goo blog サービス終了のお知らせ 

デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

傲慢な女

2007-02-18 07:47:21 | Weblog
 今上映中の「マリー・アントワネット」の豪華な衣装が話題をよんでいる。アカデミー賞の衣裳デザイン賞にノミネートされているらしい。桐生操さんの著書「世界悪女大全」によると、ルイ16世の王妃マリーの衣装予算は今の金で年間10億円というからテレビで紹介されるどこぞのセレブの比ではない。この時代の王妃ともなれば権力も絶大で、謙虚さはほとんどなく傲慢な女が多い。贅沢三昧なマリーの最期はギロチンでの斬首刑という悲劇だった。

 ジャズアルバムで傲慢な女は写真のソニー・クリス盤で、その名も「ゴー・マン!」という。56年にクリスはインペリアル・レーベルに3枚のアルバムを録音しており、これはその1枚で、ソニー・クラークの好サポートもありワンホーンの傑作だ。1曲目の「サマータイム」は数あるこの曲のバージョンでも最右翼に入る名演で、クリス自身のベストプレイともいえる。プレイヤー誰しも、生涯の中で充実した年というのがあるが、クリスにとってのそれは56年といえよう。この年の本作、「ジャズUSA」、「プレイズ・コール・ポーター」は歌心にあふれアイデア閃くソロの連続で特徴のある泣きのアルトが堪能できる。

 クリスは66年以降プレスティッジに多くの作品を残し、航空会社のCMソングにも使われた「アップ・アップ・アンド・アウェイ」のヒットもあり日本での評価は高い。本国ではチャーリー・パーカー直系の実力あるバッパーながら、ウエスト・コースト・ジャズのメッカ、ロサンゼルスを本拠にしたせいもあり不遇であった。68年にニューポート・ジャズ祭に出演したことから人気を博したものの70年から数年間はノイローズのため活動を休止している。74年に復活後は精力的にレコーディングをこなし、77年には初来日する予定だったが、日本に出発する前日にピストル自殺で亡くなった。こちらもマリー同様、悲劇の最期だ。

 「傲慢な女」という邦題(笑)は誰が付けたのかは分からぬが、たいていのジャズ喫茶や中古レコード店では通じたから猿のイモ洗い現象のようなものだろう。小生はこのジャケットに吹き出しをつけている。

傲慢な女・・・何見てるのよ 私を乗せる男は「ごまん」といるのよ あっちよ 早く行って!

脚から目が離れない男・・・go men! ゴメン!
コメント (29)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする