
柔らかい陽射しを浴びて落葉が黄金色に輝くセントラルパーク、ひんやりとした秋の空気を感じさせるロックフェラーセンターのスケートリンク、紅錦の美しさ溢れるブロンクス公園の植物園、ニューヨークの名所で毎日のようにデートを重ねる二人。リチャード・ギアとウィノナ・ライダーが扮する、甘いラブストーリー「オータム・イン・ニューヨーク」の1シーンだ。さながら観光案内ビデオのような趣きで、一年中で最も美しい季節を迎えたニューヨークの情景を捉えている。
その美しい情景を切り取ってヴァーノン・デュークが曲を書きあげた。作曲家として知られるデュークが自身で詞も付けたのは、よほど秋のニューヨークの美しさに魅せられたのだろう。「ニューヨークの秋は、どうして人の気を惹くのだろう」という歌詞の一節からもうかがえる。故郷賛歌の代表ともいえる曲で、9.11の同時多発テロ以降は犠牲となった人々への鎮魂歌としても歌われているようだ。沈んだ心に訴えかける多くのメロディ、歌詞があるが、この曲ほどメロディと歌詞が綺麗に融合して共感を呼ぶ例はみない。
多くの名唱からテディ・キングを選んでみた。完成された美しい曲は派手なフェイクを交えず、ストレートに歌ったほうがいい。キングはアニタ・オデイのように自在なジャズ唱法で勝負する歌手ではなく、メロディ・ラインを忠実に歌いこみ、歌詞に思いを籠めるタイプだけに、情感溢れるバラードの上手さは格別である。歌詞の発音も聞き取り易く、単語の一つ一つが明確で、「New York」は「Autumn In にゅうよぅ」と聴こえる。日本人で初めてアメリカに渡ったジョン万次郎の記した英語辞書には、「New York」は耳で聞こえた発音で「にゅうよぅ」と書かれていた。この発音で十分意味が通じるそうだ。
映画のヒロインは不治の病で余命いくばくもない若い女性で、枯れゆく葉がやがて雪になるニューヨークの季節のうつろいが、ヒロインの命のうつろいでもあり、そこには苛酷な現実が待っていた。秋深し 隣は何を する人ぞ・・・芭蕉の句は熟した秋を初句に呼びかけるが、その次にくる落差のある言葉はあまりに現実的である。
その美しい情景を切り取ってヴァーノン・デュークが曲を書きあげた。作曲家として知られるデュークが自身で詞も付けたのは、よほど秋のニューヨークの美しさに魅せられたのだろう。「ニューヨークの秋は、どうして人の気を惹くのだろう」という歌詞の一節からもうかがえる。故郷賛歌の代表ともいえる曲で、9.11の同時多発テロ以降は犠牲となった人々への鎮魂歌としても歌われているようだ。沈んだ心に訴えかける多くのメロディ、歌詞があるが、この曲ほどメロディと歌詞が綺麗に融合して共感を呼ぶ例はみない。
多くの名唱からテディ・キングを選んでみた。完成された美しい曲は派手なフェイクを交えず、ストレートに歌ったほうがいい。キングはアニタ・オデイのように自在なジャズ唱法で勝負する歌手ではなく、メロディ・ラインを忠実に歌いこみ、歌詞に思いを籠めるタイプだけに、情感溢れるバラードの上手さは格別である。歌詞の発音も聞き取り易く、単語の一つ一つが明確で、「New York」は「Autumn In にゅうよぅ」と聴こえる。日本人で初めてアメリカに渡ったジョン万次郎の記した英語辞書には、「New York」は耳で聞こえた発音で「にゅうよぅ」と書かれていた。この発音で十分意味が通じるそうだ。
映画のヒロインは不治の病で余命いくばくもない若い女性で、枯れゆく葉がやがて雪になるニューヨークの季節のうつろいが、ヒロインの命のうつろいでもあり、そこには苛酷な現実が待っていた。秋深し 隣は何を する人ぞ・・・芭蕉の句は熟した秋を初句に呼びかけるが、その次にくる落差のある言葉はあまりに現実的である。
「秋深し 隣は何を する人ぞ」・・・「ジャズを聴く人ぞ」 秋に聴きたくなる「オータム・イン・ニューヨーク」のお気に入りをヴォーカル中心にお寄せください。
管理人 Autumn In New York Best3
Jo Stafford / Autumn In New York (Capitol)
Teddi King / A Girl and Her Songs (RCA)
Mel Torme / Sunday In New York (Atlantic)
映画「オータム・イン・ニューヨーク」を観て涙した方、ニューヨークの秋を愉しまれた方、秋の情景をお寄せください。
今週もたくさんのコメントお待ちしております。
○「Hot Cargo/ Arnestine Anderson」
ストリングス入りのコンボをバックに、
抑制の効いたトーンで情感を込めて、歌ってます。
私のは、Baybridge Records からの再発LPですが、
デューク・ジョーダン3との共演の4曲が追加された
お徳アイテムです。
にゅうよぅの秋、良い曲ですね。バー・ノン・デュークの曲では、パリの四月とこの曲が気に入っています。
ヴォーカルがあまり思いつかないので、ごちゃ混ぜベスト3です。
「アメイジング・バド・パウエルVol2」
「ダディ・プレイズ・ザ・ホーン」デックス
ドーハムのカフェ・ボヘミア・・と行きたいところですが「ニューヨークの休日」メル・トーメ
では、では、
Hot Cargo は予想していた1枚でして、私も好きです。では何で挙げないのか?持っていないだけです。(笑)
デューク・ジョーダン3との共演の4曲が追加されたアルバムは、かなり前にテイチクから発売されました。
ある時、エサ箱に Hot Cargo のオリジナルが・・・その後ろにあったのが、My Kinda Swing でした。財布と相談して、2枚に1枚、さぁどうする、25-25 さん。
私はマーキュリー傍系レーベルの Wing を選びました。It Don't Mean a Thing は最高ですよ。
バー・ノン・デュークの曲では、パリの四月とニューヨークの秋が対比されますが、作者は関連付けていないようですね。
インスト物では、私もパウエルをベスト3に入れます。インスト物はヴォーカル以上に吹き込み数が多いので、冬になっても終わらないほど喧々諤々でしょうね。来年の秋に登場でしょうか。(笑)
メル・トーメとは嬉しいですね。非常にニューヨークという都会が似合うセンスの持ち主です。シナトラとはまた違ったセンスがあります。
そのエサ箱は、○ニイ・レコードですか、某月社ですか?
