ぼちぼち日記

手作りとおはなしが好きなモリーさんのつれづれ日記。

『タルト・タタンの夢』 近藤史恵著

2009-01-18 | 読書
                  
~本書あらすじより~
- 下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。
風変わりなシェフのつくる料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。
そんな名シェフは実は名探偵でもありました。……絶品料理の数々と極上のミステリ7編。-

ドアを開けて、1歩入れば、あったか~いフランス料理の匂いがすっぽり自分を包み込んでくれそうな気がします、このお店。
ホントにどこかにありそうな、美味しく幸せな会話と食事の場面が浮かんできます。
そして、ささやかな謎解きやシェフのこだわり。

続編『ヴァン・ショーをあなたに』も、引き続き面白いです。

* * * * * * * * *

コミック『神の雫』が亀梨君主役のドラマになって、期待ワクワクで観たけれど、
余りにも原作とかけ離れていてがっくり。…と思われた方、上記の本を読んでみてはいかがでしょう。
ワインも何種類か出てきます。
まぁどっちを読んでも、ワインのことは私にはさっぱりわかりませんのですが。






コミック『神の雫』

2008-10-11 | 読書
ワインに関して天才的な感覚を持つ主人公雫君が、ワイン評論家だった父のワインを受け継ぐ為に、ライバル遠峰と争いながら至高のワインを探していく…。

現在17巻まで出ていますが、こりゃなかなか終わりそうもない。
何しろ12使徒と呼ばれる12本の究極ワインと、神の雫と言われる最高のワインを世界中から探し出す闘いなのですが、第一の使徒探しの勝負から大変なドラマがありまして。
巻が進むにつれ、一体どこまでいっちゃうの?というくらい壮大な世界になっていきますの。
それだけでなく様々な人たちとの出会いやエピソードが織り交ぜられていて、とっても面白いですよ!
ワインのウンチクがまたすごいんだけど、全然ワインに興味の無い人にも面白く楽しめます。
やっぱり主人公の雫君の魅力でしょうね。
それと原作者の緻密で深ーいストーリー作りの巧さ。

これ、レンタルコミックで借りて一気読みしたんだけど、あぁ18巻が早く出ないかなぁ。

この話が韓国ドラマか映画になって、ヨン様がライバル役とかいう噂も聞きましたが、いつのことなんでしょう、ぜひそっちも見てみたいです。

『夏から夏へ』佐藤多佳子著

2008-09-23 | 読書
佐藤多佳子の陸上競技つながりです。

これは、北京オリンピックで大活躍した400mリレーのメンバー、塚原直樹・末續慎吾・高平慎士・朝原宣治のドキュメンタリー。

北京オリンピック前の2007年世界陸上大会から取材しているのですが、この4人はもしかしていける!という予感がずばりオリンピックで的中しました。

一人一人の生い立ちから陸上競技への向き合い方、人柄や性格など、とても細かく取材していて、ただテレビで走る姿を見るだけだった4人がぐっと身近な存在になりました。
そして、400mリレー(4継というそうです)の面白さ、難しさ、走るというただそれだけのことに賭けるそれぞれの生き方。
穏やかな語り口で、わかりやすく読者の心に響きます。

折しも今日、朝原さんの引退レースがニュースで報道されていて、その表情を見た時、またまたぐっとぐっときました。
本当にお疲れ様でした。後輩にバトンを渡して、ゆっくり休んで下さいね。


『一瞬の風になれ』佐藤多佳子著

2008-09-19 | 読書
とてもとても、久しぶりの読書です。
今、全3巻を読み終えて、胸が一杯…。

去年でしたか、話題になりましたね。aoさんが貸してくれて、今頃やっと読む機会がありました。
あぁ、こういう話だったのか、うんうん、後味爽やか、目頭熱い。


『春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した二人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に二人を変え、そして、部を変える―。思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説、誕生。』→書籍紹介より

主人公の神谷君の目を通して、高校生の心理、仲間とのつながり、兄弟との葛藤、自分の心との闘い…。色んなものが見えてきます。

神谷君、あんた、カッコよすぎるよ。
読みながら、この子を褒め称え、寄り添い、応援するだけでなく、正直すこーしジェラシーを感じてしまったわ。なんだろね。
まるで実在の人物のように感じられるのは、作者が陸上競技を深く深く追求し取材した賜物でしょうね。
自分が陸上競技場のスタンドで応援しているみたいに、胸がバクバク、手に汗にぎってしまいます。
そして、自分も走りたい!思い切り。中学生か高校生に戻って、陸上部に入りたい!とホントに思ってしまったよ。
あー、でもそれは叶わない…悔しいなあ。

