えしぇ蔵日記

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能を知る京都 その2

2011年06月03日 | Weblog

2日目は「伊右衛門サロン」の朝食でスタート。ここはあのお茶の伊右衛門の会社が経営するカフェ。ワシらの泊まったホテルの隣にあったのでそこでのんびりと朝食。ワシはサンドイッチ、姫はTKG(玉子かけご飯)。

腹ごしらえができたらまた自転車に乗って出陣。まずは「ル・プチメック」(黒いほう)でパンを買い、「幸」で手ぬぐいを買った。自転車でうろうろするといろんな店が目に入る。とにかく京都は飲食店に限らず様々な店が実に興味深い。一体何回来ればまわれるのかと思うほど行きたい店が多すぎる。もうこうなったら住むしかない??

次の目的地の「南禅寺」は本来ならホテルから結構離れてるが自転車ならあっという間。なんだか行きたい場所にすぐに到着できて実に楽しい。自転車は偉大だ。
「南禅寺」はこのシリーズの二回目に来たが、山門には登ってなかったので再度訪問した。なるほど五右衛門の感慨さもありなん。絶景かなの一言に尽きる。実際に山門の上で歌舞伎の五右衛門が上演されたことがあるそうだがさぞ素晴らしいものだったろう。



次は「永観堂」。ここは予備知識がなかったが非常に見応えのある寺だった。本尊の阿弥陀如来が横を向いているのが面白かった。なんでもその昔、阿弥陀如来がたく鉢にいく永観和尚の前に現れて先導し、振り返って「永観遅し」と言ったという由来があるそうな。庭も実に美しかった。ここは紅葉が有名らしいのでまた秋に来ようと思う。



ここでお昼になったので「日の出」でカレーうどんを食べた。これがまたうまいんだな。全く姫セレクトにハズレはない。

昼一番は「熊野若王子神社」、そして「哲学の道」へ。結構歩きごたえのあるこの道も自転車ならすいすい。
「哲学の道」からちょっと山手に外れて「法然院」へ。ここも由緒ある寺だがワシ的に一番気になるのは谷崎潤一郎夫妻の墓があること。さぞかし立派な墓石が構えているかと思いきや、小さな自然石にただ「寂」の一文字。なんと素晴らしい墓だろうか。飾らず自然体でありながら奥深い品をにあふれていた。



次は「ユキパリスコレクション」で高価なアンティークを見学。そして「哲学の道」が終われば一路「吉田神社」へ。
吉田神社は小山の麓にある。そこからいくつかの神社を見ながらゆっくり登っていくと、頂上付近にカフェがある。名前は「茂庵」。低いとはいえ山の頂上付近に作ってしまう発想がユニーク。しかも多くの人が登ってきて立派に経営が成り立つのだから大したもんだ。
木造の店は内も外も周囲の木立と一体化していた。新緑からの風が店内を通り抜ける。見晴らしも素晴らしい。ちょっとうとうとしてしまった。



山を下りたらまたカフェへ。今度はタルトがうまい「ラバチュール」。ここでまたタルトを食べながら読書したりしてまったり。

頃合いもよしということで今回のメインイベントの薪能を見に「平安神宮」へ。門の前にかなり行列ができていたので後方の席になるかなと思いきや、なぜかするすると前から二番目に座ってるワシら。なぜに?かなり得した気分。
演目は五つ。

「養老」
老いの身を養う不思議な霊水を探しにきた勅旨と、その水で活力を得た親子の話。

「自然居士」
自然居士が人買いから子どもを救うために人買いの前で芸を尽くす話。

「井筒」
業平の冥福を祈る僧の夢の中に業平を恋い慕う女の霊が現れ、思い出の井筒で舞う話。

「金津」
地蔵を作ってもらいに都へ来た男は騙されて地蔵に扮した子どもを持ち帰る話。

「石橋」
文殊菩薩の浄土へとつながる石橋の向こうから文殊の使いの獅子が現れて舞う話。

どれも素晴しい演目だった。特に「井筒」の静かな舞、「金津」のユーモア、「石橋」の激しい舞は印象的だった。
2つ目が終了した時点で火入れ式があり、薪に点火された。美しい夕焼けを背景に燃え上がる薪の炎はまさに幽玄な能の世界の演出に一役買っていた。夕風にあおられた火の粉はたそがれの空に高く登っていた。
式が始まる時にでっかいメトロン星人みたいなのが出てきたので何かと思えば、「国民文化祭・京都2011」のキャラクターのまゆまろだった。あんまりでかいので薪の横を通る時に火がつきそうで笑った。



演目が全て終了し、「平安神宮」を後にする時にはワシは余韻に包まれていた。全く徹底的に魅了されてしまった。室町から今に至るまで能の文化が受け継がれてきたことを本当にありがたいと思った。まさに日本が世界に誇る舞台芸術。受けついでいくべき宝だ。



能の余韻を引きずったまま、カフェ「シトロンブレ」でつまみとワインで簡単なディナー。ここはワインに合うちょっとしたつまみメニューが安いから気に入った。気軽に入ってちょっと飲むには最適。住んでたら行きつけにするだろうな。

そういうわけで盛り沢山の二日目も終了。能と出逢えたことで一生忘れられない一日になった。

「薪能」

幽玄に 都の夜の 能舞台
薪のほむら 先は室町

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