スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
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パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手(3)父の父姓 Villanueva

2019-08-31 17:59:33 | 名前
  読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手(Christian Iván Villanueva Limón)の父の父姓が Villanueva である。
 Villanueva は Villa と nueva に分けられる。Villa については 「ヴィッセル神戸のビジャ選手」で触れているので、そちらをご覧いただきたい。
 nueva は形容詞(名詞用法もある)nuveo の女性形である。小学館『西和中辞典』によると、英語の new も now も関連語とのこと。
 というわけで、Villanueva は“villa nueva”で「新しい村」という意味になる。日本では「新村」さんである。「名字由来net」によると、「新村」姓のランキングは第995位である。
 Villanueva 姓のスペインでのランキングは“Historia Apellidos españa”によると、第179位。珍しくはない。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でも1位はフィリピンである(356,834人)。フィリピンでは Villanueva 姓が5番目に多い姓である。絶対数でフィリピンに続くのがメキシコである(158,426人)。スペインは第5位で、29,073人となっている。
 Villanueva 姓は古くからあり、その起源はアラゴン地方(かつてはアラゴン王国)である(“DePeru.com”より)。Villanova という異形もある。やはり、アラゴンが起源だが、こちらの方はカタロニア地方に広まったとのこと。
 
 【“A”はアラゴン、Cは“カタロニア”。ウィキペディア「スペイン」より】
 古くからある姓なので、紋章も多数見つかった。以下に代表的なものを掲載する。
  
  
 ジャイアンツのビヤヌエバ選手家の紋章はどれだろうか。
 

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読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手(2)個人名 Iván

2019-08-30 17:24:03 | 名前
 今回は読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手(Christian Iván Villanueva Limón)の個人名の一つ Iván について。
 
 【大リーグ、パドレス時代のビヤヌエバ選手】
 「イバン」と読むが、アクセントは「バ」の上にある。アクセント記号が取れると、英語形、フランス語形、ドイツ語形、イタリア語形、チェコ語形、そしてロシア語形になる。
 英語形は「アイヴァン」と発音するが、その他はだいたい「イヴァン」である。ロシア語形も本来は「イヴァン」と発音するのだろうが、日本では「イワン」という発音でおなじみである。
 次に Iván という名前の意味について調べてみる。
 “conmishijos”によると、ラテン語由来だそうである。また、こうも書かれている。
 Viene de yehohana o ioannes: "compasión de Dios"
 yehona または ioannes に由来する。意味は「神の哀れみ」。漢字表記は「伊万」。
 ウィキペディア“Iván”には Iván という名前はヘブライ語由来の「ヨハネ」(スペイン語形は Juan)のスラブ語(ロシア語、クロアチア語、ブルガリア語)における異形と書かれている。こちらの方には Iván の意味は“El que es bendecido por Dios”(神に祝福される者)と紹介されている。
 Juan(フアン)は英語の John に相当する名前で、日本語の「太郎」のような典型的なスペイン名前である。それに比べると、Iván は外国語っぽいので、新鮮な響きがあるのだろうか。
 Iván という名前については「ニューヨーク・ヤンキースのイバン・ノバ投手(1)」、「ニューヨーク・ヤンキースのイバン・ノバ投手(2)」ですでに触れているので、そちらも参照願いたい。   

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読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手(1)個人名 Christian

