ウコン黄色色素で太陽電池システム 名大グループ開発、希少金属少なく済む
カレーなどに使われるターメリック=ウコン(ショウガ科)=に含まれる黄色い天然色素クルクミンを使い、効率的に発電する太陽電池システムの開発に、名古屋大大学院生命農学研究科の松見紀佳准教授らの研究グループが成功した。横浜市で26日に始まる高分子学会で発表する。
太陽電池は、半導体シリコンを利用した製品が一般的だが、今回開発に成功したのは天然色素を使った色素系と呼ばれる太陽電池。
色素は光が当たると、電気の元になる「励起子(れいきし)」と呼ぶエネルギーの固まりを作る。色素系は、この励起子が希少金属「ルテニウム」内を通過すると、電気が発生する仕組みを利用している。これまで太陽電池を作るには、色素分子一つ一つにそれぞれルテニウムをくっつけなければならず、大量の希少金属が必要になることが課題だった。
グループは、分子が結合しやすく豊富にあるクルクミンに着目。分子を結合させてプラスチックを生成し、励起子をまとめてルテニウムを通過させる方法を考案した。クルクミン分子一つ一つにルテニウムを使わずに済むようになり、使う量を従来の3~4%にまで減らした。
また、色素系の太陽電池は薄いプラスチック状で、窓ガラスに張ったり、電柱に巻き付けたりしても使え、設置できる場所が大きく広がる。
松見准教授は「希少金属の量を減らせば、色素系太陽電池の大幅なコスト削減につながる。将来、工業的に安価に太陽電池を製造できる可能性がある」と話している。