読売ジャイアンツのメルセデス投手のフルネームは「クリストファー・クリソストモ・メルセデス」(Cristopher Crisóstomo Mercedes)。ドミニカ共和国出身である。
Cristopher と Crisóstomo が個人名で、Mercedes が姓(父の父姓か)のようである。
Cristopher は Christopher の間違いではないかと思ったが、このままでいいらしい。英語形 Christopher とスペイン語形 Cristóbal がごちゃ混ぜになったようなつづりである。
Christopher は言わずもがなの、Christopher Columbus のファーストネームである。ただ、コロンブス自身はイタリア人なので、Cristoforo Colombo と呼びたいものである。スペインとも関係が深いので、スペイン語圏では Cristóbal Colón と呼ばれる。
Colón はエル・サルバドルとコスタリカの通貨単位となっている。日常生活で使い慣れているので、現地通貨のコロンを使うたびにいちいちコロンブスを意識するようなことはない。
さて、Christopher(西 Cristóbal)の意味は「キリスト(Christ)」に関係がありそうなことは容易に推測できる。事実、そのとおりである。ギリシャ語 Khristophóros に由来するのだが、「Khristós(キリスト)+ -phóros(運ぶ人)」に分解できる。この人名の祖になる聖クリストフォロスは幼いイエスを背負って川を渡ったと伝えられる(小学館『西和中辞典』Cristóbal の項)。
【ヒエロニムス・ボスの描くクリストフォロス。ウィキペディア「クリストフォロス」より】
“Tu Parada”というサイトによると、Christopher の名前は“el que lleva a Cristo consigo”という意味との説明がある。「自らとともにキリスト運ぶ」が直訳だが、「常にキリストとともにある」ということだろう。
Cristóbal という名の父親が息子の Jesús(ヘスス:ありふれた男子洗礼名)を背負って川を渡るシーンはスペイン語圏の田舎で今でも見られるかもしれないが、それよりも、メルセデス選手が子供に Jesús と名づけ、その子を背負って川を渡ってもらいたいものである。
ところで、Christopher も Cristóbal も本来は男子の洗礼名なのだが、両者ともスペインにおいては姓としても使われている。“Historia Apellidos”によると、Christopher のスペインでのランキングは30204位。Cristóbal は908位。当然ながら、スペイン語形の方が上である。
紋章を探してみたが、Christopher の方は見つからなかった。ただし、Cristóbal のものならあった。
【“Plusesmas.com”より】
ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ
スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。
Cristopher と Crisóstomo が個人名で、Mercedes が姓(父の父姓か)のようである。
Cristopher は Christopher の間違いではないかと思ったが、このままでいいらしい。英語形 Christopher とスペイン語形 Cristóbal がごちゃ混ぜになったようなつづりである。
Christopher は言わずもがなの、Christopher Columbus のファーストネームである。ただ、コロンブス自身はイタリア人なので、Cristoforo Colombo と呼びたいものである。スペインとも関係が深いので、スペイン語圏では Cristóbal Colón と呼ばれる。
Colón はエル・サルバドルとコスタリカの通貨単位となっている。日常生活で使い慣れているので、現地通貨のコロンを使うたびにいちいちコロンブスを意識するようなことはない。
さて、Christopher(西 Cristóbal)の意味は「キリスト(Christ)」に関係がありそうなことは容易に推測できる。事実、そのとおりである。ギリシャ語 Khristophóros に由来するのだが、「Khristós(キリスト)+ -phóros(運ぶ人)」に分解できる。この人名の祖になる聖クリストフォロスは幼いイエスを背負って川を渡ったと伝えられる(小学館『西和中辞典』Cristóbal の項)。
【ヒエロニムス・ボスの描くクリストフォロス。ウィキペディア「クリストフォロス」より】
“Tu Parada”というサイトによると、Christopher の名前は“el que lleva a Cristo consigo”という意味との説明がある。「自らとともにキリスト運ぶ」が直訳だが、「常にキリストとともにある」ということだろう。
Cristóbal という名の父親が息子の Jesús(ヘスス:ありふれた男子洗礼名)を背負って川を渡るシーンはスペイン語圏の田舎で今でも見られるかもしれないが、それよりも、メルセデス選手が子供に Jesús と名づけ、その子を背負って川を渡ってもらいたいものである。
ところで、Christopher も Cristóbal も本来は男子の洗礼名なのだが、両者ともスペインにおいては姓としても使われている。“Historia Apellidos”によると、Christopher のスペインでのランキングは30204位。Cristóbal は908位。当然ながら、スペイン語形の方が上である。
紋章を探してみたが、Christopher の方は見つからなかった。ただし、Cristóbal のものならあった。
【“Plusesmas.com”より】
ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓
スペイン語 ブログランキングへ
スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。