カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

キウイには性別があるのか

2022年09月30日 17時23分07秒 | キウイ
2013.06.12撮影

キウイ(Actinidia deliciosa)の花です。葉と枝の下に垂れるように咲きます。これは、ですから、下から見上げて撮影したものです。

うちにはキウイの木が4本あります。雄株が2本、雌株が2本。

雄株に雄花が、雌株に雌花が咲くんです。それとも、雄花が咲くのが雄株で、雌花が咲くのが雌株、なんでしょうか。これは同じことを言っているのかな?

とにかく、うちには、雄株と雌株が2本ずつあるんです。

冒頭の画像の花は、雄花だと思われますか、雌花だと思われますか。それを確定するのに、次の画像をご覧ください。まだ、花が若い時の状態です。

2021.06.04撮影

オシベばっかりでメシベが見えませんね。ですから、これは、雄花です。

次の画像も雄花なんですが、オシベが疲れてきていますね。マルハナバチ(丸花蜂 Bombus)が花粉を求めてたくさん訪れてくれた後の姿です。マルハナバチさんたちは、脚を花粉だらけにして飛び立っていきます。ミツバチ(蜜蜂 Apis)はあまり来ません、花にミツがないので。

2021.06.04撮影

次は、雌花がふくらみかけた状態です。雌花が咲くのは、雄花が咲き終わるころか、咲き終わってからです。

咲く時期がずれていて、どのようにして受粉するのでしょうか・・・雌花が咲くのを遅らせるのは、よその木からの受粉を促す方策だそうですが、雄花と雌花は別々の木に咲くので、この理屈がわからない。

それと、ある地域で雄花が一斉に先に咲いて、それが咲き終わってから雌花が開くと、一体どうなるのだろうか、と毎年思います。

園芸種としては、自家受粉するのもあるそうですが、基本は、雄花と雌花が必要です。

ただ、うちみたいに2本ずつなんて贅沢をすることはなかったみたいです。3〜8本の雌株に対し、1本の雄株で十分だそうです。これを一夫多妻の極みと見るか、あるいは、雄株の価値が低いと見るか・・・

2021.06.17撮影

雌花がだいぶん開くと、次のように、メシベが見えるようになります。特徴的ですね。

この白いメシベの周りにある黄色いオシベみたいなものは、偽オシベです。これは、マルハナバチを呼び寄せるためのもの。マルハナバチが雄花から集めて脚につけた花粉をメシベに残していってもらうためのものです(だから、花期をずらす、というのはどういうこと??)。偽オシベの偽花粉は、栄養分がないそうです(ちょっと、それはひどいんじゃない?)。

2021.06.17撮影

次の画像も雌花ですが、この段階でもすでに、後に果実となる子房がはっきり見えます。白いメシベと偽オシベの間の、やや縦長の球形のものです。

2021.06.17撮影

雌花が開いて、偽オシベが乾いてきたころが、次の画像です。子房が真横から見えます。この子房は、花びらが落ちるとすぐに成長を始めます。

2021.06.17撮影

実際、キウイの雌花に受粉させるのは難しいそうです。うちでは特に今まで問題はなかったと思っているのですが、問題があったけれども知らなかっただけかもしれません。

キウイの栽培農家は、雄花から花粉を採集し、雌花に吹きつけるところもあるそうです。わたしも、うちのキウイを購入したときに、植物屋さんで、キウイフルーツがならないようなら花粉を採集して受粉させるように、と言われました。

キウイの果実であるキウイフルーツについては、明日、お話しします。

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コバエには、学習能力があるか

2022年09月29日 06時11分06秒 | 昆虫、その他
2021.09.19撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

コバエはどこからともなくわいてくる、、、

のではなく、人間が窓や扉を開けた時に屋内に入ってくるわけですが、それにしても、気温が上がると突如として無からわいてくるように感じます。それも、大量に。そして、一旦入ってきたコバエは子孫を残し続ける、、、

でも、「コバエ」という種があるわけではなく、「小さいハエ」をわたしたちは「コバエ」と呼んでいるだけ、、、

9月に入って、(コスモスも咲き、)コバエの数は減ったと思いますが、いかがでしょう、みなさんは、コバエと上手くお付き合いをしていますか。

2021.09.19撮影(冒頭の画像の拡大)

わたしのうちでは、草抜きした草や、剪定した木々の枝、落ち葉、などとともに、生ゴミをコンポストにしています。生ゴミが出るたびに、その生ゴミを外へ持ち出せばいいわけですが、やはり、ナマケモノのわたしはそんなことはしないわけです。

家の中に生ゴミが1ヶ所にまとめられているんですが、コバエさんたち、それを見つけて、楽しそうですよ。バナナの皮なんかがあると、もう、パーティー並みです。

そんなのではナマケモノも困るので、

ちょっと、待って、なぜ困る? コバエは実際に人間に被害を与えるのか?

