『KKKベストセラー』(中原昌也)

2006-05-31 17:37:18 | books
KKKベストセラー
中原 昌也著
朝日新聞社 (2006.5)
通常24時間以内に発送します。


んー。読んだのだけど、何も言うことないなあと思っていたんですけどね。時間がたつにつれて、どうにもひっかかってくるので少しだけ。

とにかく(小説を)書きたくない書きたくないということばかりを書いているというものすごい矛盾に満ちた小説なんですね。世の中、小説を書きたいひとはたくさんいるみたいだし、(わたしを含めて)こういったブログやウェブの日記などまで書きたいひとにあふれているというのに、こんなに書きたくないひとに書く仕事が行くということ自体ものすごい矛盾なわけですが。

じゃあ書くなよ、という単純な突っ込みは、有効と思えない。

彼は生活のためにお金を得るために仕方なく書きたくないということを書いているのだけれど、書いている間にもパソコンの電気や部屋の電気を使って消費しているという矛盾もあり、このへんは小説家であるというだけではなく、今生きているということの矛盾にもつながるようで、ただの駄々っ子(笑)ではないという気もしてきます。

ついには島田雅彦(の文芸時評)に完全にぶち切れて、連載そのものをやめてしまう。『小説トリッパー』の連載が、怒りの「あとがき」とあわせてわずか三回、それで一冊の本になってしまうというのもすごいなあ。

今の時代に小説を書くということの意味について、これほど徹底的に考えている作家はいないともいえるわけで、逆説的な意味で非常に現代的な作家なのかなあ。うーん、むずかしい。

『KKKベストセラー』のテーマというCDが付いているのですが(笑)、聞くべき?
装丁は笑えます(bk1にも画像がないのは、写真には写らないから?)。



やっと初夏のような一日でした。
きょうも家ごもりで添削のお仕事。
とりあえず終わった。

ぜんまいを煮る

2006-05-30 17:39:02 | Weblog
メニューを決めないまま買い物に出てしまい、ぼーっと棚を眺めていたら「ぜんまい」の水煮が目に入った。

わたしは実母の田舎が秋田なので、こういう山菜系は昔からなじみが深いのです。
でも、昔はうちでは乾燥のぜんまいを使っていて、前の晩から水にもどしたあとアクを抜いたりと、手間のかかる食べ物という印象が強い。水煮の山菜は輸入物が多くて、保存料たっぷりのイケナイ食品ナンバーワンという気がしていたけれど、ちゃんと生産地・高知ってあったから買ってみました。これから厚揚げと煮ます。

そういえばこのスーパーには、今みたいにメジャーになる前からゴーヤを売っていたし、先日も「赤ミズ」を売っていたのでした。「赤ミズ」も山菜ですね。茹でるとぬめりの出る系です。シンプルだけどおいしいの。



一日添削仕事で疲れました。

『週刊朝日』が誌面リニューアルですね。「デキゴトロジー」が復活していてびっくり。
遠い遠い遠い昔、この欄を書いていたことがありますの。身内の恥をさらしつくしてました(笑)。懐かしい。

『下妻物語』

2006-05-30 02:15:41 | cinema
噂の映画『下妻物語』をテレビで見たですよ。

かなり『木更津キャッツアイ』テイスト満載ですね。キャッツ女版って感じですか。阿部サダヲは出ているし、岡田義徳くんも出ているし。

で、何が違うのか、その差異にこだわってみたいんですが、根底にメルヘンがあるとこですかねえ。『木更津~』はメルヘンじゃない。あれは徹頭徹尾リアルな物語だと思います。ありえないことの連続だったとしても、誰がなんと言おうとリアルなの。

「負ける気がしねえ」ってさ、『下妻~』でも土屋アンナが言っているけど、これは『木更津~』のぶっさんの台詞なんだよ。んー、まあいいけど。

でも、映画は面白かったです。土屋アンナいいね。あと、この映画はやはりフカキョンの手柄だな。

映像もきれいだった。色の使い方とか鮮やか!




だとしてもだとしても、わたしは『木更津~』が好きだ。
負ける気がしねえ~。

『いちご物語』再読

2006-05-29 17:31:58 | books
去年も見かけたのだけれど、近所の人工の川に雌同士と思われる鴨が二羽。
今年も仲良く連れ立って泳いでおります。写真撮ろうと思ったけれど、意外に早い動きでついていけず。
平和に暮らしてください。


きょうは早起きをして添削のお仕事(本日締め切り)をしていたのだけれど、どうにも乗らない。というのも、別のところの添削の受講生から、わたしの添削に納得できないという手紙を貰ってしまった、というようなことがあって、そのクレームにわたしも納得できないのだけれど、どう返事をすればよいのかなあとかいろいろ思い巡らせていると気持ち的にダウナーなのですね、やはり。
ううん、小心者め。

