団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

北方領土返還」佐藤 優 現代ビジネス

2010-05-20 21:37:10 | 日記
現下、日本国家における最大の不幸は、全国紙やテレビ局の記者が国家官僚と同質化現象を起こしていることだ。その理由は簡単である。偏差値秀才型の記者が多くなったからだ。夏目漱石の小説『それから』に平岡という新聞記者がでてくる。

 大学で主人公の代助と同級生だったが、民間企業に就職し、会社のカネに手をつけてクビになり、しばらく浪人してた後、新聞記者になった。この小説を読むと「羽織ゴロ」と言われていた頃の新聞記者文化がよくわかる。


 最近でも、全共闘世代くらいまでの記者は、新左翼系の過激な学生運動、あるいは日本共産党(民青同盟)系の秩序正しい学生運動を経験していた人が多い。逮捕歴がある人もめずらしくない。頭がいいので、国家公務員試験の準備をすれば合格する基礎体力があるが、そういうことに価値観を見いださなかった人たちだ。


 記者志望の学生と、官僚志望の学生は、そもそも気質や趣味が異なっていた。


 ところが、現在、新聞社やテレビ局の第一線で取材を行っている記者には、ほとんどが偏差値の高い大学の出身で(かつてはそうではない大学の出身者がテレビ局に多かった)、国家公務員試験の準備も少しして、銀行や外資系企業も受験し、マスコミも朝日、読売、産経という社論の傾向にかかわりなく受験し、合格した中からもっとも将来性がある職業としていまの会社を選んだという人が多い。


 こういうマスコミ人たちには、がさつで下品な叩き上げ政治家や、気むずかしい作家よりも、中央官庁の官僚たちがよい人のように見えてくる。官僚は、新聞記者やテレビ局社員よりもずっと安い給料で夜遅くまで仕事をしている。威張り散らしているわけでもなく、記者が何かを尋ねれば、教えてくれる。


 積極的に嘘をついているようには思えない(積極的に嘘をつくような情報操作はレベルが低く、効果が上がらない。こういう稚拙なことを行うのは一部の外務官僚くらいだ。官僚の情報操作は、通常、事実のある部分だけを強調し、官僚にとって都合の悪に部分を隠すという形態で、マスメディアを官僚に都合がよい方向にミスリードすることによって行う。しかもこのミスリードを無意識のうちに行うので、官僚は情報操作に対する罪悪感をもたない)。


 官僚は、親しい記者にときどき「特ダネ」を流してくれる。それだから、現場の記者たちには、官僚がそれほど悪い人のように思えないのである。


 むしろ、官僚叩きで大衆のポピュリズムを刺激し、権力基盤を強化しようとしている民主党連立政権のほうが悪い存在のように、中央官庁を担当している記者には何となく見えてくる。これが筆者の言う国家官僚と記者の同質化現象だ。


 この同質化は無意識のうちに進んでいるので、矯正が難しい。現在の日本の記者の視界に入らない、国内政治や外交の現実を読み解くことで、同質化現象が国民の知る権利に応えていないことを明らかにするしか術がないと筆者は考える。


 その観点で5月10~13日の鈴木宗男衆議院外務委員長のモスクワ訪問が興味深い。鈴木氏はロシア事情に通暁している。北方領土交渉を再開する突破口をつくるタイミングを見極めて、この時期に訪問した。筆者の見立てでは、その理由は2つある。


 第1の理由は、沖縄の米海兵隊普天間飛行場の移設問題と関係している。鳩山総理が当初予定した5月末までに普天間問題が解決できないことが確実になった。当面、日米関係はこの問題が重要懸案となる。このままだと日本外交は普天間問題だけに収れんしてしまう。そうなると日本外交の縮小再生産のスパイラルに入る。


この局面を打破するために、現在、潜在力を使い切れていない日露関係を発展させようと鈴木氏は考えている。反テロ、資源エネルギー、ハイテク(特にナノテクノロジー)などの分野で、日露協力を戦略的に進めることによって、懸案の北方領土問題を解決することを鈴木氏は考えている。