2019-08-29 17:44:34 | 名前
 今回は読売ジャイアンツのビヤヌエバ選手。
 
 ウィキペディア「クリスチャン・ビヤヌエバ」によると、フルネームは「クリスチャン・イバン・ビヤヌエバ・リモーン」(Christian Iván Villanueva Limón)。
 Christian Iván が個人名で、Villanueva が父の父姓で、Limón が母の父姓である。
 個人名の一つ、Christian はスペイン語名ではなく、英語名である。スペイン語形は Cristiano で、「Reichsarchiv~世界帝王事典」にも掲載されているが、筆者には Cristiano さんという知りはいない。普通名詞 cristiano (キリスト教徒)はよく使われる言葉である。
 cristiano は「キリスト教徒」という意味の他に「人、人間」、「《ラ米》お人よし、単純な人」という意味もある(小学館『西和中辞典』)。英語の Christian にも「立派な人、文明人、人間」という意味があるが、キリスト教徒以外は文明人ではないという偏見に基づいている。西洋版「平家にあらずんば人にあらず」である。
 スペイン語 cristiano は「(他の言語に対して)スペイン語」という意味もあるが、この用法は初耳である。一般的には「スペイン語」は español、または castellano である。
 どうして cristiano が「スペイン語」という意味で使われるのかと疑問に思ったが、ふと「ドイツ語は馬と話す言葉、スペイン語は神と話す言葉云々」というフレーズを思い出した。ウィキペディア「カール5世 (神聖ローマ皇帝)」によると、これは神聖ローマ帝国皇帝のカール5世の言葉だという。そのあたりから cristiano が「スペイン語」という意味を持つようになったのだろうか。
 スペイン語 cristiano はキリシタン用語「クリスチアノ」となったが、同源のポルトガル語 cristão から入った「キリシタン」の方が優勢である。
 ビヤヌエバ選手も熱心なキリスト教徒(cristiano)だろうか。

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阪神タイガースのソラルテ選手(3)夢の太陽系クリーンアップ

2019-08-28 16:25:10 | 名前
 Solarte 家の紋章は以下のデザインである。
 
【“Mis Apellidos.com”より】
太陽(sol)とは関係のないデザインである。由緒ある古い立派なお屋敷(solar)が5つ並んでいるので、紋章を見る限りでは Solarte さんは日本の「古館」さんに相当すると考えられる
  ところで、かつて中日ドラゴンズにルナ(Luna)選手がいた(「元中日ドラゴンズのルナ選手(1)個人名 Héctor(エクトル)と姓 Luna」、「元中日ドラゴンズのルナ選手(2)」参照)。Luna は「月」の意味である。
 もし、Luna 選手が現在、阪神タイガースにいて、Solarte 選手と Marté 選手と3人でクリーンアップを組んでいたら、おもしろいことになっていたことだろう。もちろん、打順は Solarte, Luna, Marté の順である。名づけて、「日月火」トリオ。「太陽」(sol)、「月」(luna)、「火星」(Marte) が並ぶので、「太陽系」(sistema solar)トリオでもよい。
 日曜日は Solarte が打ち、月曜日は Luna、火曜日は Marté が打って勝つ。ただし、水曜日から土曜日までは沈黙。タイガースも負ける、なんてことになっては困るが、そもそも月曜日はほとんどゲームがないので、Luna の活躍できる日がない。
 と、ばかなことを考えてしまった。   
 
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阪神タイガースのソラルテ選手(2)父の父姓 Solarte

2019-08-27 10:17:52 | 名前
 
 阪神タイガースのソラルテ選手(Yangervis Alfredo Solarte)の父方の父姓 Solarte のスペインでのランキングは第10038位(“Historia Apellidos españa”による)。珍名とは思えないが、かなり数が少ない。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でも1位はコロンビアで、26,015人。Solarte 姓のコロンビアでのランキングは362位で、珍しくはない。絶対数2位に続くのがソラルテ選手の母国、ベエズエラで、4022人である(“Forebears”による)。
 Solarte の意味を調べてみたが、なかなかヒットしないので、勝手に想像してみる。
 Solarte は「sol(太陽)+ arte (芸術)」に分解できる。どんな芸術かよくわからないが、自己紹介のときの話の種にはなる。
 sol の形容詞形は solar で、英語も同形であるが、スペイン語の方は「太陽の」という意味の他に「古めかしい、由緒ある」という意味もある。名詞としても使われる。「宅地、敷地、建設用地、古い館、由緒ある屋敷、旧家、名門、名家、裏庭、中庭、庭」という意味である。
 Solarte が「古い館」の意味の solar と関係があるならば、Solarte さんは日本の「古館(ふるだて、ふるだち等)」さんに相当することになる。
 小学館『西和中辞典』によると、この solar の他に同音異義語の solar という動詞もある。意味は「(靴底を)張る、張り替える、(床石などを)敷き詰める」という意味である。
 この動詞の直説法現在1人称単数の活用形は suelo である。筆者はこの動詞は使ったことはないが、suelo という名詞はお馴染みである。辞書にも太字で項目が立てられている基本語彙である。
「地面、床」の意味でよく使われるが、「土地、用地、土壌、国土、地域、(容器などの)底」の意味もある。上記の辞書には英語の sole「足の裏、底」は関連語と明記されている。英 soil(土壌)は明記されてはいないが、これも関連語のようである。
 関連語といえば、フランス語で「地面」を表す語は、スペイン語で「太陽」の意味の sol である。ラテン語で「太陽」は sol、「地面」は solum で、よく似た形なのが混乱の原因である。
 ともかく、スペインでは sol は天にあるが、フランスでは大地そのものである。「天地無用」という言葉の意味がよくわからなくなってきた。 

