Tzin Tzun Tzan, Tzin Tzun Tzan, Have you ever been in Tzin Tzun Tzan?
パーシー・フェイス楽団による“Tzin Tzun Tzan”「ツィン・ツン・ツァン」という曲の出だしである。1950-51年のコロンビア・レコード時代にシングル盤(もちろんSP)として発表されたものである。パーシー・フェイスというと、「夏の日の恋」(Summer Place)が代表作で、甘美なストリングスが魅力である。ところが、“Tzin Tzun Tzan”はストリングスではなく、管楽器も入ったオーケストラで、さらに歌も入っている。この曲は最近ではまず耳にすることはない。筆者が最初に耳にしたのは2005年ごろだっただろうか。もちろん、CDの中の一曲であるが、CDの一曲目に収録されていた。当時はそこそこヒットしたのだろう。
さて、若いころ、筆者はロック派だったが、年を取るとイージーリスニングがいい。パーシー・フェイスのCDを検索していたら、たまたま写真のCDに行きついたわけである。そこに、何と“Tzin Tzun Tzan”という曲があるではないか。もちろん、こんな曲を知っているはずもないのだが、名前だけは知っていたのである。知っているどころか、行ったことがあるのである。
1991年のこと。メキシコのほぼ中央部に位置するミチョアカン州にパツクアロ Pátzcuaroという湖がある。そのそばにTzin Tzun Tzanという何やら中国人の名前のような、小さな町がある。町というより寒村といったほうが適切だが、実は、昔はここにタラスカ王国があって、Tzin Tzun Tzanはその首都だったとのこと。アステカ王国の侵略に立ちふさがっていたそうで、当時の遺跡がある。
といっても、ピラミッドのような立派な遺跡ではなく、低い城壁っぽいもの残っているだけで、筆者が訪れたときは、観光客も全然いなかった。観光ガイドに遺跡があると書いてあったので、行ってみたのだが、城壁のそばに牛がいて、のんびり草を食んでいた。何やら、ピンクフロイドの名盤『原子心母』のジャケット写真を思わせる。
原子心母
それにしても、何でこんなさほど有名でもない町がアメリカ人作曲のメキシコのご当地ソング(全然、ラテンっぽくない)になったのだろうか。メキシコのご当地ソングは「グアダラハラ」、「ベラクルス」、「アカプルコの海」、「ティファナ・タクシー」などが有名だが、これらと比べると、「ツィン・ツン・ツァン」はどうにもマイナーである。
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