カラスといちごとクロッカスと

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小坊主にも、子ができる

2022年09月28日 07時56分15秒 | オトギリソウ科
2021.07.04撮影

昨日(9月27日)は、コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)の、ツボミと花と苞葉と葉をお見せしました。今日(9月28日)は、昨日の続きで、果実を見てください。

和名 コボウズオトギリ(小坊主弟切)
英名 Tutsan
学名 Hypericum androsaemum
オトギリソウ科オトギリソウ属

果実は、冒頭の画像のように最初、薄い黄緑です。緑のオリーブみたいだなあ、と想像してしまいます(果実を見ると、わたしは食い気が勝る)。3本シッポがついています、折れて欠けていることはありますが。このシッポは、メシベの先が3本に分かれていたものです。

もう少し熟してくると、次の画像に見られるように、薄茜色に色づいてきます。やはり、3本、シッポが見えます。

画像中、焦点の当たっていない背景に写っている果実もご覧ください。その果実の左側に、花びらが1枚と、さらに、果実にくっついたままのオシベがあります。

それにしても、苞葉の果実に近いところが、なぜ白色に??? 気になり出すと、緑のオリーブの方(前の画像)も、面積こそ小さけれ、白いところがあります。

2022.07.06撮影

もう少し果実が熟すと、薄紅色になります。苞葉に、やはり、白い部分が見えます。画面右下に見える葉は、カタバミ(Oxalis)の1種です。

2022.08.13撮影

果実が熟してしまうと、次の画像のように、やや鈍い光沢のある、真っ黒な実になります。これは、またもや、黒いオリーブを思い浮かべました。大きさは、オリーブの方が大きいですけど。そして、やはり苞葉に白いところがあります。

2022.08.26撮影

コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)の種小名 androsaemum の andro は「人、人間」、saemum は「血、血液」という意味です。樹液が赤いことから「人間の血のような」という名前になりました。

英名の Tutsan は、フランス語の toute(みんな)、saine 「健康な」、からきています。この植物も古来から薬草として使われてきました。みんな健康でいられる、どんな病気にも効くよ、ということです。日本語的にいうと「医者いらず」みたい?

コボウズオトギリの場合は、特に、その根が使われます。セイヨウオトギリが、地上部を刈り取って使われるのと対照的です。

果実の方ですが、コボウズオトギリの実が食べられる、という記述は見つけられませんでしたから、食べない方がいいみたいです。

以下の画像は、雨の中の、開いた花ひとつと、ツボミみっつ。特にツボミが金平糖(コンペイトー)みたいだなあ、と思いました(わたし、古いですか)。

金平糖

2013.06.12撮影

わたしの庭には、セイヨウオトギリと同じように、コボウズオトギリも、招いたわけではないのですが、おひとりでやってきてくれました。そして、程なくして、もうお一方、いらっしゃました。

セイヨウオトギリは見た目は「雑草」ですが、コボウズオトギリは、人間の作る庭にうまく溶け込んでくれます。花のオシベ、葉の色の変化、実の色の変化、全草の姿、が目を楽しませてくれます。園芸種のヒペリカムのような、派手な大きな真っ黄色の花とは異なる趣です。

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このオトギリソウは、小坊主

2022年09月27日 11時52分03秒 | オトギリソウ科
2013.06.12撮影

和名 コボウズオトギリ(小坊主弟切)
英名 Tutsan
学名 Hypericum androsaemum
オトギリソウ科オトギリソウ属

この植物は、日本語版Wikipediaでは、オトギリソウ属の代表的な種の最初に挙げられています。初めだからと言って特に代表的だ、ということではなく、種小名 androsaemum が「a」で始まるので、ABC順で最初になっただけです。

オトギリソウ属(Hypericum)

今日(9月27日)取り上げているコボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)は、昨日(9月26日)取り上げましたセイヨウオトギリ(Hypericum perforatum)と同じく、オトギリソウ属の植物です。

オトギリソウ、西洋の

今日のコボウズオトギリと、昨日のセイヨウオトギリの違いは、いろいろありますが、最も大きな違いは、セイヨウオトギリは、茎が基本的には上に伸びるのに対し、コボウズオトギリは、枝をほぼ水平に出し、重みで下向きになることです。

それと、セイヨウオトギリの葉は、いかにも「草」という感じですが、コボウズオトギリの葉はもっとしっかりしています。そして、葉の周辺が赤いです。

次の画像は、昨日もお見せした、セイヨウオトギリの草姿です。

2022.07.06撮影

コボウズオトギリの方が、セイヨウオトギリより、花はきれいですよ〜〜。オシベが長いのはもちろん魅力ですが、その上、コボウズオトギリには、セイヨウオトギリの花びらにあるような黒点と黒い筋がないんです。筋は確かに入っていますが、透明で、そのため、全体がきれいな黄色に見えます。