そう、若さへの嫉妬かな。

今現在、若者の人たちよ、時間はあっという間に過ぎていくよ、青春の時を大切にね。
オバサンの私は私で、何か見つけたいなと思わせてくれる素敵な本です。
あー、でもその何かって?
むむ…未だに焦るばかりで見つかりません。



『ハリー・ポッターと死の秘宝』

2008-08-09 | 読書
ついに、長年にわたる魔法の物語が完結しました。
第1巻の『ハリー・ポッターと賢者の石』の頃はまだ小学生にも読める内容だったのが、巻が進むにつれ、表現されている言葉が抽象的、観念的になり、高度になっていきました。(読者も成長しているからいいのかなぁ)
十分読み応えがありました。
ついに最後にはヴォルデモートとの闘いに終止符が打たれます。

あぁ、長かったこの8年。(もっとかな?)
長すぎて、『死の秘宝』を読みながら「これ一体誰だっけ?」とか、「この言葉何のこと?」と、すーっかり忘れている所が多々あり、もう一度6巻の『謎のプリンス』を読み直しました。
ふむふむ、成程そうだった、あっこの一言が鍵だったのね…と読み進めていくと、今度はまた新たに忘れている言葉が。
で、次は5巻の『不死鳥の騎士団』を読む羽目になって、今に至ります。
だって、すっきりしないんだもん、「?」が出てくると、どうしても何のことだったから知りたくなります。

と言うわけで、多分このまま、4巻、3巻と逆読みしていくのかな(邪道?)。
でもそれもまた面白いんですよ、あぁそうか、この人こういう役目だったのねとか、何気ない一行に謎のヒントを見つけたりして。

しばらく読書から遠ざかってしまっていましたが、今はこのシリーズの逆読みがしばらく続きそうです。



長田弘『記憶のつくり方』

2008-05-29 | 読書
久しぶりの読書です。
今日は
しっとりゆっくり、ページをめくる時間が嬉しい。

長田弘さんの、素敵な素敵な詩文集です。

私の拙い説明ではおっつきませんので、ヤフーの書評をコピー致します。

「いまも心の中で仄かな光を放つ、さりげなくかけがえのない「経験」。ひとの記憶の木は、どのようにそだち、ことばを実らせるのか。闇、死、海の音、友だち、路地の奥、階段、橋、肩車、おにぎり、雨、数字…。忘れられない光景、思いがけない出来事にひそむ、生の一瞬の輝き。ひとの人生の秘密を、鮮やかに照らしだす三章24編の珠玉の詩文集。」…とあります。

ページはバニラ色で、文字は緑。
今日みたいな静かなしっとりした時間に開くのにぴったりです。

そして、あとがきにある言葉。
 「記憶は、過去のものでない。それは、すでに過ぎ去ったもののことでなく、むしろ過ぎ去らなかったもののことだ。とどまるのが記憶であり、じぶんのうちに確かにとどまって、じぶんの現在の土壌となってきたものは、記憶だ。
 
記憶という土の中に種子を播いて、季節のなかで手をかけてそだてることができなければ、ことばはなかなか実らない。じぶんの記憶をよく耕すこと。その記憶の庭にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う。…」

もう、あとがき自体が詩のようではありませんか。
いいなぁいいなぁ、自分の心の中を、こんなに確かに言葉に出来る人って。

私も、過ぎ去らなかったものたちを、私の心の庭に、大切に育てていこうっと。

『シャーロットのおくりもの』

2008-02-11 | 読書
学校から借りてきました。
少し前に、映画にもなりましたね。
読んでみたらとっても良かったので、映画も観ればよかったなぁ。

1952年出版の、アメリカを代表する古典ファンタジーなんだそうです。
主人公は子豚のウィルバーと、クモのシャーロット。
てっきり表紙の女の子がシャーロットかと思ったら、この子はファーンという、ウィルバーのお友達。

子豚は、大きくなればハムにされてしまう運命。
でも、シャーロットが知恵を絞り、家畜小屋の動物たちにも力を借りて、素敵な方法でその運命を免れるのです。

ウィルバーはホントに可愛くて、純真で、何にでも興味津々な子ども。
そしてシャーロットは、賢く優しく子どもを見守るお母さんみたいな友達。
好きだなぁ、この登場人物たち。

