
京都駅から大阪駅まではどの位の時間で行けるのだろう?関西の二大都市を結ぶとなれば相当距離があるのだろうか。関西にお住まいの方や地理に詳しい方から笑われそうだが、海を超えない限り他県を跨ぐこともなければ、大きな駅まで数時間要する北海道に暮らしていると地図では時間の感覚がつかめない。京都の知人に尋ねたところ、「快速でしたら30分で行けますわぁ」と、鈍行のようなおっとりした関西弁で返事が返ってきた。
そうと聞いたら観光目的で訪れた京都だが、ライトアップされた清水の舞台どころではない。大阪駅からタクシーで15分ほどの所に目的地があった。ドアを開けるとよく磨かれたピアノが目に入る。優しい眼差しでピアノに向かっているのは寺井尚之さんで、弟子を取らなかったトミー・フラナガンの唯一の弟子として知られるピアニストだ。そして奥のカウンターから奥様の珠重さんが迎えてくれた。毎週木曜日に更新されているブログ「INTERLUDE by 寺井珠重」は、多くのミュージシャンとの触れあいやジャズクラブに集う方々との交流を軽妙な文章で綴られていて毎週楽しみにされている方もあろう。
尚之さんのピアノは初めて聴いたが、速い曲は実にスインギーでデトロイト・バップピアニストの名に恥じないばかりか、バラードの表現が素晴らしく、ステージにシンガーがいるのかと錯覚するほど歌っていた。もしそこに師トミー・フラナガンがいたなら、オレを超えたな、とニヤリと笑うかもしれない。帰り際に数枚のアルバムから珠重さんに1枚選んでいただいたのは「ユアーズ・トゥルーリー」で、珠重さんが病から幸い無事回復したのを機に録られたという。愛を歌った曲が並ぶ作品は、尚之さんが愛妻に寄せたメッセージであり、「You're My Everything」に全てが込められている。日本人、それも寡黙な男は照れもあり妻への愛を語ることは少ないが、ピアノで愛を表現できるのは何とも羨ましい。
時間の都合もあり2ステージしか聴けなかったが、寺井尚之さんと宮本在浩さんのベース、菅一平さんのドラムからなるトリオ「Mainstem」は、そのエリントンの曲のように美しく構築されていた。大阪のジャズクラブ「OverSeas」、そこにはあのフラナガンの名盤を映した誇り高いバップの薫りと、ジャズの聴き始めに誰しもがときめいたジャズの熱いロマンがある。海を超えて行った甲斐があるというものだ。
そうと聞いたら観光目的で訪れた京都だが、ライトアップされた清水の舞台どころではない。大阪駅からタクシーで15分ほどの所に目的地があった。ドアを開けるとよく磨かれたピアノが目に入る。優しい眼差しでピアノに向かっているのは寺井尚之さんで、弟子を取らなかったトミー・フラナガンの唯一の弟子として知られるピアニストだ。そして奥のカウンターから奥様の珠重さんが迎えてくれた。毎週木曜日に更新されているブログ「INTERLUDE by 寺井珠重」は、多くのミュージシャンとの触れあいやジャズクラブに集う方々との交流を軽妙な文章で綴られていて毎週楽しみにされている方もあろう。
尚之さんのピアノは初めて聴いたが、速い曲は実にスインギーでデトロイト・バップピアニストの名に恥じないばかりか、バラードの表現が素晴らしく、ステージにシンガーがいるのかと錯覚するほど歌っていた。もしそこに師トミー・フラナガンがいたなら、オレを超えたな、とニヤリと笑うかもしれない。帰り際に数枚のアルバムから珠重さんに1枚選んでいただいたのは「ユアーズ・トゥルーリー」で、珠重さんが病から幸い無事回復したのを機に録られたという。愛を歌った曲が並ぶ作品は、尚之さんが愛妻に寄せたメッセージであり、「You're My Everything」に全てが込められている。日本人、それも寡黙な男は照れもあり妻への愛を語ることは少ないが、ピアノで愛を表現できるのは何とも羨ましい。
時間の都合もあり2ステージしか聴けなかったが、寺井尚之さんと宮本在浩さんのベース、菅一平さんのドラムからなるトリオ「Mainstem」は、そのエリントンの曲のように美しく構築されていた。大阪のジャズクラブ「OverSeas」、そこにはあのフラナガンの名盤を映した誇り高いバップの薫りと、ジャズの聴き始めに誰しもがときめいたジャズの熱いロマンがある。海を超えて行った甲斐があるというものだ。