そんなこんなしていたら、会社のほうから仕事がどっさり届き、これ幸いとそちらに専念。
添削は明日がんばろう。


このところ、第何次目かの大島弓子ブーム。『いちご物語』とか『リベルテ144時間』とか『つるばらつるばら』とか『毎日が夏休み』とか読み直している。
『いちご物語』のラストはまた泣いてしまった。わたしが大島弓子に目覚めた最初の作品。これに出てくる然子さんって、連載当時は全子さんじゃなかったですかねえ。って読むたびに思うのだけれど、確認しようもないなあ。誰か「そうそう」って言ってくれたりしないかしら(しないだろう)。

さて、「らでっしゅぼーや」も届いたし、久しぶりにちゃんとした晩ご飯でも作りましょう。
新じゃが♪

歌会日和

2006-05-28 23:13:47 | Weblog
昼からマンションの自治会の総会があるので、それに顔を出してから出かけようと思っていたのだけれど、会場に行っても誰もいない。問い合わせてみたら14:00からだった。ははは。

脱力して、新首都の会へ。

きょうは8名の参加。でも、いい歌も多くてすごく充実した会だった。
初参加のM森くんが昨日(正確にはおとといだった)誕生日だったというので、終わったあといつもの「やるき茶屋」でお祝い。5時前から飲んでしあわせ。




そして今、とてもラーメンが食べたい(凝りなさい)。

お祝いの会

2006-05-27 16:40:51 | Weblog
昨日は納本日だったので出社。
今月号は執筆者にふたりも知り合いがいて、うれしい。
とっとと仕事を終え、明治学院の講座へ。
男前くんが前回に続けてきてくれて、うれしい。ラーメン二郎の歌がよかった。

終わってタクシーで新宿「サムライ」へ。松井茂さんの第一詩集のお祝いの会。
詩人率の意外な低さを指摘すると、歌人も詩人に関数的に含まれるのだとF井さんに言われる。それにしても美術館関係者とか美術家とか音楽家とか哲学者とか写真家とか不思議なメンツでにぎやかな会となる。
途中でaちゃんとi村ちゃんのギター&フルートの演奏。写真はそれ(なんで縦横が逆になってしまうのかなあ)。

ワインを飲み過ぎて最終的には会費を大幅オーバー(笑)。
その後サッズカフェへ移動。ミニ朗読会。mさんが藤井貞和さんの詩を読んだり。
そのまま朝を迎え、またまたラーメン屋を探してさまようひとたち(いいかげん凝りなさい)。やはりラーメン屋はなかったので、立ち食いそば屋で妥協。でも、そばとかうどんのほうが飲み明けの胃にはいいような気がする。
仕事の時間まで山手線で眠るというi村ちゃんと渋谷で別れて東横線で帰る。眠い。

家に帰って3時間ほど眠る。結局一日ものにならず。気持ち悪。

メキシコ大使館から今度のイベントのフライヤーがやっと届いた。
6月は忙しくなりそうだ。

着々と

2006-05-25 16:11:19 | Weblog
久しぶりの園芸便り。

プチトマトが小さな青い実をつけ始めました。
でも、このところの日照不足のせいなのか、成長は遅いです。例年だとこの時期はもっとぐんぐん背丈がのびるのにな。

綿花も順調。双葉が大きくなって、次の葉がちょこっと出てきています。これも気温が大事だから、気になるところ。

サラダガーデンはすごいことになっています。レタスとサラダ菜の勢いがすごすぎて、モロヘイヤが伸び悩み中。今夜のサラダに少し間引きしましょうかね。

バジルは成長が見られません(泣)。葉っぱは虫食われているし。んー、mちゃん秘伝の謎のエキスもかけているのになあ。しばらく様子見です。


きょうは天気もいいし、早起きして思いっきり洗濯して、午前中は添削のお仕事をしこしこ。午後は失念していた「未来」の埋草原稿を汗かきながら書き、メールとファクスで送信(ごめんなさい、ごめんなさい)。そのあと明日の明治学院の講座のための歌を作る。今回のテーマは「わたしの知っている変わったひと」ということで、誰のことを書いたかは明日のお楽しみ。
そのあと締め切りの近い原稿のための歌集読み。

今頃気付いたのだけれど、先週の土曜日の「短歌ヴァーサス」のWeb日記に荻原さんがわたしの歌をとりあげてくださっていた。ありがたいことです。

http://www.fubaisha.com/tanka-vs/top.cgi?mode=read&year=2006&month=5&day=20

「品川」というタイトルをクリックするとき、自分の歌のような気がした。自分の歌に「品川」の歌なんてあったっけ? とか思いつつ、なんとなくそんな気がした。不思議ね~。

『ヨコハマメリー』

2006-05-24 23:42:42 | cinema
体調が低調なのだけど、水曜日なので映画にゆく。
池袋東急まで、「ヨコマハメリー」を観に。

ずっと見たかった映画だったのだ。ハマのメリーさんといえば、何回か実物を目撃したことがある。とにかく上から下まで真っ白で、薄汚くて怖かった。わたしが見かけたのはもう20年近く前だったけれど、当時はもう十分におばあさんで、でも現役の娼婦(しかも外人専門の)ということだった。まあ、都市伝説みたいな存在だった。

