
ピアニストでソニー・クラークの研究家として知られる中山智広さんが、「スタンダード・ジャズ・ガイドブック 170曲 for Players」(中央アート出版社刊)で、ブロニスロウ・ケイパー作の「Invitation」を分析している。50年代の作曲だが、60年代にミュージシャンが作曲した「モード+コード」の曲みたいだ、と。記号が並んだコードではモードを理解できないが、耳で確かめると同じコードが何小節も続く部分は確かにモーダルに聴こえる。
ソングライターとしてMGMと契約していたケイパーは数多くの映画音楽を手がけているが、この曲は「On Green Dolphin Street」と並んでジャズプレイヤーに人気のある曲だ。難曲ということもあり、この曲を演奏することは一種、一流のプレイヤーである証かもしれない。コルトレーンをはじめジョー・ヘンダーソン、デクスター・ゴードン、ビル・エヴァンス、アル・ヘイグ、ケニー・バロン等々、挙げたらきりがないが、録音した時期は全て実力が評価され、知名度が上がってからである。それだけ迂闊に手を出せない曲なのだろう。演奏するからには相当な自信があるとみえて、どの演奏も素晴らしい内容だ。
デンマーク出身のトランペッター、アンデシュ・ベリクランツがニューヨークのスウィート・ベイジルで行われたライヴでこの曲を取り上げていた。マイルスとも共演したことがあるリック・マーギッツァのテナーと、リッチー・バイラークのトリオと組んだ2管のクインテット編成なので、それこそモーダルなマイルスの黄金クインテットを思い起こさせる。録音は1992年で、時期的にこのメンバーからはアグレッシブなスタイルが似合いそうだが、意外なことにストレートアヘッドな演奏だ。難曲を理論的に演奏することはアドリブの幅を広げるうえで必要だが、難曲と思わせない展開ができてこそ一流のミュージシャンといえる。
件の本は、とあるジャズクラブに置いてあった。ステージに立つプレイヤーが参考にしているのだろう。小生のような譜面の門外漢には、コードは機械的な記号にしか見えないが、プレイヤーはそこから大きくアイデアを膨らます。さぁて、今夜はどのスタイルで演奏しようか。4ビートよし。モードよし。バラードもいい。サンバもいい。今宵も熱いジャズスポットに「招待」してもらおうか。
ソングライターとしてMGMと契約していたケイパーは数多くの映画音楽を手がけているが、この曲は「On Green Dolphin Street」と並んでジャズプレイヤーに人気のある曲だ。難曲ということもあり、この曲を演奏することは一種、一流のプレイヤーである証かもしれない。コルトレーンをはじめジョー・ヘンダーソン、デクスター・ゴードン、ビル・エヴァンス、アル・ヘイグ、ケニー・バロン等々、挙げたらきりがないが、録音した時期は全て実力が評価され、知名度が上がってからである。それだけ迂闊に手を出せない曲なのだろう。演奏するからには相当な自信があるとみえて、どの演奏も素晴らしい内容だ。
デンマーク出身のトランペッター、アンデシュ・ベリクランツがニューヨークのスウィート・ベイジルで行われたライヴでこの曲を取り上げていた。マイルスとも共演したことがあるリック・マーギッツァのテナーと、リッチー・バイラークのトリオと組んだ2管のクインテット編成なので、それこそモーダルなマイルスの黄金クインテットを思い起こさせる。録音は1992年で、時期的にこのメンバーからはアグレッシブなスタイルが似合いそうだが、意外なことにストレートアヘッドな演奏だ。難曲を理論的に演奏することはアドリブの幅を広げるうえで必要だが、難曲と思わせない展開ができてこそ一流のミュージシャンといえる。
件の本は、とあるジャズクラブに置いてあった。ステージに立つプレイヤーが参考にしているのだろう。小生のような譜面の門外漢には、コードは機械的な記号にしか見えないが、プレイヤーはそこから大きくアイデアを膨らます。さぁて、今夜はどのスタイルで演奏しようか。4ビートよし。モードよし。バラードもいい。サンバもいい。今宵も熱いジャズスポットに「招待」してもらおうか。
Invitation Best 3
Joe Henderson / Tetragon (Milestone)
Roy Haynes / People (Pacific Jazz)
Milt Jackson / Invitation (Riverside)
多くの投票はありませんでしたが、ジョー・ヘンダーソンが人気でした。そしてフランク・ストロジャーが好演のロイ・ヘインズ、アルバムタイトルにしたミルト・ジャクソンも聴き所が満載です。
今宵はお気に入りのインヴィテーションをお楽しみください。
ススキノは観光客相手のぼったくりバーもありますが、数千円で楽しめるガールズバーもあります。客引きの店でない限り安心して飲めますので一度どうぞ。
アナ・マリア・アルバゲッティは以前、拙稿でも話題にしましたが、綺麗な人ですね。最近は清楚でありながら妖しい魅力を持った女性が少なくなりました。