コバエもハエなので、ハエで調べてみると、害虫でもあり益虫でもあるそうです。が、多くの場合、害虫。不快、汚い、バイキンだらけ。

2021.08.25撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

うちにやってくるコバエさんたちを見ていると、食べ物、生ゴミだけでなく、人間の口が当たっていたカップの縁にもとまっています。う、洗お!

そして、わたしは発見したのであります。コバエさんたちは、なぜか、休憩中には、カップ類の縁も含め、ものの角(かど)に止まっているんです。

記事の最後に載せます画像をご覧ください。ムシがお嫌いな方は、見ないでください(ここでは、代わりにコスモスを見て、記事の最後の画像は見ないでください)。

2021.08.25撮影(前の白いコスモスの画像の拡大)

ちっちゃな点は、コバエさんですよ。コバエさんが、窓枠の出っぱったところにとまっているところ。羽と脚が見えますでしょうか。はっきり写っていませんけど。

冷蔵庫の角、電子レンジの角、食器棚の角、換気扇の角、どこでも角にとまっています。なんでだ〜〜〜! 足の起き具合が楽なのかしら。そして、危機回避のために素早く飛び立つには、そのような体勢がいいのか?

でも、ものの角に止まっている、ということがわかってからは、こちらには、ある考えが、、、ハエをパッチンこしようなどと考えるのは、労力のムダ。わたしが引っ張り出したのは、掃除機。

掃除機の横広の吸い込み口を、コバエさんたちのとまっている斜め上から近づけます。わたしも、試行錯誤した後に、そこまで学習したわけですよ。

さっと動かすと空気圧の違いを感じるのでしょう、逃げるので、ゆっくり目に近づけます。一定以上近づけると、視界にものが入ってくるのでしょう、コバエさんが飛び立ちます。飛び立ったが最後、すぐそばにかざされている掃除機の気流に吸い込まれます。

中には、脚が丈夫なのか、あるいは、ここで飛び立つと最後、とわかっている賢いコバエさんなのか、なかなか飛び立たないコバエさんがいて、その場合は、ちょっと掃除機の吸い込み口を動かして「威嚇」します。すると飛び立ってくれるので、これまた、気流の彼方へ。

最後の画像では、コバエさんは横向きに止まっていますが、大方のコバエさんたちは縦向きに、頭を上にして止まります。ですから、斜め上から掃除機を近づけるのがいいのです。まさか、後ろ向きには飛び立てまい?

ただ、飛び立った後うまく逃げるのがいて、そいつら(失礼、コバエさんたち)は、掃除機を動かして後追いしても、空気の流れがなんらかの形で拮抗するのか、全く吸い込めません。

2021.09.19撮影(コスモス:記事の内容に全く関係ありません)

コバエさんの多い時期には、このような掃除機大作戦を、コバエさんたちが活動を鎮める夜に数回行います。すると、、、

最後の最後まで残っているコバエさんたちが、逃げ切るんですよ。掃除機が近づくと、さっとあらぬ方へ飛んでいってしまう。何回格闘しても、どこ?? と見えなくなる。

一体、この、かわし身のうまいコバエさんたちは、なぜそんなことができるのでしょうか。無数の仲間たちが無言で吸い込まれていったのに。

このコバエさんたちには、学習能力があるんでしょうか。学習能力があるために、掃除機を回避する技能を身につけたのでしょうか。

心なしか、飛び去り方に迷いがなく、元気です。それか、単に体力的に勝るだけ?


2022.08.24撮影

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小坊主にも、子ができる

2022年09月28日 07時56分15秒 | オトギリソウ科
2021.07.04撮影

昨日(9月27日)は、コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)の、ツボミと花と苞葉と葉をお見せしました。今日(9月28日)は、昨日の続きで、果実を見てください。

和名 コボウズオトギリ(小坊主弟切)
英名 Tutsan
学名 Hypericum androsaemum
オトギリソウ科オトギリソウ属

果実は、冒頭の画像のように最初、薄い黄緑です。緑のオリーブみたいだなあ、と想像してしまいます(果実を見ると、わたしは食い気が勝る)。3本シッポがついています、折れて欠けていることはありますが。このシッポは、メシベの先が3本に分かれていたものです。

