グーグルが画期的な携帯電話向け新OSを発表。自己中心的なアップルとiPhoneの時代はそろそろ終わりが近づいている──
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)
iPhoneのキャリアであるAT&Tのひどいサービスにほとほと嫌になっていた私は、ベライゾンの携帯電話HTCインクレディブル(OSはグーグルの「アンドロイド」を搭載)に乗り換えることを真剣に検討していた。
そして今日(5月20日)、新OS「アンドロイド2.2」が発表されるのを見て決断した。
バイバイ、アップル。iPhoneはもういい。本当にサヨナラだ。
アップルがAT&Tの通信網と決別しようが、ベライゾンと手を組もうが関係ない。色々なブログに書かれているように、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
これまでは、ベライゾンの通信網でiPhoneが使えればうれしいと思っていた。
でも、もう違う。
アンドロイド2.2(通称Froyo)はiPhoneOSよりも断然いい。まず動作が早いし、アップルが嫌がらせのように拒否しているアドビの動画ソフト「フラッシュ」にも対応している。
アンドロイド端末をWi-Fiアクセスポイントにできるテザリング機能もサポートするので、これをモデムとして使いパソコンをネットにつなぐことができる。アップルとAT&Tもテザリング機能をそのうち提供するとしているが、いつになるかは分からない。だからグーグルが発表の場で、アンドロイド2.2搭載の携帯電話を使ってアップルのタブレット型端末iPadをネットに接続した時には、会場に大きな笑いが生まれた。
楽曲を購入して、携帯電話にダウンロードすることもできる。パソコンのライブラリーにある曲を携帯電話で再生することも可能だ。個人的には携帯電話を音楽プレーヤーとして使うことはほとんどない。それでも、アップルがカバーしていないこの機能を、グーグルが提供することに感動した。
アップルだって提供は可能なはずだが、そうしないことを選んだ。誰もその理由は分からないが、たぶん彼らの古いやり方に人々を閉じ込めておきたいのだろう。あるいは、市場トップの地位を確保しているので、怠けただけかもしれない。
■ウィンドウズに負けたジョブズを彷彿とさせる
グーグルが導入したものを、アップルがいつか組み込む可能性はある。つまり、今はアップルがグーグルを追いかけているのだ。
今日の発表イベントで最も印象的だったのは、グーグルのアップルに対する姿勢。今もアップルの仲間だというふりはしないで、アップルとの全面戦争に入ったことを認めていた。
アドビのようなアップルのライバルたちと違い、グーグル幹部はアップルのひどい振る舞いを嘆いているだけではない。どちらかといえばアップルをからかい、笑いの種にした。
アメリカでは5月に、アンドロイド搭載携帯電話がiPhoneの販売台数を超えたという調査が発表された。提供する技術の点では、グーグルはアップルを追い抜きつつある。
このニュースに対して、アップル側がその調査は一部の消費者を対象にしたもので、実際は自社の携帯電話のほうが売れていると語ったことに私はちょっとショックを受けた。
これは以前に見た流れとそっくりだ。80年代、アップルはパソコンの分野で最初に一歩リードし、それから自己中心的になった。すべてを支配したがることで悪名高いアップルのスティーブ・ジョブズは、ほかの人たちからただただ受けが悪かった。
そして、アップルのOSの模倣品だったウィンドウズを引っさげてマイクロソフトが現れた。マイクロソフトは誰とでもパートナーになり、今では市場シェアは90%に上る。一方で、アップルのシェアは一桁に止まっている。
現在、闘いの場はモバイル機器に移り、かつてと同じくアップルが一歩リードしている。そしてかつてと同じく、ジョブズは自己中心的になった。フラッシュのように機種を超えて利用されるソフトやアプリケーションを取り入れようとしない。アプリ開発業者をアップルの機器と、専用ソフトを配信する「アップストア」に囲い込みたいからだ。アップルはアップストアの売り上げから30%をコミッションとして得ている。
