昨年暮れに、azumino さんが長野から出張で札幌に来られたとき中古レコード店で待ち合わせた。ジャズとレコードを愛する友と寸評を交わしながらのエサ箱漁りは楽しい。目ぼしいものをチェックするうち付けられた値に顔を見合わせたレコードがあった。どこに根拠があるのかと疑いたくなるミステリアスな値段をときおり見かけるが、店主のこだわりや思い入れが反映された値なので文句の付けようもない。
それはイリノイ・ジャケーの「スウィングズ・ザ・シング」で、ヴァーヴのトランペッターラベルのオリジナル盤ならまだしも国内盤である。同じシリーズの再発盤と比べて高いのはどうやら「帯」が付いているからだろうか。海外のオークション・リストをたまに見るが、「with Obi」という注釈が加えられるほど帯付きは人気のようだ。帯はともかくとして、今では聴くことのないテキサス・テナーの派手なブロウといい、そのブロウの様子を巧みに写したジャケットといい、人気盤であることに変わりはない。ジャケーがJATPでフィリップ・フィリップスと演じたテナー・バトルは聴衆を煽り、興行的にも成功したジャズコンサートとして今では伝説になっている。
付け加えこのアルバムが人気なのは「ハーレム・ノクターン」だろう。日本ではサム・テイラーで有名な曲で、妖しげなメロディはいつのまにかストリップ劇場の御用達になったが、元は作者のアール・ヘイゲンがエリントンのスタイルに影響を受けてハーレムの情景を描いた楽曲なのである。本国ではジョージ・オールドやハービー・フィールズの十八番なのでスウィングジャズの重要なレパートリーだといっていい。兎もすれば情感たっぷりに演奏したくなる曲だろうが、甘さを抑え力強く訴えるジャケーはバラードでも際立った美しさを表現できるテナーマンで、一部の識者から酷評された荒っぽいブロウ派という括りで聴くには惜しい。
札幌の薄野近辺は昔と大きく街並みが変わったが、中古レコード店から数分の所にかつてストリップ劇場があり、高校生のとき友人数名と連れ立ってハーレムの木戸をくぐったことがある。JATPのコンサートほどではないが、スポットライトを浴びたステージに踊り子が登場すると薄暗い場内から大きな拍手が沸き、酔客が興奮していた。「ハーレム・ノクターン」に合わせて「帯」を解く姿は純情な高校生には刺激が強かった。
それはイリノイ・ジャケーの「スウィングズ・ザ・シング」で、ヴァーヴのトランペッターラベルのオリジナル盤ならまだしも国内盤である。同じシリーズの再発盤と比べて高いのはどうやら「帯」が付いているからだろうか。海外のオークション・リストをたまに見るが、「with Obi」という注釈が加えられるほど帯付きは人気のようだ。帯はともかくとして、今では聴くことのないテキサス・テナーの派手なブロウといい、そのブロウの様子を巧みに写したジャケットといい、人気盤であることに変わりはない。ジャケーがJATPでフィリップ・フィリップスと演じたテナー・バトルは聴衆を煽り、興行的にも成功したジャズコンサートとして今では伝説になっている。
付け加えこのアルバムが人気なのは「ハーレム・ノクターン」だろう。日本ではサム・テイラーで有名な曲で、妖しげなメロディはいつのまにかストリップ劇場の御用達になったが、元は作者のアール・ヘイゲンがエリントンのスタイルに影響を受けてハーレムの情景を描いた楽曲なのである。本国ではジョージ・オールドやハービー・フィールズの十八番なのでスウィングジャズの重要なレパートリーだといっていい。兎もすれば情感たっぷりに演奏したくなる曲だろうが、甘さを抑え力強く訴えるジャケーはバラードでも際立った美しさを表現できるテナーマンで、一部の識者から酷評された荒っぽいブロウ派という括りで聴くには惜しい。
札幌の薄野近辺は昔と大きく街並みが変わったが、中古レコード店から数分の所にかつてストリップ劇場があり、高校生のとき友人数名と連れ立ってハーレムの木戸をくぐったことがある。JATPのコンサートほどではないが、スポットライトを浴びたステージに踊り子が登場すると薄暗い場内から大きな拍手が沸き、酔客が興奮していた。「ハーレム・ノクターン」に合わせて「帯」を解く姿は純情な高校生には刺激が強かった。