もう少し熟してくると、次の画像に見られるように、薄茜色に色づいてきます。やはり、3本、シッポが見えます。

画像中、焦点の当たっていない背景に写っている果実もご覧ください。その果実の左側に、花びらが1枚と、さらに、果実にくっついたままのオシベがあります。

それにしても、苞葉の果実に近いところが、なぜ白色に??? 気になり出すと、緑のオリーブの方(前の画像)も、面積こそ小さけれ、白いところがあります。

2022.07.06撮影

もう少し果実が熟すと、薄紅色になります。苞葉に、やはり、白い部分が見えます。画面右下に見える葉は、カタバミ(Oxalis)の1種です。

2022.08.13撮影

果実が熟してしまうと、次の画像のように、やや鈍い光沢のある、真っ黒な実になります。これは、またもや、黒いオリーブを思い浮かべました。大きさは、オリーブの方が大きいですけど。そして、やはり苞葉に白いところがあります。

2022.08.26撮影

コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)の種小名 androsaemum の andro は「人、人間」、saemum は「血、血液」という意味です。樹液が赤いことから「人間の血のような」という名前になりました。

英名の Tutsan は、フランス語の toute(みんな)、saine 「健康な」、からきています。この植物も古来から薬草として使われてきました。みんな健康でいられる、どんな病気にも効くよ、ということです。日本語的にいうと「医者いらず」みたい?

コボウズオトギリの場合は、特に、その根が使われます。セイヨウオトギリが、地上部を刈り取って使われるのと対照的です。

果実の方ですが、コボウズオトギリの実が食べられる、という記述は見つけられませんでしたから、食べない方がいいみたいです。

以下の画像は、雨の中の、開いた花ひとつと、ツボミみっつ。特にツボミが金平糖(コンペイトー)みたいだなあ、と思いました(わたし、古いですか)。

金平糖

2013.06.12撮影

わたしの庭には、セイヨウオトギリと同じように、コボウズオトギリも、招いたわけではないのですが、おひとりでやってきてくれました。そして、程なくして、もうお一方、いらっしゃました。

セイヨウオトギリは見た目は「雑草」ですが、コボウズオトギリは、人間の作る庭にうまく溶け込んでくれます。花のオシベ、葉の色の変化、実の色の変化、全草の姿、が目を楽しませてくれます。園芸種のヒペリカムのような、派手な大きな真っ黄色の花とは異なる趣です。

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このオトギリソウは、小坊主

2022年09月27日 11時52分03秒 | オトギリソウ科
2013.06.12撮影

和名 コボウズオトギリ(小坊主弟切)
英名 Tutsan
学名 Hypericum androsaemum
オトギリソウ科オトギリソウ属

この植物は、日本語版Wikipediaでは、オトギリソウ属の代表的な種の最初に挙げられています。初めだからと言って特に代表的だ、ということではなく、種小名 androsaemum が「a」で始まるので、ABC順で最初になっただけです。

オトギリソウ属(Hypericum)

今日(9月27日)取り上げているコボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)は、昨日(9月26日)取り上げましたセイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)と同じく、オトギリソウ属の植物です。

オトギリソウ、西洋の

今日のコボウズオトギリと、昨日のセイヨウオトギリの違いは、いろいろありますが、最も大きな違いは、セイヨウオトギリは、茎が基本的には上に伸びるのに対し、コボウズオトギリは、枝をほぼ水平に出し、重みで下向きになることです。

それと、セイヨウオトギリの葉は、いかにも「草」という感じですが、コボウズオトギリの葉はもっとしっかりしています。そして、葉の周辺が赤いです。

次の画像は、昨日もお見せした、セイヨウオトギリの草姿です。

2022.07.06撮影

コボウズオトギリの方が、セイヨウオトギリより、花はきれいですよ〜〜。オシベが長いのはもちろん魅力ですが、その上、コボウズオトギリには、セイヨウオトギリの花びらにあるような黒点と黒い筋がないんです。筋は確かに入っていますが、透明で、そのため、全体がきれいな黄色に見えます。

以下のリンク先へどうかお出かけになり、花の写っている画像をクリックし、拡大してお確かめください。

Hypericum androsaemum(英文+画像)

次の画像は、いかがでしょう。赤いのは、果実ではなく、ツボミです。花弁自体は黄色いのですが、オレンジ色のストライプが入っていて、このように赤く見えるのだそうです。花びらが、ちょっとわかりにくいかとは思いますが、5弁あるのが見えます。

2022.06.21撮影

次もツボミですが、ガクのようにも見えるツボミ周りの葉「苞葉」が赤いですね。苞葉がなぜこんなに赤いのか、わたしは知りません。同日撮影の直前の画像には、緑色の苞葉もあるのに。

