カラスといちごとクロッカスと

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ナンテン、ヒイラギナンテン

2022年12月13日 06時40分08秒 | メギ科
ナンテン
撮影者:Forest & Kim Starr
撮影日:2007.06.21
オリジナルからの改変、なし

Wikipedia日本語版に、ナンテンの、花も、実も、葉も、姿もあまりにも美しく写っている画像がありましたので、手持ちの画像もない、ということで、拝借してきました。

ここ数日、「モクセイ」と「ヒイラギ」の名称の絡みを解くのに努めてきました。今日は、その最終日で、これに「ナンテン」を加えます。

ナンテンの姿は、モクセイ、ヒイラギ、セイヨウヒイラギ、とは明らかに異なるのですが、ヒイラギナンテンと呼ばれる、「ヒイラギ」という名前を冠し、かつ、葉の形がヒイラギにやや似ている植物があるので、ナンテンまで話を拡大しようと思います。

和名 ナンテン(南天)
メギ科(Berberidaceae)ナンテン属(Nandina)
学名 Nandina domestica
英名 Nandiana「南天」
別名 Heavenly bamboo「天の竹」
別名 Sacred bamboo「神聖な竹」
中名 南天竹
原産 東アジア(ヒマラヤから日本にかけて)

ナンテン

Wikipedia英語版には、学名の Nandina というのは、日本語の「南天(Nanten)」から来ている、と書いてありますが、中国語名の「南天竹(Nantianzhu)」の「南天(Nantian)」からである可能性もある、とわたしは思っています。

中国名「南天竹」に現れる「竹」、また、英名「Heavenly bamboo」に現れる bamboo(竹)は、ナンテンの軸が重なり合っていく形状を、タケの「節(ふし)」に見立てたものでしょうか。

Nandina(英文+画像)

さて、ナンテン(Nandina domestica)もですが、ヒイラギナンテン(Mahonica japonica)も、手持ちの画像がありません。でも、近縁種の「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)の画像はありますので、こういう感じだ、ということで、それをご覧ください。

和名 (オレゴンの)ヒイラギナンテン(柊南天)
Berberidaceae(メギ科)Mahonia(ヒイラギナンテン属)
学名 Mahonia aquifolium
英名 Oregon grape「オレゴンのブドウ」

2022.08.20撮影(雨に打たれた「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

葉は、濃緑色で、表面に光沢があり、縁に鋭いトゲがある、という点は、ヒイラギと似ています。ただ、ヒイラギの葉は、直接枝から出てくるのに対し、「オレゴンの」ヒイラギナンテンの葉は、葉柄に対生してついています。

2022.05.02撮影(「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

花は、というと、「オレゴンの」ヒイラギナンテンとヒイラギには、特に緊密な類似点はありません。なお、うちの「オレゴンの」ヒイラギナンテンの花は、葉が画像中のように若葉のうちに咲き出します。

2022.09.09撮影(「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

実は、どうでしょう。全然違います。

「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)と、日本のヒイラギナンテン(Mahonica japonica)は、よく似ているのですが、念のために、日本のヒイラギナンテン(Mahonica japonica)の様子を、以下のサイトなどもご覧になって、お確かめください。

ヒイラギナンテン/ひいらぎなんてん/柊南天

そこには、
> 葉はナンテンのように枝垂れ、ヒイラギのような棘がある
とあります。(ナンテンの葉って、多くは上を向いているんじゃ?)

ヒイラギナンテン

この2番目のサイトには、
> 葉がヒイラギに、果実がナンテンに似ることから名がつきました。
と書かれています。(果実の色が全く違うけど。)

ヒイラギナンテンが日本語でなぜ「ヒイラギナンテン」と呼ばれるかの説明としては、どちらの説明も苦しいとは思います。

なお、ヒイラギナンテンの学術的分類は、次のように変わりました。
【古い分類】メギ科 メギ属 Berberis japonica
【新しい分類】メギ科 ヒイラギナンテン属 Mahonia japonica