ユー・アー・マイ・エブリシングは、31年にハリー・ウォーレンが書いた古い曲ですが、今尚多くのプレイヤーが取り上げる美しいバラードです。ヴォーカルではナット・キング・コール、インスト物ではマイルスの決定打がありますが、それを追い越せとばかりに多くの名唱名演が並んでおります。今週はインストでお好みをお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 You're My Everything Best 3
Miles Davis / Relaxin' (Prestige)
Sweet Basil Trio / You're My Everything (Evidence)
Zoot Sims / If I'm Lucky (Pablo)
次点 Hisayuki Terai / Yours Truly (Flanagania)
トランペット、ピアノ、サックスの片寄らない選出になりましたが、マイルスの影響もあるのでしょうか、フレディ・ハバート、ウィントン・マルサレス、ダスコ・ゴイコヴィッチ、日本では原朋直&松島啓之のデュオ等、トランペッターが好んで取り上げているようです。他にもアーマッド・ジャマル、バリー・ハリス、ドン・フリードマン、シャーリー・スコット、アービー・グリーン等々、多くの名演があります。
大阪「OverSeas」で寺井尚之さんをお聴きになった方は、ご感想をお寄せください。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
尚、寺井さんのCDは、直接「OverSeas」にお問い合わせください。
INTERLUDE by 寺井珠重
http://jazzclub-overseas.com/blog/tamae/
You're My Everythingは、やはりマイルスの名演は外せないですね。
Relaxin'/ Miles Davis
これが、ベストだと思います。
dukeさん、マイルスを挙げない人はブログから永久追放して下さい。(笑)
Smoke Gets In Your Eyes/Eddie Higgins&Scott Hamilton
結構気に入っているYou're My Everythingです。
3枚目は、明日ユックリ考えます。
ご紹介に恥じぬよう、これからも精進いたします!
寺井尚之がYou Are My Everythingを愛奏したきっかけがサラ・ヴォーンの“Sarah Vaughan Sings Broadway”がきっかけでしたので一票投票させていただきます。
ありがとうございました。
私は、北海道の中の位置関係がいまいちよく分かりません。
札幌から函館は、旭川から札幌・・簡単に移動できると思っていた時がありましたが、行ってみてビックリ、現地でないと分からないことだらけ・・・。
大阪のオーバーシーズの並び40メーター先の東警察前のビルに当社の大阪営業所が長い間あり、よくオーバーシーズの前を通っていました。ついでにお店に行ったことは4回ほどあります。阪神大震災の前後のころです。
地震で割れたお店のガラスを寺井さんが片付けていらっしゃいました。
寺井さんのピアノも強く記憶に残っています。
やはり、フラナガンの影響というか、そのものというか・・子気味よくスイングする中にも端正な音色・・とでも言うのでしょうか・・。
フラナガンの生も近くで聴いたことがありますが、フラナガンより素直に染み込んできた覚えがあります。
そのお店で大好きなローランド・ハナを聴いたことも懐かしい思い出です。
フラナガンの生は直ぐピアノの脇でソロを聴いたことがあります、今は無き六本木のバランタインでしたが、凄い緊張感が伝わてきて水一杯飲めずに喉がカラカラになっていたというのが今よみがえる記憶です。
この話、ジャズ批評の編集長松坂さんにもお話をしたところ、同じ時にその場にいらっしゃって、やはり同じ体験をしたと・・・。
ところで、お題ですが・・・
1、マイルス/リラクシン
2、フレディ・ハーバート/ハブトーンズ
3、シダー・ウオルトン/スイートベージル
トリオ
次点、アーマッド・ジャマル/The awakening
以上ですが・・・マイルスは別として、フレディの解釈もなかなかいい、まだ若いフレディの傑作ではないでしょうか。
シダーは私の好きなピアノでして、ジャマルはさすがです。
おお、シンさんも行かれたことがありますか!
