悠歩の管理人室

歩くことは、道具を使わずにできるので好きだ。ゆったりと、迷いながら、心ときめかせ、私の前に広がる道を歩いていきたい

一円の本

2011-08-05 21:35:28 | 言葉

先に、野中広務と辛淑玉(しん すご)による対談、
『差別と日本人』を図書館で借りて読んだと書いた。
目を開かせられた情報や、野中広務の生き方、発言に興味を持ち、手元に置き、
時々ひもときたいと思い購入することにした。

amazonに注文すること3回。いずれも、古書を見つけて注文。
最初は別の書籍『野中広務 差別と権力』を間違えて注文。翌日キャンセル。
2回目は、書店側からのキャンセル。在庫がなかったとの理由だった。
3度目の正直で、3日に注文し、5日に届く。
この本は、「角川Oneテーマ21」という新書版で今も書店に並んでいる。

ところが2回目の本もそうだったが、価格が1円。
送料が250円で、合わせて251円である。
注文時点で、古書の状態は「良」~きれいな状態です。書き込み等もなし、とあった。
古書の状態表示は、これまで概ね適切な表示であることが多かったので、
今回も安心して購入した。
届いた本を見て驚いた。頁を繰ったあともなく、ほぼ新品同様だった。

書店は、インターネットで買い取りなどもしている、長野県松本市にある古書店。
どうしてこのような価格で販売できるのだろう。

1982年に改訂復刻された小川芋銭の書画集は、
『芋銭子名作集』が昭和19年1月発行で、当時の定価15円。
『芋銭子作品選集』が昭和17年10月発行で、同定価10円だったもの。
この2冊が箱に収められて25,000円で販売された。
これを古書として昨年購入した。定価よりは安かったが、まあまあの値段だった。

古書の値段というのはわからない。
一般的には、古書の稀少性から値段が決まるらしい。現在販売中の本でも、
1円~定価まであるし、あるいはコレクターズ・エディションといって、
初版だったり、希少本の場合、定価より高い場合もけっこう多い。

今までで一番ひどい買い物だったのは、古河の古本屋、といっても、
“ゲオ”の古書コーナーだったと思うが、推理小説の文庫本だった。
総枚数の4分の1くらいの頁に、鼻毛が「押し花よろしく」挟み込んであった。
各頁1本から多い頁では3本くらいあった。非常に不愉快であったが、
ティッシュで丁寧にぬぐいとりながら読み通した。

推理小説などは、2回読むということはないので、今その本はどうしているだろう。
本は、なかなか捨てられないたちなので、
今でもわが家のどこかで“断捨離(処分、処刑)”されるのを待っていることだろう。
その本も含め、もう読まれないであろう本達が、ちょっとかわいそうになった。