【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「タロットカード殺人事件」:リバーシティ21バス停付近の会話

2007-11-28 | ★東16系統(東京駅~ビッグサイト)

マリリンなんてしゃれた名前のお店が佃島にあるなんて思わなかったわ。
マリリン・モンローの名前はもう、こういうお店にしか残ってないってことだな。
今のハリウッド女優でマリリン・モンローにいちばん近い女優っていったら、誰かしら。
いちばんかどうかわからないが、スカーレット・ヨハンソンなんか近いんじゃないか。あの色気は結構きてるぞ。
あなたは、ああいうタラコ唇が好きなわけ?
くやしかったら、お前もタラコ唇になってみたら?
タラコは、キグルミの歌だけでたくさんよ。ターラコー、ターラコー、たっぷりターラコー
踊るな!お相撲さんのキグルミみたいなおなかして。
どうせ私は、一重まぶた二重あご三段腹よ。
しかし、最近の「スロットカード殺人事件」なんか観てると、スカーレット・ヨハンソンも色気たっぷりのコメディエンヌぶりが板についてきた感じがしないか。メガネをかけた女子大生役っていうところからして、ミスマッチで気をそそること、このうえない。
あれは、ウディ・アレンの演出のおかげなんじゃないの?「ブラック・ダリア」とか「プレステージ」とかの彼女はただのアバズレで、全然魅力的じゃなかったわよ。
まあ、ウディ・アレンの映画に出ると、ダイアン・キートンだろうが、ミア・ファローだろうがみんな一流のコメディエンヌになっちゃうんだけどな。
あなたと話してると、私は三流のコメディエンヌになっちゃうけどね。
四流だろ?
ターラコー、ターラコー、たっぷりターラコー
だから、踊るな!キリンとアサヒとサッポロを足して3をかけたようなビール腹して。
でも、今回のウディ・アレンとスカーレット・ヨハンソンの役柄は、恋人同士じゃなく、偽りではあるけど、父と娘。
ロンドンに滞在中のアメリカ人女子大生が行ったマジック・ショーで、巷を震撼させている連続殺人事件の犯人が青年貴族であるという特ダネを偶然つかむ。彼女は、そこにいた三流マジシャンと一緒に父娘と偽って、容疑者をさぐる物語。
女子大生がスカーレット・ヨハンソン、三流マジシャンがウディ・アレンなんだけど、スカーレット・ヨハンソンは、ウディ・アレンではなく、若くてハンサムな容疑者に惚れてしまう。
実生活では 35才も年下の妻を持つウディ・アレンも、もう自分が恋の主人公を演じるのは難しい年齢だって悟ったってことだな。
むしろ、そこはかとなく死の影が漂っている。
コメディとはいえ、死神とか出てきちゃうし、笑いでごまかしてはいるけど、あんなエンディングになるとは思わなかった。
冥土のみやげに、自分がタイプな女優で一本撮ってみましたってところかしら。
お前もグサッとくること言うねえ、大監督に対して。
何はともあれ、映画はいつものウディ・アレン節で、腰の力を抜いて楽しめたわ。
うーん。普通の人は「腰の力」じゃなく「肩の力」を抜いて楽しむんじゃないのか。
あら、そう?どうせ私は、四流のコメディエンヌよ。
問題は、タロットカードと殺人とはほとんど関係がないってことだ。
そうそう、クレジットカード殺人事件だって、武蔵小山商店街ポイントカード殺人事件だって、何だってよかったんじゃないの?
ボートの上の殺人シーンなんて、むしろ「陽のあたる場所殺人事件」って呼びたいくらいだった。
ドライヤーの「アメリカの悲劇」ね。映画化の題名が「陽のあたる場所」。あれにもボートの上の殺人シーンがあったもんね。
でも、今回は、ヤワな美人じゃなくて、肉体派のスカーレット・ヨハンソンだってことを犯人は忘れていた。
うかつにもほどがある。
でも、ウディ・アレンの映画でそういうことを詮索するのは、ヤボってもんなんだろうな。
まあね。ひととき、軽く楽しんでいってください、っていう映画だもんね。
お前の体重は軽くないけどな。
どうせ私は、マリリン・モンローよ。
うーん、最後にそうきたか。


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