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阪神タイガースのソラルテ選手

2019-08-26 15:07:10 | 名前
  今回は、マルテ選手のチームメイトであるソラルテ選手。ウィキペディア「ヤンガービス・ソラーテ」によると、フルネームは「ヤンガービス・アルフレド・ソラーテ」(Yangervis Alfredo Solarte)。ベネズエラ出身である。
 
 個人名は「ヤンガービス・アルフレド」(Yangervis Alfredo)で父の父姓が「ソラルテ」(Solarte)である。
 Yangervis はウィキペディアでは「ヤンガービス」となっているが、スペイン語読みだと「ヤンヘルビス」または「ジャンヘルビス」である。Solarte は英語読みで「ソラーテ」と書かれることもある。
 母の父姓は省略されているはずである。スペイン式の「父の父姓+母の父姓」はアメリカやその他の国では父の父姓がミドルネームで、母の父姓の方がアメリカ式の姓だと思われてしまうのだろう。というわけで、メジャーリーグでプレーするラテンアメリカの選手の中にはこれを嫌って、母の父姓を省略してしまう選手もいるのだろう。
 
 まずは、個人名の一つ、Yangervis から。こんな名前は初めてである。全然スペイン語らしくない。かといって、英語やフランス語にもなさそうである。
 ウィキペディア「ベネズエラ人」で調べてみたところ、ベネズエラ人は白人、黒人、先住民とそれらの混血などの他に、アジア系が1%おり、アラブ人やユダヤ人もいる。
 そうすると、Yangervis という名前は先住民の言語かアラビア語やヘブライ語の可能性もある。ソラルテ選手の容貌をつくづく眺めてみると、純粋の先住民には見えない。ということで、Yangervis という名前はアラビア語やヘブライ語由来かもしれないが、そちらの言語には疎いので、何とも言えない。
ひょっとしたら、ベネズエラの有名なテレビか何かのキャラクターカとも思ったが、Yangervis でヒットするのはソラルテ選手だけだった。もう完全にお手上げである。
 もう一つの個人名 Alfredo は英語 Alfred に対応する。“conmishijos”によると、この名前はゲルマン起源で、意味は athal-fred, "noble protector"(高貴な保護者)という説がある。他に ald-frid, "gobernante pacífico"(平和な統治者)、及び alf-raed, "consejo de los elfos" (妖精のアドバイス)という説もある。

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阪神タイガースのマルテ選手(4)母の父姓 Paulino

2019-08-25 10:27:03 | 名前
  阪神タイガースのマルテ選手(Jefry Leonal Marté Paulino)の母の父姓は Paulino である。ウィキペディア「ジェフリー・マルテ」には「ポーリーノ」と表記されているが、スペイン語読みは「パウリーノ」である。英語読みすれば「ポーリーノ」になるのだろうが。
 実は、Paulino は男子名 Paulo(英 Paul)に縮小辞 -ino がついた形である。Paulo はローマ字読みすれば「パウロ」で、かの有名な使徒パウロに肖ってヨーロッパ中に広まった名前である。
 