阪神淡路大震災の頃だと、移転前のお店ですね。
私はその頃は行った事がないですが、
移転後の堺筋本町の現在のお店には、
3度ほどお邪魔させていただきました。
寺井さんの演奏もさることながら、
珠重さんの優しいお人柄と細やかな気配りも、
人気の秘訣と強く思いました。
>duke さん。
寺井さんのアルバムは、私も
「Yours Truly」と「Dalarana」の
2枚持っております。
どちらもいいアルバムですが、どちらかというと
前者の方が好きですね。
お題のベスト3は、
1)Relaxin' / Miles Davis
2)Up Front / Peter Leitch
3)Awakening / Ahmad Jamal
ピーター・レイチは、オープニングでやってます。
ケニー・バレルを更にソフトにした感じの
渋~いギターです。
マイルスは多くの決定打という名演を残しておりますが、この曲もそのひとつですね。ガーランドに、ブロック・コードで演れと指示したマイルスの意図が見えるようです。殿堂入りともいえる名演とはいえ、なかには挙げない方もいるかもしれませんが、こればかりは好みですのでアンチ・マイルスの方は逆に歓迎します。
ヒギンズとスコハミのヴィーナス盤とは珍しいですね。こちらのレーベルはアンチが多いことで有名(笑)ですが、私も持っておりますよ。ロンサム・オールドタウンは好きな曲ですので買いましたが、肩の凝らない内容ですので一服には良いかもしれません。煙が目に沁みない健全さがあります。(笑)
ピアノのスタイルも多様化しており、今ではクラシックになったバップスタイルを貫くピアニストは少ないだけに寺井尚之さんには伝統の伝承のためにも活躍していただきたいですね。生でお聴きになった方は必ずやその魅力の一端に触れることでしょう。
またの機会を楽しみにしております。
本州にお住まいの方から見ると北海道は札幌を起点に簡単に移動できるものと思われるのでしょうが、函館や旭川へは数時間かかります。稚内は東京に行くより時間がかかりますし、根室は九州より遠いです。(笑)
さすがライブの達人、寺井さんのピアノを聴かれているようですね。今回、私は初めて聴きましたが、フラナガンのオーバーシーズを繰り返し聴いた高校生のころに戻れました。懐かしい音は、今一番新鮮であり、時代が求めている音なのかもしれません。
フラナガンの生は残念ながら聴いておりませんが、もしその場所にいたならSHIN さんや松坂さんと同じ状態になっていたことでしょう。
そしてお題からはマイルスに続き、ハーバードがきましたか。トランペット物ではマイルスに次ぐ名演ですね。ハーバードはナンシー・ウィルソンとの合同コンサートで聴きましたが、かなり興奮したのを覚えております。
>シダー・ウオルトン
今日はセダー・ウヲルトンではないのですね。関西訛りですかぁ。(笑)
堺筋本町という町名を覚えました。地名は地方により読み方が違いますので、タクシーに乗って迷わないようにモトマチかホンチョウか調べました。大阪を訪れたのは高校生の修学旅行以来ですが、片側4車線、それも一方通行の道路に驚きました。札幌でもこれほど広い道路はありません。札幌はせいぜい3車線ですが、これが冬になると雪で1車線つぶされますので渋滞するわけです。
今回、珠重さんにお薦めいただいた「Yours Truly」だけの購入でしたが、他のアルバムも興味ある選曲ですので聴いてみたいですね。
ピーター・レイチもありましたか。ギタリストはあまり取り上げていないようですが、ギターでも映える曲かもしれません。
ジャマルはピアノ物の定番ですが、シダー・ウオルトンが意外に良くて、今回私はこちらを挙げました。
大阪「OverSeas」は、行ったことがありませんが、いつか行きたいジャズクラブです。寺井さんのピアノの音を聴いてみたいと思いながら、OverSeasのブログを以前から読んでいました。今週末は、無事に津軽海峡を越えることを念願しています。さて、本題ですが、この曲、メロディがよいです。そんなわけで、
①Miles Davis / Relaxin' (Prestige)
②Freddie Hubbard / Hub-Tones (Blue Note)
③Fred Hersch / Whirl (Palmetto)
次点で、Dave Pike「Pikes's Groove」(Criss Cross)。ダスコのものは持っているはずなのですが、みつかりませんでした(泣)。①、②は久しぶりに聴いてみました。傾向はちがいますが、群を抜いています。③は最近の録音で、はじめからアドリブが続き、最後にメロディを弾いて終わります。はやく出ないかと緊張しているうちに終了します(笑)が、悪くありません。次点のパイクは、なんといってもヴァイブでメロディをたっぷりと奏でてくれるのが嬉しいところです。