心癒されるひとときでした。


佐藤多佳子『しゃべれども しゃべれども』

2007-12-29 | 読書
いやぁ、面白かったです、とっても良かったです。

『俺は今昔亭三つ葉。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、目下前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短く、女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に話し方指南を頼む物好きが現れた。でもどいつも困ったもんばかりで…』(新潮文庫裏表紙の紹介より)

歯切れのいい三つ葉さんの語り口と、正直で不器用な性格がとってもいい。
落語が、生で聞きたくなります。浅草のほおずき市へ、出かけたくなります。
それから、自分の気持ちを、素直に言葉にしてみたくなりました。


この本を薦めてくれたaoさん、「映画も良かったよ」というので、DVDをレンタルして、昨日はみにーさんと我が家で鑑賞会。

映画の方はストーリーがやや省略気味(特に、テニスマンの良君が削られていたのはどうなんだ?)だけど、キャストが意外と合っていたと思います。
国分太一くんも、香里奈も、本の中の二人にぴったり。
良かったです!

原作者、佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』も、ぜひ読みたいなぁ。
誰か貸してくれないかしら?



『ホームレス中学生』

2007-11-22 | 読書
この本、B校の6年生の男の子に借りました。

お笑いコンビ「麒麟」の田村さんの自叙伝です。
タレント本ってそんなに読もうと思わなかったけど、これは、とても良かったです。うん。

以前にTVの『学校へ行こう!』でちらっと観たんですよ。
中学2年の時に突然お父さんが蒸発して、公園のウンコ(ホントは巻き貝)型の遊具でホームレス生活したと。
空腹のあまり、段ボールまで食べてみたと。
その時はもう、笑いながら人ごとのように言ってましたが、彼のその経験の中には、本当は深い悲しみと憤り、究極の寂しさがあったのです。

本を読んで、ええ子やなぁ、田村君!…じんときました。
小学5年生でお母さんを癌で亡くし、おばあちゃんを亡くし、お父さんまで癌にかかり、治ったもののリストラに会い、家は差し押さえ…。ついに父は蒸発。

でも、周りの兄姉や、友達やその家族、先生たちとの良き出会いが、田村少年をしっかり支えました。
誰も恨んでいないんです。自分たちを捨てた父のことも。感謝してるって…。
大好きなお母さんとの沢山の思い出にも、涙腺が緩んで仕方ありませんでした。

辛い出来事がたくさんあったのに、悲しくならない。
希望をもらって、明るくなれる、温かくなれる本です。







太宰治『きりぎりす』 『御伽草子』

2007-11-01 | 読書
高校3年になってから、やたら本を読むようになった息子。
今までもまあぼちらぼちら、たま~には読んでましたが、読書好きという程でもありませんでした。
何で、いよいよ勉強して欲しいこの時期になって、読み出すかよ~。
そいで、太宰治のことを、「太宰がぁ」なんて、友達みたいな呼び方して、是非読んでみろと、学校の図書館から『きりぎりす』という新潮文庫を借りてきました。
昭和53年発行の、ページが茶色に変色した、老眼鏡かけても読みにくい、ちっこーい文字。

私が「太宰治は、学生時代に読んだ『人間失格』のあまりの暗さに、どよ~んと気分が落ち込んだから、あんまり読みたくないなぁ。」
と言うと、息子も実は、人間失格は10ページほど読んで先に進めなくなり止めたとか。
「でも、これは面白いんだよ、いやぁ、傑作だよ。」
というので、まあ短編集だし、読みやすそうなのだけと思い、読んでみました。

そうしたら、面白いんですこれが。
太宰治、何とユーモアのセンスがあるんでしょう。
『畜犬談』という短編なんて、クスクス、プッ、アハハッ…。
読んでいくうちに、どんどん引き込まれてしまいました。
これ以外の短編も、可笑しくももの悲しく、寂しく切ない、何とも言えない混ぜ混ぜ気分に浸りました。

数日後、もう一つの短編集『御伽草子』も借りてきてもらって、ただ今読書中。
やっと、読書の秋らしくなってきましたわ。

「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」をパロディ化しているのですが、まぁー、今で言う【自虐】的ギャグでしょうか。
生きるのが下手な瘤じいさんや浦島太郎、狸たちは、どう見ても太宰治自身でしょう。何だか、そこまで自虐しなくても、と思いつつも、分かる気がする、自分もそんな気分になるときがあると、はっきり思ったりして、こんなに親近感がわくとはオドロキです。

いいものは、どんなに時がたっても、色あせたりしないんだ。
今はっきり思うモリーなのです。