 【「使徒パウロ」:エル・グレコ作】
 この名前は古代ローマの Paulus(または Paullus)という姓にまで遡れる。「小さい、卑しい、希少な」という意味だそうである(ウィキペディア“Paul (given name)”)。
 ところで、Paulo という個人名を持つコスタリカ人を知っているが、実は Paulo はポルトガル語形で、スペイン語形は Pablo である(小学館『西和中辞典』より)。
 この Pablo に縮小辞 -ito (縮小辞には -ino, -ito, -illo などがある)がつくと Pablito になる。名画『汚れなき悪戯』に主演した子役俳優 Pablito Calvo の名前である。
 
 Pablito Calvo については「ニックネーム起源の姓(1)」で触れているので、参照願いたい。
 ともかく、Paulo は個人名なのだが、古代ローマでは姓だったので、Paulo に縮小辞がついた Paulino が姓に使われてもおかしくはないことになる。
 英語圏でも男子名が姓に使われることは珍しくない。John も George も Henry も Alexander も姓として使われているのである(個人的な知り合いの中にもいる)。
 さて、Paulino 姓のスペインでのランキングは4128位。珍名ではないにしても決して多くはない(“Historia Apellidos españa”) 。世界的な分布を見ると、絶対数ではアンゴラ(旧ポルトガル領)、人口比ではグアムが1位である。絶対数では1位はアンゴラで、これに続くのは2位モザンビーク、3位ブラジルなどのポルトガル語圏である。それに続く第4位がドミニカ共和国の20000人で、スペイン語圏ではトップである。ポルトガルは第8位の6529人である。スペインは第10位の1244人。

【某 Paulino 家の紋章(“Heraldrys Institute of Rome”より)】

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阪神タイガースのマルテ選手(3)父の父姓 Marté

2019-08-24 11:20:21 | 名前
 
 阪神タイガースのマルテ選手(Jefry Leonal Marté Paulino)の父の父姓は Marté である。日本語では「マルテ」(「マーテ」、「マーテイ」という表記も)だが、アクセントは「マ」が高く発音されている。ということで、スペイン語でも英語でもアクセントは Mar にあるものと思っていた。
 実際、Marte という、アクセント記号のない姓もあり、これは Mar が強く発音される。
 “Historia Apellidos españa”によると、スペインでのランキングは4095位。決して多くない。世界的な分布を見ると、絶対数でも人口比でもドミニカ共和国が多い。絶対数1位のドミニカ共和国48825人に対して、スペインは5位につけているものの1300人である(“Forebears”による)。
 Marte は「ローマ神話の軍神のマルス」という意味が第一義だが、「火星」という意味もある。
 さらに、意味が広がり、「戦争、戦士」、「(錬金術で)鉄」という意味にもなった(小学館『西和中辞典』より)。
 それでは、Marté はどうであろうか。“Forebears”によると、世界にたった2人しかいない。ドミニカ共和国に1人と米国に1人である。マルテ選手はメジャーリーグのデトロイト・タイガースとロサンゼルス・エンジェルズにも在籍していたので、米国の1人とは、このマルテ選手のことではないだろうか。
 世界にたった2人しかいない Marté 姓は世界ランキング10,609,428位という、超レアな姓なのである。
 ところで、Marté にはどんな意味があるのだろうか。martar という動詞があれば、その活用形(直説法点過去1人称単数)になるのだろうが、あいにくそんな動詞は見当たらなかった。
 辞書を見ていたら、Martí という項目があった。固有名詞だが、辞書に載るほどの有名な人物である。キューバの詩人で、「キューバ独立の父」と呼ばれる José Martí(ホセ・マルティ)である。
 
 ひょっとして、マルテ選手の姓 Marté は偉大な人物 José Martí に肖って、あえて語尾にアクセント記号(tilde)をつけたものなのだろうか。それとも、Marte の e の上に汚れでもあって、それがアクセント記号と間違えられただけなのだろうか。
  なお、Marti というアクセント記号なしの姓もある。世界ランキングでは Martí の269,494位に対して、Marti は6723位である(“Forebears”より)。

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阪神タイガースのマルテ選手(2)個人名 Leonal

2019-08-23 10:12:55 | 名前
  阪神タイガースのマルテ選手(Jefry Leonal Marté Paulino)のもう一つの個人名は Leonal である。これは Leonardo の異形のようにも見えるが、Lionel の異形にも見える。
 
