『赤ひげ診療譚』で安本が拘っていた「お仕着せ」は、救いのユニフォームだった。
小石川療養所は貧乏人が駆け込むことができ、お仕着せの医師には声をかけられた。
昔、仲間は、生活保護家庭に制服を着て訪問することをせず、何気ない服装を心掛けた。
黒澤明監督の「赤ひげ」を見て、20代の自分に思いをはせた。
3時間の映画の半ば、「休憩」と表示が出て5分間、それまでの場面の静止画像が流れた。
公開した映画がそのような設定で、観客がトイレに行く時間を確保したのかもしれない。
このせわしない現代に、テレビ放映ではそこまですることもないと思われたが、
無駄とも思われる、公開当時のままに放映してくれたことに感謝する気分にもなった。
あるいは、かたくななまでに当時のままの放映をしたのかもしれないとも思った。
そんな仕事の仕方が好ましく思われた。
小説でも何度か読んでいるのだが、また読んでみたくなった。
赤ひげの生き方に心惹かれ、汚れた心が洗われるような気分になる。