以下のリンク先へどうかお出かけになり、花の写っている画像をクリックし、拡大してお確かめください。

Hypericum androsaemum(英文+画像)

次の画像は、いかがでしょう。赤いのは、果実ではなく、ツボミです。花弁自体は黄色いのですが、オレンジ色のストライプが入っていて、このように赤く見えるのだそうです。花びらが、ちょっとわかりにくいかとは思いますが、5弁あるのが見えます。

2022.06.21撮影

次もツボミですが、ガクのようにも見えるツボミ周りの葉「苞葉」が赤いですね。苞葉がなぜこんなに赤いのか、わたしは知りません。同日撮影の直前の画像には、緑色の苞葉もあるのに。

2022.06.21撮影

コボウズオトギリは、苞葉も赤くなったりしますが、葉が若い時、裏側がワインレッドのような赤です。次の画像をご覧ください。

2022.04.11撮影

また、最初は、一番上の2枚の葉が合わさって、合掌しているように見えます。

2022.04.24撮影

明日は、コボウズオトギリの果実をお見せしたいと思います。

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オトギリソウ、西洋の

2022年09月26日 19時00分03秒 | オトギリソウ科
2021.09.08撮影

オトギリソウ(弟切草 Hypericum erectum)は、日本を含む東アジアに分布します。「弟切」という恐ろしい名前の由来については、次のWikipediaの記事をご参照ください。


冒頭にお見せした花は、「東洋の」オトギリソウのものではなく、セイヨウオトギリ(西洋弟切 Hypericum perforatum)のものです。花の右下の茶色いものは、果実です。

わたしの庭(カナダのバンクーバー)に自ら生えてきたもので、はあ、これが例の「セイント・ジョンズ・ワート」か、とつくづく思いながら、増えてくれるのに任せてあります。

学名 Hypericum perforatum
英名 Common St. John's wort「コモン・セイント・ジョンズ・ワート」
和名 セイヨウオトギリ(西洋弟切)
オトギリソウ科(Clusiaceae)オトギリソウ属(Hypericum)

英名の Common St. John's wort というのは、「聖ヨハネのありきたりな薬草」という意味です。オトギリソウ属の多くの種が、St. John's wort に何かを冠して呼ばれます。wort「ワート」というのは、「黄色い花の咲く薬草」という意味で、なぜ黄色がわざわざ他の薬草から区別されるのかは、わたしは知りません。「聖ヨハネ」を英語では St. John と言います。


属名の Hypericum ですが、これから取った「ヒペリカム」というのが、日本で園芸上の流通名として使われています。学名を本来の古典ラテン語式に読めば、「ヒュペリクム」です。


野草であるセイヨウオトギリの花は、1インチ(2.5センチ)ぐらいしかなく、園芸種の花のような大きさや派手やかさはありません。むしろ、汚らしい感じも受けます。それは、花びらに点がポツポツとついていて、その上、縦線も入っているからです。

次の雨に打たれた花の画像の方が、冒頭の画像でより、点と線がわかりやすいと思います。右下の終わった花で花びらがよじれているのは、黒い線がもっとはっきりと見えます。

2022.07.17撮影

葉にも、点々があるんですが、白い点と黒い点があります。白い点のところには油分があり、黒い点のところには色素があります。この黒い点のところがつぶされると、赤い色素が出てきます。この赤い色素が「血」として、使徒ヨハネに結びつけられたらしいです。


セイヨウオトギリは、また、ツボミや果実をつぶせば、赤っぽい、あるいは、紫っぽい液体が出るそうです。わたしはまだ試していません。開いた花では出ないそうで、それは、なぜ??

次の画像で、葉の点々(白と黒)をお確かめください。白い点の方が多く、黒い点は、主には、葉の外縁の方にあります。また、右下のツボミの黒い線もご覧ください。

2022.07.17撮影

以下の画像は、花が次々と咲く様子です。

2022.07.17撮影

セイヨウオトギリは、地上部分を刈り取って、乾燥させて、お茶や薬草にします。カナダでは、サプリメント類を扱う店で St. John's Wort としてよく売られています。

効能の程は、世界各地の種々の研究結果が相反しているようです。セイヨウオトギリは、他の古来からの薬草と同じように、多種の効能が挙げられますが、その中でも鬱状態を緩和するのに有用だとされます。

以下の画像は、その全草の様子です。葉の色がきれいです。

2022.07.06撮影

花と果実をもう一度どうぞ。果実は、冒頭の画像のより、青いです。また、花弁よりも長いぐらいのオシベが、華やかと言えば、華やかです。

2021.07.25撮影

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