 “conmishijos”というサイトに当たってみたが、Leonal という名前は出てこなかった。
 ところで、筆者の知り合いのコスタリカ人に Bernal という個人名を持つ人がいる。“conmishijos”にも出てくる男子名である。ゲルマン起源で"Gobierno de guerreros"(「戦士たちの政府」が直訳)という意味だそうだ。
Bernaldo という名前もある。こちらもゲルマン起源で"Gobierno de guerreros"となっていたから、Belnal はその異形であろう。
 Bernaldo によく似た英語名に Bernard があるが、
Reichsarchiv~世界帝王事典”にはこれに対応するスペイン語形は Bernardo となっている。この名前は“conmishijos”にも載っている。やはりゲルマン起源だが、意味は "oso fuerte", por extensión, guerrero fuerte como un oso”(「強い熊」、転じて「熊のように強い戦士」)である。
 Bernal(及び Bernaldo)と Bernardo は側面接近音[l]と弾き音[ɾ]の交替があるが、意味は共通する部分があるので、Bernal(及び Bernaldo)は Bernardo の異形と考えてもいいのだろうか。
 以上の考察を元に、Leonal は Leonardo の異形ということも考えられないだろうか。
Leonardo も Lionel もどちらも「ライオン」に関係がありそうな名前である。マルテ選手の個人名 Leonal が Leonardo と関係があるのか、Lionel と関係があるのか、はたまたそのミックスなのかはよくわからないが、阪神タイガースではなく西武ライオンズにふさわしい名前ではある。
 

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阪神タイガースのマルテ選手

2019-08-22 10:55:07 | 名前
  今回は2019年のシーズンに阪神タイガースに入団したマルテ選手である。ウィキペディア「ジェフリー・マルテ」によると、フルネームは「ジェフリー・レオナル・マルテ・ポーリーノ(Jefry Leonal Marté Paulino)」。ドミニカ共和国出身である。
 
 個人名は Jefry Leonal、父の父姓が Marté、母の父姓が Paulino である。
 個人名の一つ Jefry は全然スペイン語らしくない。英語名 Jeffrey をスペイン語風につづったようである。ただし、スペイン語ならば、「ヘフリ」と発音されるはずだが、英語風に「ジェフリー」と発音されるようだ。
 Jeffrey は Geoffrey ともつづられる(Geoffrey の方が標準で、Jeffrey は異形のようである) 。ウィキペディア“Geoffrey (name)”によると、中世フランス起源だが、ゲルマン語で「神+平和」の意味だそうだ。ドイツ語では“Gottfried”である。スペイン語形は Godofredo だが、筆者の知り合いにはこの名前を持つお方はいない。
  Godofredo だと古めかしい、または堅苦しいイメージがありそうである。それで、Godofredo に対応する英語形 Jeffrey にしたのかどうかはわからないが、外国語風の名前を持つ人は知り合いにもかなりいる。コスタリカやペルーにも英語風、フランス語風の名前を持つ知人がいる。ソ連との関係が深かったキューバには「ウラジミール」等のロシア名もよくある。
 ちなみに、Geoffrey は George の連想からか、「ジョフリー」と読まれることがあるが、間違いである(はずだが、「自分はジョフリーだと」言い張る人がいれば、間違いとも言えなくなる)。
    

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マカロニ・ウェスタン「リンゴ・キッド」を見る

2019-08-21 11:51:46 | スペイン語
  暇にまかせて、BS放送でマカロニ・ウェスタン“Johnny Oro”を見た。邦題は「リンゴ・キッド」となっていたが、英語では“RINGO AND HIS GOLDEN PISTOL”になっているらしい。
 