2022.06.21撮影

コボウズオトギリは、苞葉も赤くなったりしますが、葉が若い時、裏側がワインレッドのような赤です。次の画像をご覧ください。

2022.04.11撮影

また、最初は、一番上の2枚の葉が合わさって、合掌しているように見えます。

2022.04.24撮影

明日は、コボウズオトギリの果実をお見せしたいと思います。

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オトギリソウ、西洋の

2022年09月26日 19時00分03秒 | オトギリソウ科
2021.09.08撮影

オトギリソウ(弟切草 Hypericum erectum)は、日本を含む東アジアに分布します。「弟切」という恐ろしい名前の由来については、次のWikipediaの記事をご参照ください。


冒頭にお見せした花は、「東洋の」オトギリソウのものではなく、セイヨウオトギリ(西洋弟切 Hypericum perforatum)のものです。花の右下の茶色いものは、果実です。

わたしの庭(カナダのバンクーバー)に自ら生えてきたもので、はあ、これが例の「セイント・ジョンズ・ワート」か、とつくづく思いながら、増えてくれるのに任せてあります。

学名 Hypericum perforatum
英名 Common St. John's wort「コモン・セイント・ジョンズ・ワート」
和名 セイヨウオトギリ(西洋弟切)
オトギリソウ科(Clusiaceae)オトギリソウ属(Hypericum)

英名の Common St. John's wort というのは、「聖ヨハネのありきたりな薬草」という意味です。オトギリソウ属の多くの種が、St. John's wort に何かを冠して呼ばれます。wort「ワート」というのは、「黄色い花の咲く薬草」という意味で、なぜ黄色がわざわざ他の薬草から区別されるのかは、わたしは知りません。「聖ヨハネ」を英語では St. John と言います。


属名の Hypericum ですが、これから取った「ヒペリカム」というのが、日本で園芸上の流通名として使われています。学名を本来の古典ラテン語式に読めば、「ヒュペリクム」です。


野草であるセイヨウオトギリの花は、1インチ(2.5センチ)ぐらいしかなく、園芸種の花のような大きさや派手やかさはありません。むしろ、汚らしい感じも受けます。それは、花びらに点がポツポツとついていて、その上、縦線も入っているからです。

次の雨に打たれた花の画像の方が、冒頭の画像でより、点と線がわかりやすいと思います。右下の終わった花で花びらがよじれているのは、黒い線がもっとはっきりと見えます。

2022.07.17撮影

葉にも、点々があるんですが、白い点と黒い点があります。白い点のところには油分があり、黒い点のところには色素があります。この黒い点のところがつぶされると、赤い色素が出てきます。この赤い色素が「血」として、使徒ヨハネに結びつけられたらしいです。


セイヨウオトギリは、また、ツボミや果実をつぶせば、赤っぽい、あるいは、紫っぽい液体が出るそうです。わたしはまだ試していません。開いた花では出ないそうで、それは、なぜ??

次の画像で、葉の点々(白と黒)をお確かめください。白い点の方が多く、黒い点は、主には、葉の外縁の方にあります。また、右下のツボミの黒い線もご覧ください。

2022.07.17撮影

以下の画像は、花が次々と咲く様子です。

2022.07.17撮影

セイヨウオトギリは、地上部分を刈り取って、乾燥させて、お茶や薬草にします。カナダでは、サプリメント類を扱う店で St. John's Wort としてよく売られています。

効能の程は、世界各地の種々の研究結果が相反しているようです。セイヨウオトギリは、他の古来からの薬草と同じように、多種の効能が挙げられますが、その中でも鬱状態を緩和するのに有用だとされます。

以下の画像は、その全草の様子です。葉の色がきれいです。

2022.07.06撮影

花と果実をもう一度どうぞ。果実は、冒頭の画像のより、青いです。また、花弁よりも長いぐらいのオシベが、華やかと言えば、華やかです。

2021.07.25撮影

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かわいい、ハートの、シラタマノキ

2022年09月25日 06時19分36秒 | ツツジ科
2021.05.25撮影

かわいいハートのお花です。ほんとは、1センチ、ありません。毛だらけですが、それは、拡大したのでそう見えるだけで、肉眼で見える大きさではもっとかわいいです。ハートっぽい形と上の赤いところをしっかりお見せしたく、大きくしました。花の軸まで白く、毛の色が場所によって違うのがおもしろいですね。花の下縁が外へ反り上がっています。

元の画像でお見せすると、次のようになります。あはは、一度気づいてしまうと、これでも毛が見えますね。

2021.05.25撮影

学名 Gaultheria shallon
和名(シラタマノキの1種)
英名 Salal「サラール」
ツツジ科(Ericaceae)シラタマノキ属(Gaultheria