モスクワ出発直前に首相と交わした会話


 モスクワに出発する2日前の5月8日に、鈴木氏は総理官邸で鳩山由紀夫総理と30分間会談した。鈴木氏はこの会談の内容について筆者に「普天間問題と北方領土問題について半分くらいずつ話した。


 北方領土について、鳩山総理は『鈴木さんの言う現実的解決論でいきたい』と言っていた」と述べていた。現実的北方四島返還論が鈴木氏の持論だ。これにはいくつかの形態があるが、一例をあげれば次のシナリオだ。


 歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島からなる北方四島に対する日本の主権確認を求めるという基本方針は揺るがさない。ただし、1956年宣言で日本への引き渡しが約束されている歯舞群島、色丹島についての解決と、引き渡しについてロシアが一切コミットしていない国後島、択捉島の扱いに差異をつけ、交渉を行う。


 2001年3月、イルクーツクで行われた森喜朗総理とプーチン大統領の首脳会談のときの方針に立ち返るということだ。この現実的四島返還論に基づくならば、北方領土交渉が再び動き始める。


 第2の理由は、最近、ロシアで反日機運を煽る動きがあり、その流れを抑えるためだ。今年の5月9日は対独戦勝65周年の記念日で、現在、ロシアの愛国感情が高揚している。ロシア政界の一部に9月3日を「軍国主義日本に対する勝利の日」を記念する祝日にしようとする動きがある。


 5月11日、鈴木氏は外交アカデミーで講演した。外交アカデミーは、幹部外交官や国際問題に従事する国会議員を教育する政策に影響を与える重要な研修機関兼シンクタンクだ。ロシアの外務次官と駐日大使を歴任したアレクサンドル・パノフ氏が学長をつとめる。


 この演説(5月17日付「ムネオ日記」に全文が掲載されている)は戦略的に実によく練られている。


 まず、日ソ中立条約に言及し、ソ連がナチス・ドイツに対して勝利することができなのは、日本がこの条約を遵守したからであると鈴木氏は強調する。


< 5月9日、対独戦勝65周年記念日を迎え、自分(鈴木委員長)からもこの歴史的な日を心からお祝いしたい。ソ連が対独戦争に勝利する上で日本は大きな役割を果たした。当時、日本はナチス率いるドイツと軍事同盟を締結していたが、同時にソ連とも中立条約を締結していた。</FONT>


 中立条約とは、仮に、ソ連がどこかの国と戦争を始めても、日本は中立を保つ、また、逆に日本が戦争を始めても、ソ連は中立を保つということをお互いに約束したものである。当時、ヒトラーは日本に対し、ドイツとの軍事同盟を優先し、ソ連を攻撃するように何度も要請した。しかし、日本はそれをはねのけた。


 仮に日本が別の選択をしていたのなら、歴史は変わっていたであろう。日本の選択は正しかった。なぜなら、ファシズムは全く間違っていたからである。ヒトラー率いるナチスの悪行は言語に絶する。まずはこの点を皆様にお伝えしたい。 >


 過去の史実のどれを取り上げ、どう意味づけるかによって、歴史認識が大きく変化する。日本は中立条約を遵守したが、ソ連は一方的に破棄した。この史実を動かすことはできない。この点を衝いて、ナチス・ドイツと日本を同一視できないという認識を鈴木氏はロシアの政治家と有識者にもたせようとしている。


 さらにメドベージェフ大統領の発言を引用し、反スターリン主義という価値観を堅持することが国際社会におけるロシアの利益にかなうという見方を鈴木氏は示している。



「当時のソ連国民に選択肢などなかった。命を落とすかもしれなかった。あるいは奴隷になるかもしれなかった。これは動かしようのない事実である。もう一つ、誰が始めた戦争かということである。この点はニュルンベルグ裁判の資料のみならず、多くの人の記憶に照らしても明らかである。


