生きてるだけで丸儲け!
ミスハワイ・暁伸
アーイーヤー、アーイーヤー。アー、アー。これだけで一世を風靡したコンビだ。暁伸の本格的浪曲歌謡を歌う傍らを、豊満な肉体をアッパッパーに身を包み、へちまのような楽器(ギロ)を駆使してギーチャッチャ・ギーチャッチャと舞台をうろつくのだ。説明不可能の芸である。(ユーチューブでご覧いただきたい。)戦時中、満州で慰問団の中にそれぞれの存在に引かれて夫婦となり、コンビで売り出すがなかなか売れなかった。遂に、暁伸が声を潰してしまった。自慢の高音が出ない。そんな時、それをごまかすようにミスハワイが、かん高い声で、アーイーヤーと、合いの手を入れたらこれが大爆笑を取った。ケガの功名である。アーイーヤーは、ハワイの先住民族の言葉で、確か「頑張れ」とか「それ行け。」とかだったと思う。昔、ハワイ巡業の時に覚えていた言葉で、名前のミスハワイは当然それに因んだものだ。
暁伸が、「内の窓のカーテン無いと思ったらこんなとこにあったわ。」と、ハワイの衣装をいじる。最後は、うろうろするハワイに、「ねぐらに帰るダンプカー!」と、絞めて大爆笑で終わる。ミスハワイも暁伸も歌は一流なのだが、売れてからは最後までこのスタイルで通した。暁伸は、余り人付き合いは上手ではなく弟子の存在は聞いたことが無い。ミスハワイは面倒見がよく慕われたようだが、この芸風を継ぐ者はいなかった。(誰も出来なかった?)
なお、今のようにコンビに名前はなく、「ミスハワイ・暁伸」である。