サラールの花って、、エリカ(Erica spp.)に似ていませんか。

エリカ・ペジザ
別名:コットンヒース

次の花はどうでしょう。これは前にご紹介しました、ブルーベリー(Vaccinium spp.)の花です。

2022.05.25撮影

エリカも、ブルーベリーも、サラールも、みんなツツジ科(Ericaceae)の植物です。

ツツジ科(Ericaceae)

サラールは、北アメリカ西部原産で、わたしの住むバンクーバー近辺には、どこにでもあります。常緑植物で、地元の植物を取り入れて庭づくりをしよう、という考えの人には、欠かせない植物です。

花は先にお見せした通りですが、赤さとか白さとかは、個体によりかなり異なるようです。うちのは花の上部が赤いですが、全体的に白い花もあるようです。また、花軸が赤いのもあるようです。

サラールは、丈が30〜40センチほどにしかならず、上を歩く必要がない場所には、いいグランドカバーになります。また、丈夫な植物なので、放っておいても、痛めつけても、平気。それに、増えてくれます。増える速度はたいへん遅いですが。

葉は、葉脈のよく見える、鈍い光沢のある、濃いめの緑で、やや大きめです。葉のついた枝は、くきくき曲がっています。

この葉のついた枝は、花束に入れる緑として重宝されます。でも、この辺りの花屋さんはみんなが使うので、きれいなんですが、ちょっと飽きるかなとは思います。なんと、ブリティッシュ・コロンビア州などの太平洋岸北西部(Pacific Northwest)の諸州は、このサラールの枝を花材として世界中に輸出しているそうです。

以下がその葉ですが、画像の右上に見えるのは、シャクナゲ(Rhododendron)の葉です。

2022.09.10撮影

果実は、赤くなった後、暗紫色に、そして、最終的に黒くなります。以下の画像では、実も葉も汚れていて済みません。地上に近いところなので、敷石を水で掃除すると、このように水がはね返ってしまうのです。

サラールの実は、他の野生のベリー類と同様、代々原住民の人々によって食糧とされてきました。現代でも、ジャムなどにして食べられることがあります。サラールの実は、オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)の実より甘いですけど、ブルーベリーの甘さには比べられません。

2021.07.25撮影

サラールは、人間にとってより、多くの動物に有用な植物です。花は、鳥や昆虫にミツを提供します。果実は、多くの鳥の食糧になります。クマさんも。そして、葉は常緑なので、冬場にシカなどの食糧になります。特に栄養があるわけではないので、非常食だそうです。

次の画像は、雨の中のサラールの花です。左後ろに見えるマゼンタの花は、シャクナゲ(Rhododendron)です。

2022.06.01撮影


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ダーウィンのメギは、オレンジ色

2022年09月24日 03時23分09秒 | メギ科
2006.03.27撮影

これは、「ダーウィンのメギ」(Berberis darwinii)です。和名はないもようです。オレンジ色の花で、これは、ふくらみかけたツボミです。ツボミの時は、外側が赤みがかっていますが、もっと開くと全体がきれいなオレンジ色になります。やや暗い緑の葉っぱを背景に、大変目立つ色です。

「ダーウィンのメギ」も、「日本のメギ」(Berberis thunbergia)と同じように、メギ科(目木科 Berberidaceae)メギ属(目木属 Berberis)の植物です。

昨日(9月23日)と一昨日(9月22日)も、メギ科メギ属の植物「オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)」をご紹介しました。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

アメリカ、オレゴン州の州花です

日本が原産地のメギ(目木 Berberis thunbergii)の特徴を、日本語版Wikipediaと英語版Wikipediaから合わせて抜き出します。

メギ

Berberis thunbergii

和名 メギ(目木)
英名 Japanese barberry; Red barberry
学名 Berberis thunbergii
トゲ:枝の節、葉の付け根
花:淡黄色
果実:鮮やかな赤、7〜10ミリ、楕円形

次に、「ダーウィンのメギ」(Berberis darwinii)の特徴を、英語版Wikipediaとわたし自身の経験・観察からまとめます。この植物は、南アメリカが原産地で、チャールズ・ダーウィンが「発見」したので、名称に「ダーウィン」がついています。

Berberis darwinii

和名 ないもよう
英名 Darwin’s barberry「ダーウィンのメギ」
学名 Berberis darwinii
トゲ:枝の節、葉の周辺
花:オレンジ色
果実:青、4〜7ミリ、ほぼ球形

「日本のメギ」と「ダーウィンのメギ」の大きな違いは、

花の色:淡黄色か、オレンジ色か
果実の色:赤か、青か
果実の形:楕円形か、ほぼ球形か
葉のトゲ:つけ根にあるか、葉の周辺にあるか

では、もう一度、「ダーウィンのメギ」の花をご覧ください(手前の花に焦点が合っていなくて、申し訳ございません)。

2006.03.27撮影

葉には鈍い光沢があるのですが、上の画像は真昼に撮影したものなので、葉が特に光っています。そして、葉の周辺にトゲが見えます。これも、落ち葉をマルチにしようと集めている時に混じっていると、オレゴン・グレープの葉のように、つきささって痛いんです。