でも、どちらの分類であっても、ヒイラギナンテンは、ナンテンと同じく、メギ科(Berberidaceae)に属し、種小名は japonica(日本の)です。異なるのは、属の分類が再編成されただけ。

「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)に関しては、過去にふたつ記事を書きました。よろしければ、ご覧ください。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

アメリカ、オレゴン州の州花です

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ダーウィンのメギは、オレンジ色

2022年09月24日 03時23分09秒 | メギ科
2006.03.27撮影

これは、「ダーウィンのメギ」(Berberis darwinii)です。和名はないもようです。オレンジ色の花で、これは、ふくらみかけたツボミです。ツボミの時は、外側が赤みがかっていますが、もっと開くと全体がきれいなオレンジ色になります。やや暗い緑の葉っぱを背景に、大変目立つ色です。

「ダーウィンのメギ」も、「日本のメギ」(Berberis thunbergia)と同じように、メギ科(目木科 Berberidaceae)メギ属(目木属 Berberis)の植物です。

昨日(9月23日)と一昨日(9月22日)も、メギ科メギ属の植物「オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)」をご紹介しました。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

アメリカ、オレゴン州の州花です

日本が原産地のメギ(目木 Berberis thunbergii)の特徴を、日本語版Wikipediaと英語版Wikipediaから合わせて抜き出します。

メギ

Berberis thunbergii

和名 メギ(目木)
英名 Japanese barberry; Red barberry
学名 Berberis thunbergii
トゲ:枝の節、葉の付け根
花:淡黄色
果実:鮮やかな赤、7〜10ミリ、楕円形

次に、「ダーウィンのメギ」(Berberis darwinii)の特徴を、英語版Wikipediaとわたし自身の経験・観察からまとめます。この植物は、南アメリカが原産地で、チャールズ・ダーウィンが「発見」したので、名称に「ダーウィン」がついています。

Berberis darwinii

和名 ないもよう
英名 Darwin’s barberry「ダーウィンのメギ」
学名 Berberis darwinii
トゲ:枝の節、葉の周辺
花:オレンジ色
果実:青、4〜7ミリ、ほぼ球形

「日本のメギ」と「ダーウィンのメギ」の大きな違いは、

花の色:淡黄色か、オレンジ色か
果実の色:赤か、青か
果実の形:楕円形か、ほぼ球形か
葉のトゲ:つけ根にあるか、葉の周辺にあるか

では、もう一度、「ダーウィンのメギ」の花をご覧ください(手前の花に焦点が合っていなくて、申し訳ございません)。

2006.03.27撮影

葉には鈍い光沢があるのですが、上の画像は真昼に撮影したものなので、葉が特に光っています。そして、葉の周辺にトゲが見えます。これも、落ち葉をマルチにしようと集めている時に混じっていると、オレゴン・グレープの葉のように、つきささって痛いんです。

果実は、次の画像のように、きれいな青です。ブルーベリーと変わらないように見えるんですが、こちらは、もっと小さくて、尻尾がついています。ブルーベリーと似ているところは、「粉がふいて」いること。

蛇足ながら、この画像は、7月の夜8時半ごろに自然光で撮影したものです。カナダのほとんどの地域では、7月は夏時間が適用され、また、緯度自体が高いので、夜遅くまで明るいのです。左下の枝に当たっているのは、夕陽です。


「ダーウィンのメギ」は、うちには3本、垣根として導入しました。トゲがあるので役に立つだろう、と思ったのです。上の画像の右側の幹はすごいですよ。大変硬く、切るならノコギリが必要です。今年は水不足で枯れたところがあり、一部切り取らざるを得ないようです。

「ダーウィンのメギ」が気に入った本当の理由は、花の色です。目に染みるほどのオレンジ色で、おまけとして、実まで美しい青です。トゲはあってもなくてもいいわあ〜 でも、この垣根を作ってから、動物さんたちが(人間も)庭の前をうろつかなくなりました。

こんなにきれいな植物でも、行くところへ行けば、厄介者の植物なんですよね。ニュージーランドでは、在来種の生態系を乱して、特定外来植物になっているそうです。イギリスでは、王立園芸協会の賞までもらった植物で、垣根として人気があるんですが。

