悠歩の管理人室

歩くことは、道具を使わずにできるので好きだ。ゆったりと、迷いながら、心ときめかせ、私の前に広がる道を歩いていきたい

想像力と創造力

2011-08-14 19:19:14 | 言葉

手話に関連した話をもう少し続けたい。
講演などの通訳をする際、通訳者がどこに立つかということが、問題になる。
基本的には、話者のすぐ隣が望ましい。理由は、ろう者は、手話を見ると同時に、
話者の表情、口の動きを同時に見るからだ。
話者が伝えようとしている内容が、すべて手話で表されているとは限らない。
手話が話者の話の勢いまで表現していない場合がある。
話者の表情を併せて見ることで、手話で表された内容を補完する役目をする。

通訳者や講演会の主催者が、遠慮をして講演者から極端に離れた場合、
上記の機能が損なわれる。
また、演題の隣に花や盆栽などが飾られることがある。
これが、通訳の邪魔になる場合がある。会場のろう者が手話を見るときに、
飾り物が邪魔にならないよう配慮しなければならない。

講演会などで、出演者が複数いた場合、そのいずれの発言も通訳できるか、
配慮が必要になる。
司会と講演者という組み合わせ。複数の参加者によるシンポジウムなどの場合。
通常、複数の位置に通訳を配置しなければならない。
一人しか配置しないと、通訳者が話者の間を常に移動しなければならない。
場合によっては、司会者がこう言っています。別の発言者がこう言っていますと、
落語風に通訳する場合もある。どちらにしても、
ろう者が話の筋を追える配慮が必要になる。

ただ、これらのことは事前に段取りをしておかないと、最悪の場合、
通訳がいないところで話が進んでしまう場合がある。
司会者は、通訳がスタンバイしているか、確認しながら進行しなければならない。
そうしないと、ろう者は、話を聞けないままに放置されてしまう。

例会で、新入会員がいる場合、ろう者がいる場合、視覚障害の会員がいる場合、
どんな対応が必要か、想像力を働かせよう。
可能な限り、すべての会員が参加できるようにするためには、
現状をよりよい状況に作り替えるための創造力も必要になる。