読売ジャイアンツのメルセデス選手(Cristopher Crisóstomo Mercedes)の2番目の名前、 Crisóstomo は2つある個人名のうちの1つと思われるが、この名前は初めて目にする。ウィキペディア「クリストファー・クリソストモ・メルセデス」には Crisostomo となっているが、スペイン語としてはアクセント記号(tilde)のついた Crisóstomo が正しい。英語形は Chrysostom だが、これも初めてお目にかかる。その他、フランス語形などはスペイン語版ウィキペディア“Crisóstomo”を参照願いたい。
そもそも Crisóstomo の名前はギリシャ語に由来する。意味は「黄金の口」で、スペイン語に翻訳すると“boca de oro”となる。口から金が出てきそうなありがたい名前であるが、出てくるのは金ではない。
この名前は本来はニックネームである。4世紀にギリシャに実在したキリスト教神学者イオアンという偉いお方につけられたものである。名説教で知られたことから「黄金の口」(Chrysostom)と名づけられたとのこと(詳細はウィキペディア「金口イオアン」参照)。
【金口イオアン。別名聖ヨハネ・クリゾストモ。ウィキペディア「金口イオアン」より】
【皇后アエリア・エウドクシアと対峙する金口イオアン(1893年にジャン・ポール・ローランスによって描かれた歴史画)。ウィキペディア「金口イオアン」より】
さて、Crisóstomo の名前は姓としても用いられている。スペインでのランキングは第7398位(“Historia Apellidos”)。世界的にみると、絶対数1位はフィリピンで約48000人。人口比ではグアムが一番である(“Forebears”)。
Crisóstomo 家の紋章は残念ながら見当たらなかった。大きな金色の口の紋章を期待していたのだが。
というわけで、読売ジャイアンツのメルセデス選手には「黄金の口」(Crisóstomo)の名に恥じない名スピーチをヒーローインタビューで期待したいものである。
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