【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「レディ・チャタレー」:八丁堀二丁目バス停付近の会話

2007-11-14 | ★東16系統(東京駅~ビッグサイト)

あら、東京にもこういう形で緑が残っているのね。
みんな、ほんとは緑の中で暮らしたいと思っているんだな、きっと。
緑の中で?
そう、「こんなゴミゴミした町じゃなくて、緑あふれる大自然の中で暮らしたい、そうすれば情熱的な恋だってできるかもしれないのに」って、お前も口癖のように言ってるじゃないか。
いいわねえ、緑あふれる自然の中での情熱的な恋。といえば、「レディ・チャタレー」。
ああ、あれ・・・?手垢がつくほど有名な小説「チャタレイ夫人の恋人」のいまさらながら、何度目かの映画化だろ。
あれ、あなたは堪能しなかった?緑あふれる中での恋愛映画。
だって、あの主人公、最低の女じゃないか。夫が戦争で半身不随になったのをいいことに、猟番とくっついちゃうんだぜ。夫の身になれば、くやしくて涙が出るぜ。
うーん、それって単純きわまる古典的な反応ね。
そうなの?
だって、恋愛映画の形はとっているけど、この物語って、因習に囚われた世界から一人の女性が人間として自立していくって奥深い話なのよ。
嘘つけ。原作はしらないけど、映画は単純きわまる恋愛映画だったぜ。
そりゃあ、恋愛至上主義国、フランスの映画だからね。どんな題材を扱おうと、表面上は恋愛大絶賛映画になっちゃうのよ。
表面上も裏面上も、恋愛大絶賛以外のなにものでもなかったぜ。不倫も何も関係なく、男と女がくっつくだけの映画。しかも、美男でも美女でもない。女と男なら何でも恋に落ちてよしとするんだな、フランスは。
まあ、たしかに美女と美男という組み合わせではなかったかもしれないわね。
いい年して、裸で野山を走り回るのやめてくれない?って思ったよ。
ああ、あの雨の中の裸のシーン・・・。恋愛の喜びを体中で表した、この映画を象徴する感動的なシーンだったんだけどね。少なくとも自然は美しかったじゃない。
自然は、な。でも、人間はどうよ。
こだわるなあ。リアリティを重んじれば、ああいう男女の組み合わせもありなのよ。
頭のはげかかった男の裸なんて、映画で観たいか。
演技力を見てよ。切ない恋の虜になりきっていたでしょ、二人とも。
しかしなあ、もっと色ツヤあったんじゃないのか、フランス映画って。フランソワ・トリュフォーなき今、フランスの恋愛映画もこの程度なのかなあ。
あの繊細さがわからないなんて、不幸ねえ。恋とは無縁の人間が観るから何にも感じないのよ、きっと。
そう言うお前は、恋と縁があるのか。
・・・ないけど。
コイともフナとも縁がないもんな。
いいのよ、縁はなくても、緑があれば。

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八丁堀二丁目バス停



ふたりが乗ったのは、都バス<東16系統>
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