筆者は、昔からお笑い好きの友人と何か始めるときには、「しっかりやりましょ、時間まで」と、歌う。
ご存知、宮川左近ショーのテーマソングの一節である。フラワーショーや、太平トリオ、ミスハワイ暁伸。(追々紹介する。)東京では、「お客様は神様です。」の、三波春夫が全盛の時代だ。本格的浪曲師をセンターにして、両脇を芸達者なおちゃらけの三味線やギターで固める。その脇役もちゃんとした芸に裏付けられたものであった。
特に宮川左近ショーは、3人とも通をうならせる一流の節回しを持っていた。中でも、三味線の照夫は、絶妙な爪弾きを聴かせた後、「もう!何でこんなに上手いんやろう。」と品を作って笑わせた。また、ギターの一夫は、左近の浪曲に汚い声と醜い顔で合いの手を入れ、遂にはセンターに立って、殴られ倒される定番のギャグで笑を取った。
しかし。最後は宮川左近の本格的浪曲と3人の真面目な合いの手でちゃんと聞かせて終わる。若い筆者は、最初退屈だったが、知らず知らず3人の笑いよりも、本当の芸に魅せられていた。「まいどー皆様、お馴染みの、お聞きくださる一節は、流れも清き、宮川の水にただよう左近ショー! 」「 しっかりやりましょ、時間まで!」と。音楽ショーという芸には、必ず定番のテーマソングがあった。
当時、同志社大学の学園祭に来ていて大人気だった。因みに、宮川大介・花子の大介は、宮川左近の弟子である。
なお、桂吉朝をセンターに、塩鯛(当時、都丸)を右手、む雀を左手にして、パロディの左近ショーを演じている。確か読売テレビの紅梅亭だったと思うが、筆者はユーチューブでたまに聞く。必ず笑える。
生きてるだけで丸儲け。笑って生きれば大儲けだ。