スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

メキシコの死者の日

2020-02-29 10:55:08 | メキシコ
 ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」(原題 Coco)の舞台はメキシコで、死者の日に主人公ミゲルが死者の国に迷い込む。
 死者の日についてはウィキペディア「死者の日(メキシコ)」に詳しい。死者の日(Día de Muertos)は11月1日と2日だが、10月31日にはその前夜祭が行われるという。10月31日はハロウィンだが、これはもともとは古代ケルト人の祭りで、アメリカではすっかりお馴染みである。もともとはメキシコには関係のないことだが、アメリカ文化の影響だろう、筆者がメキシコ滞在中(1991-92年)には子供たちがお菓子をねだりに来たものである。1989年にはペルーに住んでいたが、筆者の不在中にやはり子供たちがお菓子をもらいに来たようで、女房殿が応対した。同じラテンアメリカとはいっても、コスタリカにはハロウィンは根付いていない。
 筆者がメキシコ滞在中は、メキシコシティーにある「日本メキシコ学院」(Liceo Mexicano Japonés、リセオ・メヒカーノ・ハポネス) に勤めていた。1991-92年当時のことだが、日本コースとメキシコ・コースがあった。日本コースは小・中学校で日本の教育課程に基づき授業が行われていた。早い話が日本人学校である。メキシコ・コースは小・中学校のほかに高校もあった。このほかに幼稚園もあったが、これはコースに分かれていなかったと思う。
 その幼稚園で、子供たちが死者の日のコスチュームをまとっていたので、記念に写真を撮らせてもらった。 
 
 ところで、筆者がメキシコの死者の日のことを知ったのはレイ・ブラッドベリの短編集「10月はたそがれの国」(?)に収められていた「メキシコの死者の日」という作品を通じてである。
 それはともかく、ウィキペディア「死者の日(メキシコ)」には「パツクアロ湖に浮かぶハニッツィオ島とオアハカがよく知られる」と記されている。どちらにも行ったことがあるが、死者の日ではない。死者の日はホテルの予約も取れないことだろう。ハニツィオ島オカハカの様子についてはリンクを参照願いたい。

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「リメンバー・ミー」の中で歌われる歌 Un Poco Loco と La Llorona

2020-02-28 10:29:10 | メキシコ
 ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」(原題 Coco)ではいろいろな歌が歌われている。「リメンバー・ミー」以外では「ウン・ポコ・ロコ」と「悲しきジョローナ」が印象に残っている。
 「ウン・ポコ・ロコ」はスペイン語では “un poco loco” で、英訳すると “a little crazy”である。日本語音声で見ていたのだが、歌の部分はひょっとしてスペイン語で歌われているのかと思って、音声を切り替えたが、ほとんど英語だったので、また日本語に切り替えた。日本語歌詞では「ちょっとクレージー」となっていた。
 「哀しきジョローナ」(La Llorona)は当初日本語音声で聞いていたが、女房殿に注意されて言語を切り替えたが、これは英語ではなく、スペイン語で歌われていたので、そのまま聞いた。
 これは古くからあるメキシコの曲のようで、コスタリカなどのラテンアメリカ諸国でも有名らしい。筆者もメロディーには聞き覚えがある。「ウン・ポコ・ロコ」と「哀しきジョローナ」についての説明はブログ「リメンバーミーで使われている曲」に書かれている。「哀しきジョローナ」の伝説については「映画リメンバーミー考察」に詳しい。
 「ジョローナ」の話は2019年にはアメリカでホラー映画になっているが、一度見て見たいものである(La Llorona で検索すると画像が見られるが、夜はリンクをクリックしない方が身のためかも)。
 さて、llorona(泣き女)の語源になっているのは llorar(泣く)という動詞である。小学館『西和中辞典』llorar の項には英語 deplore「嘆き悲しむ」, implore「懇願する」 は関連語と記されている。
 llorar から llorón (泣き虫、泣き虫の)という語が派生したわけで、その女性形が llorona である。llorona には「泣き虫」の意味の他に、「(葬儀に雇われる)泣き女」という意味もある。韓国にもいるようなことを聞いたが、ウィキペディア「泣き女」で調べてみると、ヨーロッパや中東にも存在していたらしい。日本にもかつては存在していたようである。
 『西和中辞典』には llorona の意味として「子を殺して身投げした女の亡霊」ということもちゃんと記載されている。このほかにはアメリカでは「パトカー、消防車、サイレン」という意味にもなるらしい。