彼はiAdという広告システムも作り上げ、それ以外の広告システムとユーザー情報を共有することを拒否するという暴挙に出た。今夏にサービスが始まるiAdでは、売り上げの40%のコミッションを得る予定だ。
コンテンツの検閲さえも行い、彼が不快と感じたものは排除している。その対象はポルノだけでなく、少々際どかったり挑発的なもの、または「公人を愚弄する」ようなものまで含まれる。
■ジョブズ1人で楽しんでいてくれればいい
さらに侮辱的なのは、ジョブズが自身の自己中心ぶりを利他的行為に見せかけようとしていることだ。彼は素晴らしい体験を創造するとうたい、意図的に機能を制限した製品を売っているかもしれないのに、それはあなた方のためだと言う。
ふざけた話だ。アップルが作った生態系から自分たちが一セントでも多く引き出し、他者にはこれっぽっちも残そうとしていない、というのが真実なのに。
iPhoneの通話の不安定さにはもううんざり。そしてそれ以上に、アップルが我々をばか扱いし、威張り散らし、自社製品の欠点に対してふざけた説明を垂れ流す――自分たちの欠陥は欠陥ではなく強みだと強弁する――ことにうんざりだ。
スティーブ・ジョブズは、壁に囲まれた自分の大切な「庭」を作り上げた。細菌に触れることを恐れてペントハウスに引きこもっていた企業家の大富豪ハワード・ヒューズに、ジョブズはますます似てきた。
グーグルは今こう言っている。やあ、いい庭じゃないか。そこで楽しんでいてくれ。1人でね。
グーグルのビック・ガンドトラ技術担当副社長は、同社が携帯市場に参入した理由についてこう語った。「我々が行動しなければ、1人の人間、1つの企業、1つの端末しか残らない厳しい未来に直面することになる」
実は今朝、iPhoneにうんざりした私はベライゾンに電話をして、HTCインクレディブルについて問い合わせてみた。担当者によると現在入荷待ちで、30日は待つことになると言われた。
驚きはしなかった。正直言って、待つ価値はある。
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)
iPhoneのキャリアであるAT&Tのひどいサービスにほとほと嫌になっていた私は、ベライゾンの携帯電話HTCインクレディブル(OSはグーグルの「アンドロイド」を搭載)に乗り換えることを真剣に検討していた。
そして今日(5月20日)、新OS「アンドロイド2.2」が発表されるのを見て決断した。
バイバイ、アップル。iPhoneはもういい。本当にサヨナラだ。
アップルがAT&Tの通信網と決別しようが、ベライゾンと手を組もうが関係ない。色々なブログに書かれているように、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
これまでは、ベライゾンの通信網でiPhoneが使えればうれしいと思っていた。
でも、もう違う。
アンドロイド2.2(通称Froyo)はiPhoneOSよりも断然いい。まず動作が早いし、アップルが嫌がらせのように拒否しているアドビの動画ソフト「フラッシュ」にも対応している。
アンドロイド端末をWi-Fiアクセスポイントにできるテザリング機能もサポートするので、これをモデムとして使いパソコンをネットにつなぐことができる。アップルとAT&Tもテザリング機能をそのうち提供するとしているが、いつになるかは分からない。だからグーグルが発表の場で、アンドロイド2.2搭載の携帯電話を使ってアップルのタブレット型端末iPadをネットに接続した時には、会場に大きな笑いが生まれた。
楽曲を購入して、携帯電話にダウンロードすることもできる。パソコンのライブラリーにある曲を携帯電話で再生することも可能だ。個人的には携帯電話を音楽プレーヤーとして使うことはほとんどない。それでも、アップルがカバーしていないこの機能を、グーグルが提供することに感動した。