コンピューター対人間は色々と考えさせられるものがあります。人間の能力、知力を超えるコンピューターを作ったのは人間ですが、コンピューターに知性や感性を吹き込みことはできません。魂が宿っていない機械は人間を超えることができないでしょう。心を持ち、動かすことができるのが人間なのです。そしてジャズこそコンピューターでは絶対に表現できないものです。今宵もそんな血が通った熱いジャズを楽しみましょう。
でもdukeさまから「美女揃いのお店にご招待」だなんて、あまりに光栄なお話すぎて。。もしかしてススキノのぼったくりバーに連れていかれたりして・・笑。美女に囲まれたことなんてないから(爆)、浮かれて飲んでたら「ハイ!●十万円のご請求デスゥ♪」とか(´Д`|||)・・たしかに僕みたいな気弱そうなヲタは狙い目カモ^^;それでなくてもSHINさまにアタマからビールぶっかけられまいかと心配です^^;でも僕なんかには勿体ないお言葉!嬉しく思います。美女といえば僕がこの世で最も美しいと信ずる女性は、「ジャズファンだけにわかる形容」で譬えるならアナ・マリア・アルバゲッティ・・どころの騒ぎではないです。そして心の美しさは更にその上をいきます。amazonのリンクなぞを貼らせて頂きますと、こんな感じですね・・この表情はよく似ています。
『Anna Maria Alberghetti Sings for You』
http://www.amazon.co.jp/Anna-Maria-Alberghetti-Sings-You/dp/B000GLL1SI/ref=ntt_mus_ep_dpi_5
さてdukeさま、週末ですので少し僕の駄文にお付きあい下さいませ。先日の将棋電王戦における「コンピューター対人間」の闘いが我々に見せつけたもの・・それは「近代科学によって不可知の領域がつまびらかにされるほど、人間の生きる意欲は奪われてゆく」ということでした。機械が一瞬にして最適解を導き出せるのであればもう人間の出る幕はない、コンピューターどうしで指させておけばよいので、プロ棋士だって要らないのではないか・・そう考えて将棋への関心を急速に萎えさせてしまった人も少なくないのではないかと思います。かく云う僕もその一人です。こうした脱力してしまうような、生の根源を枯らしかねない病弊は、遍くこの「近代社会」に蔓延しています。僕はかつて読んだ安斎育郎さんという科学者の忘れられない警鐘を思い出しました。
> 人間にとって未来は希望です。
> そして、なぜ未来が希望かといえば「未来が不確定だから」にほかなりません。
> 「決まっていない」ところにこそ、魅力があるのです。
> 過去がどうであれ、現在がどうであれ、未来は、
> これから自分も主体的にかかわって開拓すべき夢を宿しています。
> ところが、現代社会ではどうでしょう。
> 人々は、学歴やら性別やら収入やらによって先行きまでも管理されてしまいがちです。
> 現在の条件で未来が決められれば、
> もはや未来は単なる現在の外挿にすぎなくなってしまいます。
> ミヒャエル・エンデはこれを「時間泥棒」と呼びました。
科学によってすべてが見通せるとしたら、人生には何の面白味も感じることはできません。そして科学によって「見通せる」という錯覚が人々の意識を覆い尽くしてしまったのが、今の世です。生きることに意味を見いだせない人、若くして命を絶ってしまう人が後を絶たないのも、そのためです。すべてが決まっていることの退屈さ、予め決められていることの空しさに、人は耐えることができません。決まっていないからこそ、変えられるからこそ、生きようと思える。恋愛や芸術は、淡い希望と不確実性に満ちた世界に人々を投げ込みます、だからこそ生の充実には欠かせない。豊かな生とは、そういうことです。
そして思うに、この「不確定性がもつ可能性」を体現した音楽こそが、ジャズなのではないではないでしょうか。なぜジャズという音楽が、これほどまでに圧倒的な感動をもたらしてくれるのか。それは「生きること」を望んでやまない人間の、やむにやまれぬ渇望の産物なのではあるまいか・・そう思うと、なんだか腑に落ちる気がするのです。
インヴィテーションといえばミルト・ジャクソン、ジョーヘンといえばページ・ワンというのが私の世代ですが、若い方はインヴィテーションといえばジョーヘン、ジョーヘンといえばテトラゴンかもしれませんね。
YouTubeのピックアップありがとうございます。
テトラゴンはデジョネットがスリリングですし、ブラックネスはウディ・ショウが光っていますね。ライトハウスは多くの名演を生んでおりますので、次回はライトハウス・ネタでいきましょう。そういえば、このインヴィテーションもBreakN'Bossa さんのコメントがヒントでした。ネタがないだけに助かります。
また、過分なお言葉をいただき恐縮です。私は美的感覚が欠けておりますが、集われる皆様は感性が豊かな方ばかりです。おだてともらい物に弱い私ですので、もしこちらに来られたときは美女揃いのお店にご招待しましょう。
「インヴィテーション」といえば、僕にはジョー・ヘンダーソンしか思いつかない(爆)ので、YouTubeから列挙させて頂きます。1970年辺りの録音ですがどれも快演、彼だけが醸しだせる色気が漂っていてたまりません。名刺代わりの曲ですよね♪ジョーヘンの。
