ゴダールとトリュフォーを中心にヌーヴェルヴァーグの軌跡を追ったドキュメンタリー映画。
最初は同じ仲間として行動していたのに、いつの間にか考え方にずれができて袂を分かつことになる。
音楽の世界でも何の世界でもよくある話だ。
天才ゴダールとトリュフォーにしても免れ得なかったっていうことね。
後年の二人の映画を観ると、水と油くらい違うもんな。
トリュフォーの「アメリカの夜」を観てゴダールが怒り心頭に達していたなんて知らなかったわ。
トリュフォーの映画としては、映画製作の内幕を描いた映画として興味深かったくらいの印象しかないのに、案外重要な映画だったんだな。
あれはもう、ヌーベルヴァーグっていうよりジャンルとしては既成の映画に近かったからかもしれないわね。
どこまでをヌーヴェルヴァーグっていうのか知らないけど、トリュフォーの後年の映画は斬新というより老練な映画が多かった。
でも、このドキュメンタリー映画で斬新な発見はそれくらいかな。
ヌーヴェルヴァーグの入門篇といった趣の映画だからな。
一本のドキュメンタリー映画として観ると、いままで撮られた映像の再構成が多いから、映画を通して人やものごとが変化していくスリリングさは期待できないんだけど、“ヌーベルヴァーグって何?”と思う段階の人が観ると、わかりやすく解説してくれていていいかもしれない。
カンヌの狂騒やヌーベルヴァーグにおける俳優ジャン・ピエール・レオの存在とかな。
同じ人物を演じ続けてきた果ての悩み。
ハリー・ポッターシリーズにおけるダニエル・ラドクリフみたいなもんだな。
・・・あなた、例えが最近、微妙にずれてるわよ。
そうかな。
そうよ、ずれてる。
じゃあ、俺たちはもう同じ仲間として行動できないってことか。ゴダールとトリュフォーみたいに。
だから、そういう例え方がずれてるって言ってるの!