 大戦時の赤軍及びソ連国家が担っていた使命とその後起きたことを分けて考えることは、一般の人々の常識であり、歴史家の腕前というものである。」。


 また、スターリンに対しては、「自国民に対し多くの罪を犯し、彼の生涯に成功もあったが、国民への犯罪行為を許すわけにはいかない。」。


 このメドヴェージェフ大統領の言葉に全面的に賛成するものである。メドヴェージェフ大統領の考えは一貫している。例えば、2009年10月31日、メドヴェージェフ大統領は、スターリンの政治的弾圧について次のように述べている。


「弾圧は、正当化されるものではない。人間の命より価値の尊いものはない」


 これは非常に重い意味を持つ言葉である。自分(鈴木委員長)は、これまで一貫して、日露関係を、地政学的、戦略的に発展させるべきとの立場をとってきた。北方領土問題に関しても、当時ソ連が中立条約を侵して日本を攻撃した点だけを取り上げ、ロシアを激しく非難する人達がいる。


 しかし、そのような歴史認識に対しては、日本はナチス・ドイツの同盟国ではなかったのか、ソ連は英国や米国との約束を守って日本を攻撃したのである、ソ連のみが責められる筋合いのものではないとのロシア側からの反論を招いてしまう。


 このような議論は歴史専門家に任せるべきであり、我々は大きな歴史の中で、ファシズムが打倒され、ドイツも日本も、自由と民主主義を基本とする国家となったことに目を向けることが重要であると考える。 >


浮上した勢力均衡外交


 そして、反スターリン主義を、シベリア抑留者問題につなげる。




 この件につき、エリツィン元大統領は、1993年10月に訪日した際、スターリンによる弾圧の結果を認め、天皇陛下、総理大臣、抑留者代表、日本国民に謝罪した。


 過去の過ちを認めることができる国家は強い国家であり、更にその過ちにについて謝罪することができるのは、勇気ある指導者である。このエリツィン元大統領の勇気ある行動が、日本の政治エリートの対露認識を根本から変え、自分(鈴木委員長)も日本の対露政策転換に大きく関与した。 >


 シベリア抑留問題も北方領土問題も、スターリン主義によってもたらされたものだ。反スターリン主義の切り口から北方領土問題を解決することが可能か、鈴木氏は瀬踏みしているのであろう。


 そして、勢力均衡外交の重要性を強調する。


< 1997年7月、当時の橋本(龍太郎)総理は、ユーラシア戦略に関する演説を行った。</FONT>


 当時、NATOは西側からロシアを封じ込める政策をとっていたが、これに対し日本は、21世紀のアジア太平洋の新秩序を形成するのは、日露米中の4大国であり、その中で最も2国間関係が持つ潜在力を発揮できていないのが日露である、日露を接近させることが、日本の国益、ロシアの国益を促進させ、地域の安定に貢献すると考えた。


 そのような中、パノフ学長が鍵を握る重要な役割を果たし、政治、経済、文化の関係を戦略的に発展させる中で段階的に北方領土問題の解決を図るとの認識が日露両国の政治エリートの間で共有されるようになった。


 自分(鈴木委員長)は、日本の愛国者であり、それゆえ日本の名誉と尊厳を大切にする。同時にロシアの名誉と尊厳も尊重する。それは、ロシアの愛国者の気持ちが分かるからである。


 ロシアの名誉と尊厳が守られることは極めて重要であり、ロシアの名誉と尊厳を毀損する形での北方領土問題の解決はあり得ないと考えてきたし、今でもそのように考えている。>


 鳩山総理と鈴木氏は、対露関係についてよくすりあわせを行っている。勢力均衡外交という発想は、目的関数を設定し、それにどのような制約条件があるかについて考える鳩山総理の「政治を科学する」思想と親和的だ。


ロシアからのサインが読めない外務官僚


 ロシア側は、鈴木氏の訪露の成果について、ロシア国営放送「ロシアの声」(旧モスクワ放送)を通じてシグナルを日本政府に対して送ってきた。




 ロシア下院(国家会議)のルスラン・コンドラトフ議員は13日、モスクワで同日行われたコサチョフ国際問題委員長と鈴木宗男・衆院外交委員長の会談についてコメントし、「日本政府に情勢を過熱化させる意図はないようだ」と述べた。