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アレブリヘ(Alebrije)

2020-02-27 14:21:29 | メキシコ
 ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」(原題 Coco)にはアレブリヘ(Alebrije)という猫の怪物のような動物が登場する。
 この単語は小学館『西和中辞典』(1990年発行)には載っていない。調べてみると、これはメキシコはオアハカ(Oaxaca)州の民芸品であるとのこと。
 オアハカには1992年ごろ行ったことがある。先住民が多い地域で、筆者もお土産を買ったが、じつはそれがアレブリヘだったのである。その当時は、この民芸品の名前は気にもしていなかったのだが。
 
 【とかげ(?)のアレブリヘ】

 【魚のアレブリヘ】

 【ドラゴンのアレブリヘ。炎、翼、トゲなどは取り外して保管しておいたものを20年ぶりに組み立てた。】
 「リメンバー・ミー」に出てくるアレブリヘは Pepita という名前で、「緑色で巨大な体に、ジャガーの体にワシの翼、トカゲの尻尾など、様々な動物を組み合わせたような外見をしている」(ウィキペディア「リメンバー・ミー(2017年の映画)」ということだが、今ではオアハカでも人気のアイテムとなっていることだろう。
 ところで、Pepita という名前からすると、これはメスのはずである。“-a”で終わる名前は大体女子名である。
 男子名 José(ホセ、英語形は Joseph)の愛称は Pepe であるが、これに縮小辞 “-ito” をつけると Pepito になる。José の女性形は Josefa(ホセファ)で、その愛称は Pepa である。これに縮小辞 “-ita” がつくと、Pepita になるというわけである。
 ちなみに、Josefa に縮小辞 “-ina” をつけると、Josefina になるが、このフランス語形は Joséphine(英語形は Josephine)で、あのナポレオン(「ナポリのライオン」の意)の奥様の名前として有名である。あのジョセフィーヌが Pepita とも呼ばれていたかどうかはわからない。

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ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」(Coco)(2)「アンコール」

2020-02-26 11:04:39 | スペイン語
 ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」(原題 Coco)の舞台はメキシコである。登場人物は当然メキシコ名で、日本語吹き替え版でも大体スペイン語読みされていたのだが、一人、主人公 Miguel (ミゲル)の高祖父(ひいひいじさん)の Héctor だけは英語読みで「ヘクター」と呼ばれていた。スペイン語では「エクトル」でなければならない。
 その理由を考えてみた。Miguel は英語 Michael のスペイン語形、祖母の名前 Elena は英語 Helen のスペイン語形なので、スペイン語形がそのまま使われているのに対し、 Héctor の英語形は Hector で、アクセント記号(tilde)の有無だけが違いである。アクセント記号を無視すれば英語としても通用する。それで Héctor だけは英語風の「ヘクター」になったのだろう。 
 さて、日本語吹き替え版では、 gracias(グラシアス)、señor(セニョール)、amigo(アミーゴ)などのスペイン語の単語が使われていたが、英語版でもスペイン語がそのまま使われていたのだろう。この程度のスペイン語であれば、アメリカでも日本でも訳す必要はないだろうが、「アンコール」を意味する otra が日本語吹き替え版でもそのまま使われていた。英語版が otra になっていたので、そのまま使ったのであろう。日本語版では日本語風に「オトラ」と発音されていたが。
 場面から「アンコール」の意味だろうと推測はつくが、これは「アンコール」と訳すべきだったのではなかろうか。
 「アンコール」は encore とつづられる。フランス語から英語に入っている。研究社『英和中辞典』には「フランス語 “again” の意から」と書かれている。フランス語では encore は「アンコール」の意味では使われず、“bis”(ビス)と言うんだとか。
 スペイン語では “otra” であるが、これは “otro” の女性形である。直訳すると、「別の」ということで、「アンコール」の意味になる。何で女性形かというと、“otra vez”(もう一度)の 女性名詞 “vez”が省略されたからである。
 ところで、スペイン語 “otro” はラテン語 alter (2つのうちの1つ、他の)が語源である。英語 other, alter も関連語である(小学館『西和中辞典』)。『西和中辞典』には明記されていないが、alternative, alternate などの英語も関連語であろう。イタリア語では altro で、これが一番ラテン語形に近い(と思う)。