 ストーリーは見る前からわかっているようなものだが、筆者にとってマカロニ・ウェスタンを見る楽しみはイタリア語から急にスペイン語の台詞になるところである。
 マカロニ・ウェスタンの舞台はアメリカとメキシコの国境付近のものも多い(ウィキペディア「マカロニ・ウェスタン」参照)。
 この映画の舞台もやはりアメリカとメキシコ国境付近である。悪役はペレス(Pérez)兄弟で、メキシコ人のはずである。ということで、この映画でも期待にたがわず、スペイン語の台詞が聞けるのである。
 イタリア語とスペイン語はラテン語から分かれた兄弟のようなものなので、結構お互いに通じあう。もちろん、全然違う言葉もあるが、日常よく使われるような簡単な言葉なら、イタリア人もすぐ理解できるのだろう。
そもそも、原題の“Johnny Oro”の Oro は「黄金」の意味だが、このままでもスペイン語になるのである(発音も同じ「オロ」)。
 この映画で使われたスペイン語の台詞は次のとおりである。
 Adiós. (伊 Addio)
Vamos, muchachos. (伊 Andiamo, ragazzi 英 Let's go, boys)
Hasta la vista (伊 A dopo 英 See you)
hombres(伊 uomini 英 men、劇中の訳としては「野郎ども」がふさわしい)
 Adiós はイタリアだけでなく、世界的に知られているスペイン語であろう。“Vamos, muchachos”はイタリア語とぜんぜん形が違うが、以下の理由で意味が推測できると思われる。
 イタリア語の andiamo は andare の直説法現在1人称複数の活用形だが、1人称及び2人称複数以外の活用形には va- という語幹(といっていいのかどうか)が出てくる。1人称単数は vado(vo という形もある)、2人称単数は vai、3人称単数は va(スペイン語と同じ)、3人称複数は vanno である。
 andiamo の語尾の -mo は、1人称複数の活用形語尾で、スペイン語では -mos となる。
 というわけで、イタリア人には vamos が andiamo の意味だと簡単に推測できるはずである。 
 “Hasta la vista”は『ターミネーター2』でよく知られるようになったスペイン語である。アーノルド・シュワルツェネッガーは“Hasta la vista”のあとに baby を付け足して、“Hasta la vista, baby”とやったが、これは子どもの間でも大流行したようである。
 ちなみに、日常会話では“Hasta la vista”はあまり聞いたことがない。“Hasta luego”(じゃあ、また)が一般的のようである。
 この映画には酒場で女が歌うシーンがあるが、歌は英語で歌われていた。
 英語が得意ではないお方にも、歌の部分はイタリア語ではないとすぐわかるだろうが、上記のスペイン語の台詞の部分はイタリア語と区別がつかないのではないだろうか。字幕には「この部分はスペイン語」と表記されていなかったが、字幕の性質上、時間的空間的な制約があるのは当然である。筆者が字幕製作者であっても、そこまで面倒は見られない。
 さて、映画は悪天候のため、電波の状態が悪くなり、最後まで見られなかった。もっとスペイン語の台詞が聞きたかったのだが、仕方がない。
  

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日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の父の父姓 Mendoza (3)

2019-08-20 08:47:59 | 名前
 「メンドーサ」は Mendoza とつづられるが、異形として Mendosa はないのだろうか。スペイン語の Rodríguez はポルトガル語では Rodrigues になるので、ポルトガル語形に Mendosa というのがあるのだろうか。
 “Historia Apellidos españa”に当たってみたが、Mendosa 姓はヒットしなかった。それではということで、次に“Forebears”で探してみる。
 今度はヒットした。絶対数ではインドが1位である。といっても1500人弱。人口比ではキューバが1位。ポルトガルには1人もいなかった。ポルトガル語圏ではブラジルに130人いるが、その他の国にはほとんどいない。スペインにはわずか2人。メキシコをはじめ、スペイン語圏にもいる。その中でも最多はメキシコで、880人いるが、Mendoza の800万人に比べればごくわずかである。
 ということは、あの「ホセ・メンドーサ」も Mendoza ではなく、Mendosa の可能性もあるわけである。
 
 Mendosa は Mendoza の異形と考えられないこともないが、つづりを間違ったのがそのまま定着してしまったとも考えられないだろうか。
最後に Mendoza 家の紋章を紹介する。
 

上の2つが主流のようである。

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日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の父の父姓 Mendoza (2)

