悠歩の管理人室

歩くことは、道具を使わずにできるので好きだ。ゆったりと、迷いながら、心ときめかせ、私の前に広がる道を歩いていきたい

醸すと醸し出す

2011-08-25 23:29:44 | 言葉

「醸す」とは、辞書によると米や豆に麹を加え発酵させ、酒や味噌などを作る、とある。
発酵は時間をかけて行なうことから、何となく、自然になどの意味が付け加わる。
「~出す」は、「~し始める」という意味があるので、醸し出すという使い方もされる。
「物議を醸す」とは使うが、「物議を醸し出す」というのは聞き慣れない使い方だ。
「柔らかな雰囲気を」は、「醸し出す」が続くが、「醸す」は似合わない。

「醸す」の語源を訪ねると、酒造りを表現する「醸(かも)す」は、
口噛み酒の「噛(か)む」が語源であるという説がある。
しかし、農業博士の住江金之氏は、著書『酒』(西ヶ原刊行会)にて、
これらは別系統の言葉であると指摘し、
「醸す」は「かびす」から転じたものであると分析している。
麹菌を使うことに加え、「醸す」の語感とを併せると、
「黴す(かびす)」、こちらの方が説得力があるような気がする。

ウォーキングの場面で言うと、たとえば、利根町歩く会のTさんは、
歩行中の注意を会員に伝えるときに、ユーモアを交えた声かけをするので、
けっしてきつくならず、いつも和やかで柔らかな雰囲気を醸し出している。