果実は、次の画像のように、きれいな青です。ブルーベリーと変わらないように見えるんですが、こちらは、もっと小さくて、尻尾がついています。ブルーベリーと似ているところは、「粉がふいて」いること。

蛇足ながら、この画像は、7月の夜8時半ごろに自然光で撮影したものです。カナダのほとんどの地域では、7月は夏時間が適用され、また、緯度自体が高いので、夜遅くまで明るいのです。左下の枝に当たっているのは、夕陽です。


「ダーウィンのメギ」は、うちには3本、垣根として導入しました。トゲがあるので役に立つだろう、と思ったのです。上の画像の右側の幹はすごいですよ。大変硬く、切るならノコギリが必要です。今年は水不足で枯れたところがあり、一部切り取らざるを得ないようです。

「ダーウィンのメギ」が気に入った本当の理由は、花の色です。目に染みるほどのオレンジ色で、おまけとして、実まで美しい青です。トゲはあってもなくてもいいわあ〜 でも、この垣根を作ってから、動物さんたちが(人間も)庭の前をうろつかなくなりました。

こんなにきれいな植物でも、行くところへ行けば、厄介者の植物なんですよね。ニュージーランドでは、在来種の生態系を乱して、特定外来植物になっているそうです。イギリスでは、王立園芸協会の賞までもらった植物で、垣根として人気があるんですが。

ガーデン・メリット賞(Award of Garden Merit)

王立園芸協会(Royal Horticultural Society)

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アメリカ、オレゴン州の州花です

2022年09月23日 06時10分00秒 | メギ科
2022.05.02撮影

これは、昨日(9月22日)の記事で果実と葉を見ていただいた植物、オレゴン・グレープ(Oregon grape)の花です。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

外側の花びらのように見えるものが、ガク、内側にカップのように見えるのが本当の花弁です。それぞれ、6枚ずつ。

オレゴン・グレープは、ヒイラギナンテン(柊南天)の1種類なんですが、「ヒイラギナンテン」というのは、ヒイラギ(柊)のような葉で、ナンテン(南天)のような姿である、ということらしいです。

ただし、和名の「ヒイラギナンテン」というのは、属名(Mahonia)、あるいは、「日本のヒイラギナンテン」(Mahonia japonica)のことで、「オレゴンのヒイラギナンテン(オレゴン・グレープ)」(Mahonia aquifolium)を直接指す名称ではありません。

和名 (オレゴンの)ヒイラギナンテン(柊南天)
英名 Oregon grape「オレゴンのブドウ」
学名 Mahonia aquifolium
属名 Mahonia(ヒイラギナンテン属)
科名 Berberidaceae(メギ科)

以下のWikipediaの記事に、きれいな画像が出ています。どうか、リンクをクリックして、お出かけください。花の大写しも載っています。こちらなら、きれいにガクと花弁が6枚ずつあるのが見えます。

Mahonia aquifolium(英文+画像)

おととい(9月21日)、ハックルベリーについて書きましたが、そこでご紹介したWikipediaのハックルベリーのについての記事でも、画像がきれいでした。このような形式にWikipediaが今書き直しを進めているのでしょうか。

ハックルベリーって、なに?

オレゴン・グレープの実は、食べることができます。そのままでは酸っぱく、ややアクがありますが、ゼリーやジュースにする人がいます。

大西洋岸北西部に住んでいた原住民の人たちには、重要な食糧源だったそうです。大西洋岸北西部とは、アメリカのオレゴン州、ワシントン州、そして、カナダのブリティッシュ・コロンビア州、などを指します。

The Pacific Northwest Map(地図)

もちろん、クマさんも食べます。

ブルーベリーはクマさんもお好き

オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)は、オレゴン州の州花です。

「日本のヒイラギナンテン」(Mahonia japonica)は、花茎が頭上に八方に飛び出たように出るのが特徴的です。以下のリンク先の「蕾の様子」というのをご覧ください。

ヒイラギナンテン/ひいらぎなんてん/柊南天

次のリンク先の画像の方が、その花の咲き方がはっきりとわかります。

Mahonia japonica(英文+画像)

「日本のヒイラギナンテン」は、バンクーバーでも庭木として植えられ、その花の姿で人目を引くのですが、うちのは「オレゴンのヒイラギナンテン」です。以下で、花と若葉をご覧ください。

