【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「瞳の奥の秘密」

2010-10-19 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

ああいうテクニックで罪を自白させるって場合もあるのね。
いままで見たことないテクニックだ。
さすが、情熱の国アルゼンチンの映画というかなんというか…。
いちばんの誇りを踏みにじって真実を吐かせるっていうのは常套手段なんだろうけど、アレがいちばんの誇りだとは思わなかった。
そういうお国柄なのかしら。それとも、あくまで映画のオリジナル?
まあ、国の名前がアルゼンチンだからなあ。
なあるほど…って同意するわけないでしょ。
そうやって犯人を落とした辣腕女判事補に好意を寄せる部下の男がまた、立派な髭なんか生やして見るからに南米らしい暑苦しい顔をしている。
こっちが映画の主人公。自分の気持ちをすぐにでも伝えそうな濃い顔をしているんだけど、知性が邪魔をして心に秘めた思いは言い出せない。
おかしなこと言って、自分もああいう風に責められちゃたまんないと思ったのかな。
そんなこと思ってたら、惚れないでしょう。彼は見かけによらずロマンチストなのよ。
俺と同じだな。
なあるほど…って同意するわけないっちゅうの。
そして幾星霜、この主人公と再び巡り合ったとき、犯人が最初に口にするセリフがまた、衝撃だった。
長い間、ああいう状態でいれば、人に飢えてて当然かもしれないわね。
そういう、犯罪と愛憎が縄のごとくからみあう、25年間の物語。
ヒロインが若いころは若く、年とってからは年とった顔に自然になっているのも何か不思議だった。
ほんとは何歳なんだろうな。
全然難解ではない、むしろ通俗的な映画なんだけど、なんかちょっと不思議な映画を観た、っていうのが率直な感想。
文化の違いを感じる映画だった。
で、アカデミー外国語映画賞を獲ってる。
まさしく、異国の映画だ。