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「ココ・シャネル」

2020-02-25 10:11:48 | 名前

 ディズニー・ピクサー・アニメ「リメンバー・ミー」の原題は“Coco”で、これは個人名(主に女子名)“Socorro”の愛称だということは前回述べたが、有名化粧品ブランドのシャネルの創業者「ココ・シャネル」も「ココ」さんである。ウィキペディア「ココ・シャネル」によると、フルネームはガブリエル・ボヌール・「ココ」・シャネル(Gabrielle Bonheur "Coco" Chanel )。Bonheur は「幸せ」という意味である。“Coco”は愛称のようで、出生時には“Gabrielle Chasnel”の名前で登録されている。「シャネル」のつづりも違っている。
 “Coco”という名前がどこから出てきたのかは、ウィキペディア「ココ・シャネル」から引用する。

 彼女が「ココ(Coco)」という名前を得たのはこの頃である。彼女が夜にこのキャバレーで歌う時、しばしば歌った歌が「ココを見たのは誰?(Qui qu'a vu Coco ?)」であった。彼女はココというニックネームを父親から与えられたものだと言うのを好んだが、「ココ(Coco)」は彼女のレパートリーの曲「ココリコ(Ko Ko Ri Ko)」(「コケコッコー」の意)及び「Qui qu'a vu Coco ?」、または囲い者を暗喩するフランス語の単語「cocotte」から来ていると考えられている。

 ということで、ココ・シャネルの「ココ」はスペイン語の普通名詞“coco”(ココナッツ)とも“Virgen del Socorro”に由来すると思われる個人名(主に女子名)“Socorro”の愛称“Coco”(“Socorro” の “co” を取り出して重ねたものだろう)とも関係なさそうである。 

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ディズニー・アニメ『リメンバー・ミー』(原題 Coco)

2020-02-24 20:33:16 | 名前
 先日、テレビでディズニー・アニメ『リメンバー・ミー』を見た。ピクサー・アニメーションは食わず嫌いだったが、メキシコが舞台で主人公が死者の国にも行ってくるというので、少し興味をそそられた。
 番組の音声は英語と日本語があったが、日本語で見ることにした。オリジナルがスペイン語だったら、スペイン語で見たのだが。
 映画については、ウィキペディア「リメンバー・ミー(2017年の映画)」で紹介されているので、そちらをご覧いただきたい。 
 それによると、原題は“Coco”となっている。これは「ココナッツ」を意味する普通名詞である。
 ところが、“Coco”は女子名「ソコロ」(Socorro)の愛称とのこと。ところが、“socorro”と小文字で始めると、普通名詞になり、意味は「救出、救助、救援物資、《軍》援軍、救援部隊、補給物資、糧食」等の意味である。さらにチリでは「(給料の)前払い」という意味にもなる。
 “¡Socorro!”と叫ぶと、「助けて、助けてくれ」で、英語の“Help!”そのものである(小学館『西和中辞典』による)。しかしながら、筆者の手元の辞書には固有名詞“Socorro”の項目はなかった。
 そこで、今度は“Forebears”に当たってみる。それによると、この名前を持つ人は世界に27万人以上いて、ランキングは第3869位とのこと。名前の由来については書かれていない。
 絶対数でも人口比でもトップはメキシコである。メキシコには14万人以上いて、そのうち95%が女性である。おもしろいことに同じスペイン語圏のグアテマラでは“Socorro”さんの64%が男性である。ブラジル、ペルー、ホンジュラスでは100%女性なのだが。インドにも500人ぐらいいるが、96%は男性である。インドの“Socorro”名がスペイン語・ポルトガル語圏の“Socorro”さんと関係があるのかどうかはちょっとわからない。
ところで、何で「助けて」という意味にもなる“Socorro”が個人名になったのかと疑問に思っていたところ、女房殿が“Virgen del Socorro”というマリア様がいることを教えてくれた。確かにスペイン語版ウィキペディアには“Virgen del Socorro”という項目がある。由来も書かれているので、興味のある方はご覧いただきたい。
 
 【Nuestra Señora del Socorro Virgen del Socorro(ウィキペディア“Socorro”より)】
 
 【Nuestra Señora del Socorro (Benetússer)(同上)。注:Benetússer はバレンシア語で、スペイン語では Benetúser と表記される。絵の説明文もバレンシア語であろう。スペイン語では“Virgen del Socorro Patrona de Benetúser Año 1983"である。】

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