2022.05.02撮影

次の画像は、上の画像を切り取って拡大したものですが、ここから、「ブドウ」一粒一粒のつく軸が見えます。なお、冒頭の画像は、上の画像を別に切り取って拡大したものです。

2022.05.02撮影

オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)は3メートルにも成長します。一方、ミニアチュアのオレゴン・グレープ(Mahonia pumila)というのもあります。ほんの地上をはっているような種類です。アメリカ西海岸を旅行した時に見て、感激しました、あまりの小ささに。

Pygmy Oregon Grape(主に画像)

実のなったところをどうぞ。左手に見える5葉の植物は、アケビ(Akebia quinata)です。

2022.08.20撮影

オレゴン・グレープは半日陰でよく育ちます(かなり陽の当たるところでも)。そして、庭づくりに、半日陰のところに便利だと導入すると、オレゴン・グレープは庭から絶対なくなりません。ですから、庭に導入なさりたい方は、どうかよくお考えになってからにしてください。ただし、花も実も美しいです。

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アメリカ、オレゴン州のブドウです

2022年09月22日 04時50分32秒 | 果物、実、タネ
2022.09.09撮影

美味しそうなブドウでしょう。アメリカ、オレゴン州のブドウです。

オレゴン州というと、わたしの住むカナダのブリティッシュ・コロンビア州とは、アメリカのワシントン州を間にはさんで、ご近所同士。実際、オレゴン州の南のカリフォルニア州を加えて、北アメリカ大陸の太平洋海岸線の4州が、西海岸(the West Coast)と親しみを込めて呼ばれます。これら4州、(南から)カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、(カナダの)ブリティッシュ・コロンビア州は、経済的に発展し、政治的には自由な気質である、という共通点があります。

ちょっと話しがそれますが、ブリティッシュ・コロンビア州最大の都市はバンクーバー(カナダ第三の都市)です。でも、バンクーバーという街はふたつあるんです。ひとつはカナダに、もうひとつはアメリカに。なんでこういうことになったか、というと、ジョージ・バンクーバー(George Vancouver)という、艦長であるイギリス海軍士官が、18世紀後半に、現在のワシントン州、オレゴン州、ブリティッシュ・コロンビア州を探検したので、その名前が地名として残っているのです。

カナダのバンクーバーは、ブリティッシュ・コロンビア州のほぼ南端にあります。
(このふたつの街の間に、ワシントン州が広がる)
アメリカのバンクーバーは、ワシントン州の南端、コロンビア川に面してあります。
(コロンビア川の南はオレゴン州)

ジョージ・バンクーバー

それで、冒頭の画像でお見せしたブドウですが、ちょっと変わっているでしょ? お尻の方に何かくっついています。こんなブドウがあるんでしょうか。ありません。(だまされた方、ごめんなさい。それとも、見え見えでした?)大きさは、小粒のブドウをやや小ぶりにしたくらい。縦長の方で1センチありません。

わたしが「オレゴン州のブドウ」と呼んだものは、ブドウが垂れているように見えるように、次の画像を切り取って、さらに35度回転させてあるのです。悪いことをする人がいますね。ペシペシ☆

2022.09.09撮影

この植物の英名は、でも、実際に、Oregon grape「オレゴン・グレープ」なんです。

葉をお見せします。雨がかかっているんですが、雨がかかっていなくても、葉面がテカテカ光ります。

2022.08.20撮影

これは、まだ古い、古い葉ではないのでそんなに恐ろしそうではありませんが、それでも、ささると痛いです。剪定には苦労します。なるべくなら触りたくありません。マルチとして落ち葉を移動させようとする時など、この葉の落葉したのが混ざっていて、本当に痛い目にあいます。また、幹(という?)も大変固く、その意味でも、剪定が億劫になります。幹を切ると、オレンジ色がかった黄色い渋のような樹液が出てきます。

花が咲くころの若葉は、赤みがかった黄緑色で、柔らかそうなんですよ。それでも、トゲはしっかりとついています。

2006.05.08撮影

花の紹介は、明日にしたいと思います。

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ハックルベリーって、なに?

