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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ライオンがシュウィングする、ウルフが踊る、そして名盤が生まれた。

2022-04-24 08:17:53 | Weblog
 2018年制作の映画「ブルーノート・レコード ジャズを超えて」は翌年に上映されたので、同年にヴィム・ヴェンダースがプロデュースした「ブルーノート・ストーリー」も直ぐに観れるものと思っていたが、なかなか掛からない。タイトルも忘れかけていたが、ようやく当地で一日一回、一週間限定で上映の運びになった。そのせいか平日の夕方にもかかわらずやたらと混んでいる。

 前者はジャズ史上最高のレーベルの設立80周年を記念して作られたドキュメンタリーで、歴代アーティストや関係者たちの証言が中心だったが、後者は創設者のアルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフにスポットを当てた作品だ。同レーベルについては多くの書籍やジャズ誌で度々紹介されているので、熱心なファンならジャズ常識かも知れないが、ハンコックやショーター、ゴルソン、ドナルドソンが語ると誇張されたり冗談交じりに喋るので活字とは違った味わいがあり面白い。

 お年を召されても綺麗なライオンの最初の妻ロレイン・ゴードンが証言者として出てくる。離婚した理由に涙がこぼれそうになった。二番目の奥方ルース・メイソンもインタビューに答えている。スリー・サウンズの「Moods」とは全くイメージが違うのに驚いたし、残念ながら「Cool Struttin'」の美脚は映らなかった。初めて知ったのはウルフの私生活である。亡くなるまで盟友のライオンでさえ知らなかったというから驚きだ。文献には載っていないので観てのお楽しみにしておこう。

 映画館を出たあと居酒屋で軽く腹ごしらえをして、馴染みのジャズバーに寄った。規制は解除されたというのにガランとしている。自宅に帰りオープニングに流れたリー・モーガンの「I Remember Clifford」を聴くのもいい。ブルーノートの名盤を棚から取り出して眺めるのもいい。が、素晴らしいジャズ映画を観た後はしばしジャズバーで余韻に浸りたいものだ。
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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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管理人敬白 (duke)
2022-04-24 08:30:47
前回に続いて映画ネタですが、「ブルーノート・ストーリー」をご覧になった方はご感想をお寄せください。

映画『ヴィム・ヴェンダースプロデュース/ブルーノート・ストーリー』予告編  
https://www.youtube.com/watch?v=mvdH2CHQV2w


私が根城にしている札幌「DAY BY DAY」の黒岩静枝さんが、初めて四国徳島でライブを開きます。
お近くの方は是非どうぞ。

DAY BY DAY Facebook より

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5月10日私の誕生日の3日前となりますが初めての四国徳島にて演奏を行います
どうぞ皆様のお越しをお待ちしております
スージー黒岩ジャズライブ
@徳島コティ
徳島市寺島町西1-61-4阿波けんどビル7F
オープン19:00
スタート19:30
前売り3500円
当 日4000円
ドリンク別オーダー
ご予約お問い合わせ
088-626-3814
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価値ある移民 (内間天馬)
2022-05-01 17:35:40
ドイツからニューヨークにやって来たジャズ好きの二人の青年が、もしレコード制作を始めなかったら、今のジャズシーンはどうなっていたでしょう。スウィングを「シュウィング」と、ドイツ訛りでミュージシャンを鼓舞し、アメリカが産んだ最高の文化を世界に広めてくれたお陰で、今、我々もジャズに親しんでいます。感謝感謝ですよね。同じようにドイツからやって来た英語の出来ない青年が、後年、アメリカ映画の巨匠になるなんて誰が想像したでしょう? アカデミー賞受賞式で、オスカーを手にしたビリー・ワイルダー監督のコメント「この国に入国する時、審査官に、映画の脚本を書きたいと言ったら、彼は、頑張っていい映画を作ってくれと入国許可をくれたんです。名前も知らないあの時の紳士に感謝したい」。ライオンとウルフ両氏のように、移民者が文化の創造の担い手になる例は数多くあります。イブ・モンタン、シャルル・アズナブール、シルヴィ・バルタン…彼らはフランス人じゃなく、よそからフランスにやって来た人たちです。僕も日本からスコットランドに移民して20年以上になりますが、なんの取り柄もないんで、ま、とりあえず、良き隣人になろうと心がけてはいますけど…。それにしても、ライオンとウルフのご両人、よくぞブルーノートを立ち上げてくれました。偉い!多謝!
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ブルーノートだけでジャズの歴史がわかる (duke)
2022-05-02 17:22:10
内間天馬さん、コメントありがとうございます。

クルト・ワイルがそうであったように、もし戦争がなければこの二人はアメリカに渡っていなかったかも知れません。ジャズに限らず芸術文化は世界情勢に左右されます。

ジャズを知らない人でも直観的にわかるレーベル名がいいですね。
ライオンは嫌いなミュージシャンの録音はしなかったという批判もありますが、結果的にジャズのメインストリームを捉えていました。ブルーノートだけがジャズではありませんが、ブルーノートだけでもジャズの歴史がわかります。
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