『Tetragon』
http://www.youtube.com/watch?v=oqB-sz2SBsg
『In Pursuit Of Blackness』(『at the Lighthouse』にも収録)
http://www.youtube.com/watch?v=C2TuFRMZRF0
『Jazz Patterns』(『at the Lighthouse』の長尺別テイク!たまりません)
http://www.youtube.com/watch?v=ue1jpgBYzck
最後のはCD化されていませんが、今回の「お題」のおかげで見つけることができました(感謝)。何度聴いても飽きないジョーヘン・マジック!やはりヨイなぁ・・シビれます。ウディ・ショウの艶やかなトランペットが華を添えています。
さて私ごとですが、先日の将棋「電王戦」第五局。コンピューターに完敗した三浦八段の沈鬱な姿に、かつての自分を重ね合わせてしまいました。残された支えは美しいものに価値を見出さずにおれない「美意識」だけ。美しい自然、美しいひと、美しい音楽、そして幾多のジャズの名演・・。そうした神の恩寵に汲めども尽きぬ泉のような美しさを感じとること。dukeさまのブログも見事な美意識で彩られておいでです。こちらに集われる皆様は、幸せな方ばかりということになりますね。
フランク・ストロジャーは実力の割りに評価をされませんね。リーダーアルバムが少ないことと、サイドメンとして参加したバンドもヘインズやシェリー・マン、ドン・エリス等、どちらかというと人気のないバンドのせいかもしれません。繊細且つ大胆なアルトは聴きどころが満載ですので、機会をみて話題にしましょう。
4枚挙げていただきましたが、今週のベストはこのなかで決まりですね。
飛行機やホテルのご用意はできませんが、こちらにお越しの折は蟹料理とジャズクラブにご招待しますので、いつでもどうぞ。
People / Roy Haynes
Al Haig / Invitation (Spotlite)
Joe Henderson / Tetragon (Milestone)
Milt Jackson / Invitation (Riverside)
アル・ヘイグの盤で印象深いこの曲を知ったので二位に挙げました。
ところで、DUKEさんからは何時サッポロご招待のInvitationは来るのでしょうか?
若手女性ミュージシャンで結成された
Three Angels による「Angel Eyes」の
ラストで、Invitaion やってます。
8分近い比較的長尺の演奏ですが、
リズムと緩急の変化があって、飽きない内容です。
ドラムのキム・トンプソンが、なかなか芸が細かいです。
迷わずにトップはロイ・へインズがきましたか。いやはや忘れておりました。フランク・ストロージャーはこの時期が一番輝いておりましたね。その後シェリー・マンのバンドにも参加しておりますが、端正なドラムより変則的なロイのドラムのほうが吹きやすい感じです。
そして、ミルトはベスト入りですね。ジャケはよくありませんが、メンツも内容も文句なしです。
クインシーは短い演奏ですが、アレンジの巧みさもあり内容は濃いですね。
バートンといえば小曽根真とデュオで6月に札幌公演があります。チケットは順調な売れ行きとか。
1)「People / Roy Haynes」
やはり、ロイの叩く変拍子をバックに
ストロージャーの艶やかなアルト、
これが最高でした!
2)「Invitation / Milt Jackson」
ミルトのうねるような、そして絡みつくようなヴァイブ
やはり絶品ですよね。
3)「Quintessence / Quincy Jones」
Invitationでのalto flute とharp を効果的に使った
アレンジ、最高ですね。
バートンのgrp 盤は、期待したほどでもなかったかな。
「People / Roy Haynes」(PJ)ですかね。
フランク・ストロージャーのアルトの音色が、
堪らなく好きだ。
管理人 Invitation Best 3
Joe Henderson / Tetragon (Milestone)
Milt Jackson / Invitation (Riverside)
Al Haig / Invitation (Spotlite)
他にもコルトレーン、デクスター・ゴードン、フィル・ウッズ、ビル・エヴァンス、ケニー・バロン、アート・ブレイキー、ゲイリー・バートン、ジャコ・パストリアス等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Roy Hargrove - Invitation
http://www.youtube.com/watch?v=p8fIBUMvY0o
Bronislau Kaper playing piano - Invitation (1975)
http://www.youtube.com/watch?v=v7F6_6kVtPQ
ブロニスロウ・ケイパーという作曲家、ピアニストとしても一流です