の芝生に引っ越して行った「うちの」ビフォリアの画像があります(上から5枚目の画像)。


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オレンジもどきバイカウツギ

2023年06月24日 08時00分00秒 | アジサイ科
オレンジの花とオレンジの実
撮影者:Ellen Levy Finch
 撮影日:2004.03.23
オリジナルからの改変、なし

冒頭の画像は、「バイカウツギ」の花ではなく、オレンジの花と実です。なんで、実のなっているときに花が咲いているのか、知りませんけど。オレンジって、そういう植物なのかな??

で、なぜ「バイカウツギ」の話しをしているときにオレンジが出てくるか、と言うと・・・

「ルイスのバイカウツギ」は、英語で、Lewis’s mock-orange「ルイスのオレンジもどき」あるいは Wild mock-orange「野生のオレンジもどき」と呼ばれます。

Lewis’s「ルイスの」とつくのは、学名 Philadelphus lewisiilewisi 同じく、この花を「発見」した探検隊長のルイス(Lewis)のことです。wild「野生の」というのは、この植物が、北アメリカ大陸西部では普通に野生で見られるからです。

mock-orange「オレンジもどき」というのは、花が、甘いオレンジの花のような匂いであることを形容したものです。

ここで、はた、と思ったのは、英語圏で、みかんのことを Satsuma と呼ぶんですよね。温州みかん(Citrus unshiu)のことですけど。鹿児島県薩摩地方からアメリカに移入されたミカンが、Satsuma と呼ばれた。ここまでは、事実です。

ここからは、妄想。ミカンやオレンジの花のようないい匂いが、Satsuma という表現を想起させた。そして、それが、「日本のバイカウツギ」の学名 Philadelphus satsumi に使われた。

これは、まったく時代考証のなされていない、素人の戯言です。どうか、お忘れになってください。

2022.06.24撮影

わたしがカナダ、バンクーバーに移住して初めての初夏に、この白い花があちこちで咲き出しました。庭に植えてあるおうちも多いし、なんでもないところに生えている。

それで、周りのカナダ人の友だちに聞きましたよ、あれはなんだ、と。すると、あんなもの特別じゃない、どこにでもある、って。そう言って、まともに取り合ってくれなかったんです。

数年後、根掘り葉掘り聞いて、「なんであんなもんに興味があるんや」と言われつつ、やっと名前を探り出しました。それが、Mock-orange「オレンジもどき」という名前。その名前に、なるほど〜〜、と思いました。

そして、庭の自由に作れる家に移ったら、すぐに手に入れよう、と思いました。

そして、迎えたのが、この、ずっと画像をお見せしている園芸種。と言っても、野生のとどう違うのか、わからないぐらいですけど。

2022.06.24撮影

うちの庭の、園芸種の「ルイスのバイカウツギ」は、その名前を ‘Blzzard’「ブリザード(大風雪、大吹雪)」といいます。白い花がびっしりと木をおおう様子を「大吹雪」と言ったのでしょう。

うちのバイカウツギは、朝しか日が当たりません。それでも花はまあまあよくつきます。調べてみると、午前中だけ日が当たるのでいいことがわかりました。よかった。でも、もう少し当たった方がいいのだろうと思います。

その朝の光にあたった様子が次の画像です。オシベが多いのが、光との対比で、よく見えます。

2022.06.25撮影

わたしは、実は、このバイカウツギの剪定には苦労しています。徒長枝と変な方向に伸びている枝と古い枝は除くのですが、どうもうまく姿をまとめられない・・・

花がたくさん咲いているときにも、ちょっと切ります。水揚げをしないので、半日ほど家の中で匂いと姿を楽しむだけですけど。

2021.06.09撮影

上の画像は、ツボミがふっくらしたところ。

次の画像は、枝先の花が一斉に咲いているところ。なんかの生物が写り込んでいるのですが、見えますか。

2021.06.15撮影

「ルイスのバイカウツギ」は、アメリカ、アイダホ州の州花です。北アメリカ大陸西部では、野生で生えていますから、その州にもたくさんあるのでしょう。

アイダホ州

日本のバイカウツギ(Philadelphus satsumi)、および、他のバイカウツギ属(Philadelphus)の種について、以下で説明が見られます。よろしければ、どうぞ。

