2023.04.14撮影
今日は、わたしのお庭から、もうひとつスミレをご紹介します。ひとつめとふたつめの記事は、
「ラブラドール」 「リヴィヌス」 (今日のスミレ)
冒頭画像と上では右端のが、そのみっつめのスミレです。「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」とは、趣が異なりますね? 花びらの開き具合、ボカシ、また、紫条がほぼないこと。
学名 Viola × scabra(Viola hirta × Viola odorata)
英名(不明)
英名(不明)
和名(不明)
今日のスミレは、英名も和名も不明なので、学名から、暫定的に「スカブラ・スミレ」と呼んでおきます。
この「スカブラ・スミレ」は、ヨーロッパの、主に温帯地域が原産です。
自然交雑種で、Viola hirta(和名:不明)と Viola odorata(ニオイスミレ)を親種とします。交雑種であることは、学名に「×」で反映されています。Viola hirta と Viola odorata の姿は、次のリンク先で見られます。写真がたくさん掲載されています。
2023.04.10撮影
「スカブラ・スミレ」の学名の Viola × scabra についている種小名 scabra は、属名の Viola を修飾する形容詞です。scabra は scabro の女性形(scabro は男性形です、つまり、男性形が基本形と扱われます)。
scabro の意味は、Wiktionary によると、
1. rough, coarse, uneven(粗雑な、粗野な、一様でない、でこぼこの)
2. concise, terse(簡潔な、そっけない)
でも、なぜ、そんな意味の形容詞が? 考えられる理由は3つあります。
このスミレの
・花は、「ぱっちり」と咲かない
・葉は、表面にでこぼこがある
・葉は、縁取りが、ギザギザではなく、丸く段々となっている
2023.04.14撮影
さらに、距(花の後ろに突き出た筒のようなもの)をご覧ください。「ラブラドール」と「リヴィヌス」は、距が白いです。でも、「スカブラ」(とその親種2種も)の距は、白くありません。
でも、「ラブラドール」「リヴィヌス」「スカブラ」と、「スカブラ」の親種2種には、スミレの分類上の共通点があります。
・有茎種(葉柄が直接地上から出ない)
・惻弁有毛(両側に開く花弁にブラシのような毛がついている)
スミレの分類(これは、前にもリンクしました)
2023.04.10撮影
上の画像でも、葉の表面がでこぼこなのが見えます。距が白くないのも見えます。
でも、ここでは、右側の花をご覧ください。花の中央にオレンジ色のものが見えますね。そこから突き出している白っぽいものが、メシベです。そして、オレンジ色のものは何かというと、オシベにくっついている「付属体」。
「付属体」って、なんや? 前から気になっていた。それで調べてみると、
>> 特に名前をつけるほどではないもの
につけられた名称だとか。ほんまかいや。
植物用語事典
それでは、改めて、上の画像と冒頭画像で、花の微妙な色合いとボカシ具合いをお楽しみください。次の画像でも、そのボカシがきれいに入っています。また、オレンジ色の「付属体」も見えます。
2023.04.14撮影
実は、「スカブラ・スミレ」の色は、このような色ばかりではないようです(親種にも色の幅があるように?)。「スカブラ・スミレ」の写真を次のリンク先で見ることができます。そこでは、唇弁に紫条が少し出ている個体も挙がっています。