カラスといちごとクロッカスと

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最後のツタの一葉

2022年10月31日 08時57分46秒 | ツタ
2021.08.05撮影

しっかりした色、形、厚み、の葉のツタです。英語で Ivy「アイヴィー」とだけ言えば、これを指します。まだ若い葉には、独特の白い筋がきれいに出ます。

学名 Hedera helix
和名 セイヨウキヅタ(西洋蔦)
別名 フユヅタ(冬蔦)
英名1 Common ivy「普通のありきたりなツタ」
英名2 English ivy「イングランドのツタ」
英名3 European ivy「ヨーロッパのツタ」
英名4 Ivy「ツタ」
ウコギ科(五加木科 Araliaceae)キヅタ属(木蔦属 Hedera)

原産はヨーロッパから西アジアにかけてです。

ヨーロッパ人であるイギリス人が、植物学的に分布がどうの、なんて知らなくて、ヨーロッパを見たらいっぱいあるので、このツタを European ivy「ヨーロッパのツタ」と呼んだのは、理解できます。西アジア(トルコやイラン)など、思いにも浮かばなかったんでしょう。

でも、ヨーロッパの中で特にイングランドに多いわけでもないのに、また、英語を話す(アイルランド語に加え)隣の島(アイルランド)にも自然に生えているのに、このツタを、なぜ English ivy「イングランドのツタ」と呼ぶか。自己チューすぎるんじゃない?

Hedera helix(英文+画像)

セイヨウキヅタ

2021.08.05撮影

このツタは、建物、塀、木、などに、美観を提供するものとして、よくはわせます。

建物にはわせると、屋内が夏は涼しく、冬は暖気を逃さない、外壁を雨風から守る、等とされ、奨励されることもありますが、箒のような形をした「足」(=根)を出して、ものにしがみついていくので、レンガやトイに被害を与えることがあります。

自然界では、花は多くの虫たちにミツを提供し、実(ベリー)は鳥たちの食糧となります。葉は、多くの小動物の隠れ家となり、シカも食べます。

以下のサイトの画像で、花と実をお確かめください。黄色っぽいのが花です。

Ivy (Hedera helix)(英文+画像)

根は、わたしの上の画像の真ん中あたりにちょろっと見えているのですが、このセイヨウキヅタの個体は、大変若いので、根の部分がまだおどろおどろしくありません。成長した根の姿は、次のリンク先でお確かめください。

Stems with rootlets used to cling to walls and tree trunks(画像)

もし成長したセイヨウキヅタを取り除きたいとなると、それはそれは大変な作業をすることになります。

2006.03.12撮影

上の画像は、まだ若い実です。熟すと、紫がかった黒になります。この実を食べた鳥さんたちがタネを拡散をしてくれることになります。

ところで、セイヨウキヅタは常緑です。冬でも緑なので、フユヅタ(冬蔦)とも呼ばれます。

え、そんな・・・

オー・ヘンリーの短編小説『最後の一葉』では、ツタの葉っぱが散っていくじゃないですか。え? セイヨウヅタは、今、常緑って・・・じゃあ、あの葉っぱはツタの葉じゃないの? あ、あれもツタの葉。というか、こちらの方が本物のツタ。

『最後の一葉』に出てくるツタは、以下の画像のようなツタです。
2012.10.09撮影

学名 Parthenocissus tricuspidata
和名 ツタ(蔦)
別名 ナツヅタ(夏にしか葉がないので「夏蔦」)
英名1 Boston ivy「ボストンのツタ」
英名2 Japanese ivy「日本のツタ」
英名3 Japanese creeper「日本のツル」
ブドウ科(Vitaceae)ツタ属(Parthenocissus)

原産地は東アジアで、西アジアからヨーロッパにかけてのセイヨウキヅタ(Hedera helix)とは、きっちりと棲み分けができています。と言っても、現在は、両者とも世界中に広がっていますが。でもねえ、東アジア原産のものを、なんで「ボストン(アメリカの都市の名前)の」なんて言うの?

ツタ

2012.10.09撮影

今日の植物2種を、並べてみます。

セイヨウキヅタウコギ科(Araliaceae)キヅタ属(Hedera)
セイヨウキヅタ(Hedera helix)
Ivy「ツタ」
* 植物学的には、ツタではない

ブドウ科(Vitaceae)ツタ属(Parthenocissus)
ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
Boston ivy「ボストンのツタ」
* こちらが、本物のツタ

紅葉し出して間もなくのツタの葉を、もう少し。成熟したツルなら、見事なんですが、これはまだ若いツル。

2012.10.09撮影
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