2019-08-19 08:02:10 | 名前
 日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の父の父姓 Mendoza についてさらに調べてみる。 
 
 スペイン語版ウィキペディア“Mendoza (apellido)”には“de origen vasco alavés”と書かれている。バスク地方アラバ県が起源だそうである。
 ちょっと脱線するが、アラバ県はスペイン語では Álava と書かれるが、バスク語では Araba である。バスク語にもスペイン語同様、側面接近音[l]と弾き音[ɾ]の区別がある(ウィキペディア「バスク語」より)。
 側面接近音[l]と弾き音[ɾ]の交替はスペイン語とポルトガル語の間にも見られる。
 例:広場: 西 plaza  ポ praça
   ビーチ: 西 playa   ポ praia
 側面接近音[l]と弾き音[ɾ]の区別は日本人にも難しい。日本語で使われるのは弾き音[ɾ]の方なので、alma(魂)を arma(武器)と、muela(臼歯)を muera(morir「死ぬ」の丁寧な命令形)と発音しがちである(「命に関わる発音 [ɾ] と [l]」参照)。ジャズサックス奏者の Malta(本名:丸田 良昭)さんは自分でも Marta(女子名)と発音しているのではないだろうか。
 Mendoza に戻る。Mendoza とはバスク語の«Mendotza»に由来すると考えられている。その意味は「寒い山」(西 monte frío、または montaña fría)である(スペイン語版ウィキペディア“Mendoza (apellido)”)。日本語で言うと「寒山」さんだが、徳島県におよそ30人いるようである(「名字由来net」)。ただし、読み方は「かんやま」である。  

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日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の父の父姓 Mendoza

2019-08-18 08:12:13 | 名前
  日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の父の父姓が Mendoza である。
 
 “Historia Apellidos españa”によると、Mendoza 姓のスペインでのランキングは第127位。少なくはないが、意外と順位が低い。
 世界的な分布を見ると、絶対数ではメキシコ、人口比ではニカラグアが1位である(“Forebears”による)。メキシコでのランキングは第21位で、メキシコ人の典型的な姓の一つと言ってもいいだろう。メンドーサ投手もメキシコの出身である。
 そういえば、「あしたのジョー」の矢吹丈の最後の対戦相手のホセ・メンドーサもメキシコ出身である。
 
 原作者の梶原一騎もメキシコ人というと、メンドーサという姓がすぐ頭に浮かんだのだろう。
 余談であるが、漫画のあるシーンで「ホセ・メンドーサ」の「ホセ」が“Hose” となっていたような記憶がある。ローマ字つづりならこれでいいが、スペイン語では“José”とつづらなければならない。「メンドーサ」の方は全く記憶にないが、“Mendosa”になっていたかもしれない。
 ホセ・メンドーサはかろうじて判定勝ちを収めるが、敗者も同然であった。現実の野球のメンドーサ投手の日本での戦績は27勝38敗で、負けの方が多かった(「NPB個人年度別成績」より)。ホセ・メンドーサの呪いがあったのだろうか。

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日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手の母の父姓 Rodríguez

2019-08-17 08:43:19 | 名前
 日本ハム・ファイターズと阪神タイガースでプレーしたメンドーサ投手(Luis Alonso Mendoza Rodríguez)の母の父姓は Rodríguez (ロドリゲス)で、日本でもお馴染みの姓である。

Historia Apellidos españa”によると、Rodríguez はスペインでは3番目に多い。世界的に見ると、絶対数でメキシコ、人口比ではプエルト・リコが1位である。
 Rodríguez とは「Rodrigo の息子」という意味だが、Rodrigo はゲルマン起源で“famous power”という意味だそうである(英語版ウィキペディア“Rodríguez (surname)”より)。
 Rodrigo はイスラム勢力に征服される前の最後の西ゴートの王の名前であった。Rodríguez 姓はここまで遡るのだろうか。
 さて、Rodríguez 家は数が多いので、紋章もたくさんある。以下にいくつか紹介する。

    
 筆者がコスタリカ時代(1979-81)にお世話になった Rodríguez 家の紋章はどうだったろうか。
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