カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

ウクライナの花、その3

2023年02月26日 08時00分00秒 | ウクライナの花
Linum ucranicum
撮影者:Annukar1
撮影日:2011.06.03
https://en.wikipedia.org/wiki/Linum_ucranicum#/media/File:Linum_ucranicum.jpg
オリジナルからの改変、なし

ウクライナの花、3日目、今日は、3種類を合わせてご紹介したいと思います。今日の花は、3種とも、ウクライナあたり以外では見ることのできない花です。

まず、この鮮やかな黄色の花をご覧ください。これは、アマ(亜麻)の1種です。

Linum ucranicum

学名 Linum ucranicum「ウクライナのアマ」
和名(ないもよう)
アマ科(Linaceae)アマ属(Linum)
原産 ウクライナ、東部ロシア

科名の Linaceae(アマ科)、属名の Linum(アマ属)は、亜麻布(あまぬの)のリネンです。種小名の ucranicum は、ズバリ、「ウクライナの」。

「ウクライナのアマ」は、石灰岩の露頭(ろとう)にしか育たないそうです。「露頭」というのは、木などの生えていないむき出しの岩石や断層です。

露頭

分布は、以下のキュー王立植物園のサイトでどうぞ。

Linum ucranicum(英文+画像+地図)

Viola jooi
撮影者:Salicyna
撮影日:2017.04.30
オリジナルからの改変、なし

2番目の花は、スミレ属(Viola)の花で、Viola jooi という名称のものです。先の「ウクライナのアマ」と同様、石灰質の岩や断層の現れた露頭に生育します。写真から見るだけでは、日本で馴染みのあるスミレより「骨太」に見えます。

Viola jooi

学名 Viola jooi
英名 Carpathian violet「カルパティア・スミレ」
別名 Transylvanian violet「トランシルヴァニア・スミレ」
和名(ないもよう)
スミレ科(Violaceae)スミレ属(Viola
原産 ルーマニア、ウクライナ

学名の Viola jooi の種小名 jooi は、ちょっとどういう意味かわかりません。カタカナにすると「ヨオイ」(ラテン語の「j」は「ヤ行」の音)。なんだろう、これ。

英語の名称 Carpathian violet、Transylvanian violet、は、「カルパティア」「トランシルヴァニア」と、土地の名前を冠していて、わかりやすいです。

原産地は、国境で言うと、ルーマニアとウクライナです。

以下のキュー王立植物園のサイトでご覧ください。

ただ、国別でまとめると、分布していない地域まで色塗られることになります。できたら、点での表示にしてもらいたい(と、イギリス王室の研究機関に向かって、文句をたらたら)。

Viola jooi(英文+画像+地図)

このスミレは、以前は、異なる環境の地域にももっと広く生息していたらしいのですが、現在では、限られた地域にしか見られないそうです。「遺存種」「残留種」(英語で、a relict species)、つまり、「生き残り種」「生きている化石」です。

それなら、特に大事にしてあげないと。

遺存種

2022.04.11撮影

上の画像は、うちの庭のワスレナグサ(Myosotis)です。次にご紹介する白い花の、親戚です。

ワスレナグサの典型的な花の色は、青ですが、ここでは、次の花との比較のために、白が主に写っている画像を選びました。左後ろにピンクのも、少し、写っています。後ろに見える青い花は、アネモネ・ブランダ(Anemone blanda)です。

和名 ワスレナグサ
ムラサキ科(Boraginaceae)ワスレナグサ属(Myosotis

ワスレナグサ

Buglossoides czernjaevii
撮影者:Denis Kotenko
撮影日:2021.04.29
オリジナルからの改変、なし

この上の画像の植物が、ご紹介したい植物です。ワスレナグサ同様、ムラサキ科(Boraginaceae)です。葉の厚みなどが異なりますが、基本的な姿も花も、両者が親戚関係にある、と見えると思います。

学名 Buglossoides czernjaevii
和名(ないもよう)
ムラサキ科(Boraginaceae)イヌムラサキ属(Buglossoides
原産 モルドバ、ウクライナ

属名 Buglossoides には和名がないようなので、中国語名「拟紫草属」を借りて「訳す」ことにしました。学名に -oides がついていると、それは「似ている」という意味です。悪く言えば、「擬似」です。中国語名の「拟(=似)」を「ニセ」とするか「イヌ」とするか、でしょうが、ここでは、「イヌ」としておきました。

拟紫草属(中国語+画像)

種小名の、czernjajevii は、多分、語末の -ii から見て、Czernjajev という人に献名されたということで、「ツェルニャイェフ」であろうか、と思われます。

Buglossoides czernjajevii は、モルドバ、ウクライナが原産、固有種で、自生しているのが確認されているのは10箇所だけだそうです。そういう局所的な分布のためか、キュー王立植物館のサイトでは、分布図を見つけることができませんでした。あのね、だから、点で表示してよね、国単位ではなく。


コメント    この記事についてブログを書く
« ウクライナの花、その2 | トップ | ウクライナの花、その4 »

コメントを投稿