ガーデン・メリット賞(Award of Garden Merit)

王立園芸協会(Royal Horticultural Society)

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アメリカ、オレゴン州の州花です

2022年09月23日 06時10分00秒 | メギ科
2022.05.02撮影

これは、昨日(9月22日)の記事で果実と葉を見ていただいた植物、オレゴン・グレープ(Oregon grape)の花です。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

外側の花びらのように見えるものが、ガク、内側にカップのように見えるのが本当の花弁です。それぞれ、6枚ずつ。

オレゴン・グレープは、ヒイラギナンテン(柊南天)の1種類なんですが、「ヒイラギナンテン」というのは、ヒイラギ(柊)のような葉で、ナンテン(南天)のような姿である、ということらしいです。

ただし、和名の「ヒイラギナンテン」というのは、属名(Mahonia)、あるいは、「日本のヒイラギナンテン」(Mahonia japonica)のことで、「オレゴンのヒイラギナンテン(オレゴン・グレープ)」(Mahonia aquifolium)を直接指す名称ではありません。

和名 (オレゴンの)ヒイラギナンテン(柊南天)
英名 Oregon grape「オレゴンのブドウ」
学名 Mahonia aquifolium
属名 Mahonia(ヒイラギナンテン属)
科名 Berberidaceae(メギ科)

以下のWikipediaの記事に、きれいな画像が出ています。どうか、リンクをクリックして、お出かけください。花の大写しも載っています。こちらなら、きれいにガクと花弁が6枚ずつあるのが見えます。

Mahonia aquifolium(英文+画像)

おととい(9月21日)、ハックルベリーについて書きましたが、そこでご紹介したWikipediaのハックルベリーのについての記事でも、画像がきれいでした。このような形式にWikipediaが今書き直しを進めているのでしょうか。

ハックルベリーって、なに?

オレゴン・グレープの実は、食べることができます。そのままでは酸っぱく、ややアクがありますが、ゼリーやジュースにする人がいます。

大西洋岸北西部に住んでいた原住民の人たちには、重要な食糧源だったそうです。大西洋岸北西部とは、アメリカのオレゴン州、ワシントン州、そして、カナダのブリティッシュ・コロンビア州、などを指します。

The Pacific Northwest Map(地図)

もちろん、クマさんも食べます。

ブルーベリーはクマさんもお好き

オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)は、オレゴン州の州花です。

「日本のヒイラギナンテン」(Mahonia japonica)は、花茎が頭上に八方に飛び出たように出るのが特徴的です。以下のリンク先の「蕾の様子」というのをご覧ください。

ヒイラギナンテン/ひいらぎなんてん/柊南天

次のリンク先の画像の方が、その花の咲き方がはっきりとわかります。

Mahonia japonica(英文+画像)

「日本のヒイラギナンテン」は、バンクーバーでも庭木として植えられ、その花の姿で人目を引くのですが、うちのは「オレゴンのヒイラギナンテン」です。以下で、花と若葉をご覧ください。

2022.05.02撮影

次の画像は、上の画像を切り取って拡大したものですが、ここから、「ブドウ」一粒一粒のつく軸が見えます。なお、冒頭の画像は、上の画像を別に切り取って拡大したものです。

2022.05.02撮影

オレゴン・グレープ(Mahonia aquifolium)は3メートルにも成長します。一方、ミニアチュアのオレゴン・グレープ(Mahonia pumila)というのもあります。ほんの地上をはっているような種類です。アメリカ西海岸を旅行した時に見て、感激しました、あまりの小ささに。

Pygmy Oregon Grape(主に画像)

実のなったところをどうぞ。左手に見える5葉の植物は、アケビ(Akebia quinata)です。

2022.08.20撮影

オレゴン・グレープは半日陰でよく育ちます(かなり陽の当たるところでも)。そして、庭づくりに、半日陰のところに便利だと導入すると、オレゴン・グレープは庭から絶対なくなりません。ですから、庭に導入なさりたい方は、どうかよくお考えになってからにしてください。ただし、花も実も美しいです。

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