アップルだって提供は可能なはずだが、そうしないことを選んだ。誰もその理由は分からないが、たぶん彼らの古いやり方に人々を閉じ込めておきたいのだろう。あるいは、市場トップの地位を確保しているので、怠けただけかもしれない。
■ウィンドウズに負けたジョブズを彷彿とさせる
グーグルが導入したものを、アップルがいつか組み込む可能性はある。つまり、今はアップルがグーグルを追いかけているのだ。
今日の発表イベントで最も印象的だったのは、グーグルのアップルに対する姿勢。今もアップルの仲間だというふりはしないで、アップルとの全面戦争に入ったことを認めていた。
アドビのようなアップルのライバルたちと違い、グーグル幹部はアップルのひどい振る舞いを嘆いているだけではない。どちらかといえばアップルをからかい、笑いの種にした。
アメリカでは5月に、アンドロイド搭載携帯電話がiPhoneの販売台数を超えたという調査が発表された。提供する技術の点では、グーグルはアップルを追い抜きつつある。
このニュースに対して、アップル側がその調査は一部の消費者を対象にしたもので、実際は自社の携帯電話のほうが売れていると語ったことに私はちょっとショックを受けた。
これは以前に見た流れとそっくりだ。80年代、アップルはパソコンの分野で最初に一歩リードし、それから自己中心的になった。すべてを支配したがることで悪名高いアップルのスティーブ・ジョブズは、ほかの人たちからただただ受けが悪かった。
そして、アップルのOSの模倣品だったウィンドウズを引っさげてマイクロソフトが現れた。マイクロソフトは誰とでもパートナーになり、今では市場シェアは90%に上る。一方で、アップルのシェアは一桁に止まっている。
現在、闘いの場はモバイル機器に移り、かつてと同じくアップルが一歩リードしている。そしてかつてと同じく、ジョブズは自己中心的になった。フラッシュのように機種を超えて利用されるソフトやアプリケーションを取り入れようとしない。アプリ開発業者をアップルの機器と、専用ソフトを配信する「アップストア」に囲い込みたいからだ。アップルはアップストアの売り上げから30%をコミッションとして得ている。
彼はiAdという広告システムも作り上げ、それ以外の広告システムとユーザー情報を共有することを拒否するという暴挙に出た。今夏にサービスが始まるiAdでは、売り上げの40%のコミッションを得る予定だ。
コンテンツの検閲さえも行い、彼が不快と感じたものは排除している。その対象はポルノだけでなく、少々際どかったり挑発的なもの、または「公人を愚弄する」ようなものまで含まれる。
■ジョブズ1人で楽しんでいてくれればいい
さらに侮辱的なのは、ジョブズが自身の自己中心ぶりを利他的行為に見せかけようとしていることだ。彼は素晴らしい体験を創造するとうたい、意図的に機能を制限した製品を売っているかもしれないのに、それはあなた方のためだと言う。
ふざけた話だ。アップルが作った生態系から自分たちが一セントでも多く引き出し、他者にはこれっぽっちも残そうとしていない、というのが真実なのに。
iPhoneの通話の不安定さにはもううんざり。そしてそれ以上に、アップルが我々をばか扱いし、威張り散らし、自社製品の欠点に対してふざけた説明を垂れ流す――自分たちの欠陥は欠陥ではなく強みだと強弁する――ことにうんざりだ。
スティーブ・ジョブズは、壁に囲まれた自分の大切な「庭」を作り上げた。細菌に触れることを恐れてペントハウスに引きこもっていた企業家の大富豪ハワード・ヒューズに、ジョブズはますます似てきた。
グーグルは今こう言っている。やあ、いい庭じゃないか。そこで楽しんでいてくれ。1人でね。
グーグルのビック・ガンドトラ技術担当副社長は、同社が携帯市場に参入した理由についてこう語った。「我々が行動しなければ、1人の人間、1つの企業、1つの端末しか残らない厳しい未来に直面することになる」
実は今朝、iPhoneにうんざりした私はベライゾンに電話をして、HTCインクレディブルについて問い合わせてみた。担当者によると現在入荷待ちで、30日は待つことになると言われた。
驚きはしなかった。正直言って、待つ価値はある。