
先日、フランス映画「最強のふたり」を観た。2011年にフランスで公開された映画では最大のヒット作で、東京国際映画祭でも賞に輝いた話題作だ。実話に基づいた作品で、車いすで生活している大富豪と、その介護者として雇われた黒人青年との交流を描いている。生活環境や経済状況はもちろんのこと年齢も性格も趣味も全く異なる二人がお互いを認め合い、絆を深めていくプロセスを見事に描いていた。
ジャズ界で最強のふたりといえばバードとディズだろうか。ビ・バップを語るとき必ず出てくる名前であり、この二人がいなければモダンジャズの完成もなかっただろうし、今のジャズもありえない。43年のシカゴ・サヴォイホテルでの二人の初共演はボブ・レッドクロスによって録音されているが、そこから53年の最後の共演まで、幾多のセッションは両者の切磋琢磨する姿が明確な音として記録されている。10年間も活動をともにすると人生観や音楽観の相違から溝ができるものだが、二人の天才にはそれがない。かつてバードは俺の心臓の鼓動の半分はディズのものだ、と称えたように二人にはバップという同じ血が流れていたのだろう。
バードはヴァーヴに数多くの作品を残しているが、なかでも50年に録音された「バード・アンド・ディズ」は議論の的になる。ピアノはモンク、ベースはカーリー・ラッセル、順当な人選ならドラムはロイ・ヘインズかマックス・ローチなのだが、何とバディ・リッチ。これがミスマッチ論議だが、世間が騒ぐほどの違和感はないと思う。確かにコンセプションの違いからくるズレはあるものの、これが寧ろスリルを生んでいるのではなかろう。「マイ・メランコリー・ベイビー」という選曲ミスとも思える甘い曲が甘くならないのは、バードとディズの感性、そしてリッチの気魄が合致したからなのだ。ときにミスマッチから名演は生まれる。
映画で大富豪が好みのクラシック音楽をアース・ウィンド&ファイアーで踊る黒人青年に聴かせるシーンがあった。「バッハはやばい、あの時代のバリー・ホワイトだ」という感想は、音楽を通して理解しあう両人を表している。後世に残る楽曲を書いたバッハは、多くのソウル・ミュージックを生み出したあの時代のホワイトなら、即興演奏の大家として知られていたバッハはあの時代のバードとディズかもしれない。
ジャズ界で最強のふたりといえばバードとディズだろうか。ビ・バップを語るとき必ず出てくる名前であり、この二人がいなければモダンジャズの完成もなかっただろうし、今のジャズもありえない。43年のシカゴ・サヴォイホテルでの二人の初共演はボブ・レッドクロスによって録音されているが、そこから53年の最後の共演まで、幾多のセッションは両者の切磋琢磨する姿が明確な音として記録されている。10年間も活動をともにすると人生観や音楽観の相違から溝ができるものだが、二人の天才にはそれがない。かつてバードは俺の心臓の鼓動の半分はディズのものだ、と称えたように二人にはバップという同じ血が流れていたのだろう。
バードはヴァーヴに数多くの作品を残しているが、なかでも50年に録音された「バード・アンド・ディズ」は議論の的になる。ピアノはモンク、ベースはカーリー・ラッセル、順当な人選ならドラムはロイ・ヘインズかマックス・ローチなのだが、何とバディ・リッチ。これがミスマッチ論議だが、世間が騒ぐほどの違和感はないと思う。確かにコンセプションの違いからくるズレはあるものの、これが寧ろスリルを生んでいるのではなかろう。「マイ・メランコリー・ベイビー」という選曲ミスとも思える甘い曲が甘くならないのは、バードとディズの感性、そしてリッチの気魄が合致したからなのだ。ときにミスマッチから名演は生まれる。
映画で大富豪が好みのクラシック音楽をアース・ウィンド&ファイアーで踊る黒人青年に聴かせるシーンがあった。「バッハはやばい、あの時代のバリー・ホワイトだ」という感想は、音楽を通して理解しあう両人を表している。後世に残る楽曲を書いたバッハは、多くのソウル・ミュージックを生み出したあの時代のホワイトなら、即興演奏の大家として知られていたバッハはあの時代のバードとディズかもしれない。
1910年代にヒットしたマイ・メランコリー・ベイビーは、甘い曲調ですのでスウィングジャズ向きといわれておりましたが、パーカーが取り上げて以来、アドリブの素材として多くのプレイヤーがレパートリーにしております。今週はマイ・メランコリー・ベイビーのお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルはまたの機会に話題にしましょう。
管理人 My Melancholy Baby Best 3
Charlie Parker / Bird & Diz (Verve)
Bill Evans / Simple Matter Of Conviction (Verve)
Sonny Rollins / Plays For Bird (Prestige)
他にもリー・コニッツをはじめウォーン・マッシュ、チャーリー・マリアーノ、チェット・ベイカー、ソニー・スティット、ジェームス・ムーディー、ノーマン・シモンズ、ローランド・アレキサンダー等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
映画「最強のふたり」をご覧になった方はご感想をお寄せください。
映画『最強のふたり』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=IfHOM7dPzZA
バード&ディズは本当に奇跡の競演ですね。 モンクのソロの後にやけくそで叩く(そう聞こえる)リッチにはちょっと笑えます。 金持ち喧嘩せずでしょうに(笑)
ベスト3にはちょいと手持ちが見つからないですが、ロリンズもいいですし、エヴァンスのアプローチもいけてますね。
素直にdukeさんと同じといえばいいのかな(笑)
ホークスが勝って、今日は芋焼酎も美味しいです!
