ぼちぼち日記

手作りとおはなしが好きなモリーさんのつれづれ日記。

『数えずの井戸』京極夏彦

2010-07-18 | 読書
ゲゲゲの水木しげるさんのことを調べていたら、京極夏彦さんと仲が良いらしい
ということを知り、名前だけは知ってたけどこの機会に読んでみました。

図書館にはあまり数が無くて、ぶ厚~いこの本が目につきました。

ゲッ、700ページ以上もあるじゃん、長いよ~

しかしパラパラめくってみると、ははぁ、どうやら四谷怪談の、番町皿屋敷の物語
らしい。
あの、いちま~い、にま~い…と数えるお菊さんのあれね…。

10ページほど読んでみたら、おっ面白そう!

果たして、あの怪談が怪談として今に伝わるのはなぜなのか、真相はどうなのか?

いや、これは京極さんの小説だから、真相というのとは違うだろうけど、ちょっと
覗いてみたいわ。ゾクゾクしたいわぁ。季節的にもばっちりだわ。




そして700ページは全然長く感じないほど、面白かったですよぉ!

私の中では、この小説が番町皿屋敷の真相だ!と思いたいくらいです。

登場人物一人一人の性格がはっきり描かれて、人間模様とそれぞれの人生が
交錯していきます。
あぁしかし、人間ってホントにどうしようもなくバカな生き物。
家宝といえども、たかが皿でしょう。何でこうなるの…。



それでも京極夏彦さん、いいです!
悲惨な最期でも、どよ~んと落ち込ませない。

ちょっとはまってみようかな。











湊かなえ『告白』

2010-06-13 | 読書
私はミーハーなので、話題の本はやっぱり読みたくて、でも図書館での順番は
途方も無く、待ち切れずに文庫本を買いました。

感想は…うっへぇ~。

いや、決して面白くなかったというのではないけど、うん、初めから
ぐいぐい引き込まれて、どうなるんだろう、どうなっちゃうの?と、
先を読まずにいられない。不安感を一杯胸に抱きつつ、どこかに救いが
ないのかと探しながら。

でもねぇ、無いんですよね。
読後感はどよ~~~ん。

まぁ復讐劇だもんね、明るいはずないか。



今どきの中学生、親、世間てのは、こんなにバカで冷酷で保身に満ちている
んですか。湊さん。

ま、そこは敢えて書いてるんだろうけど。


以前に湊かなえさんの『少女』を読んだ時も、同じような気分に陥ったな。

誰か湊かなえさんの本で、後味の良かったのを知ってたら
教えてくだされ。




小川糸 『喋々喃々』

2010-06-07 | 読書


前から読んでみたかった、小川糸さん。
『食堂かたつむり』は図書館で予約が一杯なので、こちらを借りてみました。


主人公は、東京・谷中でアンティークきもの店を営む栞さん。
彼女の恋と家族の物語です。

ゆったりと過ぎゆく日常の中で、たくさんの美味しい食べ物や、細かな
季節の移り変わりの描写がいいです。
着物店を営むだけに、色んな着物も登場しますが、あぁ、私ももうちょっと
着物に詳しければ、もっと鮮明に想像ができるのになぁ。

でもそれ以外の所では、想像しすぎるくらいしましたよ。
もしも私が栞さんだったら…、春一郎さんと食べ歩き、語り合い…
えへへ、いくつになっても、小説の中では何でもできちゃいます。

小川糸さん、いいですねぇ。
食堂かたつむりもいつかきっと読もう。


『ゲゲゲの女房』

2010-06-02 | 読書
NHK朝ドラは、ここ数年面白くなくて、朝は仕事に出かける用意で
バタバタしながら、時刻を確認するためにTVをつけていたという感じでした。

けれども今回は、水木しげるさんの半生が描かれるので、ちょっと
見始めたら、面白いじゃないですか。

で、Sさんが図書館で借りたこの本を、1日貸してもらって一気読み。

私が子どもの頃、兄が買ってくる少年マガジンに載っていたゲゲゲの鬼太郎
は、もうホントに怖~い漫画でした。
極めつけは、あの「百目」ですよ。
ページをめくった途端、そのページ一杯に百目の姿が!
キャ~ッ怖いっ!
そんな記憶がよみがえりましたわ。



さてこの本は、妻の布絵さんが書かれた、妻の目から見た水木しげるさん。
見合いから5日で結婚し、極貧の生活の中で、ただひたすら漫画を描き続ける
水木さんを支え続けた布絵さん、エライ!

