斉藤隆介の創作民話の中で一番好きなもの。『花さき山』も何度も読んだ。
子どもが小さかった時、寝かしつけるたびに、子どもの好きな本を読んでやっていた。
時には、行き当たりばったりで自家製童話(いい加減な作り話)を話して聞かせる。
同じ話(童話)を何度も聞きたがるのは不思議だ。
その話が持っているヤマ場が、何度も聞きたくなる魅力を持っているのだろうか。
老人が同じ話を何度も繰り返すのも、自分にとって心地よいからなのだろう。
『ベロ出しチョンマ』は、大凶作にもかかわらずきびしい年貢の取り立てに、
庄屋である親が直訴をし、捕らえられ親子共々磔になる。仲の良かった兄は、
磔台で怖がって泣く妹に、いつもやって見せた自分の面白い顔を見せる。
兄は妹を笑わせ、妹は兄の顔を見て笑いながら、槍で突かれる。
佐倉惣五郎伝説が元になっているといわれる。
子どもに読んで聞かせ、最後の磔の場面になると、読んでいる自分の胸が波打って、
声が震えてしまう。
咳払いをしてごまかしたりしたが、何回読んでも平静ではいられなかった
今も、その場面を思い出したら、胸がコトリと脈打った。
成田市に「宗吾霊堂」というところがあり、
「ベロ出しチョンマ」人形が売られているという。
前から気になっていたが、近々この人形を買いに行こうと思う。