オリジナルは、おいくらでしたか?
水道橋トニイ・レコードでエサ箱漁りした後に、
神保町「響」で大音量でジャズを聴きながら、
冷めたコーヒーをすする・・・。
これ、当時のジャズ・キチの定番だったようですが、
漁るスピードがプロのお兄さんたちより格段に遅かった小生は、
いいのを皆抜かれて泣いてました。
とりあえず、My Kinda Swing は持っていないので、
通販で発注しました(割と、安かった)。
「Hot Cargo」は、一時期入手困難でヤフオクでも
かなり高値でやり取りされていたようですが、
輸入盤CDで入手可能のようですよ。
↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2610822
但し、これにはジョーダンとのボーナス・トラック4曲は
追加されておりませんが。
取り合えず、必修科目のベスト3は・・・
1、メル・トーメ
2、シンガーズ・アンリミレッド
3、ジョー・スタッフォード
・・ときたもんだ!
確かに発音は「にゅーよー」ですね。因みにブルックリン橋は「ルックリン」
発音をしているのだけど、聴こえないような子音で・・。
私は何故かニューヨーは秋しか知らないのです。
9月末の上期が終って10月の初めから11月頃に海外出張が恒例で・・・。
セントラルパークの中の「タバーン・オン・ザ・グリーン」で昼食とか、プラザホテルの脇のオープンテラス式のカフェでお茶とか・・・色づく葉を見ながら、ニューヨーの独特の騒音を耳に・・。
この曲の調べは、ハーモニーが大事、従って、ストリングス的にフワーっとした出だしがたまりません。
シンガーズ・アンリミテッドのハモでフワァーっと感じましょう、あの綺麗なコードハーモニーを・・。
もう目に浮かんできますね、NYCの枯葉とちょっと寒い空気と・・・たまりませんね、シーンとサウンドがこれほどマッチした描写って、無いですね。
My Kinda Swing はマーキュリーがオリジナルでして、私が所有しております Wing は MGW-12000 の再発シリーズです。64年のプレスでブルーラベル、深溝です。確か購入したのは、池袋ヤマハのバーゲンだったと思います。3枚で1万前後でしたでしょうか。その時買ったのは、1枚は失念しておりますが、Ralph Gari EmArcy 大ドラマー・ラベルのオリジナルです。
ちなみに Wing オリジナル Paul Bley MGW-60001 は、ジャケットのブレイのメガネがずり落ちそうなくらい高かったですよ。トニイの紅井良人さんに、分割にしてくれと頼みましたら、少しばかり安くしてくれました。(笑)
私もトニイでエサ箱を漁り、古書店で本で買い、「響」でコーヒーすすっておりました。いつもピーターソンが流れておりましたね。
ニューヨーの秋を体験されていたのですか。「タバーン・オン・ザ・グリーン」とか、プラザホテルのカフェとか・・・具体的な描写で駅前留学とは違いますね。(笑)
メル・トーメにジョー・スタッフォード、順当なところで、シンガーズ・アンリミレッドですか。これがありましたね。おっしゃるようにハーモニーでフワァーっと感じます。
>シーンとサウンドがこれほどマッチした描写
映画を観ると、あの風景にはピッタリ合います。ニューヨーク出身者は、このメロディを聴くと故郷を思い出すのでしょうね。進駐軍の米兵と日本のテナー奏者が、ジャズを通じて友情が芽生える映画「この世の外へ クラブ進駐軍」で、ダニーボーイを聴いて涙するシーンがありました。シーンとサウンドがマッチした描写でした。
これは、もう圧倒的ですね。
メチャメチャいいです。
2)「All the Kings song」(Coral)
ジャケ、内容、共に言うことなし!
3)「A Girl And Her Songs」(RCA)
同じRCAの、To You From Teddi King と迷いましたが、
ブログ主さまの顔を立てて(笑)、こちらに。
でも、最初はあまり印象に残っていなくて、
CDで買っていたのを忘れて、中古LPでも買って
しまいました(ジャケ買い)。
ジャケがいいので、LPは残してCDは友人に
あげました。