そして水木さんの大らかな心、ユーモア、情熱が、沢山の作品を生み出し、
やがてそれが大々的に認められることになるのです。

終わりよければ全てよし、と最後に書かれていましたが、あー、そうなったら
いいなぁ。


今朝もドラマを見て、「あらっ、しげるさんが持ってきてくれたのは、本当は
バナナじゃなくてスイカだったのよね。」なんて
笑いながら、ちょっと特別な思いで画面を見つめていました。


いつか行ってみたい、島根の水木しげるロード。



みをつくし料理帖『八朔の雪』『花散らしの雨』

2010-04-15 | 読書
       
とっても面白い本をaoさんが貸してくれました。
久しぶりの時代小説。2冊を2日間で読んじゃったよ~。


~ネットの書籍紹介~

~神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生! ~


主人公は18歳の澪さん。
この娘の日々奮闘ぶりを見ていると、心から応援したくなります。
真っ直ぐで、感激屋で、純粋で、毅然としたり、ほろりときたり。
この娘を囲む身近な人々も、人情味あふれる個性派ぞろい。

そして、もう一つの魅力は、お店に出される数々の料理ですよ。
大阪出身の澪さんが、江戸の人々に受け入れられる料理を作りだそうと
失敗の中から独自の一品を作り出していきます。

まるで澪さんのそばで、一緒に料理をしているような気がして、ダシや醤油、味醂の
香りまでがしてきそう。
おお、最後にレシピまで載っているではないですか、こりゃいいわ~。


2作目「花散らしの雨」も、ますます面白く、3作目も出ているらしいので
早く、早く読みたい~~!

和風料理が好きな方、必読です。





読書あれこれ

2010-03-17 | 読書
このところ、図書館で本を借りて返しに行くと、ついまた別のを借りるという
繰り返しをしております。

◎まずですね、前から読みたかった小川洋子さんの『猫を抱いて像と泳ぐ』。

あぁ~、何とも言えぬ切なさが覆いかぶさってきましたよ。
チェスの才能を持つこの貧しい少年に、最後の最後に光が当たるのかと思って
いたけど、悲しすぎるよ…。

私はいつも、読み終えた後に、胸に何か充たされる思いがする物語が好きだけど、
これは辛い。なのに、読んで良かった気がする。そんな、深く読み応えのある本でした。
外国の物語の翻訳本のような雰囲気が漂っていて、不思議な感覚。

◎もう一冊小川洋子さんの『妊娠カレンダー』。
妊娠した姉の揺れ動く心情を見つめる妹の目で描かれているんだけど、どこか冷ややかで
暗い気分ばかりが続きます。生まれくる子どもを受け入れる準備ができないまま、日が
過ぎて行く…。これ、読み終わってから、この続きをどうしても想像してしまう。
あまりいい出来事は起こりそうもないような。

*同じ作者でも、こんなに違う物語が書けるのか…、びっくりです、さすがです。

◎石田衣良『シューカツ!』
就活に悪戦苦闘する女子大生が主人公で、思わずがんばれと応援したくなる、元気をもらえる本でした!

◎角田光代『福袋』
これ、良かったです~。
角田さんの本は初めてだったけど、これを読んで、また他にも読んでみようと思いました。
                
短編集なんだけど、どれも面白かった。いや、面白いというのとは違うかな、
とても空疎な読後感。そう、空疎で空虚なんだけど、わかるんです。
自分がこの主人公たちとちょっと似てるような気がします。

~ひょっとしたら私たちはだれも、福袋を持たされてこの世に出てくるのではないか。
~福と袋に書いてあるからって、すべてが福とはかぎらない。袋の中身はときに、期待していたものとぜんぜん違う。安っぽく、つまらなく見える。ほかの袋を選べばよかったと思ったりもする。それなのに私たちは袋の中身を捨てることができない。いじいじと身に付けて、なんとか折り合いをつけて、それらが肌になじむころには、どのようにしてそれを手にしたのだか忘れてしまっている。~

こんな風な書きようが好き。


さて、今手元にあるのは、同じく角田さんの、『三月の招待状』『マザコン』です。
ぼちぼちと、読んでいきましょう。






『ひとがた流し』北村薫

2010-01-26 | 読書
直木賞にこだわるわけじゃないんだけど、前回は北村薫さんだったというのだけ
覚えていて、そう言えばもう何年も前に読んだ
『スキップ』『ターン』『リセット』の「時の三部作」と称されるあの物語が
すごくすごく良かったよなぁ。
というのを思い出し、図書館で北村薫さんの別の本を探してみました。


で、『ひとがた流し』。
表紙の、水が流れるような雰囲気だけで選んで、借りてみました。

3人の四十代女性の友情や、周りの人々との絆が、初めは淡々と日常の中で
語られるのだけど、途中から小さな波紋が少しずつ大きくなり、広がっていきます。

そして後半は胸にせまるものがどんどんと大きくなって、途中でやめられなくなりました。
最後近くには、号泣。


北村薫さんの物語に出てくる女性は、皆、芯がしっかりしていて、凛としていて、
真っ直ぐで、柔らかくて、繊細。
こうなりたいものだ、こうありたいものだと素直に共感できる。
いい本に出会いました。
しかし北村さんてホントに男?何でこんなに女性の心がわかるのかな。


