デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

クリント・イーストウッドが愛した「Erroll Garner Classic Misty」

2024-09-15 08:36:34 | Weblog
 先週、NHKBSプレミアムシネマで1971年の作品「恐怖のメロディ」が放送された。日本で公開された73年頃に観て以来なので50年ぶりになる。ストーリーは覚えているものの、細かい部分は忘れていたので新作のように引き込まれた。アカデミー監督賞を2度受賞しているクリント・イーストウッドの監督デビュー作品である。

 原題はジャズファンなら「おっ!」と声が出る「Play Misty For Me」だ。タイトルは勿論のことイーストウッドのジャズ愛が全面に出ている。印象的なシーンを忘れないうちに記しておこう。70年のモントレー・ジャズ・フェスの映像がそのまま使われている。キャノンボール・アダレイがソプラノサックスを吹いているではないか。これは珍しい。キーボードはジョー・ザヴィヌルで、ウェザー・リポート結成直前だ。この時38歳。頭髪は・・・おっと失礼、WR時代帽子をかぶっているのでこれまた貴重なワンシーンかも知れない。

 女たらしのDJに扮するイーストウッドの曲紹介にグッとくる。「Erroll Garner Classic Misty」。ガーナーへのリスペクトだ。聞き込みに来た刑事が、「番組でマントヴァーニをかけてくれ」と言う。リスナーの多くはジャズよりもゴージャスなアレンジのポピュラーを聴くということだろうか。昭和時代の純喫茶でよくかかっていた楽団だ。劇中「Concert By The Sea」のジャケットに写っているような大きな岩がある海岸が出てくる。この風景も監督ならではの演出だろう。

 まだ公表されていないので詳しく書けないが、先日馴染みのジャズクラブで映画のエキストラとして呼ばれた。カチンコを入れる助監督にカメラマン、音声、照明、女優さんのメイク等々、クルーは20名を超える。監督は40代前半の人でスタッフの位置や出演者の台詞を指示しながら納得いくまでテイクを重ねる。俳優が一度はメガホンをとりたいというのがよくわかる。
コメント (3)
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