映画は、シャンソン歌手の元次郎さんを中心に、メリーさんとゆかりのあったひとたちのインタビューを元にしたドキュメンタリー。貴重なメリーさんの映像もたくさんあって、いろんなひとに愛されていたひとだったのだと改めて知る。
「根岸屋」という大衆酒場の、お座敷芸者だったというひとがよかった。最後のほうでそのひとの小さなコンサートみたいのをやっているシーンで、なんだか涙が出てたまらなかった。
メリーさんは最後は生まれ故郷の老人ホームで、穏やかな日々を過ごしていたようだ。元次郎さんが慰問に行ったときの、白塗りではないメリーさんはとてもきれいなおばあちゃまだった。
ビルの通路みたいなところで、パイプ椅子ひとつで寝ていた日々を思えば、最後は平穏な暮らしだったのだろう。でも、ずっと横浜に帰りたがっていたらしい。それも切ない。


映画が終わったら外は豪雨。天気予報ではたしかにそんなことを言っていたけれど、傘は持っていなかった。池袋駅の喫茶店で時間をつぶしたあと、東中野の「未来」発行所へ。編集会議。
きょうは岡井さんがいなかったので、しゅくしゅくと事務的なことを。
終わって近くの居酒屋で軽く飲む。
「岡井る」「大島る」「佐伯る」という言葉を流行させようという企み。意味は推してはかるべし。

あいかわらず雨は止まなかったけれど、まあなんとかなってしまった。
傘なんてなくても平気よ。

『世界共和国へ』(柄谷行人)

2006-05-22 16:38:05 | books
世界共和国へ
世界共和国へ
posted with 簡単リンクくん at 2006. 5.22
柄谷 行人著
岩波書店 (2006.4)
通常24時間以内に発送します。


わたしはこの世に生きているひとのなかでたぶん三番目くらいには柄谷行人というひとが好きなので、柄谷さんの新刊が出たとなればどんなに高い本だって(たぶん)買うんです、そしてどんなに難しくたって読むんです。だからそれがたとえわたしの嫌いな「新書」というものであったとしても。

岩波新書の1001冊目、新版赤本の1冊目、ということでもなかったら、柄谷さんは新書なんて書かなかったんじゃないのかなあとか邪推しつつ。

で、さほどの期待もなく読みはじめたこの『世界共和国へ』は、想像通り『トランスクリティーク』以降、柄谷さんが繰り返し書いてきていることの一般的な解説(のわりに語り口調が丁寧なだけで内容はちっとも易しくない)にすぎなかった。

いずれにせよ、わたしは経済部門における柄谷行人の良い読者ではないということなんだ。終わったとか駄目だとかでもいいから、文学について語ってほしい(泣)。

ボロメオの環の話は面白かったけどね。


そんなこんなでまたまた新手の占い「出版社占い」をやってみたら「岩波書店」でした(笑)。そんなオチかよ、ってことです。

http://maromaro.com/press/


きょうは春日井建さんの命日。
もう三回忌なんだ。

『アルコール2』(西村しのぶ)

2006-05-21 15:55:35 | books
アルコール 2
西村 しのぶ
集英社 (2006.5)
通常24時間以内に発送します。


しのっちゃ、久しぶりの新刊だ。
きょう大口に買い物に出たついでに寄ったユニーの本屋で見つけた。こんな場末の、しかもユニーの本屋なんかで出会うのは切なかったけれど(笑)、迷わず買い。ついでに『フルーツバスケット』の20巻が出ていたので、こちらは惰性で買う(もういいかげん終わってほしいです。なんだかんだ言いながら、新刊が出ていれば買ってしまうので)。

で、一刻も早く読みたくて、近くのおしゃれでもなんでもないカフェみたいなとこで読む。
(一応カフェなのに、なぜか客はおやじばかり。日曜日に家にいられないおやじたちの一時避難所か?)

おそらくは自分とは大きくかけはなれた登場人物、若い頃もそしてこの先もおそらくは縁のないであろう設定。西村しのぶの漫画はそうでありながらわたしを惹き付けてやまない。これは何なのだろう。

同じ女に生まれたのであれば、西村しのぶの描くリツコや百合やミサトのように生きたかった、と思わないでもない。あたしゃ、も少し背が欲しい~♪
でもそれだけじゃないな。なにより彼女たちの男前な生き方に惹かれる。
たとえば今回の『アルコール2』では、女性の喫煙について描かれている。カッコイイ女のアイテムとしてのタバコ、男のためにタバコをやめようと思う女心、禁煙のためにヨガに通ったり刺繍を提案する女友達。こう書いてしまえば単純なことなのだけど、いやはや、そんじょそこらの漫画ではありませんのよ。


読み終えて爽快な気分で、カンパチのあらを買い、園芸用の土や肥料を買って帰る。
息子にもらった紫陽花を鉢に植え替え、綿花などに追肥をする。これはこれで男前な日曜日の過ごし方ね、たぶん。

そしてこれからあら煮を作る。