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スパニッシュ・オデッセイ

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コーヒー・ルンバ(Moliendo Café)再考(2)

2025-02-21 09:14:44 | トリビア
 「コーヒー・ルンバ」(Moliendo Café)のスペイン語原詩に「黒人」を表す zambo(サンボ)という語がある。西和中辞典(小学館)によると、この語には「X脚の」という意味もあるが、この場合、「X脚の Manuel」 というわけでもあるまい。X脚ではない zambo は本来、「黒人とインディオとの混血」という意味だが、あまり細かいことは言わずに、単に「黒人」という意味でも使われるようである。スペイン語ではこの語は黒人に対する侮蔑的なニュアンスはないのだが、英語にも取り入れられて黒人に対する蔑称になってしまった。綴りも zambo と sambo の2種類ある。
 zambo (sambo) が英米で差別用語になったので、我が国でも「ちびくろサンボ」という有名な児童書(筆者も愛読したものだ)が絶版になったりした。詳しい経緯についてはウィキペディア「ちびくろサンボ」を参照願いたい。
 
 ところで、筆者が”Moliendo Café”の歌詞を調べるために歌詞検索サイト”Lyrics.com”にアクセスして、最初にヒットしたのがスペインの姉妹デュオ Azúcar Moreno(アスカル・モレーノ:「黒砂糖」の意)のバージョンで、歌詞の一部が一般的なものと違っていた。
 
 【若き日の Azúcar Moreno。今では立派なおばさまである。
 ”el zambo Manuel”(黒人のマヌエル)が”el santo Manuel”(聖者マヌエル)になっていたのである。早速 YouTube で Azúcar Moreno版を聞いてみたが、ちゃんと”el zambo Manuel”と歌われているのである。これはどういうことか。 
 彼女たちはヨーロッパだけではなく、アメリカでも人気が出たようであるが、アメリカでは zambo (sambo) という語は差別用語とみなされるので、アメリカやイギリスで歌うときや、英米版のレコードやCDを出すときに、自主規制して zambo を santo に変えたのだろうか。それとも、単に"Lyrics.com”のスタッフが歌詞を聞き間違えただけなのだろうか。
 それはともかく、今度は el santo Manuel が問題になってくる。「聖者 Manuel」 というときは、普通、San Manuel になるはずであるが、このような名前の聖者は聞いたことがない。ただ、聖者も大勢いるので、こういうお方もいるのかもしれない。聖者になるにはカトリック教会に認定されなければならないのだが、正式に認定されていなくても聖者のような人物もいるはずである。
 カトリック教会公認の聖者は男性なら、名前の前に San がつけられる。San Francisco, San José などが有名である。ただし、Tomás, Tomé, Toribio, Domingo の前では Santo となる。Santo Domingo や Santo Tomás が有名であろう。女性なら、Santa が名前の前につく。Santa Ana (マリア様の母、イエス様の母方の祖母。一語になると Santana)や Santa María(通常 Santamaría と一語で書かれる)が代表格である。女性でもないのに Santa がつくのはクリスマス・プレゼントを持ってくるあのお方だけである。
 さあ、それで、この el santo Manuel とはいったいどんな人物なのだろうか。それは次回のお楽しみに。

 
   
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