 議員はプーチン首相率いる与党・統一ロシアの所属で国際問題委員会の委員。コメントは統一ロシアのホームページ上に掲載された。内容は以下の通り―。 


「鈴木宗男氏によれば、鳩山由紀夫政権は北方領土問題の解決を巡る情勢を強行的に過熱するつもりはないようだ。議会の代表(=鈴木氏)が自国世論だけでなくロシア政府および議会との活発な協力を望んでいると明言した。 


 ロシアは同問題について、一度ならず日本との交渉の姿勢を確認してきた。ただ理解する必要があるのは、南クリル諸島(いわゆる北方四島)はソ連の一部として存在し、ロシアがその継承者となったということ。


 わが国はクリルを極東の一部とみなしている。その極東の発展は国家の優先事項のひとつだ。つまり、日本への返還のテーマから最終的に離れる時なのだ。 


 また、政府に草案を提出した2025年の極東社会経済発展戦略では、クリルにも大きな注意が払われている。パラムシル(幌筵)、択捉、国後、色丹の島々には生物資源分野の大規模なクラスター(産業集積地)が作られる。食品・医療・燃料用に魚ほか海産物の加工開発を活発に進めていく。


 さらに、島内では現代型の空港や社会インフラの建設も計画されている。」 >


(5月13日「ロシアの声」日本語版HP)


 ここで重要なのは、< 日本への返還のテーマから最終的に離れる時なのだ >という表現だ。要するに、領土問題を解決するということである。このシグナルを、日本人に理解できるように読み替えると次のようになる。


「日本が、北方四島が日本領であると主張していることは理解している。ただし、ロシアの現時点での立場は、北方四島は戦争の結果、ソ連領になり、ロシアがそれを引き継いでいるのでロシア領ということだ。
  極東の発展はロシアの国益に直結する。生物資源開発や社会インフラの整備で、極東開発に日本が協力するならば、北方領土問題自体を最終的になくす、すなわちロシアと日本の双方が譲歩して解決することができる」


 15年前ならば、このような読み解きを日本の外務官僚が行うことができた。また、記者たちもロシアからのシグナルを懸命になって読み解く努力をした。現下日本では、ロシアからのシグナルを受け止め、読み解くという問題意識が外務官僚、現場記者の双方から失われている。


 官邸主導で、勢力均衡外交に対応できる態勢を構築しないと、北方領土交渉を軌道に乗せることはできない。


ハートウェル・ペーパー

2010-05-20 21:30:38 | 日記

鳩山政権は地球温暖化対策基本法の成立を急ぐな 国連の枠組みでは温暖化は防げない

現代ビジネス5月19日(水) 14時35分配信 / 国内 - 政治






鳩山政権は地球温暖化対策基本法の成立を急ぐな 国連の枠組みでは温暖化は防げない
写真:現代ビジネス
 過去15年間の実績をみれば、京都議定書が世界的なCO2の排出削減に非力なことは明らか。国際社会は、もっと「政治的に魅力があって、同時に、徹底的に実利的な」排出削減戦略を追究すべきだ――。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のグウィン・プリンズ教授ら日米欧の学者14人が共同で、このほど、地球温暖化を予防する新たな枠組み作りを盛り込んだ報告書「ハートウェル・ペーパー」をまとめた。この地味な論文が、欧州を中心に意外に大きな反響を呼んでいる。

 この動きは、鳩山由紀夫政権にとっても、おおいに参考にすべき動きである。同内閣は、今国会で、国民に地球温暖化対策基本法を強引に成立させようとしている。しかし、この法案は国民に多大な負担を強いるからだ

 支持率が大きく落ち込み、政権が末期症状を呈している今こそ、法案成立という近視眼的な功名獲得に走るようなことは慎むべきだ。むしろ、わが国初の選挙を通じた政権交代とあって経験に乏しく、未熟だった政策立案能力を向上する糧として、失った国民の信頼を地道に回復するきっかけにできるのではないか。