バイカウツギ 梅花空木


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ルイスのバイカウツギ

2023年06月23日 08時00分00秒 | アジサイ科
2022.06.15撮影

日本からバンクーバーに帰ってきたら、自宅の庭にこのバイカウツギ属(Philadelphus)の花が咲いていました。と言うか、盛りがやや過ぎてしまっていました。そんな状態でも、甘くて、たいへんいい香り。画像だけでなく、匂いもお届けしたいくらいです。

上の画像には、アリさんか何かも写りこんでいます。

学名 Philadelphus lewisii「ルイスのバイカウツギ」 
英名 Lewis’s mock-orange「ルイスのオレンジもどき」
別名 Wild mock-orange「野生のオレンジもどき」
和名 ないもよう
アジサイ科(Hydrangeaceae)バイカウツギ属(Philadelphus
原産 北アメリカ西部

この植物に和名はないもようなので、学名 Philadelphus lewisii から、ここでは「ルイスのバイカウツギ」と呼んでおきます。

2013.06.12撮影

「ルイスのバイカウツギ」と「日本のバイカウツギ」は、見た目に大きな違いはありませんが、別種です。

今日の記事に、日本のバイカウツギの画像は掲載されていません。姿をお確かめになりたい方は、以下のWikipediaの記事などでどうぞ。

バイカウツギ

学名 Philadelphus satsumi
和名 バイカウツギ(梅花空木)
日本固有種

「日本のバイカウツギ」は、学名を、Philadelphus satsumi といいますが、satsumi というのは、「薩摩の」という意味でしょうか。地名から来た種小名に -i がつくことはなかったと思うのだけど、わたしの勘違い? ・・・この satsumi は人名「薩摩」?? でも、地名と取る方が自然なような・・・

植物学名の性・・・語尾による性別の判断

2021.06.09撮影

「日本のバイカウツギ」Philadelphus satsumi「ルイスのバイカウツギ」Philadelphus lewisii、の「姓」の方(=属名)Philadelphus は、「兄弟姉妹を愛する、愛している」という意味です。でも、なぜこれがバイカウツギの属名に? 

Philadelphus (disambiguation) (英文)

一説には、Philadelphus(バイカウツギ)は、エジプトのファラオ、プトレマイオス2世に因んだ命名だそうです。この王は、母親が同じ姉を妻としたために、「兄弟姉妹を愛する」という意味の Philadelphos「ピラデルポス」という異名を与えられています。

でも、この説は、信じがたい。なぜなら、バイカウツギ属の分布は
・北アメリカ
・中央アメリカ
・アジア
および、
原産ではなく、18世紀終わりまでに、日本から移入され、帰化したもようの
南東ヨーロッパ(全域ではなく)
であって、エジプトには産しないからです。

Philadelphus(英文+画像)

2022.06.18撮影

では、学名 Philadelphus lewisii の「名」の方(=種小名)lewisii はどうでしょうか。種小名の最後に -ii がついていたら、その前の部分は人の名前です。つまり、lewis は人名なのです。

実際、「ルイスのバイカウツギ」は、「ルイス・クラーク探検隊(発見隊)」によって、白人によっては初めて採集されたのだそうです。なんでも白人が「初めて」見たら、「発見」ですからね。アメリカ大陸発見、みたいに。

200年ちょっと前、ルイス(Lewis)とクラーク(Clark)によって率いられた白人の一隊が、北アメリカ大陸東部から、北アメリカ大陸中部を通り、北アメリカ大陸西部に探検に行ったんだとさ。すると、今まで見たことないもの、いっぱい見つけた。発見に発見が続いた。

お、この白い、いい匂いの花はなんだ。オレンジの花みたいな香りがするなあ。ほんと、いい匂いだなあ〜〜

と、その植物も、
>> 全178種に及ぶ植物
のひとつになったのであります。

ということで、この北アメリカ大陸西部で「発見」されたバイカウツギは、「発見隊」の隊長の名前を取って「ルイスのバイカウツギ」と名づけられました。

ルイス・クラーク探検隊

明日につづく。


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キレンゲショウマが・・・ ⑵

2022年10月19日 11時14分44秒 | アジサイ科
2021.09.22撮影

今日の記事は、昨日の続きです。


うちのキレンゲショウマは、花弁がこれくらいしか開きません。でも、インターネットでは、もっと開いているのも見る。これが気がかりで、さらに探索を続けました。

次の、「ミズーリ植物園」のサイトで見つけました画像をお比べください。

Kirengeshoma palmata「キレンゲショウマ」:冒頭の画像

Kirengeshoma koreana「チョウセンキレンゲショウマ」:ページ下に並んだ画像

「ミズーリ植物園」koreana の記事の方には、「花が開き切るということは決してない(Flowers never fully open.)」と書いてあります。それなら、うちのは、「palmata キレンゲショウマ」ではなく「koreana チョウセンキレンゲショウマ」である可能性があります。

