デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ファンキーという姓

2007-05-20 15:18:24 | Weblog
 漢字の字体の違いや読みの違いを考慮してカウントした場合、日本の姓は27万種あるといわれている。名もその時代々々で流行がありクラスに同じ名の方がいることもままあれど、やはり数多い。その組み合わせの姓名となると想像も付かない数だが、よほど珍しい姓と名でない限り同姓同名の人は全国にいるものだ。

 ジャズも100年の歴史となれば同姓同名のプレイヤーも珍しくない。今年の富士通スペシャル 100 GOLD FINGERS は、秋吉敏子を始めジュニア・マンス、ケニー・バロン、ドン・フリードマン等ビッグネイムが並ぶ。そのメンバーの一人に Benny Green がいる。チャーリー・ベンチュラのバンドで脚光をあび、50年代に活躍したトロンボーン奏者は Bennie Green 。スペルも違い多少発音の違いもあるが、カタカナ表記では共にベニー・グリーンである。その名を見聞きすると小生はトロンボーン奏者のグリーンを思い浮かべるが、最近のジャズファンはグリーンというとピアニストらしい。

 Benny Green はアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加し、知名度を得たピアニストで、63年生まれの比較的若い世代ながらそのスタイルはオーソドックスなものである。メッセンジャーズの伝統でもあるファンキー・フィーリングに溢れ、スウィング感はグリーンをホール目指して飛び上がるゴルフボールのように鮮やかなラインを持っている。ここ一番聴かせどころの壺を心得たテクニックも申し分なく、オスカー・ピーターソンが自分の後継者に指名したのも頷ける。

 「FUNKY!」と題されたアルバムは、ファンキーという姓を持つようなベニーの本領を遺憾なく発揮した快作だ。「マーシー・マーシー」、「ディス・ヒア」、「ワーク・ソング」等、お馴染みのナンバーが並んでいる。思わず足が踊り、体が揺れる同姓同名はファンキーという心地よく響く名であった。
コメント (30)
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