 報告書「ハートウェル・ペーパー」の名前は、日米欧の有識者が今年2月、ロンドン郊外のリゾート地にある王宮のようなホテル「ハートウェル・ハウス」で意見交換を行ったことにちなんで、命名されたもの。

 論文のとりまとめにあたっては、日本鉄鋼連盟、日本自動車工業会、米Nathan Cummings財団、スイスHaffuman財団などが資金協力している。

 中身を簡単に紹介すると、その特色の第一は、昨年12月の第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15、コペンハーゲン国連気候変動会議)の決裂の教訓を活かそうとしている点にある。

 というのは、同会議では、多くの途上国が、今後、先進国のような豊富な電力・エネルギー消費を行えなくなり、経済成長の道を閉ざされるとの懸念から、新たな温暖化ガスの排出削減目標の設置に強く反対した経緯があるからだ。

 そこで今回の報告書では、先進国を中心に薄く広く徴収する炭素税を導入し、炭素の排出の少ないエネルギー源の早期開発に充てるという。そのうえで、地球の環境にダメージを与えない範囲での開発は容認する。現在、世界に15億人程度とされる電気のない生活をしている人々を念頭に置いて「万人に対するエネルギーアクセスの保証」も行う。

 こうしたハートウェル・ペーパーのアプローチは、地球の気温上昇を2度以内に抑えるために、京都議定書の枠組みを延長し、世界の主要国及び主要地域にそれぞれ、CO2などの温室効果ガスの削減目標(2020年までを想定、法的拘束力を持つ)を掲げさせようとしている国連のアプローチと大きく異なる。

 一方、世界的に見た場合、京都議定書型のアプローチの中で、最も中期目標の削減幅が突出しているのが、鳩山内閣だ。同内閣は、地球温暖化対策基本法案について、今国会での強行採決も辞さない構えをみせている。

 ちなみに、同法案は、日本国内の温暖化ガスの排出を2020年までに、1990年比で25%削減するという中期目標を盛り込んでいる。 



 この法案が懸念されているのは、単に、麻生太郎前政権が目指した中期目標(15%減)よりも、大胆な削減を目指しており、産業界の負担が重くなることだけではない。

 実際に中期目標を実現しようとすると、暖気料金が高騰する可能性がある。所得の多い人は政策支援を受けて自宅に太陽光発電設備を設置して電気の売却収入を得るなどのメリットを享受できる。これに対し、所得が低い人は高騰した電力料金を負担せねばならないなど重い負担を強いられかねない問題とされている。

 実際、政府が昨年12月に国民全体を対象に実施した同法案に関する意見募集では、1376件の回答のうち86%の人が何らかの形で「反対」か「懸念」を示していた。これは、いわくつきの法案なのである。


*** オバマ政権も消極的な姿勢に ***
 もちろん、欧州では、ハートウェル・ペーパーを批判する声も少なくない。

 例えば、COP15を推進する立場にあるEU(欧州連合)のヘデガー環境大臣(元デンマーク環境大臣)は、パーパー公表直後に、

「(COP15の決裂に伴う)大きな失望から、違うアプローチをみつけるべきという意見が出るのはわかる。が、今は、世界の主要国が気候を守り、気温上昇を2度以内に抑えるために責任を分担することに合意している。まだ、京都の枠組みをぶち壊すのは早過ぎる」

 と批判的なコメントをした。さらに、具体的な数値目標が盛り込まれていないことから、効果に懐疑的な声もある。

 しかし、ハートウェル・ペーパーが、これまでのCO2の削減のみを軸とした対策について、「黒色炭素とオゾンを低層大気圏から排除するなど、CO2削減よりも簡単に温暖化防止のために行動できることがある」としていることに、英エコノミスト誌は「いいポイントなので繰り返し主張すべきだ」とし、ぺーパーが「森林の伐採を抑制すべきだ」と主張している点を、同誌は「主流派の考え方といえる」と高く評価した。

 この欧州の動きに対し、京都議定書の枠組みから離脱するという"前科"を持つ米国では、ここへきて、環境関連法案作りにおけるオバマ政権、議会の間に、消極姿勢が目立ち始めている。