でも、以下では、両者を区別せずに「キレンゲショウマ」としておきます(いずれにしても、キレンゲショウマ属ですから)。専門家でも横に並べて比べないと、わかりにくいそうです。

2021.09.22撮影

上の画像は、冒頭の画像の花を横から撮影したものです。

花びらを指でそっと上下に挟んでみると、肉厚感があります。花弁の外側は、やや凹凸がある程度。でも、内側は、魚のエラみたいに(たとえが花に似つかわしくないでしょうか)、ひだひだが並んでいます。このひだの「高さ」により、花びらが数ミリの厚さになります。花びらの外縁に向かっては、薄くなっていきます。

この2021年の画像の、向かって右の花を拡大してみます。

2021.09.22撮影

オシベは15本、メシベは3本なんだそうですが、この画像からは、はっきりとは読み取れません。オシベが14本ぐらいは見えるかな?

花をやや下から見上げて撮影した2020年の次の画像もご覧ください。

2020.08.27撮影

こちらの画像の方が、花弁の厚さが感じ取りやすいかもしれません。

真ん中の花を拡大してみます。

2020.08.27撮影

こちらのオシベは、花糸(かし)が赤っぽいです。ふたつ前の画像では、黄色っぽい。光線のあたり具合は似ているはずなので、この花糸の色の違いがどうして起こっているのかは、わかりません。花が開いてすぐかどうかによるのかもしれません。

花糸の先につく葯(やく)も少々異なって見えますが、わたしには、何がどう、と判断できません。なお、撮影日時は判断の材料になりません。キレンゲショウマ(palmata だろうが、koreana だろうが)は、ツボミの数のつきがよければ、1ヶ月ほど、次々と花を咲かせるので。

>> 雄蕊(雄蘂、ゆうずい、英: stamen)は、被子植物の花を構成する要素の一つ。一般的には「おしべ」といわれ、花粉を入れる袋状の葯(やく)(anther)と葯を支える棒状の花糸(かし)(filament)という部分で構成される。


キレンゲショウマのメシベが3本、というのは、ガクを残して花びらとオシベが散ってしまったのを見れば、はっきりとわかります。次の画像をご覧ください。

2021.09.27撮影

2020年、2021年、と株が大きくなり、花もよく咲いたので、今年は、もっと花盛り、と期待をふくらませていたのですが・・・ダメだった。

ほぼ壊滅的。ひょろっとしたのが2本出ただけ。ツボミをつけたのは、その1本だけ。そのツボミのうち、咲いたのは1個だけ。その1個も咲いたのを見ないうちに散っちゃった。

考えられる原因は、
・周りの木々がますます大きくなり、陰になりすぎた
・バンクーバー市の散水制限で、わたしの水やりが足りなかった
・土の酸性度が不適であった
・アライグマが行き来して、掘り返した


来年はどうなるのか。植物は失っていく場合もある、ということを受け入れなくてはならないのか。実際、たくさんなくしてきたし。

ところで、お隣の庭づくりをするおばさんに、去年、きれいに咲いたうちのキレンゲショウマを「見て、見て」と言って見せていると、「これ、うちにあるのと同じだと思うよ」って。

うっそ〜〜、わたしは、バンクーバーでキレンゲショウマを育てているたったひとりの人間のはずだったのだが、お隣で?