あれ?全くの全くの偶然なんだけど、この間読んだ『ほかならぬ人へ』と
似たストーリーの部分がある…。
でも北村さんの表現の方が、私は好きでした。





『ほかならぬ人へ』白石一文

2010-01-24 | 読書
うわ~、めちゃめちゃ久しぶりの読書です。
職場のSさんが図書館で借りて、返すまでにまだ日があるからと回してくれました。

ご存じ今回の直木賞作品。
はて、この人の名前は本屋で見かけていたけど、作品を読んだことはありませんでした。
家に持ち帰って一気読み。

ふ~む、なるほどなるほど、主人公の宇津木君、いい奴だなぁ。
職場の先輩への尊敬が恋から愛になり、不治の病を持つ彼女への愛は、残り少ない日々をより強く
結びつけます。切なく哀しい物語…


ただ、私の胸をうち震わせるというところまではいかなかったかな、うーん、
人それぞれ、好みの文体とか、引きつけられる部分が違うからなぁ。
または私の感受性が鈍っているのか?


この本にはもう一つ、『かけがえのない人へ』という別の話も収められているんだけど、
こっちはもう全然、私は受け付けませんでした。
(あなたは読みが浅いのだと言われたらそうかもだけど)

なので、白石さんの別の本を探して読もうかという気持ちにはならなかったです。

でも「これはすごく良かったよ」というのがあったら誰か教えて下さいな。


『日本人の知らない日本語』蛇蔵&海野凪子

2009-08-18 | 読書
題名はちょっと固いけど、中身がとにかく面白くて、笑って笑って知識も
身につく超おススメコミックエッセイです。

日本語学校教師のなぎ子先生が、様々な国からやってきた超個性的な学生さんたちと
繰り広げる、面白可笑しい言葉のキャッチボール。
学生さんたちのちょっとした勘違いや、素朴な疑問は、ただ笑えるのではなく、
なるほどなぁ~と思わず吹き出しながらも頷いてしまいます。

*たとえば*
先生「イスは『脚』と数えます。」
学生「なら便器も脚ですか。」 (1据です)

先生「靴下は左右で1足です」
学生「パンティストッキングはつながってますが1足ですか。」
学生「キングギドラは頭が3つあっても1頭ですか。」

先生「人間は何と数えるでしょう。」
学生「匹!だって辞書に書いてあります。男一匹って。」

この他にも、
任侠映画で日本語を覚えてしまったフランスのマダム学生、
入院した先生のお見舞いに仏花を持ってきた学生、
キャットフードの缶詰を見て、日本人は猫を食べると思っていた学生、
駐車場で「前向きに」と書いてあるのを見て、「駐車場まで励ましてくれてる」
と思った学生  等々、等々…。

そんな日常が描かれる中でも、日本人も賢くなれる、ひらがなカタカナのルーツ、
敬語の使い方、バイト用語の間違いなど、そうだったのか!と
得した気分になれる知識が一杯です。

先生と学生との間に流れる、温かい信頼関係が感じられて、とても良かったですよ。






『王への手紙 上・下巻』トンケ・ドラフト作

2009-06-04 | 読書
ひさーしぶりに岩波少年文庫を読みました。
aoさんのおススメ。
aoさんは、子どもの本屋をやってるんだけど、あまり買わそうとしない、商売気の無い人で、貸してくれるんですよ。あぁ何ていい人なの。


うん、面白い面白い!
ちょっと長いけど、小学校高学年か中学生からの男の子が特に喜びそうな冒険また冒険。

ダホナウト王国に生まれ育ち、騎士になるための試練の夜、16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託されます。
大山脈のかなたの隣国ウナーヴェン王国に旅立つことになったティウリ。
使命を果たすため、数々の陰謀や危険を乗り越える少年の勇気と強い意志が身近に伝わってきます。
果たしてその手紙には、何が書かれているのでしょうか。

トンケ・ドラフトさんの1962年の作品だけど、現在の男の子たちも、こんなの好きだろうな。
騎士とか、鎧や盾、指輪、黒馬、隠者、城、山脈や大河…。
ちょっとゲームのアイテムっぽい感覚にも通じるような。
(ゲームと結び付けてはいけないかなぁ?)

しかし、こういう物語の主人公って、勇気、知恵、忍耐力、正義感、友情、信頼、
全部、持ってるんだな。欠点が無いんだ。
ファンタジーだからそれでいいんだけど、少し物足りないといえばそこかなぁ。