2022年09月21日 03時46分08秒 | 果物、実、タネ
2021.07.08撮影

今日ご紹介の植物は、ハックルベリー(Huckleberry)です。英語の huckleberry の berry の部分は、次の berry と同じです。

・ブルーベリー(Blueberry)
・ブラックベリー(Blackberry)
・ストローベリー(Strawberry)
・ラズペリー(Raspberry)

「ハックルベリー」という名称自体は、みなさまも、アメリカの作家、マーク・トウェイン(Mark Twain)の書いた名作に登場する人物の名前として、お馴染みかと思われます。これらの「子ども向け」の小説に登場するトム・ソーヤー(「冒険」の1作目の主人公)とハックルベリー・フィン(「冒険」の2作目の主人公)は、親友です。

1876年出版
「トム・ソーヤーの冒険(The Adventures of Tom Sawyer)」

1884年イギリス出版/1885年アメリカ出版
「ハックルベリー・フィンの冒険(Adventures of Huckleberry Finn)」

ハックルベリー・フィンは、通常、「ハックルベリー(Huckleberry)」をさらに短くして「ハック(Huck)」と呼ばれます。ただ、「ハックルベリー」自体が本名かどうか怪しいものです。なぜなら、huckleberry というのは、「小さくて、重要でないもの」という意味だからです。いくらなんでも、親が、たとえ飲んだくれであっても(ハックの父親は飲んだくれであった)、自身の子どもにそんな名前をつけないでしょう。

マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』

植物のハックルベリーの方なんですが、これは、「小さくて、重要でないベリー」ということです。でも、実際には、多くのハックルベリーが動物にも人間にも食べられています。人間の口に美味しいのもたくさんあります。ただ、「小さい」ベリー(のような果実)を十把一絡げに「ハックルベリー」と呼んでいるために、ハックルベリーとだけ言えば、一体どのベリーのことなのかわからない・・・

ハックルベリーと呼ばれる植物は、ツツジ科(Ericaceae)で、2属に渡ります。以下は、例です。black「黒」だの、blue「青」だの、同じような名前が・・・

Gaylussacia(和名はないもよう)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Gaylussacia baccata
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Gaylussacia frondose
Bear huckleberry「クマのハックルベリー」Gaylussacia ursina

Vaccinium(スノキ属)
Black huckleberry「黒いハックルベリー」Vaccinium membranaceum
Blue huckleberry「青いハックルベリー」Vaccinium deliciosum
Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium

ところで、ここまでが、前置きなんです。すみません。

どうか、もう一度、冒頭の画像をご覧ください。これは赤い実で、ハックルベリーのうちの Red huckleberry「赤いハックルベリー」Vaccinium parvifolium です。

この 「赤いハックルベリー」は、画像で見えるように、ベリーが小枝の下にぶら下がってつきます。次の画像もご覧ください。実の色は、濃いオレンジ色から真っ赤なのまであります。大きさは、6〜10ミリ。丸い葉っぱがかわいいです。細い枝が微妙にくきくきと曲がっています。

2021.07.08撮影

「赤いハックルベリー」はうちには何本かあるのですが、実は、わたしは花を見た、という記憶がない・・・庭にある花が咲けば、大抵は写真撮影するのですが、撮りためた写真のどこにもない。

それで、英語版Wikipedia(日本語版Wikipediaには記載がありません)にお世話になることにしました。以下のリンクをクリックしてウィンドウを横に拡大してくださると、画像が細かいところまできれいに見えます。この記事の画像自体もいいし、画像を使っての画面構成もすごくいいと思いますので、ぜひ、ご覧になってください。

Vaccinium parvifolium(英文+画像)

左下のピンク色の目立つ Fresh leaves and buds(新葉と「ツボミ」)に、わたしはまず目が行きました。え? あのピンクのがツボミだった? いやいや、この英語の buds というのは「花のツボミ」ではなく、「葉のツボミ」のことだろう。

赤い実は見慣れているので、特に見る理由もなく、次には、画像が5枚並んでいるうちの右上の画像を見ました。Blossoms(咲いている花)ですって? これが〜〜???? これ、見たことあるけど、実の若いのだと思っていた。花だなんて思わなかった。

それでも疑い深く調べ続けると、次の記事の上から5番目の画像でも、こんなやや赤みがかった緑っぽい花が出てきました。

Red Huckleberry

これが「赤いハックルベリー」の花だったのか。何年もお付き合いしてきた「赤いハックルベリー」の花を今まで知らないとは、恥ずかしい。見ているけれども、見ているものが花だとは理解していなかったんだ。今は実の季節なので、花との正式な対面は、来年の春まで待つしかありません。

わたしの住むカナダのブリティッシュ・コロンビア州では、「赤いハックルベリー」は、ちょっと山手に入るといくらでも生えています。木全体、枝、葉のつき方、など、姿は優しく美しいです。大きいのは4メートルにも達し、夏に山歩きをすると、山道の両脇に生えているのから頭上に枝が差しかかるのが涼しげです。

2021.07.08撮影

高度にもよりますが、7月初旬には、もうベリーが赤くなります。そうすると、つまんで食べてみる人も多いんですが、酸っぱいんです。やはり、このベリーも、野生のクマさんや鳥さんたちに残しておきましょう。

ブルーベリーはクマさんもお好き

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