おまけに、おばさんは、陽の当たるところで育てている。両腕でひとかかえ以上の大きな株。葉が色をやや失っていてカサカサしていて、花もあんまり水気がなくて、わたしには美しく見えないけど、育っているという事実は揺るがない。なんで隣ではよくて、うちではダメなのよ。

キレンゲショウマは、水やりを上手にすれば、陽の当たるところでもよく育つ、と、イギリスの有名な園芸家が書いてあるのを読みました。(この英文の記事は、昨日もご紹介しました。)


今年、うちのキレンゲショウマの惨状をお隣のおばさんに訴えていると、株分けしてくれる、って。でも、この人は、そういうことを言うばっかりで、くれたためしがない。あのお家の庭には、珍しい植物がたくさん植わっている。

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キレンゲショウマが・・・ ⑴

2022年10月18日 06時10分16秒 | アジサイ科
2021.09.02撮影

いつもの植物屋さんへ行った時のこと。日陰用の植物の区画に、Kirengeshoma と大書され、大きな写真もつけられた鉢が、ひとつ。

あ、キレンゲショウマだ。前々から興味があったのですが、まさか、バンクーバーで販売されているとは思わなかった。

手に入れたいのは、山々、でも、その株の小ささ、弱々しさ、お値段の高さ、に加え、育てられる自信もなかったのです。それで、どうしたものか、と佇んでいると、店員さんがやってきて、この植物は特別ですよ、と言うのです。

わたしは心の中で「なあ、なあ、売らんかな、でしょ」とは思いながらも、キレンゲショウマって、1属1種じゃなかったっけ、それも、日本の限られた場所が原産の、それをバンクーバーで育てていたら、やっぱ、すごいよね、と思って、出費をグッとこらえて、不安をかなぐり捨て、キレンゲショウマさまにうちに来ていただきました。それが、10年以上も前。

2020.08.27撮影

最初は、なかなか株が大きくならなかった。花もよくつかなかった。ひとつ、ふたつ、花が咲くと大喜びした。キレンゲショウマは、冬が過ぎた後、芽が出てくるのがかなり遅いので、毎年、心配なんですよ〜〜

それが急に大きく変わったのが2年前。上の画像のように、葉も立派になって、1本の茎に10個前後の花がつきました。うれしかったわ〜〜。

花茎が葉の付け根から出てきますね。そして、その先が分れて、花茎の末端に花が2〜3個つく。花は、多くは、横向きか、うなだれて咲きます。

上から眺めると、次の画像のような感じです。

なお、次の画像中、左手にある大きい葉は、Rodgersia aesculifolia「栗の葉のヤグルマソウ」の若くはない葉です。ここでは、もう、若い時の大変美しい色は失っています。


2021.09.02撮影

2年前に続き、去年も、花がよく咲きました。

上の画像では、花がひとつ、全開のやや手前に咲き、他に、ツボミがたくさんついています。

ツボミは、一度に発達せずに、順番に小さいつぶつぶのが大きくなっていきます。以下の拡大画像で、そのちい〜〜っちゃい米粒以下ぐらいの大きさのをご覧ください。5〜7つぐらいありますか〜〜

2021.09.02撮影

学名 Kirengeshoma palmata
和名 キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)
英名 Yellow waxbell「黄色の蝋の鐘」
原産 日本、中国東部
アジサイ科(Hydrangeaceae)キレンゲショウマ属(Kirengeshoma

キレンゲショウマは1属1種と何度も聞かされましたが、よく調べてみると、そうじゃない。1属2種です。わたしはだまされていたんだ。他にもだまされていた人、いますか〜〜

学名 Kirengeshoma koreana「チョウセンキレンゲショウマ」
原産 朝鮮半島
アジサイ科(Hydrangeaceae)キレンゲショウマ属(Kirengeshoma

Kirengeshoma(英文+画像)

両者ともちゃんと学名がついているところを見ると、別種であって、亜種じゃないんでしょう。イギリスの有名な園芸家のサイトによると、palmata は1890年(Yatabe)に、koreana は1935年(Nakai)に、同定されたそうです。


2021.09.08撮影

ツボミがもっとふくらんでくると、上の画像の一番手前のような形になります。この画像では、成長度の異なるツボミがいろいろな形になっているのが、見えます。ほぼ丸いのとか、もうちょっと長いのとか。ピロっと出ているのは、花びらが散った後のメシベです。

ツボミの花びらが成長すると、次のようになります。花びらに厚みが出てくるのが感じられます。

2021.09.18撮影

花びらがほころびかけました(次の画像)。

2022.09.15撮影

次は、それを花の正面から見たもの。

2022.09.15撮影

花が開くと、次のようになります。

うちのはこれくらいしか開きませんけど、インターネット上の画像を見ていたら、これより開き方のやや大きいのもありました。

2021.09.22撮影

明日に続く。

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