 新聞報道によると、米環境保護局(EPA)が今月13日に公表した工場などの温暖化ガスの排出規制の対象が、当初の予測より大きく絞り込まれるケースがあったという。

 こうした国際情勢を踏まえれば、鳩山内閣は先を急がず、少し立ち止まって、主要国に先駆けて踏み込んだ姿勢を表明したことの効果を検証してみるべきである。

 無理を重ねて、日本だけが引き続き前向きな姿勢を維持したとしても、世界の尊敬は得られない。逆に、4月半ばに米ウォールストリート・ジャーナルに「ハラキリ」と揶揄されたように、日本の高邁な理想は、主要国から無視されているのが実情だ。

 地球規模でみると、ほとんど効果が無いにもかかわらず、日本だけが高い目標を保って、国民に重い負担を強いる結果に終わる公算が強まる一方である。



「飲み放題」に制限を=アルコール規制指針―WHO総会

2010-05-20 21:29:08 | 日記

「飲み放題」に制限を=アルコール規制指針―WHO総会


5月20日18時43分配信 時事通信


 【ジュネーブ時事】世界保健機関(WHO)の年次総会は20日、公衆衛生上の課題を討議する委員会で、過度な飲酒による健康被害などを防ぐための規制措置を盛り込んだ指針を正式に承認した。指針は、飲み放題・安売りの制限など、規制措置を講じることも促している。

 今回の指針は、法的な拘束力を持つ条約と異なり、すべての規制措置を実施することを強制されない。ただ、WHO総会の場で、国際的に承認されたことから、各国でアルコールに関連した規制の動きが広がりそうだ。
 


LEDライトの効果で、事故を1件でも減らしたい

2010-05-20 08:28:14 | 日記

百円ショップでLEDライト人気、そのワケは?


読売新聞2010年5月19日(水)18:09


 広島県福山市内の100円ショップなどで、LED(発光ダイオード)ライトが売れている。


 きっかけは、福山東署が行った、夜間の交通事故防止キャンペーン。暗闇でも自分で発光し、ドライバーから目立つとして、高齢者を中心に、反射材の代わりに自転車や服に付ける人が増えているという。同署管内では、今年は交通死亡事故が2件(17日現在)と、前年同期(5件)より低い水準で推移しており、同署は「LEDライトの効果で、事故を1件でも減らしたい」と期待している。


 同ライトは、標準的なタイプが長さ7・2センチ、横4・5センチ、厚さ2・8センチで、100円程度。光は赤色で、単3電池2本を使い、常時点灯か点滅を選べる。09年11月、同署の三国満裕・交通官が、署員が自転車に付けているのを見て「夜間の事故防止に役立つのではないか」とひらめいたという。


 早速、市民へのPR効果を狙って、全署員約370人らに配布し、使い心地を試してもらったところ、「おしゃれで、使いやすい」と好評。今年1月には、夜間、どれぐらい離れた場所から見えるかを実験し、800メートル先からLEDの点滅が確認出来た。これは、反射材を付けた場合(約100メートル)の約8倍で、何も付けていない黒っぽい服(約30メートル)の約27倍だった。


 こうしたキャンペーンに合わせて、LEDライトの販売は伸び続け、福山東交通安全協会では、4月末までに1万個以上が売れた。


 同市王子町の100円ショップ「ザ・ダイソー福山本店」でも、高齢者のほか、企業が100個単位でまとめ買いするようになったという。岡村裕之店長(32)は、「随時補充しないと、すぐに売り切れる好調ぶり」と驚いている。


 800個を注文し、地域の高齢者らに頒布したという、同市奈良津町、桜丘学区交通安全自治会(約1600世帯)の後藤達男事務局長(67)は「みんな、帽子やかばん、自転車など、好きな場所に付けて使っており、『買って良かった』と好評」と話す。


 福山東署の鎌野修副署長は「夜間、自分の場所を光で運転手に伝えることは、事故防止に有効。ライトが普及し、事故が減ることを願っている」としている。(河部啓介)