3タテならずでしたが、この3連戦は良い試合でした。それにしてもあと1本が出ません。1週間後には順位が変わっているかもしれませんね。
聴きようによってはやけくそで叩くリッチですが、俺はバップを叩かんぞ、という強い意志表示にも聴こえます。
>金持ち喧嘩せずでしょうに
上手いこと言いますね。ダニー・リッチモンドはミンガスと喧嘩してはバンドを辞めておりますが、またしばらくすると仕事がなくなり戻ってくるそうです。名前からリッチが抜けていたとか。(笑)
ピアノ物ではエヴァンスが群を抜いておりますね。
今日は先発に不安がありますが、お得意さん相手ですので勝ちたいです。
曲順は、メドレーのロリンズは別として、
Bird & Diz とマーシュがB面一曲目、
エバンスとコニッツはA面ラストでした。
アルバム中ほどが、好まれているようですね。
チェット・ベイカー、ノーマン・シモンズとも3曲目でした。おっしゃるようにアルバム中ほどが多いようです。
ラストに持ってきているのはチャーリー・マリアーノ、ソニー・スティット、ローランド・アレキサンダーでした。中ほどやラストが多いのはトップだと甘い曲調のため全体が甘いという印象を与えてしまうからかもしれません。
ジェームス・ムーディはトップでした。なるほどアルバム全体がムーディです。(笑)
バディー・リッチが金持だった、、、というのも短絡。昔DOWN BEAT誌に「リッチはリッチではない」という記事があり、リッチの経済的な苦しさが取り上げられていました。
バディ・リッチはあれだけ長くビッグバンドを率いていたのですから経営も大変だったのでしょう。リッチに限らず総じてジャズマンは経済的には恵まれていないようです。なかでも酷いのは1年を300ドルで暮らしたというオーネット・コールマンでしょうか。デビュー前ならまだしもタウンホール・コンサートが話題を呼んだあとの話とか。来週はコールマン・ネタです。
ディジーはくすぶっているし、肝心のバードはアイディア、サウンド、共に切れがなく、まるで昔の自分をなぞっている感じ。何よりスピード感が感じられない(泣)。
あれほど熱かった二人の「ニュージャズ」への思いがこの1950年にはまるで感じられないのは、バップの衰退と、リードしてきた二人がもはや「奇跡の二人」ではなくなったという厳しい現実をさらけ出して残念。
唯一人モンクだけはやはり超然としてますね。
「金持ち」の参加はデュークさんのおっしゃる通り、特別マイナスになっているとは思いません。
ただしミスキャストの生んだ「名演」では絶対ありません。これが名演だったら二人が残した往年の「ディジー・アトモスフェア」や「グルーヴィング・ハイ」はどうなる??
特に前者の、曲後半の、ユニゾンで一糸乱れぬパっセージの素晴らしさは、バップ最高の瞬間の一つ、ジャズの持つ素晴らしさが実感できます。
因みに「金持ち」以外のドラマ―はローチ、ブレイキー、ヘイんズ、それと吾輩が最高に買うタイニー・カーンであれば嬉しかった。吾輩は特にかたい頭の持ち主ではないけれど、もし「この作品」が「奇跡」とか「最強の」と言われるとちょっとからみたい。尤もこのブログが仲良し仲間の、お遊びの楽しい場であるのを承知していれば、あまり真剣になることもないか。
「二人が最強」というのはこのレコードを指したのではなく、ジャズ史のうえで重要なバップ期の二人が最強ということです。
このレコードはダイアルやサヴォイとは比べようもありませんが、玉石混淆のヴァーヴでは最高の内容と思います。
ドラマーの人選としてはタイニー・カーンもいいですね。ゲッツの名演もカーンあってこそと思います。名前の通り小柄だったのでしょうが、大きさを感じさせます。カーンは30歳で亡くなっておりますが、そういえば同じ歳で亡くなったピアニストがおりました。来週話題にしましょう。昨日のコールマン・ネタはどうなる?
真剣にジャズを聴き、語ることも必要ですが、気軽にジャズを楽しみ、ジョークで遊ぶのも楽しいものです。
僕は和気藹藹がいいですね。
Rick さん、貴殿から見れば小生など
「的外れなこと言ってるな」と思われるでしょうが、
どうかお手柔らかに(笑